★ 写真 カワラナデシコが咲きました
撮影日時: 平成23年 7月 6日
場 所: 北側園地
カワラナデシコ(ナデシコ科ナデシコ属)の多年草です。
秋の七草の一つで万葉人にも好まれた植物のようですが、今の季節は夏、まだ、関東地方は梅雨明けもしていません。
本当に秋の七草なのでしょうか。
万葉集にもカワラナデシコを題材にした和歌は沢山ありますが、この歌などはどうでしょうか。
「秋さらば見つつ偲(しの)へと妹が植ゑしやどのなでしこ咲きにけるかも」大伴家持。
秋になったら一緒に見ましょうね、と言って妻が植えてくれたナデシコの花が咲いている。 そんな意味の歌ですが、一緒に見るはずの奥さんは亡くなって今はいない。と聞かされれば状況は一変してしまいます。
私達は大伴家持を万葉集の編者、三十六歌仙の一人として知っていますが、政治家、行政官でもありました。
鹿児島県JR薩摩川内駅前に大伴家持の銅像が建っています。
どうしてこんな所に大伴家持像があるのか不思議に思って説明板を読むと、天平宝字八年(764年)に薩摩の国司として赴任したからだそうです。今の転勤族のようなものでしょうか。
今は飛行機もあり、九州新幹線も開通し鹿児島も近くなりましたが当時はとても遠い国だったはずです。もしも、赴任先から帰ってみると奥さんは亡くなり、ナデシコの紅い花だけが咲いていたのであれば、なんとも切ない話です。
ナデシコの花を奥さんといっしょに見ていたらどんな歌を詠んだのでしょうか。