みなさん、こんにちは。
「芝生観察日記」の第五稿です。
3月8日、いよいよJリーグが開幕しました。試合の結果はみなさんもご存知かと思いますが、ホームのF・マリノスが優勝候補筆頭の浦和レッズを破って、素晴らしい開幕スタートを切りました。昨シーズンは、なかなかホームで勝てなかったため、我々フィールドスタッフも歯痒い思いの連続でしたが、今シーズンは是非ホームゲームを大事に戦い、勝利を収めて欲しいものです。
そのためにも、我々フィールドスタッフは最善を尽くしてコンディションを整えていきたいと思います。
さて、3月8日の芝生の状態ですが、2月の厳しい冷え込みの影響で冬芝の活性が思うように上がらず、開幕に向けて多少不安な状態でしたが、養生シートやアンダーヒーティングのお陰で何とか景観上は見映えのする状態となりました。下の写真が当日の全景ですが、部分的に夏芝の枯れた茶色の筋が残っていますが、ほぼ例年並みといった感じでした。
この試合を、スタジアムで直接見られた方、またテレビの画面を通して見られた方、それぞれどのような印象を持たれましたか。
この仕事をしていると、同時刻に行われている他のスタジアムでの試合が気になります。決して試合の状況ではありません。「隣の芝生。。。。」なんて言いますが、他のスタジアムの芝生の状態は良い意味で刺激になります。芝種も管理方法も違うので単純に比較はできませんが、職業病でしょうか。
しかし、何より大事なのは見た目ではなく、実際にプレーする選手達の足で感じる感覚とボールの転がり具合です。足で感じる感覚とは弾力のことですが、芝生表面の弾力を測る専用のテスターによる硬度値は74ポイント。これはかなりフカフカした弾力が感じられたと思います。また、ボールの転がりは見た目の判断になりますが、冬芝がやや株化してしまったため緩いパスだとボールが時々跳ね上がる状況(通称:ラビットボール)が見られました。これに関しては、次節までに改善しなければならない課題が見付かりました。
選手達にとって芝生のコンディションはとても重要ですが、どんなに良い芝生を作っても試合に負けると芝生が悪かった。どんなに凸凹でハゲチョロの芝生でも勝てば文句を言わないのが常です。
良くて当たり前の芝生。我々にゴールはありません。常に良い芝生を作ることを目標に日々、芝生と向かい合っています。
こういった想いを選手達がどの程度理解してくれるかは解りませんが、最高のコンディションで最高のプレーを演出するために、今後もがんばっていきます。今後サッカーを見る時、みなさんも少し目線を変えて、見て下さい。次回をお楽しみに。