スタッフブログ|日産スタジアム
新横浜公園生き物観察日記(60)
2008/12/25
 

「霜の花」です。ハコベの葉に咲きました    「霜柱」も立ちました

★ 写真  霜が降りました。
撮影日時: 平成20年12月15日
場  所: 北側園地の流れ、耕作地

12月とも思えない暖かい日の後に雨が降りました。晴れると放射冷却現象で新横浜公園に霜が降り小机フィールドの緑の芝生が一面真白になりました。養生シートを敷いたのかと錯覚するくらいでした。

霜の定義は「物の表面が冷却されることで空気中の水蒸気が昇華(固体化)し結晶が積もったもの」ですが、同じ名前が付いた「霜柱」は地中の水分が凍って出来たものなので、霜と言うより氷ということになります。同じ水ですが気体と液体の差です。冷たい空気の溜まりやすい窪みや谷間は霜が降りやすい場所で作物に害を与えたりします。静岡あたりの茶畑に大きな扇風機の様なものがあるのを見た方もおられるかと思いますが、あれは大気を攪拌し冷気が溜まらないようにするための装置です。

霜と言えば「霜焼け」子供や水仕事の多いお母さん達を困らせたものですが、今は死語に近いでしょうか。もう一つ「霜降り肉」は高級肉の呼称です。寒い夜には温かい鍋物が良いですね。すき焼きあたりで一杯といきますか。

世界金融危機とか経営破綻とかネズミ年らしく何かと騒がしく乱高下激しい一年でしたが来年は希望に満ちた良い一年であることを祈ります。良いお年を。

前回の新横浜公園生き物観察日記(59)はこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(59)
2008/12/19
 
コトネアスター・フロリバンダの赤い実

★ 写真  コトネアスター・フロリバンダの赤い実がなっています。
撮影日時: 平成20年12月4日
場   所: 日産スタジアム2階マラソンゲート入口両側植樹帯

コトネアスターはバラ科コトネアスター属の小潅木で公園樹木としてお馴染みです。原産地は中国で、ベニシタン(紅紫檀)とも呼ばれます。匍匐性で秋から冬にかけて赤い実を付け、乾燥にも強いとのことで屋上緑化にも良く使われます。日産スタジアムにも植わっています。

でも、このコトネアスターは立性で実が房のようになります。建設当時の植栽記録には「コトネアスター・フロリバンダ」との記載がありますが、それ以上は良く分かりません。植栽されたのはもう10年以上前の事です。

インターネットで検索したところ興味深い記事がありました。
「コトネアスター・フロリバンダ」は内山緑地建設?(大手の造園会社です)の元役員の方がヨーロッパに旅行に行かれた時、ベルサイユ宮殿の庭にあったのを見て気に入られ、日本へ持ち帰られた。とのエピソードが載っていました。会社に問い合わせたところ細部については間違いもあるようですが、大筋ではそのとおりとの御返事を頂きました。ただ、宮殿の庭がベルサイユであったかどうかは分からないとのことでした。コトネアスターの原産地は中国で、昔、その植物がヨーロッパに運ばれ、また時を経てアジアの日本に戻ってきた。それともヨーロッパを原産地とする別の種があったのか良く分かりませんが冬枯れの木立の中に赤い実は映えます。ガマズミ、ピラカンサ、そう言えばクリスマスを飾るホーリー(西洋ヒイラギ)の実も赤でした。

前回の新横浜公園生き物観察日記(58)はこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(58)
2008/12/10
 
亀(ミシシッピーアカミミガメ)

★ 写真  亀(ミシシッピーアカミミガメ)です。
撮影日時: 平成20年12月4日
場  所: 北側園地の保護区の中

アカミミガメが甲羅干しをしています。小春日和のお昼前、枯れ草の上で気持ちよさそうです。つい、カメラのシャッターを押してしまいました。

アカミミガメは御存知のように外来種、ミシシッピーの名のとおり北アメリカ産で、新横浜公園の減勢池にも沢山います。成体になると「アカミミガメ」と呼ばれますが、幼体の時には「ミドリガメ」と呼ばれます。縁日の屋台でよく売られていました。1匹100円くらいだったと記憶しています。今から40年も前の話です。当時は珍しい生きものでした。

今では外来種として在来種のクサガメやイシガメの生息を脅かしているのではと危惧されていますが、外来生物法の指定では「要注意外来生物」となって、排除は何とか免れています。でも、要注意ですから油断なりません。

あと、不思議なのは、このカメの学名で(Trachemys scripta elegans)の最後、エレガンスは「優雅」の意味ですが、このカメのどこが優雅なのかわかりません。ものの本によるとアカミミガメの幼体ミドリガメの時の甲羅の緑、黄、黒の縞模様がきれいなので、この名が付いたとのことですが、本当でしょうか。

前回の新横浜公園生き物観察日記(57)はこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(57)
2008/12/05
 
トウヨシノボリです

★ 写真  トウヨシノボリです。
撮影日時: 平成20年11月26日
場  所: 北側園地の水路

寒くなりました、水温も下がり水面に魚の姿はありません。北側園地の水路の底はコンクリート張りで深みはなく、魚にとって住みやすいとも思えませんが、でも、そんな所を好む魚もいるのです。ヨシノボリです。

ヨシノボリはハゼの仲間でハゼ亜目ハゼ科ヨシノボリ属に属します。北側園地の多目的運動広場南側水路の石の下にいました。水深2cmもない浅い水路です。こんなに浅いと外気温の影響を受け冬季には生きられないのではないかと心配ですが、今のところは元気です。その理由は、この水路には下水道の再生水が入っており、水温は他の水路より高いからです。

ヨシノボリには何種類かあります。トウヨシノボリの生息域は広く、地域、個体差が大きいことで知られています。トウヨシノボリは体色により4タイプに分けられ、それはトウヨシノボリの学名(Rhinogobius、sp、OR)のORが意味しています。ORはOrange、type(オレンジ色・橙色)の略称で、オスの尾びれのつけ根に大きな橙色の斑紋があることに由来するそうですが、他の3種はどんな姿をしているのか見てみたいものです。

前回の新横浜公園生き物観察日記(56)はこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(56)
2008/11/24
 
雪化粧の富士山です

★ 写真  雪化粧の富士山です。
撮影日時: 平成20年度11月21日
場  所: 日産スタジアム4階通路から

気温も下がり空気が澄んで来ました。日産スタジアムからも丹沢山塊の稜線がはっきり見えます。その後の富士山もいつの間にか雪化粧です。百人一首の「田子のうら うち出てみれば白妙の 富士の高嶺に 雪はふりつつ 山部赤人」を思い出します。
まだ、山の半分くらいで裾野はまだ黒いままですが、スタジアムから見ると裾野は丹沢山塊に隠され、全山雪化粧のように見えます。

富士山は日本最高峰の山で、標高3、776mは誰でも知っています。でも、本当に3,776mあるのかどうかは実測しなければ分かりません。航空測量や人工衛星を使っての数値はあくまで計算値で実測値ではないと言うことで、実際にレベル(高さを測る測量器械)とスタッフ(箱尺、高さを測るための物差し)を使って大手ゼネコンの測量班が測量をした記録映画を見たことがあります。タイトルは確か「富士を測る」でした。スタートがどこか忘れましたが駿河湾だったような気がします。
何か、ドッキリカメラの様な冗談ではないかと思いながら見ていましたが、足場が悪く遅々として進まない環境の中でも測量士たちの精度を上げるための努力や真剣な表情に引き込まれ最後まで見てしまいました。測量も終盤にかかると数値が気になります。もし誤差があったらどうするのだろうと心配しましたが、終わりは3,776の範囲に収まっていました。感心しました。


前回の新横浜公園生き物観察日記(55)はこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(55)
2008/11/21
 
ライギョ(雷魚)です

★ 写真  ライギョ(雷魚)です
撮影日時: 平成20年度11月6日
場  所: 北側園地減勢池

ライギョ(雷魚)です。カムルーチと言ったほうが分かりがいいでしょうか。スズキ目タイワンドジョウ科に属しています。細長い体と蛇に似た頭部の柄から英名:スネークヘッドとも呼ばれます。背中の柄が怖そうです。

外来種ですが、人為的に導入された古参の外来種です。1923年頃朝鮮半島から日本の奈良県に持ち込まれたそうです。今から85年ほど前のことになります。85の数字が古いのか新しいのか良く分かりませんが、外来生物法の特定生物にはなっていません。ひとまずは安心です。

新横浜公園北側園地の減勢池の浅瀬に身を潜めていました。草むらや川底の模様と一体化し、よく見ないと分かりませんが30cm以上ありました。大きくなると90cmにもなるそうですから。さすが、大陸生まれです。でも、何故こんなところに身を潜める必要があったのでしょうか。その理由は渇水にあります。夏の増水期に迷い込んで、帰れなくなっただけです。水深も10cmもないような水溜りで、ひっそりと雨の降るのを待っていたのでしょうか。小さな水溜りで、故郷の大河に思いをはせていたのかもしれません。言い忘れましたが、カムルーチは朝鮮語の呼称です。

前回の新横浜公園生き物観察日記(54)はこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(54)
2008/11/17
 
赤とんぼ(アキアカネ)です

★ 写真  赤とんぼ(アキアカネ)です
撮影日時: 平成20年度11月13日
場  所: 北側園地多目的運動広場南側水路

赤とんぼが飛んでいます。気温も下がり生き物の気配が薄くなってきました。あんなににぎやかだった秋の鳴く虫たちの声も小さくなってしまいました。水辺のとんぼもなんとなく元気がありません。新横浜公園の虫たちの季節ももうじきおわりです。

虫のなかで成人男子に一番好まれる昆虫は「とんぼ」と言うアンケート結果を聞いたことがあります。そんな気持ちを。歌人の小池光さんが日経新聞の「うたの動物記」に書いておられます。

蜻蛉釣り今日はどこまで行ったやら 加賀千代女 

この句と加賀千代女を知らない人はいないでしょうが、「とんぼ釣り」を魚の釣りに見立て、大空が海で、とんぼは空を泳ぐ透明な魚との解説は今までそんな風に考えたこともなかったので新鮮な驚きでした。もうひとつあります。こちらは短歌ですが。

