ヘイケボタル通信31

 ヘイケボタル通信31です。新横浜公園のヘイケボタルプロジェクト活動は、市民活動支援事業としてNPO法人鶴見川流域ネットワーキング(以下TRネット)さんが主体となり行っています。7年目となるこの活動も今年度から「ホタルが住み着く環境作り」に力を入れて活動しています。ヘイケボタルプロジェクト・今年のヘイケボタルの発生状況については前回のヘイケボタル通信をご覧ください。
 11月22日、この日は「ヘイケボタルが住み着く環境作り」の一環となるイベントが開催されました。
 まず、「ホタルが住み着く環境」は、ホタルの天敵・ホタルのエサとなる生き物がいるかどうかが重要になります。それを調べるため、水路の中の生き物調査を行いました。

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 長靴を履いて水路の中に入り、網を使って水路の生き物を探します。30分程度の探索で、ヤゴ、エビ、小魚、オタマジャクシ、貝など8種類の生き物を見つけることができました。下の写真に写っているのはシオカラトンボのヤゴです。

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 今回見つけた生き物の中で、ホタルの天敵となるのは、アメリカザリガニです。アメリカザリガニは食用ガエル(ウシガエル)のエサとしてアメリカから持ち込まれたザリガニで、関東以南で見られるザリガニはほとんどがこのアメリカザリガニです。
 そしてホタルのエサとなる生き物ではサカマキガイです。サカマキガイも外国から持ち込まれた貝ですが、ヘイケボタルのエサになります。アメリカザリガニという天敵がいるのは残念ですが、エサとなる貝類がいたのは良いことでした。
サカマキガイとその卵

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その他にも確認できた生き物を一つひとつ丁寧に説明していただきました。

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 続いて、水路に生える植物の管理として、セイタカアワダチソウの抜根を行いました。セイタカアワダチソウはアメリカ原産の植物で、現在では日本各地に広がっています。セイタカアワダチソウは根から他の植物の生育を阻害する物質を出す植物のため、日本古来から生えているオギやヨシが負けて育たなくなります。そして、種だけでなく、土中に茎を伸ばし広がっていくので、根から引き抜かないとなかなか取り除くことができない植物です。説明を聞いた後、みんなで力を合わせて引き抜きます。

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 背の低いものは簡単に取れますが、背の高いものは根も張っているため、少しコツがいるようです。

 最後に水路に堰(せき)を作る作業を行いました。新横浜公園の水路は水深が浅く、水の中で生息する生き物にとっては過酷な環境です。そこで、ある程度の水深を保つためにも堰を設置して生き物の生息環境をつくりました。

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 今回設置して堰の材料は木材のため、多目的遊水地であるこの公園に越流すると水に流される危険性があります。そのため、堰を設置した後、ブロックを設置して流されず、撤去も容易になるように考えていただきました。みんなで協力して堰を作ったらこの日のイベントは終了です。みなさんお疲れさまでした。
 ホタルが生息できる環境が少しずつ整ってきました。TRネットさんで育てているホタルも今のところ順調で、来年度の放流も期待できそうです。今後もホタルの観察会や放流イベントも行っていきますので、是非イベントにご参加ください。
※本来、公園内は生き物や植物の捕獲や採取を禁止しております。今回もイベントのために許可を得て行い、イベント終了後は水路に戻しました。