スタッフブログ|日産スタジアム
芝生観察日記(3)
2008/02/09
 

 みなさん、こんにちは。
 「芝生観察日記」の第三稿です。今回はちょっと芝生から話がそれますが、下の写真?は日産スタジアムの芝生ではなく、お隣の日産フィールド小机の芝生の写真です。芝生の仕様は、日産スタジアムの補助競技場という位置付けであるため、同じ夏芝と冬芝のオーバーシード方式を採用しています。そのため写真の白っぽくなった部分が夏芝で、濃い緑色の部分が冬芝というわけですが、中央付近の芝生だけ何となく変だと思いませんか?少しだけ淡い緑で妙に周りより浮き出て見えませんか?これって実は雑草なんです。

写真1  写真2  写真3  写真4
写真1       写真2          写真3        写真4

この雑草の名前は、その名も「スズメノカタビラ(以下、カタビラ)」です。名前の由来は、「小さい小穂をつけた花序(写真?)を雀に着せた単衣(ひとえ)の着物にたとえたもの」と本には書いてありました。また、カタビラ(帷子)は「夏の単衣で麻製の着物」を江戸時代はそうよんでいたそうです。私も結構勉強になりました。
この雑草の特徴は、見てのとおり芝生そっくりですよね!我々は一目瞭然で見つけられますが、
みなさんには芝生だか雑草だか見分けがつかないと思います。それもそのはずカタビラは芝生と同じイネ科植物なんです。非常に繁殖力が強く、一粒の種から写真?のように携帯電話程の株になります。これが芝生の中に入り込むとグリグリのボーボーになって滑らかな芝生表面を凸凹にしてしまうので、ボールが真っ直ぐ転がらないなどの影響が出てしまいます。そのため、サッカーのような大きいボールを転がすスポーツはまだしも、ゴルフ場のグリーンなどでは特に厄介な雑草として嫌われています。
 生育環境としては、真冬や真夏は目立たなくなりますが、ほぼ一年中見られます。生育場所としては、芝生内はもちろんのこと、道端(写真?)、庭の隅、畑などどこでも生えます。その中でも特に湿気を好むので、田植え前の水田には一面にびっちり生えているのを良く見かけます。
また、普通植物は日照がないとまともに生育できないものですが、カタビラは日向でも日陰でも良く育ちます。生育分布も広く、極地以外は世界中で見られます。このカタビラ、写真の?や?ではみなさんもピンと来ないかもしれませんが、写真?を見ると公園などで見かけたことはありませんか?
 このような生育特性を持つカタビラをやっつけるのは至難の業です。ゴルフ場や田畑では、環境にもやさしい薬剤が多く市販されています。ゴルフ場や田畑では、発芽前の春秋年2回程度、薬剤による防除を行うのが一般的な方法です。
 しかし、ここ日産スタジアムを始めとする新横浜公園内は、条例に基づき、薬剤が使用できないので、人力による除草作業行っています。ただ、この雑草を写真?のように大きく株化させてしまったものを一日中手で抜き取っていると、腱鞘炎になりかねないくらい、意外と重労働なんですよ。
そのため、大きくさせないように日頃から注意して、見つけたら抜くという癖を付けるように心掛けています。如何に綺麗な芝生でもカタビラが密集してしまうと見た目ばかりでなく、クオリティーも低下させてしまうので、我々はこういったところにも注意しながら管理しています。凄く地味ですが、「スポーツターフ」を管理する上では大切な作業なのです。
どうですか、今回はみなさんにも勉強になったでしょう!
 次回は、久しぶりにシートを剥がした日産スタジアムの状況を報告します。芝生を抜いて根っ子の状態もご紹介したいと思いますのでお楽しみに!