ふるさとの幼なじみを思い出し泣くもよかろと来る来るとんぼ 与謝野晶子

とんぼを捕るとき、くるくると指を回す、その「くるくる」と「来る来る」をかけて楽しく遊んだ歌とのこと。
でも、とんぼを歌った二人はどちらも女性で、とんぼが男性にだけ好まれたのではないのが分かります。でも、とんぼを詠った歌はどこかもの悲しい。

前回の新横浜公園生き物観察日記(53)はこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(53)
2008/11/12
 
ツワブキが咲き始めました

★ 写真  ツワブキが咲き始めました
撮影日時: 平成20年度10月30日
場  所: U字橋園路植栽地

ツワブキはキク科ツワブキ属の多年草です。ツワブキは冬の花です。秋頃から咲き始め、冬まで花を咲かせます。端境期の枯れ野に彩を与える花です。

新横浜公園にも沢山ではありませんがあります。公園整備の時に植栽されたもので、水辺から樹木の根じめ、石組みの脇等に配植されています。日向から日陰までどこでも対応できる汎用型の地被植物です。でも、こんなに便利に使われると本来の適地がどこか分からなくなってしまいます。分布を調べると本州では福島県、石川県以西の平地、海岸沿いに生息するとのことですから寒さに強いわけではなさそうです。

そう言われれば葉の艶は常緑広葉樹(タブやツバキのような樹木)の葉の艶に似ています。葉に艶があるから艶葉蕗(つやばぶき)と言われツワブキの名になったとのことですから納得です。蕗と言えば山菜、早春のフキノトウの葉と茎を思いうかべますが、このフキは夏緑性とよばれ、ツワブキは常緑性です。樹木の落葉樹と常緑樹のよびかたには馴染みがありますが、草本にも落葉と常緑があるのは気が付きませんでした。草はみな、冬には枯れるものと思っていましたから。
それと、ツワブキもフキですから食べられます。「キャラブキ」と言う佃煮をご存知でしょう。甘辛く煮た醤油味の佃煮です。歯ごたえがあってご飯がすすみます。

前回の新横浜公園生き物観察日記(52)はこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(52)
2008/11/08
 
野菊(ノコンギク)です

★ 写真  野菊(ノコンギク)です
撮影日時: 平成20年度10月30日
場  所: 北側園地野球場北側植栽地

秋の花、菊の季節です。いろんな所で菊花展が開かれる季節でもあります。北側園地にもノコンギク(キク科シオン属)が咲いています。数は多くありませんが、この一角だけが秋の風情です。

野菊と一般に総称されますが、ノコンギクに良く似た花で「ヨメナ」と言うのもあります。ノコンギクよりも湿気を好み水田の畦などに生育しますがよく見ないと違いが分かりません。違いを知るには、冠毛の長い短い、葉の表面のざらつき、無毛で光沢があるかどうか、いくつかチェックポイントはありますが、葉の表面がざらつくかどうかが判断材料としてはいいのではないでしょうか。ざらつくほうがノコンギクです。

菊は花の美しさだけでなく、日本人の心象風景を映すものでもあります。
もう、随分前のことになりますが「ロッキード事件」と言うのがありました。時の宰相田中角栄の疑獄事件ですが、田中角栄を問い詰める検察官の襟の記章は「秋霜烈日」記章と呼ばれる[太陽に菊]があしらわれたものでした。「秋霜」はその言葉どおり秋の霜、「烈日」は真夏の太陽、どちらも容赦なく厳しいものの例えですが、どのような厳しい環境でも凛とした姿で咲いている野菊(たぶん野菊だと思います)に厳正さを求める検察官の姿を投影したのでしょうか。その他にも伊藤左千夫の「野菊の墓」はあまりにも有名で「野菊のごとき君なりき」の題名で映画にもなりました。監督はたしか、木下恵介だったように思います。あらすじを聞くのは野暮と言うものです。

前回の新横浜公園生き物観察日記(51)はこちらをご覧下さい

新横浜公園生き物観察日記(51)
2008/11/07
 
セイタカアワダチソウの花です

★ 写真  セイタカアワダチソウの花です。
撮影日時: 平成20年度10月27日
場  所: 北側園地減勢池側植栽地

秋です。空が高くなりました。セイタカアワダチソウの花が盛りです。北アメリカ原産の帰化植物で、キク科アキノキリンソウ属の多年草です。名前のとおり背高のはずですが北側園地のセイタカアワダチソウの背は高くありません。梅雨あけ頃に刈るとこんな姿になります。

昔、今から40年前頃、埋立地や造成跡地に繁茂し、その勢いは在来のススキやオギを駆逐し、そのうちススキ、オギは日本の草原から姿を消してしまうのではと心配されたこともありましたが、その点は良く出来たもので、確かに最初の5?6年はセイタカアワダチソウが卓越しますが、その後はススキの方が勢いを取り戻し、結局ススキ原に戻ったとの話を聞いたことがあります。

セイタカアワダチソウが恐れられたもう一つの理由が、根から周囲の植物の成長を抑制する化学物質を出すというものですが、この化学物質は周囲の植物を弱らせるだけでなく、自分の成長も抑制する作用がありそれほどのことはなかったそうです。もう一つ、花粉が喘息等の気管支系の病気を引き起こすというものですが、これも冤罪でセイタカアワダチソウの花は「虫媒花」で空気中に花粉を撒き散らすことはないとのことです。虫の助けを借りないと花粉が運べないほど重いと言うことでしょうか。

そう言われて花をよく見ると、ミツバチやハナアブが全身を花粉だらけにしながら蜜集めに忙しそうです。


前回の新横浜公園生き物観察日記(50)はこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(50)
2008/10/31
 
すすき(オギ)の穂です

★ 写真  すすき(オギ)の穂です。
撮影日時: 平成20年度10月15日
場  所: 北側園地減勢池側植栽地

ススキの穂が出ました。ススキ(イネ科ススキ属)は秋の七草のひとつ。お月見には欠かせないものですが新横浜公園の薄(すすき)はススキではありません。オギです。オギもススキと同じイネ科ススキ属の植物ですが生息場所と成長の仕方に少し違いがあります。

オギはどちらかと言うと、湿った場所を好み、ススキは乾燥したところを好む。オギはランナー(地下茎)で殖え、ススキは株で殖えます。白い穂が風になびくと原っぱ一面が白く波打つようにゆれ、とてもきれいです。西日に照らされると光を反射して黄金色に輝きます。普通は人の背丈ほどになりますが、新横浜公園北側園地のオギは草刈のため背が低く、穂が出てようやく人の背丈ほどです。

ススキ、オギは萱(かや)とも呼ばれ、民家の屋根を葺く建築材料でもあります。今は市内でもかやぶき屋根の家は数えるほどになりましたが、断熱、防水、防音に優れ、理想の屋根材との話を聞いたことがあります。個々の性能なら新建材の方が優れているが、総合力では萱に軍配が上がるそうです。

すすきは秋の花ですが、花札では8月の札に描かれます。枯れたススキは縁起が悪いとの験(ゲン)かつぎでしょうか。

そう言われれば、「船頭小唄」♪おれは河原の枯れすすき 同じお前も枯れすすき どうせ二人はこの世では 花の咲かない枯れすすき? の歌は絶好調の時でなければ歌えません。悲しすぎます。


前回の新横浜公園生き物観察日記はこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(49)
2008/10/25
 
和綿の実(コットンボール)です

★ 写真  和綿の実(コットンボール)です。
撮影日時: 平成20年度10月13日
場  所: 北側園地多目的運動広場東側植栽地

雨が降ります。秋の長雨と言いますから驚きませんが、気温も高いので、草も元気です。ススキの穂が出揃い、ソバも白い花を付け、セイタカアワダチソウも咲き始めました。これで秋晴れの空となれば言うことはありません。雨が上がり、空気が乾けば綿の実がはじけます。新横浜公園の和綿の実はソバの白い花に埋もれて目立ちません。でも、葉の影で弾けています。

和綿の実は下向きに付きますが、雨の多いことを知っての事でしょうか。アメリカの綿は上に向いて弾け、実も大きくなります。実の大きさを見ると何故、和綿が栽培されなくなったのか分かります。実の大きさが違います。また、外国のワタの繊維は長く薄い布を織るには向いているそうです。それに比べ和綿の繊維は短くて太いそうでふんわりとした仕上がりの布になるとのことです。薄くてなめらかな布が良いか、ふんわりとした厚手の布が良いのか、それは、着る人の好みと言うことになりますが、和綿は日本の多湿で温暖な気候にあったワタでもあります。

今はTシャツ、ジーンズに代表される季節、地域性を問わない衣料が主流ですが、少し前まで衣料は地域により違うのが普通だったのです。同じ和綿でも産地により違いがあり今でも産地の名で呼ばれる綿は沢山あります「河内木綿」「会津木綿」等など。でも、今も栽培されている品種はわずかです。

新横浜公園生き物観察日記(48)はこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(48)
2008/10/16
 
たこのアシです

★ 写真  タコノアシです。
撮影日時: 平成20年度10月1日
場  所: 北側園地野球場外野側水路

タコノアシ(ユキノシタ科)の冬の姿は以前お知らせしましたが、今、北側園地の水路沿いにタコノアシが生えています。冬の姿とは少し違います。いや、似ているでしょうか。
 
環境省のレッドデータリストには絶滅危惧種?類に入っていますが、神奈川県の生物調査報告書「神奈川県レッドデータ生物調査報告書2006」には入っていません。神奈川県内においては絶滅の危機を脱したと言うことでしょうか。確かに、環境さえ整えてやれば生育はそんなに難しくないようです。難しいことをするわけではありません、アシや背の高い草本を刈り取る程度のことで十分です。
 
新横浜公園北側園地の水路では上流から下流に向かって生息範囲をひろげています。陸の草に押し出されるように水際に生息している姿は「とく俵」に足がかかった相撲取りのごとく押し出されないように必死に足(根)を踏ん張っているように見えます。植物や動物の行動をあまり擬人化してみることは良くないとは思いますが。チョッと力が入ります。

絶滅危惧種と言われると大変なことのように思いますが、少し前なら普通にあったものが気が付けば身近にないことのおかしさ、また、少し気をつければ回復させることができる。そんなことを教えてくれるタコノアシです。


前回の新横浜公園生き物観察日記(47)はこちらをご覧ください
昨年のタコノアシの様子についてはこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(47)
2008/10/13
 
