★ 写真 ハナショウブ(アヤメ科)です。葦を刈るとこのとおり。
撮影日時: 平成20年度6月6日
場 所: 新横浜公園中央広場水路際
新横浜公園は遊水地でもあり、水には縁の深い公園なのにハナショウブがないのは不思議だと思っていたらありました。葦の中で咲いていました。紫や白でハナショウブと言うよりノハナショウブのようなすらりとした姿です。
花菖蒲と言えば6月5日の日経新聞朝刊の「春秋」と言うコラムにハナショウブの「花」ではなく「葉」の興味深い話が出ていました。ハナショウブの葉は、と言うよりアヤメ属の植物の葉には表裏がなく裏だけで出来ているとの話です。どんな話かと言うと岩波書店の月間冊子「図書」の6月号に塚谷裕一・東大教授が「裏しかない葉と広重の錦絵」の題で書かれた随筆の話です。植物の葉の表裏はどうして決まるか。
私は葉は太陽の光を受ける方が表でその反対側が裏と思っていましたが、事はそんなに簡単ではないようです。
葉の表裏は、葉の葉脈を中心とし裏に師管(光合成で出来た養分を根に運ぶ管)、表に道管(根から吸い上げた水を運ぶ管)があるのでこれで表裏を判断する。でも、アヤメ属の葉には両面に師管がある。そうすると両面が裏と言うことになる。このような葉を「単面葉」と言うそうですが、このような葉ができるのは植物でも「単子葉植物」に限られるようで、ではなぜそうなるかは、茎に巻きつくような葉の付き方によるとのことです。
ハナショウブは子供の頃から見ていて、葉のことなど何の疑問にも思わなかったのに、改めて説明を読むと、ただただ感心するばかりです。今は、葉っぱのでき方も遺伝子レベルで説明される時代なのだと知りました。
前回の新横浜公園生き物観察日記(27)はこちらをご覧下さい