スタッフブログ|日産スタジアム
芝生観察日記 第28話
2010/11/19
 

芝生観察日記の第二十八話です。
平成22年11月12日

  冬芝が「分げつ」しました!!
  種を播いてから約1ヵ月半が経過しました。これまで1葉、2葉と種から発芽した1本の茎から出た葉の枚数を報告してきましたが、今度は初めに出た茎の生え際から新たな茎が出てきました。これを「分げつ」と呼びます。樹木では「ヒコバエ」と呼びますが、聞いたことありますか。
下の写真は2本の茎を採取していますが、左側は2本、右側は3本に分げつしているのが判りますか。
こうして1粒の種が10本、20本と増えて株状に芝生面(ターフ)を形成していきます。ただ、これも冬芝だけでターフを形成させるのであれば肥料と水をどんどんやって分げつを促しますが、日産スタジアムのように夏芝にオーバーシードする場合は、あまり大きな株になり過ぎては困ります。理由は、夏芝を覆うことで春になって夏芝の芽出しを邪魔するからです。大きな要因としては日差しを遮ることで夏芝の芽出しに必要な地温の上昇を抑制するからです。
日産スタジアムでの冬芝の位置付けはあくまでも冬の間、茶色く退色する夏芝のお化粧なので肥料や散水を抑えて必要以上に分げつさせません。
ただ、その年の天候に左右され、景観的な視点とコンディションの両方をクリアする育成管理はこれが絶対だという数値で示せるものではないので、何年やっても難しいと毎年しみじみ感じます。
果たして来春には何本に分げつしているでしょうか。