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★ 写真  モンクロシャチホコの幼虫と寄生バチです。
撮影日時: 平成20年度10月3日
場  所: 日産フィールド小机外周緑地

サクラの木に毛虫が付いています。毛虫の季節はとっくに過ぎているはずですが、モンクロシャチホコ(鱗翅目シャチホコガ科)の3回目の発生です。終齢幼虫は5cm位になる大きな毛虫です。サクラの害虫として知られ、人体には無害と言われていますが旺盛な食欲でサクラの枝をあっという間に裸にしてしまいます。発生時期は夏の終わりの頃なのでサクラの成長にそれほどの被害はないと言われていますが、目立ちます。

駆除しようとして近づいたところ、写真の様な光景に出会いました。小さくてよく分かりませんがモンクロシャチホコをハチ?、アブ?、ハエ?の様な昆虫が襲っていました。

飛ぶ姿から見るとハチというよりアブかハエに近いように見えました。鋭い動きでモンクロシャチホコの幼虫に襲いかかり、腹を丸めて針を刺します。幼虫も体を反らし防戦しますが、刺されると丸まってしまいます。でも、木から落ちることはありません。体をそらした姿が舟に似ているので別名フナガタケムシと言われる、そんな姿を目の当たりにしました。どんな虫にも天敵がいるのは知っていましたがモンクロシャチホコの寄生バチを見るのは初めてなので驚きました。

結局、モンクロシャチホコはそのままにしておきました。モンクロシャチホコは終齢になると木を降り、地中で蛹になり年を越します。この幼虫たちはうまく年を越せるのでしょうか。


新横浜公園生き物観察日記(46)はこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(46)
2008/10/11
 
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★ 写真  トノサマバッタです。
撮影日時: 平成20年度10月1日
場  所: 北側園地の園路

御存知、草地を代表する昆虫。トノサマバッタ(バッタ目バッタ科)です。バッタと呼ばれる虫には数種類あり、キリギリスやイナゴもバッタと呼ばれます。

トノサマバッタはバッタの中では大型の部類に入り、体色は緑色と褐色の2タイプがあります。草原に生息しイネ科の植物を食べます。このあたりには新横浜公園北側園地だけでなく鶴見川の堤防や河川敷にオギやアシの大きな群落がありバッタには住みやすい環境があると言うことでしょうか。大きくて飛翔力もあり、昔はどこでも見ることが出来たバッタです。今は草ッ原も少なくなり生息場所の減少によりバッタの数も減ってしまったのは残念です。

話は変わりますが、この時期バッタが草原ではなくアスファルトの園路で日向ぼっこをしている姿をよく見かけます。気温が下がったせいでしょうか。こんな姿を見ると、来生たかおの「夢の途中」薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」の主題歌と言った方が分かるでしょうか。♪都会は秒刻みのあわただしさ 恋もコンクリート籠の中? の歌詞を思い出します。最もこのトノサマバッタの場合はコンクリートではなくアスファルトジャングルかもしれませんが。お粗末。

前回の新横浜公園生き物観察日記(45)はこちらをご覧下さい

新横浜公園生き物観察日記(45)
2008/09/28
 
稲です

実りの秋です。北側園地のイネも穂が出揃ってきました。

御存知のように米は3大穀物のひとつでアジアモンスーン地帯を代表する穀物です。他の2種小麦、トウモロコシと比べても栄養バランスがよく、カロリーが高く、保存が利き最小の加工で食べられる理想の食品なのです。米と言えば魚沼産コシヒカリに代表される、地域ブランド米が有名ですが、少し前までは各県にある農事試験場がその地域に合った品種を作り、地域の奨励品種として栽培されるのが一般的でした。でも、今では食味がよいとのことで「コシヒカリ」等のブランド米の栽培面積が広がっています。収量よりも味。時代と言えばそうですが、贅沢とも思います。いい時代です。

でも、北側園地に育っているイネはブランドとは無縁の無名品種です。無名と言うより改良途上といったほうが良いでしょうか。出自は静岡県産、インディカ系、立性、長かん糯(モチ)です。今のイネはイネの倒伏を防ぐために背丈が低く改良されており、それはそれで良いのですが、縄をなったり、むしろを編んだりするわら細工には向きません。そこで、丈の長いイネを探したらこの品種に出会ったと言うわけです。

近所の田んぼはそろそろ黄色く実ってきましたが、北側園地の田んぼはまだ青々しています。今年は台風の来襲もなく、8月の天気もよかったので倒伏の心配もなくすくすくと育っています。どんな実りになるのか楽しみです。

前回の新横浜生き物観察日記(44)はこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(44)
2008/09/13
 
ヤマボウシの実です

季節の変わり目で寒暖の差の激しい日々が続きます。でも、暑さはありますが8月中旬ほどのものではありません。新横浜公園の木々もなんとなく秋の気配です。葉につやがなくなってきました。その中にオレンジ色のゴルフボールのような実を付けている木があります。ヤマボウシ(ミズキ科ヤマボウシ属)です。5月に白い花を咲かせていたあのヤマボウシです。ゴルフボールほどの大きさはありませんが、果実表面のざらざらした感じは「ライチ」にも似ています。実りの秋です。でも、チョッと早いと思いませんか、秋の味覚の代表、栗や柿はまだまだ木の上で小さくなっているのに。

前にも言いましたが、この実は食べることが出来ます。そこで、食べてみました。味、食感は「熟柿」です。小さいので食べ応えはありませんが、種の周りのゼリー質の、なんと言うのでしょうか、その感じもそっくりです。もう少し酸味があれば人気が出るのにと思います。でも、ヤマボウシの実を食べたことのある人って少ないのではないでしょうか。里山に行ってもそんなにある木ではありませんが、この時期は端境期で食べられる野の果実は少ないので、野遊びをする子供たちには人気があったかもしれません。
この実が食べられることを教えてくれたのは東京育ちの人でしたが。

前回の新横浜公園生き物観察日記(43)はこちらをご覧下さい

新横浜公園生き物観察日記(43)
2008/09/11
 
入道雲(積乱雲)です

★ 写真  入道雲(積乱雲)です。
撮影日時: 平成20年度8月27日
場  所: 新横浜公園北側園地、野球場外野から

入道雲が出ています。スタジアムに覆いかぶさって来そうな雲です。入道雲と言えば子供心をときめかす夏休みの雲です。夏休みも終わりの頃に出てきました。積乱雲とも言われ雷や夕立をもたらす雲でもあります。最近の夕立は狭い範囲に短時間で多量の雨を降らす集中豪雨型で「ゲリラ豪雨」の別称で呼ばれていますから穏やかではありません。「本降りに なって出て行く 雨宿り」この川柳、誰の作か忘れましたが、そのようなのどかな雨ではありません。

でも、夕立や豪雨は今に始まったことではなく、昔の人も豪雨には畏怖の念をいだいており俵屋宗達の「風神雷神図」などはその良い例ではないでしょうか。でも、風神雷神図に描かれている神様は怖そうですが、チョッとユーモラスな印象も与えます。♪カミナリゴロちゃんドンドコドン? そんな歌ありませんでしたっけ。神様だといっても怖いだけでは人気が出ないのは、今も昔も変わりません。それに、大風、雷は恐れられていますが大雨についてはそれほどの恐れはないようです。害より益の多い大地を潤す恵みの雨です。
確かに、夕立の後の、埃を洗い流し、さっぱりした空気と風鈴を鳴らす涼風は暑さに弱った体には有難いものです。エアコンの効いた部屋にいるとそんなことは忘れてしまいますが、人間のおこないが神様の怒りに触れないように。くわばら くわばら。

前回の新横浜公園生き物観察日記(42)はこちらをご覧ください。

新横浜公園生き物観察日記(42)
2008/09/08
 
アオコ(青粉)です。手前の水草はヒシです

★ 写真  アオコ(青粉)です。手前の水草はヒシです。
撮影日時: 平成20年度8月25日
場  所: 新横浜公園北側園地、投てき場下流側水路

気温も下がり、水辺の風情に秋の気配を感じる季節になりましたが、この一角だけは真夏の景色です。アオコは御存知のように青緑色の藍藻プランクトンのことで、池の富栄養化の指標でもあります。普通にアオコ(青粉)と言いますが、色には赤、青、緑と様々なものがあり、黒色に近いものもあるそうですから、絵の具のパレットのようです。
確かに、水面一面をペンキを流したように染める事態はただ事ではありませんが、新横浜公園の池ではそんな姿を見ることはありません。最初は青緑色の落ち葉が浮いているように見えますが、棒で引き寄せようとすると砕けて消えてしまいます。雨が降ると雨粒にたたかれて霧散しますが、雨が上がると、また、水面に浮いてきて風に吹き寄せられて写真のような光景となります。

20年くらい前の話ですが、霞ヶ浦や琵琶湖でアオコが発生し、養魚場の鯉が酸欠で死んだり、水道水にカビ臭が付いたりと騒ぎになったことがありますが、今はそんな話しも聞かなくなりました。新横浜公園の池の水は雨水と鶴見川の水ですが、鶴見川の水もずいぶんきれいになりました。下水道の普及や水の浄化技術の向上もあるのでしょうが、市民の河川や水質汚濁に対しての関心の高さも大きく影響しているように思います。何時の日か新横浜公園の池で子供が泳いでいる姿を見たいと思います。

新横浜公園生き物観察日記(41)はこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(41)
2008/09/05
 

ヒメホコリタケ(ホコリタケ科ホコリタケ属)   オキナタケ(オキナタケ科オキナタケ属)   コガサタケ(オキナタケ科コガサタケ属)
ヒメホコリタケ                 オキナタケ                 コガサタケ

★ 写真  キノコです。芝生の中に生えていました。
撮影日時: 平成20年度8月28日
場  所: 新横浜公園北側園地、テニスコート横

北側園地の芝生の中にキノコが生えていました。暑い日が続き、その後気温が下がったと思ったら断続的な集中豪雨。キノコが発生するには良い条件がそろったのでしょうか。刈りそろえられた芝生(野芝)の中にメルヘンの世界が広がります。

