スタッフブログ|日産スタジアム
新横浜公園生き物観察日記(183)
2011/09/28
 

トロロアオイ.jpg
★ 写真  トロロアオイです
撮影日時: 平成23年9月25日
場  所: 北側園地耕作地

 今、トロロアオイ(アオイ科トロロアオイ属、一年草)が咲いています。
薄黄色の大きな花です。台風15号の強風にコスモスやヒマワリの花が吹き飛ばされ色味のない草原の中で目立っています。
 トロロアオイの名の由来はトロロ芋(山芋)のトロロに因むそうでトロロアオイの根からでる粘液質の透明な液を指してのことです。この粘りのある液は「ねり」と呼ばれ和紙すきには欠かせないものです。
 和紙すきの原料はコウゾやミツマタ等の樹皮の繊維です。この繊維は水よりも重くかき混ぜてもすぐに桶の底に沈んでしまいます。そこでトロロアオイの粘液で水に粘りを与えると繊維は沈むことなく長時間水中に浮くようになり、水中の紙の繊維の分散を助ける役目をします。粘りはありますが接着剤として使用されるわけではありません。
 トロロアオイの粘液にはカラクチュロン酸と言う多糖類が含まれており、これは植物繊維のセルロースと相性が良く、一本一本の繊維をそのぬめりで包み込み、繊維の絡みを防止し均一な厚みの和紙をつくる手助けをしてくれます。ただ、この「ねり」の粘度は長持ちせず、また気温が高くなると粘度が落ちるので紙すきは冬期に行うのだそうです。