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芝生観察日記 第44話
2012/05/27
 

平成24年5月26日(土)

今季初めてエアレーションを行いました。
専門用語でいうところのコア抜きです。コア抜きのエアレーションとは、中空パイプで芝生を根こそぎ抜き取る作業です。
芝生を抜き取る事で生まれた土壌の空間によって、排水性の向上や酸素供給が促進されて芝生の根が元気になります。

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今年は春先から天候が不安定で、例年より雨が多く、気温も低めです。そのため夏芝(ティフトン419)の動きがやや遅れ気味です。逆に、冬芝(ペレニアルライグラス)は一時期病気が出たりして衰退傾向になりましたが、今はまた元気です。このような、天候や2種類の芝生のせめぎ合いに加えて今年は5月に初めてのコンサートが開催された事などを考慮してエアレーションも例年よりやや遅めの実施です。

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抜き取られた芝片(コア:core)です。根の動きはまだ鈍いようですが、しっかりとしたコアが抜けました。だいたい9cm位の長さ、太さは12mmということで、一見すると虫の大群のようで少しグロテスクですよね。

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コアはスチールマットで芝片と砂に分離するように擦り込みます。芝生の表面に残った芝片だけスイーパーで回収し、一連の作業は完了です。

観察日記44-4.jpg

作業完了後の芝生です。ちどり状に綺麗に穴が空きました。この時季のエアレーションの目的は前記した以外に、排水性が向上し、空気が入り易くなることで土壌が乾燥し易くなり、冬芝の衰退に拍車をかけるトランジッション(冬芝から夏芝への切り替え)の意味合いもあります。また、穴の中及びその周辺に陽光が差し込むようになり夏芝(ティフトン419)の芽出しを促進します。
このように良い事尽くめのようなエアレーション作業ですが、同時にリスクも伴います。それは、穴を空けることで芝生の根が一時的に切られて芝生にストレスを掛けます。また、排水性が向上する反面で乾燥し易くなり、乾燥害のようなストレスも発生します。
エアレーションは、実施するタイミングが大切です。毎年、日々、芝生の顔色を見ながらその実施時期を見極めています。