これらのキノコは枯草などの有機物に寄生し分解を手助けします。芝刈り後の残滓が残っているということですから芝生管理上は好ましくないということになりますが、雨後の早朝に青い芝生の中に白い丸いものが群生している姿はなかなかのものです。でも、ここは白雪姫や小人のお家ではありません。朝のうちはいいのですが陽が高くなり気温が上がり始めると色も変わり、形も萎れて消えてしまいます。

この3種、食用には向かないようですが、ヒメホコリタケの仲間、ホコリタケは食用になり、アメリカでは安全な4種の野生キノコのひとつだそうで、味も良いそうです。鳥取県立三瓶自然館のホームページの受け売りですが。そう言えば形や色がマッシュルームに似ていなくもない。でも、新横浜公園に生えているのはヒメホコリタケであって、ホコリタケではありません、念のため。

前回の新横浜公園生き物観察日記はこちらをご覧ください

新横浜公園生き物観察日記(40)
2008/08/28
 

チョウトンボ      チョウトンボ
新横浜公園で飛んでいたチョウトンボです。       http://www.jomon.ne.jpより転載させていただきました
                                   こちらのチョウトンボは新横浜公園のではありません                             
★ 写真  チョウトンボ(トンボ目トンボ科)です。
撮影日時: 平成20年度8月18日午後3時頃
場  所: 新横浜公園北側園地

北側園地のアシ原の上をひらひらと飛んでいるものがいます。遠目には黒い小さなアゲハチョウが飛んでいるように見えます。不思議に思って近づくと、横一線に飛び去って、視界から消えます。しばらく待つと、アシ原からふわりと姿を現します。チョウトンボです。横浜にいるトンボでは珍しい方ではないでしょうか。

でも、以前、スタジアムが出来たころ、新横浜公園の工事予定地の池にチョウトンボが発生したことが新聞記事になっています。当時はちょっとした事件だったのです。
新横浜の臼井義幸さんの著書「新横浜鳥物語」にその時の発生地とチョウトンボの写真が載っており、新横浜公園の現在の姿とは違う風景を見ることが出来ます。この本の発行は2001年5月ですから、それほど昔ではありませんが、今の北側園地の姿からは想像もできません。

飛んでいるチョウトンボは1匹ですから、この場所で羽化したものか、どこからか風に飛ばされてきたものか分かりません、鶴見区の県立三ッ池公園や二つ池にもいますからそちらから来た可能性はありそうですが、新横浜公園の名物になってほしいと思います。でも、1匹とは淋しいですね。

新横浜公園生き物観察日記(39)はこちらをご覧下さい

新横浜公園生き物観察日記(39)
2008/08/23
 
シンテッポウユリ(新鉄砲百合)

★ 写真  シンテッポウユリ(新鉄砲百合)です。
撮影日時: 平成20年度8月13日
場  所: 新横浜公園レストハウス横の植栽地

植栽地の花達も連日の暑さでゲンナリしています。でも、その中にすくっと背を伸ばし白い花を咲かせているユリがあります。シンテッポウユリ(ユリ科、多年草)です。最近、道路の分離帯や造成地でよく見かけるユリです。植えたはずもないのに、他の植物が敬遠するようなところに涼しい顔で育っています。

でも、何が「新」なのでしょうか。テッポウユリはお馴染みの白いユリですが、これにタカサゴユリを交配し作った新品種なのでシンテッポウユリなのだそうですが、「新」と名が付くだけでこんなに丈夫になるものなのでしょうか。タカサゴユリは台湾を原産地とするユリで、これも丈夫なユリで荒地のようなところを好んで分布を広げている帰化植物です。ひょっとしたら、タカサゴユリかもしれませんが、どちらにしても近縁種なので、シンテッポウユリとしておきます。

シンテッポウユリは切花として人気が高く、神戸市北区淡河(おうご)町は有数の生産地だそうです。淡河町での栽培は50年代から始まり、オーゴの名の付いたオリジナル品種を持っているとのことで年間170万本もの出荷数を誇るとのことです。仏壇を飾る仏花として人気があり、出荷もお盆のこの時期がピークだそうです。そう言えばキリスト教でも白ユリは聖なるものの象徴で「白百合」の花言葉は「純潔」です。

前回の新横浜公園生き物観察日記(38)はこちらをご覧下さい

新横浜公園生き物観察日記(38)
2008/08/22
 
ワタの花(それも日本の綿)です

★ 写真  ワタの花(それも日本の綿)です。
撮影日時: 平成20年度8月11日
場  所: 新横浜公園北側園地

北側園地にワタが育っています。6月はじめに播いたものです。別に矮性種や盆栽仕立てしたつもりはありませんが大きくなりません。高さ30cmくらいで花が咲きました。本来なら1mくらいには育つはずですが、7月の渇水が効いたのか育ちが良くありません。ワタが育つには高い気温と、豊富な水が必要で、アメリカのコットンベルトと言われる地域(ノースカロライナ州からカリフォルニア州あたりまで)はこの条件にあっているということでしょうか。

ワタは木綿の材料で馴染みのあるものですが、今、見かけることも珍しくなりました。ドライフラワーの材料か、園芸店の種の棚で見かけるくらいでしょうか。アオイ科の一年草です。オクラも同じ仲間です。そう言えば花が良く似ています。

ワタの種類は遺伝子組み換え種も含め沢山ありますが、大きく分類すると4系統になり、日本の「和綿」はインドを原産地とするアジア綿ということになります。日本の食料自給率の低さがよく話題になりますが、衣料の自給率はもっと低く、木綿の自給率は0に等しいとのことです。私たちが着ているTシャツも少し前はアメリカ産、現在では中国産が主流です。

そう言えばアメリカンフットボールの試合にはその地域の特産物の名前をつけたものがあり「コットンボール」と言うのもありました。因みに日本選手権は「ライスボール」です。納得です。

前回の新横浜公園生き物観察日記(37)はこちらをご覧下さい

新横浜公園生き物観察日記(37)
2008/08/21
 
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★ 写真  イトトンボ(アジアイトトンボの連結)です。
撮影日時: 平成20年度8月4日
場  所: 新横浜公園北側園地

アジアイトトンボはイトトンボの一種です。体長2?3cmの小さなトンボです。でも、「アオモンイトトンボ」というよく似たイトトンボもいますからややこしい。イト(糸)と名が付くぐらいですから胴体の細いトンボです。北側園地の水辺で沢山飛んでいます。小さなトンボで水辺を離れることはありません。飛ぶ姿もゆっくりで勝ち虫といわれ戦国武将の兜や武具を飾ったトンボとも思えません。それもそのはず、イトトンボはトンボ目イトトンボ亜目で、シオカラトンボのようなトンボ亜目とは分類上は違うことになります。そう言われれば、見た目も武家と言うより公家のようです。争いを好まない雅な性格と言いたいところですが、基本的には肉食ですから、性格が穏やかかどうかは分かりません。でも、連結時にはハートの形になりますから無骨なトンボではありません。

新横浜公園に生息するトンボは2006年の調査で17種が確認されています。アジアイトトンボもその中に入っています。珍しい種類と言うわけではありませんが、このような昆虫が沢山いることも水辺の環境では大切なことなのです。

前回の新横浜公園生き物観察日記(36)はこちらをご覧下さい

新横浜公園生き物観察日記(36)
2008/07/30
 
死屍累々と言ったところ

★ 写真  ミミズの死骸です。
撮影日時: 平成20年度7月24日
場  所: 新横浜公園北側園地、テニスコート側の園路

「言うまいと 思えど今日の 暑さかな」と言う句がありますが、暑い日が続きます。一雨ほしいところですが、空模様にそんな気配はありません。

でも、暑くて困っているのは人間だけではありません。ミミズはもっと悲惨です。暑さから逃れようとしてかまわず進んだらアスファルト舗装の上ということで、写真のような惨状となりました。

ミミズは暑さに弱いのです。と思っていましたがミミズの大量死については諸説あり暑さから逃れるための「気温と地温の温度差」説だけでなく「炭酸ガスによる酸欠」説、「雨水による溺死」説、寄生バエ説等々あり、どれが本当か良く分かりません。と言うより、どれも皆正しくてその複合作用により大量死が生まれる。それで私は納得しましたが、でもこんなに多くのミミズがいたのは驚きです。箒で掃き集めるとカサカサと乾いた音がし、地面の下にいたものと同じとも思えません。

こんなに大量にあると、つい、何かに使えないか考えます。たしか、漢方では解熱剤として使われるとの話を聞いたことがあるのですが、地球温暖化防止の役には立たないのでしょうか。

前回の新横浜公園生き物観察日記(35)はこちらをご覧下さい

新横浜公園生き物観察日記(35)
2008/07/26
 
カワラナデシコです

★ 写真  カワラナデシコです。
撮影日時: 平成20年度7月17日
場  所: 新横浜公園北側園地

北側園地でカワラナデシコ(ナデシコ科・多年草)が咲いています。このカワラナデシコは去年からここに一株あったものです。大きくなりました。誰に聞いても植えた記憶がないとのことなのでどこから来たのか不思議です。工事の時にどこからか紛れ込んだのか、ずーと前から鶴見川流域にあったものがここを安住の地と定めてくれたのか、後者なら何も言うことはありませんが。

カワラナデシコは御存知のように「秋の七草」のひとつです。その名のとおり河原などの氾濫原や日当たりの良い草地を好む花で、草原も遷移が進み日陰が多くなると絶えてしまいます。別名ヤマトナデシコ(大和撫子)とも呼ばれ、この名は日本女性の総称でもあります。同じ科でもセキチクは中国産、カーネーションは諸説ありますがヨーロッパ産(地中海沿岸)です。なんとなく納得できます。

カワラナデシコが風にそよぐ姿はなよなよとして頼り無さげに見えますが、日当たりが良いところを好むだけあって茎も葉もしっかりしています。園芸店で山野草の棚にある姿とは違い、ワイルドな感じで、足腰がっちりしています。
 
そう言えば、日本代表の女子サッカーチームの愛称も撫子で「ナデシコ・ジャパン」と言われます。もうじき「北京オリンピック」の季節ですね。がんばれ 日本!!

