★ 写真 クマザサです。
撮影日時: 平成21年1月11日
場 所: 東ゲート橋共済病院側緑地
クマザサです。植栽地の「根じめ」に植えられたものが元気に育っています。その名の由来でもある隈取が鮮やかです。樹林地の明るくて乾燥気味の林床に適応した、高さが1?2m、人の背丈ほどにもなる大形の笹です。笹が繁茂するとその稠密な根により草や樹木の発芽が抑えられ樹林地の遷移が進まなくなります。日本にヨーロッパの平地林のような明るい見通しの良い森が少ないのは、林床を明るくすると笹が入り込んでしまうからだと言われています。
名前の由来でもある隈取(くまどり)は若葉の時には無く、冬になると葉の縁が枯れて隈取が出来ます。「熊笹」とも書かれます。
また、岐阜県北部の方では「野麦」とも呼ばれ、山本茂美のルポルタージュ「あゝ野麦峠」の題名にもなりました。明治期の飛騨の農家の娘たちが諏訪、岡谷の製糸工場に働きに行く話しで、日本の資本主義黎明期の女工哀史として有名です。映画にもなりましたから、娘たちの薄幸で健気な姿に涙した方も多いのではないでしょうか。
何故、野麦と呼ばれるのかはクマザサの実が麦の穂に似ているからだそうで、飢饉の時には食用にされたとの記録もあります。飽食の現在では考えられないことですが、今なら健康食品として棚に並ぶかもしれません。でも、美味しいのでしょうか。
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