みなさんこんにちは。2004年Jリーグセカンドステージも開幕し、横浜F・マリノスは優勝の狙える位置でがんばっています。このまま史上初の4シーズン連続優勝となるのでしょうか。楽しみですね。 さて、これまでに競技場の芝生について「青々としている理由」や「選手の好む芝生」、「コンサート時の養生」等々、色々とお話させていただきました。多くの方が芝生に興味を持ってくださっていることに感謝したいと思います。ところで、興味を持たれた方から『家の庭にも競技場と同じ芝生を植えたいがどうしたらよいか』とか、『芝生が上手く育たないがどうしたらよいか』、『オーバーシードってどうやるの』などの声が聞こえてきました。そこで今回はよく聞かれる質問にバーンとお答えいたしましょう。
Q1 |
家の庭は雑草ならすぐ生えるのに、芝生は全然育ちません。きちんと手入れしているのに、どこがいけないのでしょうか。 |
A1 |
雑草と比較してしまうと厳しいですね。雑草はどんなに条件が悪い場所でも育つ強い草の総称ですから、裸地化しているスペースがあればどんどん繁殖してしまいます。 高麗芝であれば週1回の手入れでも十分管理できると思います。ただしそれ以外に毎日5分でもよいので観察は行った方がよいでしょう。それでも育たない場合は、日照や排水など環境に問題があることが多いようです。 |
Q2 |
芝生管理作業ってどんなことを行うのでしょうか。 |
A2 |
刈込みや水やり、肥料蒔きや除草などごく当り前の作業だけで十分だと思います。競技場ではそれ以外に、エアレーション(穴あけ作業)やバーチカット(間引き作業)、サッチング(芽すき作業)や転圧・砂蒔きなども行っていますが、利用する芝生だからこそ行っている作業でもあります。 |
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エアレーション |
Q3 |
作業するためにどんな道具(機械)を揃えたら良いのでしょうか。 |
A3 |
刈込みは大事な作業ですので、刈込み機械はほしいですね。使用後にメンテナンスも必要ですよ。それ以外はスコップや熊手、除草鎌程度でも十分だと思います。 |
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家庭用芝刈り機 |
家庭用作業道具 |
Q4 |
ホームセンターでは高麗芝しか売っていません。競技場と同じ芝生はどこに売っているのでしょうか。 |
A4 |
競技場で使用している『ティフトン419』は、元々アメリカから入ってきた芝生で、競技場やゴルフ場用に栽培されている種類なのです。そのため単価が高く市場に出回りにくいので売っていないのです。専門業者はありますが、m2単価で高麗芝の10倍位しますし、発注数量も1,000m2位とまとまった量が必要です。 |
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競技場の芝 |
一般家庭の芝 |
Q5 |
基本的な管理方法(水やりの回数や時間帯、刈込む高さ・頻度、肥料のやり方など)について教えてください。 |
A5 |
水やりの回数は床土の状態や芝生の刈り高、乾燥状態などによって異なりますが細かく何度にも分けて行うより1度に多めに行った方が効果的です。撒き方はバケツをひっくり返したような撒き方ではなく、シャワー状や霧状で床土に染み込むように散布した方が良いでしょう。時間帯は朝か夕方、やむを得ず日中の暑い時間帯に行う場合は、蒸散する際に芝生内の養分も一緒に放出してしまうことがあるので、通常より多目の水やりが必要となるでしょう。 刈込む高さは芝種やご自身の好みによっても違いますが、高麗芝で20?30ミリ、野芝で30?50ミリが、冬芝では20?50ミリ位が適正範囲でしょう。極端な刈り高の変化は芝生にストレスを与えることになるので、生育が旺盛な時期は2・3日おきくらいで刈込みを行った方が良好な状態を維持し易いでしょう。 芝生に必要な肥料成分は主に窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)(必須三要素)です。含有成分量の異なる肥料が市販されていますので購入の際には確認してください。通常一番多く市販されている成分はN?P?K(8-8-8)の化成肥料です。特に問題ない状態であればこれを30?40g/m2、3週間から1ヶ月に1度の散布すれば十分です。肥料散布後はたっぷり散水を行って溶かすようにします。芝張り直後や芝生に元気がないときは、もう少し含有成分量の少ない(例:N-P-K
5-10-6など)液体肥料が良いでしょう。液体肥料は栄養剤のようなもので葉から吸収されて肥料効果が早くでるからです。(化成肥料の場合は溶けたものを根からの吸収するため時間がかかる)ただし液体肥料は水に薄めて使用するので希釈倍率や散布水量に注意して行ってください。 |
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肥料散布 |
ペレニアルライグラス種子 (スタジアムツアー記念品) |
Q6 |
芝生が茶色くなる時期に冬芝の種を蒔きたいのですが、どんな種類の種を蒔いたらよいのでしょうか。 |
A6 |
オーバーシード用に使用している『ペレニアルライグラス』は、時々ホームセンターで売っている場合もあります。ただし洋芝の種子として市販されているものは『ケンタッキーブルーグラス』や『ペレニアルライグラス+ケンタッキーブルーグラス』が多く、これらの種子はオーバーシード用には適していないので使用しない方がよいと思います。 |
Q7 |
家の庭を1年中緑色の芝生にしたいのですが、どうしたら良いのでしょうか。 |
A7 |
方法としては2通りあります。上記にも記載してある夏芝(高麗芝等)が休眠する頃に冬芝の種を蒔く『オーバーシード』方式と、1年間を通して冬芝(ケンタッキーブルーグラスやペレニアルライグラス、トールフェスク等)だけで行う方法です。 まずオーバーシード方式で行う場合の注意点は、「基本は夏芝であり休眠して茶色くなっている期間のみ冬芝の種でしのぐ」という認識です。冬芝の種を蒔き過ぎてしまうと春先に夏芝の生育を妨げることになるので注意してください。また夏芝が萌芽始めたら冬芝は除去してください。この場合、エアレーションやバーチカットなどの特殊な作業も必要となります。 1年を通じて冬芝だけで行う場合の注意点は、「冬芝は病害虫に弱く、耐暑性・耐乾性に乏しい」という認識です。朝の時点で大丈夫だったからといって昼にはだめになってしまう可能性がある非常に繊細で管理手間ことを覚悟して行ってください。排水にも留意したほうが良いので、造成する際に床土を砂にすることも良いでしょう。もちろん排水が良くなれば保水力や保肥力が落ちる訳ですから、芝生の状況によって散水や施肥も必要となります。 | |