前回の新横浜公園生き物観察日記(34)はこちらをご覧下さい

新横浜公園生き物観察日記(34)
2008/07/23
 
ニイニイゼミです

★ 写真  ニイニイゼミです。
撮影日時: 平成20年度7月17日
場  所: 新横浜公園北側園地

暑い日が続きます。ニイニイゼミ(カメムシ目(半翅目)セミ科)が新横浜公園北側園地のサクラの木で鳴いていました。まだ、梅雨も明けていないのに。

セミと言うと真夏の印象が強いのですが、ニイニイゼミは他のセミに先駆けて発生し、梅雨明け前からジーと鳴いているのだそうです(ハルゼミは除く)。体は灰褐色で翅のまだら模様は保護色となって、よく見ないと樹皮と見分けが付きません。その割に動きが鈍く、子供でも簡単に取れるセミです。採るのが楽なのは良いのですが、子供もすぐに飽きてしまい、そのうち見向きもされなくなります。そんなニイニイゼミでも栄枯盛衰はあり、住宅開発で郊外の山林が造成された頃にはその数を減らしています。

俳人の松尾芭蕉が山形県の山寺、立石寺で詠んだ「閑かさや 岩にしみいる 蝉の声」の蝉はどの種類であったのか、単数か複数かの論争が昭和のはじめ、歌人の斉藤茂吉と独文学者小宮豊隆の間で行われ、結論から言うと「ニイニイゼミ」であったという話を聞いたことがあります。現地まで行って確認したそうですから、たいしたものです。あの、ジーという音を芭蕉も聞いたと言うことでしょうか。

前回の新横浜公園生き物観察日記(33)はこちらをご覧下さい

新横浜公園生き物観察日記(33)
2008/07/11
 

クリンソウです     植栽地です
クリンソウ                              植栽地        

★ 写真  クリンソウが蕾をつけました。
撮影日時: 平成20年度7月4日
場  所: 新横浜公園日産スタジアム西側堤防の下

うれしい知らせです。ただ、人に知らせるには早過ぎるとの話はありますが。日産スタジアムでクリンソウが育っています。そして、そのひとつが蕾をつけました。

クリンソウはご存知のようにサクラソウ科の多年草で、学名も「Purimula japonica」。ジャポニカの名を持っていますから日本の固有種です。日本で自生するサクラソウでは大型の方になります。でも、横浜に自生していたとの記録はありません。

では、どこから来たのかと言いますと、群馬県利根郡昭和村から来ました。昭和村には横浜市の野外活動センター、正式には横浜市青少年自然の家赤城林間学園があり、その縁で昭和村教育委員会の教育長角田さんからいただいたものです。

どちらかと言うと冷たい気候を好むと聞いていたので、うまく育つか心配していましたが、角田教育長の適切なアドバイスにより、ここまでは順調?に育っています。ただ、横浜の夏の暑さを乗り越えられるか、これからが勝負です。

角田さんは昭和村の教育長さんですが、尾瀬「♪夏がくれば思い出す?」のあの尾瀬です、の保護活動にも造詣が深く、写真の腕前もたいしたものです。横浜市体育協会のホームページ「ハマスポどっとコム」の「山小屋主人のひとり言」にも寄稿されています。そこに掲載されている写真は角田さんが撮られたものです。横浜では見られない植物や風景を見ることが出来ます。一度のぞいて見てはいかがでしょうか。

そのうちに昭和村に負けないクリンソウ畑を作ってみたいと思います。
無理だとは思いますが。

前回の新横浜生き物観察日記(32)はこちらをご覧下さい

新横浜公園生き物観察日記(32)
2008/07/09
 

2羽の姿が見えます     親鳥です
↑2羽の姿が見えます                       ↑親鳥です。

★ 写真  日産スタジアム生まれのチョウゲンボウです。
撮影日時: 平成20年度6月28日(撮影者は残念ながら私ではありません)
場  所: 新横浜公園日産スタジアム

またまたチョウゲンボウです。立派な競技場は全国に沢山ありますが、チョウゲンボウが営巣しているスタジアムはそんなにはありません。

小型とはいえ猛禽類です。小型のハヤブサですが、隼はスピード、機動性のよさの代名詞です。戦闘機の愛称としても良く使われます。有名なところでは旧日本陸軍の一式戦闘機の愛称が「隼」。海軍の零式戦闘機と並び証される傑作機です。最近では米軍のF16戦闘機が隼(ファルコン)の愛称を持っていますが、こちらはファイティング・ファルコンですから強そうです。

ところが、スタジアムのチョウゲンボウの1羽は巣立ち直後にカラスに襲われ、現在野毛山動物園で療養中です。早く元気になって大空を飛び回れる日の来ることを祈っています。何羽の雛が巣立ったのか分かりませんが、生き物と人間が共存できるスタジアムなんて素敵だと思います。
こう言うのを「エコスタジアム」と言うのではないでしょうか。

カラスとは共存しないのかとの突っ込みは今回は受付ません。却下します!!

新横浜公園生き物観察日記(31)はこちらをご覧下さい

新横浜公園生き物観察日記(31)
2008/07/03
 
今年も咲きました。モクゲンジの花です。去年と同じ角度から。

★ 写真  今年も咲きました。モクゲンジの花です。去年と同じ角度から。
撮影日時: 平成20年6月23日
場  所: 新横浜公園日東ゲート橋労災病院側

モクゲンジ(ムクロジ科)の花が咲いています。去年の今頃にも黄色い花を咲かせていました。月日の経つのは早いもので、この観察日記の1号がモクゲンジの花でしたからよけいに懐かしく感じます。もう一年経ちました。

「年年歳歳花相似たり 歳々年々人同じからず」中国唐代の詩人「劉廷芝」の「代悲白頭翁」の漢詩です。洛陽城東桃李花で始まるこの漢詩は良く知られ、特に、年年歳歳のフレーズはよく耳にしますが、作者の劉廷芝も早世しているのでよけい身につまされるのでしょうか。でも、この季節、モクゲンジの花では人の世のうつろいやすさのイメージに合いません。雨の多いこの季節、若葉をぬらす雨、草木の生長を促す命の水です。草木は勢いを得て伸びていきます。モクゲンジの黄色も木々の緑に映えてこそです。

新横浜公園のモクゲンジも1年分大きくなったでしょうか。

前回の新横浜公園生き物観察日記(30)はこちらをご覧下さい

新横浜公園生き物観察日記(30)
2008/06/30
 

新横浜公園のヘイケボタルです     新横浜公園のヘイケボタルです

★ 写真  新横浜公園のヘイケボタルです。
撮影日時: 平成20年6月25日
場  所: 新横浜公園北側園地保護区

ヘイケボタルです。スタジアムが出来る前には沢山いたとの話を聞きますが、今は市内でも珍しい方になっていました。

このホタルは今年の3月に「横浜ほたるの会」が環境イベントで放流したものです。このホタルの出自は鶴見川流域、青葉区鉄町桐蔭学園の敷地内の湿地です。桐蔭学園の先生と生徒さんが大切に育ててきたホタルです。故郷を離れて新横浜公園に転居しました。末永くここにいてくれるとうれしいのですが。

写真のホタルは200頭の終齢幼虫を放流した中の最初の1頭です、と、思います。ヘイケボタルのシーズンはこれからですから沢山出てほしいと思います。

ヘイケボタルはゲンジボタルに比べ体も小さく、光も弱く、また、発生場所がフェンスで囲まれた湿地、草むらですから見栄えはしませんが新横浜公園産のヘイケボタルの誕生です。乾杯。

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新横浜公園生き物観察日記(28)
2008/06/19
 
ハナショウブ(アヤメ科)です。


★ 写真  ハナショウブ(アヤメ科)です。葦を刈るとこのとおり。
撮影日時: 平成20年度6月6日
場  所: 新横浜公園中央広場水路際

新横浜公園は遊水地でもあり、水には縁の深い公園なのにハナショウブがないのは不思議だと思っていたらありました。葦の中で咲いていました。紫や白でハナショウブと言うよりノハナショウブのようなすらりとした姿です。

花菖蒲と言えば6月5日の日経新聞朝刊の「春秋」と言うコラムにハナショウブの「花」ではなく「葉」の興味深い話が出ていました。ハナショウブの葉は、と言うよりアヤメ属の植物の葉には表裏がなく裏だけで出来ているとの話です。どんな話かと言うと岩波書店の月間冊子「図書」の6月号に塚谷裕一・東大教授が「裏しかない葉と広重の錦絵」の題で書かれた随筆の話です。植物の葉の表裏はどうして決まるか。
私は葉は太陽の光を受ける方が表でその反対側が裏と思っていましたが、事はそんなに簡単ではないようです。

葉の表裏は、葉の葉脈を中心とし裏に師管(光合成で出来た養分を根に運ぶ管)、表に道管(根から吸い上げた水を運ぶ管)があるのでこれで表裏を判断する。でも、アヤメ属の葉には両面に師管がある。そうすると両面が裏と言うことになる。このような葉を「単面葉」と言うそうですが、このような葉ができるのは植物でも「単子葉植物」に限られるようで、ではなぜそうなるかは、茎に巻きつくような葉の付き方によるとのことです。

ハナショウブは子供の頃から見ていて、葉のことなど何の疑問にも思わなかったのに、改めて説明を読むと、ただただ感心するばかりです。今は、葉っぱのでき方も遺伝子レベルで説明される時代なのだと知りました。

前回の新横浜公園生き物観察日記(27)はこちらをご覧下さい

新横浜公園生き物観察日記(27)
2008/06/09
 
ヤマボウシの花です

★ 写真  ヤマボウシの花です。
撮影日時: 平成20年度5月28日
場  所: 新横浜公園中央広場水路側

 ヤマボウシ(ミズキ科ヤマボウシ属)が白い花を咲かせています。でもこの白い4枚の花びらは花弁ではありません。ご存知と思いますが。花は淡黄色で中心に小さく球状に集まっています。花と見えるのは「総包片」、総包とは植物用語集によると「花序の基部について花を保護している多数の小さな葉のようなものの集合体」となりますが、簡単に言うと、つぼみを包んでいた葉っぱのことです。この大きな白い葉っぱ(総包片)が花に見せていると言うことになります。
近縁種にハナミズキがあります。アメリカヤマボウシと言ったほうが分かるでしょうか。これも良く知られた話ですが、1915年(大正5年)に当時の東京市長尾崎行雄氏がワシントン市に送った桜への返礼として贈られたものです。
アメリカヤマボウシはソメイヨシノと同じに葉が出る前に花が咲きます。樹木全体がピンクの花で覆われ、とても派手です。ところが、ヤマボウシは葉の後に花が咲き、4弁の白い葉をもってしても意外と目立ちません。また、花の時期が雨の多い頃に当たるせいか、人目もあまり引きません。でも、その控えめなところが日本人の好みに合うのか茶花としても人気があります。桜で言うと山桜でしょうか。
 また、果実は食べることが出来ます。マンゴーのような甘さと例えられますが、食べた感じでは熟し柿の様な食感で酸味のない甘さだったように記憶しています。秋になったら確かめてみたいと思います。

前回の新横浜公園生き物観察日記(26)はこちらをご覧下さい

新横浜公園生き物観察日記(26)
2008/06/09
 
オニノヤガラ(ラン科)です
↓根はこんな感じです
根はこんな感じです

★ 写真  オニノヤガラ(ラン科)です。
撮影日時: 平成20年度6月2日
場  所: 新横浜公園日産小机フィールド西側の土手

 2週間前に草刈をした西側の土手に見慣れない草が生えています。いや、群生しています。オニノヤガラと言うラン科の植物です。アカツメグサの株から生えていたのでナンバンギセルのような寄生植物かと思いましたが、違いました。図鑑によると「ラン科オニノヤガラ属」無葉で黄褐色の腐生蘭、根茎から茎を直立して40?100cm位になるとのこと。抜いてみると確かに球根がありました。でも、新横浜公園のオニノヤガラの高さは30cm位しかなく、色も地味です。大きな土筆のように見えます。同じラン科でもネジバナの華やかさ?はありません。
 生育状況は地味ですが、漢方薬として鎮痛、鎮静の薬効があると書いてあります。根塊を水洗いし、輪切りにし乾燥させ、煎じて服用するとのことです。普段は目立たないが実力はある。なんか、とってもよさそうな人ではありませんか。いや植物ですか。

前回の新横浜公園生き物観察日記(25)はこちらをご覧下さい


新横浜公園生き物観察日記(25)
2008/06/04
 
オオヨシキリが北側園地のアシ原で鳴いています

★ 写真  オオヨシキリが北側園地のアシ原で鳴いています。
撮影日時: 平成20年度5月30日
場  所: 新横浜公園北側園地

オオヨシキリ(スズメ目ウグイス科)が鳴いています。枯れた葦の先で大きな声で鳴いています。繁殖のために自分の縄張りを主張しているのだそうですが、ウグイスと同じ科とは思えないようなだみ声です。繁殖のために飛来する夏鳥で、俳句の夏の季語でもあります。枯れた葦に止まっている印象が強く冬鳥かと思っていました。

でも、縄張り争いで、大声で鳴きあうオオヨシキリの声は遠くまで届きます。病身の平手造酒(ひらてみき)にはこたえたかも知れません。

三波春夫の歌った「大利根無情」♪利根の川風 よしきりの 声がつめたく身をせめる?、は江戸時代のやくざの縄張り争いの話「天保水滸伝」のいち情景です。今は講談、浪曲なぞ聞くこともありませんが、大親分笹川繁造と飯岡助五郎が大利根河原で決闘し、剣豪「平手造酒」は笹川繁造の用心棒ですが、病気持で助太刀に行く途中で倒れてしまう。そんな筋書きだったように思います。映画「座頭市」シリーズでは、勝新太郎の座頭市に斬られてしまいますが。

オオヨシキリの縄張り争いもかなり激しく大立ち回りもあるようですが、血を流すことはないようです。鳴いて血を吐くのはホトトギスですよね。

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新横浜公園生き物観察日記(24)
2008/06/02
 
スタジアムの庇を飛ぶチョウゲンボウです。

★ 写真  スタジアムの庇を飛ぶチョウゲンボウです。
撮影日時: 平成20年度5月15日
場  所: 新横浜公園、スタジアム北西側

日産スタジアムではチョウゲンボウは珍しい鳥ではありませんが、スタジアムを背景に飛ぶチョウゲンボウの勇姿はなかなかのものです。新横浜公園を横断する道路・新横浜元石川線の高架下や北側園地で良く見かける鳥です。
ハトほどの大きさですが、れっきとした猛禽類、タカ目ハヤブサ科で小型のはやぶさに分類されるそうです。
生息範囲もユーラシア、アフリカ大陸ですからスケールは大きい。日本では地域によって冬鳥と留鳥に分かれるそうです。スタジアムにいるのは留鳥と言うことでしょうか。
ホバリングが得意で上空から小型のネズミやカエル、バッタなどを狩ります。食物連鎖の頂点にいます。でもその割には食べ物は質素です。カエル、バッタを餌にするとは、ちょっと情けない。お腹がすけばうまいまずいは言っていられない。その気持ちは分かりますが。
普通、野鳥は居を構えません。巣を作るのは子育てのときだけです。と言うことは、スタジアムの北西の角、コンクリートの梁の隙間に出入りしているチョウゲンボウは子育てをしていると言うことでしょうか。場所柄、確認できないのが残念ですが、もし、子育てをしているのなら早く若鳥の姿を見てみたいものです。

猛禽類の営巣しているスタジアムなんて、カッコいいと思います。

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新横浜公園生き物観察日記(23)
2008/06/01
 
アメリカフウロが咲いています

★ 写真  アメリカフウロ(フウロソウ科)が咲いています。
撮影日時: 平成20年度5月16日
場  所: 新横浜公園北側園地

「アメリカフウロ」その名のとおりアメリカ産の帰化植物です。北側園地の園路沿いに沢山生えています。ゲンノショウコかと思っていましたが間違いでした。ゲンノショウコなら漢方の胃腸薬で有名ですが、アメリカフウロにその薬効はあるのでしょうか。
  
日本人がゲンノショウコを薬草として大切にしているように、かの地でもネイテイブアメリカンの人々はアメリカフウロを神聖なものとして大切にしているとの話が他のホームページに載っていました。残念ながら薬効のことは出ていませんでしたが、こうなったら自分で試してみるしかありません。二日酔いの朝にでも試して見ますか。

フウロソウの仲間は沢山ありますが、私たちに馴染みのある植物と言えばゼラニュームではないでしょうか。園芸種として改良され窓辺を飾る代表的な花です。花色も派手で、乾燥に強い夏の花です。そう言えば葉の感じが似ていませんか。細毛に覆われ少し厚みのある葉はゼラニュームそのものです。
アメリカフウロは乾燥に強く荒地でも生育できるとのことですが、まさか、北側園地がアメリカ西部の荒野と同じと言う事でしょうか。

それって褒め言葉?

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新横浜公園生き物観察日記(22)
2008/05/31
 
アカバナユウゲショウ

★ 写真  アカバナユウゲショウ(アカバナ科マツヨイグサ属)が咲いています。
撮影日時: 平成20年度5月16日
場  所: 新横浜公園北側園地

アカバナユウゲショウ(アカバナ科マツヨイグサ属、多年草)が淡紅色の花を咲かせています。「赤花夕化粧」なんて、なんと風雅な名前でしょう。名前からのイメージだと純国産かと思いきや南アメリカ産の帰化植物だそうです。そう言われれば、茎もピンと伸びているし、花も大きく派手です。

この時期北側園地は菜の花の黄色から、クローバーやハルジオンorヒメジョオンの白い色に変わり、赤い花は遠目にも目立ちます。

アカバナユウゲショウはマツヨイグサの仲間で、マツヨイグサはその名のとおり、夕方から花を咲かせます。ユウゲショウの名もそれに由来します。ところが、日本ではユウゲショウはオシロイバナの別名でもあり、それと混同しないためにアカバナを前に付けたのでアカバナユウゲショウとなったとのことです。そう言われれば北側園地のアカバナユウゲショウは昼間から花を咲かしています。ひょっとしたら新品種かと思いましたが、そうではなくアカバナユウゲショウは昼間から咲く性質を持っているとのことでした。

それと、アカバナなのに白い花もあるようなのでご注意を。

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新横浜公園生き物観察日記(21)
2008/05/21
 
ベニバナトチノキが赤い花を咲かせています

★ 写真  ベニバナトチノキ(トチノキ科)が赤い花を咲かせています。
撮影日時: 平成20年度5月8日
場  所: 新横浜公園東ゲート緑地

 トチノキは大きくなる木です。この時期天狗の団扇(うちわ)のような大きな葉と白い花を咲かせます。でも、今、日産スタジアムで咲いているトチノキは赤い花を咲かせています。この種はベニバナトチノキといって、マロニエ(セイヨウトチノキ)と米国産のアカバナトチノキの交配種です。赤い花の珍しさからか街路樹や公園樹として多く使われています。
 トチノキと言うより「マロニエ」と言った方が馴染みがあるでしょうか。マロニエと言えばフランスのパリ。パリの初夏と言えば自転車競技の「ツール・ド・フランス」。今から十何年前のことでしょうか、NHKのサンデースポーツの番組だったと思いますがツール・ド・フランスを放映していて、その映像に度肝を抜かれたことがあります。自転車競技といえば競輪しか知らなくて、ロードの競技なんか初めてですから、200名、もっとかな?もの選手が一団となってパリ市外を走り抜ける。その迫力に圧倒されたことが思い出されます。空撮の映像では街路樹の枝越しにカラフルなユニホームの一団が見え、その街路樹に白い花が咲いているのを見たような記憶があります。あれはマロニエの花だったのでしょうか。昔のことで定かではありませんが。
 ベニバナトチノキは普及して間がないのでそれほど大きな木を見ることはありません。
 事実、新横浜公園の木もまだ小さく目立ちませんが5年、10年経てば見上げるような姿を見せてくれるでしょう。楽しみです。

前回の新横浜公園生き物観察日記(20)はこちら

新横浜公園生き物観察日記(20)
2008/05/21
 
ヒトツバタゴが白い花を咲かせています

★ 写真  ヒトツバタゴ(モクセイ科)が白い花を咲かせています。
撮影日時: 平成20年度4月28日
場  所: 新横浜公園東ゲート緑地

新横浜公園は以前、田んぼや畑であったものを遊水地兼用の運動公園として整備したものです。ですから、今ある樹木は整備工事で植栽されたものです。工事で植栽される樹木は剪定、病害虫に強く、手入れしやすく、安価なものが好まれます。そうすると、公園に植栽される樹種は限られたものになりがちで新横浜公園の植栽もその例に洩れません。しかし、中には珍しいものもあります。ヒトツバタゴもそのひとつです。ヒトツバタゴの名の由来は、一つ葉のタゴ(トネリコ)からきたもので、トネリコは複葉なのにこの木は単葉だったので「ヒトツバタゴ」になったとのことです。花が咲くその姿は雪が積もっているように見えることから学名:Chionanthus retususも雪(chion)と花(anthos)に由来します。山が緑濃くなるこの時期に白い花を咲かすヒトツバタゴは遠目からも目立ちます。また、この木はその生息分布にも特徴があり、本州中部木曽川流域と対馬に分かれて生息しているので隔離分布と呼ばれます。それにしてもなぜ、公園設計をした人はこの木を選んだのでしょうか。きっと信州あたりの人で、子供の頃、ヒトツバタゴの花を見て育ち、故郷の山が懐かしくなったのかも知れません。
 それと蛇足ですが、環境省のレッドデータブックの絶滅危惧種?類でもあります。

前回の新横浜公園生き物観察日記(19)はこちら

新横浜公園生き物観察日記(19)
2008/04/24
 

大麦です  小麦です

★ 写真  麦の穂が出てきました。左が大麦、右が小麦です。
撮影日時: 平成20年度4月20日
場  所: 新横浜公園北側園地

 去年播いた麦の穂が出てきました。目立ちませんが、れっきとした麦です。ところが、肥料をやらなかったせいでしょうか、茎の伸びがよくありません。これでは麦藁細工の材料としては不足です。
 今回播いた麦の品種名は小麦「農林61号」、大麦「ファイバースノウ」です。これは麦に限らず、最近の栽培植物全般に言えることですが、皆、背丈は低く、小型に改良されているように見受けられます。確かに麦や稲のような植物は背を低くしたほうが重い実を支えるには有利で、また、風での倒伏が少なくなり刈り取りの手間も省けるので農家の人には喜ばれるのでしょうが、吹きわたる風に波打つ麦畑の景色(ゴッホの絵のような、黒澤映画の「夢」に出てきたような)が見られないのは残念です。麦畑と言えばスコットランド民謡「ライ麦畑」を思い出します。詩人ロバート・バーンズの作詞で「♪誰かさんと誰かさんが麦畑?」で知られ、若い男女の逢引(古風だなー)の情景を歌ったものですが、小学生のころは意味も分からず大きな声で歌っていた記憶があります。昔の麦は恋人同士を隠すことが出来るくらい背が高かったと言うことでしょうか。北側園地の麦では、子供のかくれんぼも出来ません。

菜の花です

★ 写真  そろそろ終わりのナタネです。
撮影日時: 平成20年度4月20日
場  所: 新横浜公園北側園地

 ナタネ(菜種)(アブラナ科)は花の時期を過ぎ実りの季節に入っています。この時期、天候不順で雨がよく降ります。この時期の長雨を「菜種梅雨」といいます。生き物を育てる恵みの雨です。
 ナタネはご存知のように油を採る植物で「ナタネ油」でお馴染みですね。
ナノハナには在来種のアブラナ・ナタネと移入種のセイヨウアブラナがあり、俳人・与謝野蕪村が「菜の花や月は東に日は西に」と詠んだ菜の花は日本の在来種で、小学校唱歌、高野辰之作詞の「おぼろ月夜」はセイヨウナタネだとのことです。どちらも春の夕べを詠った歌で、日も長くなり、人の気持ちも穏やかになる、そんな季節にふさわしい花です。ちなみに北側園地に育っているナタネは在来種です。7,8年前に横浜市こども植物園でもらったものですから間違いないと思います。
ナタネの作付面積は減っていますが、最近、石油に代わる燃料として脚光を浴びています。バイオ燃料のひとつです。日本で一番ナタネを育てているところは青森県横浜町で栽培面積はダントツとのこと。同じ「横浜」なので親しみが持てます。横浜町はナノハナだけでなく、北限のホタル(ゲンジボタル)でも有名です。ホタルの光も黄色、ナノハナも黄色ですから相性がいいのでしょう。

新横浜公園生き物観察日記(18)
2008/04/07
 
オオタカの飛翔です

★  写真   オオタカの飛翔です。
撮影日時:  平成20年度3月28日午前11時30分頃
場   所:  新横浜公園北側園地

 新横浜公園でオオタカの飛翔を見ることは珍しいことではありませんが、出会うとなんとなくうれしくなります。ゆったりとした羽の動きと、滑空する姿には王者の風格があります。オオタカが現れると、なぜかカラスが騒ぎ始め、蚊柱ならぬ「カラス柱」?が立ちオオタカを追ってゆきます。
 中には、勇敢にもオオタカに襲いかかるものもおり、オオタカも幼鳥だと、カラスの迎撃に恐れをなすわけではないでしょうが、追い払われてしまうこともあります。猛禽とは言え数にはかなわない。多勢に無勢と言うところでしょうか。
 春は恋の季節、オオタカとて例外ではありません。ただ、猛禽類の恋の季節は私たちが思うより早く、まだ、寒い2月ころから始まるようです。相手探しやら、新居の手配、オオタカもなかなか大変です。仲人さんは必要ないようですが春、忙しいのは人間だけではありません。新横浜公園に営巣の場所はありませんが、小机城址等の周辺緑地に複数箇所の巣を持ち、年によって使い分けているとのことです。
 人間で言うと、高層ビルの屋上にあるペントハウスの住人と言ったところでしょうか。
 チョッと、うらやましいですね。


スズメノカタビラ(イネ科)

★  写真  スズメノカタビラ(イネ科)です。
撮影日時: 平成20年度4月2日
場   所: 小机フィールド外側の植栽地

 枯れた芝生の中に緑の塊が転々とあり、日々芝生の緑が濃くなっていくように錯覚しますがこれは
芝生の芽吹きではありません。この草は「スズメノカタビラ」と言うイネ科の植物で古い時代に麦の伝播に伴い日本に帰化した畑地雑草と呼ばれる植物です。
 畑地雑草ですが、新横浜公園では芝生雑草として勢力を広げています。この草の困ったところは踏みつけや低い刈り込みにも耐える特性を持っているため、芝生の中でも生育できることです。踏み付けや強い刈り込みにも耐える特性はスポーツターフにはもってこいの特性ですが芝生の生長を阻害するとのことで抜かれてしまいます。
 それにしても不思議な名前です。「スズメ」は誰でも知っている鳥ですが、あまりほめられた名前とも思えません。「カタビラ」は単の着物のことで、巡礼者が羽織る袖のない衣のことを言います、鎖帷子は忍者の着るもの。経帷子(キョウカタビラ)と言えば死装束のことですから、これもあまりありがたい名前とは思えない。でも、スズメの名に付く植物はたくさんあり、同じ様な時期に育つのに「スズメノテッポウ」があります。これもイネ科の植物ですがこちらは畑ではなく水田に生えます。それにしても、帷子、鉄砲とは穏やかではありません。


カラスノエンドウ(マメ科)です

★  写真  カラスノエンドウ(マメ科)です。
撮影日時: 平成20年度4月3日
場   所: 新横浜公園北が側園地

 カラスノエンドウ(マメ科エンドウ属)が花を咲かせ実をつけています。つる植物で赤い花なのですぐ分かります。支えとなるものがあれば何にでも絡み、あっという間に覆ってしまいます。成長の早い植物です。正式な和名は「ヤハズエンドウ」ですがカラスノエンドウの方が良く使われます。名前の由来は実の色にあり、熟すと鞘が黒くなるので「カラス」です。
 マメ科ソラマメ属ですが、実の形やつるで伸びる姿を見ると「ソラマメ属」ではなく「エンドウ属」の方がふさわしいように思いますが、分類上はソラマメ属になります。そう言えば、ソラマメの鞘も熟すと黒くなるのでそんな点も共通しているのでしょうか。
 カラスノエンドウも帰化植物で、原産地はオリエント、地中海地方とのことです。以前は食料用に改良されたこともあるそうですが、今は畑地雑草として生きています。昔は食べられたこともあり、今でも鞘や実を食べることは出来るそうですが、私は食べたことはありません。食べたことはありませんが、鞘を草笛として遊んだ記憶があります。
 カラスノエンドウが勢いよく伸び始めるころには植物だけでなく昆虫の活動も活発になり、つるの先にアブラムシ(ゴキブリではありません念のため)の群生がみられ、それを食べる天敵のナナホシ、ナミテントウムシのかわいい姿を見ることが出来ます。もっとも、それを追い払う蟻の姿もですが。

新横浜公園生き物観察日記(17)
2008/04/03
 
水面を低く飛ぶツバメです。

★ 写真  水面を低く飛ぶツバメです。
撮影日時: 平成20年度3月28日
場  所: 新横浜公園北側園地

 春の兆しには色々なものがあります。ツバメの飛来もそのひとつです。ツバメの飛来がほかの鳥と違うのは、旧知の友達に会えたような気持ちになれるからではないでしょうか。 
 北側園地の水面を低く高く飛ぶツバメは去年の夏、この地で生まれ、寒さを避け南に旅していた鳥のはずです。今年も元気な姿を見せてくれました。
 ツバメは日本の水田耕作(稲作)にうまく適応し、稲につく虫を食べてくれる益鳥として大切にされ、人間に飼育、食料にされなかった稀な鳥です。
 また、飛ぶ姿や、飛翔スピードは多くの日本人の心をとらえ旧国鉄の旗艦列車の名称となり、国鉄がJRになった今も九州新幹線に引き継がれています。もうひとつ、プロ野球チーム、ヤクルトスワローズのスワローズは国鉄スワローズの愛称を引き継いだものです。「燕のような」と言えば軽やかな身のこなし、目にも留まらぬ早業を指し、昔は速さの象徴として汽車や飛行機に鳥の名前が使われましたが、今はもっと早いと言うことで、こだま、ひかり、と無機的な名称になり最後?は人間の思いで「のぞみ」ですから、スピードではかないません。
 ツバメはそんなことを知ってかしらずか、今日も北側園地の空にきれいな軌跡を描いています。

水面の反射でよく見えませんが、メダカの学校です。

★ 写真  水面の反射でよく見えませんが、メダカの学校です。
撮影日時: 平成20年度3月24日
場  所: 新横浜公園北側園地

 水ぬるむ春。春に元気になるのは人間、植物だけではありません。水辺の生き物もにぎやかになります。今、北側園地は工事の真っ最中で水路の水も汲みだされ以前の賑わいはありませんが、それでも小さな水溜りに命のきらめきはあります。
 メダカです。メダカが世間の話題になったのは5,6年前のことでしょうか。環境省の絶滅危惧種?類になり、環境破壊が身近に迫っている危機的な象徴として新聞、マスコミでも取り上げられました。そのことが契機となり、メダカへの関心が高まりメダカの保護や生息地作りが盛んになりました。それまでメダカは「金魚屋さん」(今、こんな名前を知っている人も少なくなったとおもいますが)で売っている「ヒメダカ」と田んぼの水路にいる「クロメダカ」の2種類しかいないと思っていました。新横浜公園の水路にも沢山のメダカがいます。新横浜公園のメダカはどこから来たのでしょうか? 工事の担当者に聞いても放流はしていないとのことなので不思議です。工事を潜り抜け生き延びたのか、誰かが放流したのか分かりませんが、ここで代を重ねてくれれば在来と呼ばれる日も近いと思います。メダカの研究も進んでいて系統の整理も進んでいます。神奈川県には河川の水系ごとに5系統があり、その中には鶴見川水系の「ヨコハマメダカ」もはいっています。新横浜公園のメダカもそのうち「ヨコハマメダカ」になるのでしょう。いや、「シンヨコハマメダカ」でしょうか。

新横浜公園生き物観察日記(16)
2008/03/17
 
フキノトウ(蕗のとう)(キク科フキ属)です

★ 写真  フキノトウ(蕗のとう)(キク科フキ属)です
撮影日時: 平成20年度3月11日
場  所: 新横浜公園北側園地工事予定地

 フキノトウです。「とう」とは軸(ジク)のこと。そういえば盛りを過ぎたものを「とうが立つ」と言いますが、その「とう」です。
 フキの学名は「Petasites japonicus」でその名のとおり日本原産です。北側園地の工事区域の残土の山に生えていました。食べるには少し開きすぎているようですが、もう少し経つと背も伸びて、花が咲きタンポポのような綿毛を飛ばします。
 日当たりの良い場所に生えたものは、成長が早くすぐに硬く、苦味が強くなり食用には向かなくなります。早春を代表する和製ハーブです。
 今は、一年中スーパーの棚に並んでいますが「フキノトウ」を栽培しているのは日本だけだそうです。中国産はないと言うことでしょうか。
 私たちが目にするフキはそんなに大きくはありませんが、北海道足寄町に自生する「ラワンブキ」は高さ2mを越すそうで、こちらも大きい「秋田フキ」はラワンブキが秋田で栽培されたのが始まりとのことです。同じものとは知りませんでした。
 ラワンブキの大きさを示す話に「コロボックル」と言う小人のでるアイヌ民話がありますが、コロボックルとは「フキの下の人」との意味で一枚の葉の下に10人も入ることが出来たそうです。そんなに大きなフキならフキノトウもさぞかし大きいのでしょう。一度見てみたいものです。

ヒバリ(雲雀)です

★ 写真  ヒバリ(雲雀)です
撮影日時: 平成20年度3月14日
場  所: 新横浜公園北側園地

 寒いと思っていたらもうヒバリ(スズメ目ヒバリ科)が囀(さえず)っています。北側園地の上空に、工事のダンプトラックの騒音に負けじと鳴いています。春ですね。
 春霞に麦畑とひばりは相性が良く、天空高く飛ぶ姿は少し前の春の農村風景には欠かせないものです。麦畑も少なくなり、ヒバリの姿も少なくなりなりましたが、北側園地ではまだ健在です。でも、工事が終わり草原がなくなればいなくなってしまうのでしょうか。
 子供の頃、ヒバリの巣を探しに行ったことがあります。ヒバリは自分の巣に戻る時には、直接巣に降りずに、少し離れた場所に一度降り、歩いて巣に戻ります。その習性を知っておけば巣を探すのはそんなに難しくはありませんが、でも、昔だからと言ってそんなに沢山いた訳ではなく、見つけるにもそれなりの大変さはありました。
 今は、野鳥を飼うにも許可が必要で、そんなことは許されませんが昔、近所に野鳥を飼うのが上手なおじさんがいて、そのおじさんはヒバリも飼っていました。ヒバリは驚くと飛び上がり鳥籠の天井にぶつかって死んでしまいます。だから、ヒバリの鳥籠は背が高く作ってありますが、誰にでも飼える鳥ではありません。なにしろ、おじさんは卵を自分の体温で温め、孵化(ふか)させることが出来る人だったのですから。今なら孵卵器(ふらんき)もあり、孵化させるのは難しくはないのかも知れませんが、子供に出来る技ではありません。そんなおじさんでも失敗することはあるらしく、空の鳥籠が縁側に干してあったのとおじさんの悲しそうな顔を想いだします。

新横浜公園生き物観察日記(15)
2008/03/15
 
サンシュウ(ミズキ科)の花です

★ 写真 サンシュウ(ミズキ科)の花です
撮影日時: 平成20年3月8日
場  所: 新横浜公園東ゲート橋労災病院側の緑地

 サンシュウの花が満開です。ここは建物の陰で北風が当たらず温かいのでしょう。春の陽に当たって黄色の花がめだちます。早春の花です。サンシュウやジンチョウゲ(沈丁花)の花を見ると春を実感します。
 サンシュウの木自体は目立つ木ではありませんが、平家落人伝説、宮崎県椎葉村に伝わる民謡「稗つき節」に謡われる「♪庭のサンシュウの木、なる鈴かけて?」が有名で多くの人に知られています。でも、「稗つき節」に謡われているサンシュウはサンショ(山椒)のことでサンシュウではないとのことです。なぜなら、椎葉村には昔、サンシュウの木はなかったからと言うのが椎葉村の見解だと言うのを「大阪市立長居植物園のブログ」で知りました。そう言われれば、山椒の実は「鈴」に似ていなくもない。
 この話は良く知られた逸話のようでインターネットで検索すると他のブログやホームページにも載っています。でも、なぜ、このような間違いが起こったのでしょうか。もし、椎葉村に「サンシュウ」がなかったのならどこで混同したのでしょうか。全国に歌い継がれるうちに語呂が良いので今のようになったのでしょうか。今は民謡を聞く機会も少なくなりましたが、子供の頃はもっと身近で歌われていたように思います。
 でも「♪庭のサンシュウの木、なる鈴かけて」の続きが「♪鈴のなるときゃ出ておじゃれ、俺達平家の公家流れ、おまや追討の那須の末」と続くのは知りませんでした。

ヒキガエルの卵塊です

★ 写真 ヒキガエルの卵塊です
撮影日時: 平成20年3月10日
場  所: 新横浜公園北側園地遊水地

 ヒキガエル(両性綱無尾目ヒキガエル科)が卵を産みました。「啓蟄」の頃ではありますがこんなにタイミング良く産むものなのですね。水温が7℃以上になると産卵を始めるとのことです。
 寒天質に包まれた黒い小さな卵です。つかんで手繰るとずるずると延びますが千切れることはありません。でも、それは産んで間もないからで、時間が経過すれば寒天質が水を含み柔らかくなるそうです。ヒキガエルには東日本に生息するアズマヒキガエルと西日本を主な生息地とするサツマヒキガエルがあり、その両方を総称してニホンヒキガエルと言うそうです。外来種でアメリカヒキガエルと言うのもいるそうですから気をつけましょう。もっとも今は輸入はされてはいないそうです。ちょっと安心。
 私たちはヒキガエルをガマガエル(蝦蟇)と呼びますが、蝦蟇の油売りの口上は今では大道芸のひとつです。「筑波山麓四六の蝦蟇」の呼び方は前足の指が4本、後ろ足が6本に由来しますが、奇形ではありません。手足とも骨は5本ずつあるのですが、前足はひとつの指が退化し4本に見え、後足は足の突起が発達し6本に見えることに由来します。これが普通です。もうひとつ蝦蟇と言えば「地来也」または「自雷也」時代活劇の妖術使いのヒーローです。蝦蟇の宿敵大蛇。大蛇の天敵ナメクジ。この三つが揃うと「三すくみ」となり決着付かない状態となります。「ひとり勝ちを許さない」そんな気風が生んだ豪傑です。
でも、それを知る人も少なくなりました。

新横浜公園生き物観察日記(13)
2008/02/20
 
タガラシです

★ 写真  タガラシです。
撮影日時: 平成20年2月11日
場  所: 日産スタジアム西ゲート高架下

 タガラシが生えています。それも30cmくらいに伸び、青々とし小さな黄色の花をつけています。季節がここだけ春になっています。2ヶ月くらい早いのではないでしょうか。ところで「タガラシ」といわれても分かりませんよね。キンポウゲ科の植物で、キツネノボタンに似ていると言えばまだ分かりやすいかもしれません。両方とも水田雑草で昔は田んぼや畦で良く見かけたものです。どちらも外来種ですが、入ってきたのが古く先史時代、稲作とともに入ってきたので「史前帰化植物」と呼びます。最近お騒がせの「外来種」とは格が違います。入ってきた順序はタガラシのほうが旧く、キツネノボタンのほうが新しいそうです。植物の世界にも先輩後輩の関係があるのでしょうか。植物世界では先輩後輩と言うより、「下克上」が相応しいように思いますが。
 でも、なぜ、ここにだけこんなに元気に育っているのでしょう。植物が育つ条件は水、温度、日照いくつかありますが、ここだけ特別良いようにも思えません。不思議です。
 日産スタジアムにまたひとつ「ハテナ」が増えました。

新横浜公園生き物観察日記(12)
2008/02/15
 
ハンノキの花穂です

★ 写真  ハンノキの花穂です
撮影日時: 平成20年度2月7日
場  所: 新横浜公園北側園地、投てき練習場横

ハンノキ(カバノキ科)に花が咲きました。ハンノキは河川の氾濫原や荒れた土地でも育つ先駆植物として馴染み深いものでした。ヤナギと生息する場所が似ています。新横浜公園には2種類のハンノキが植栽されています。ハンノキとケヤマハンノキ?です。タニガワハンノキかもしれませんがタニガワハンノキは神奈川県内では稀との話もあるので。ただし、工事の植栽リストには「ハンノキ」との表示しかないので正確にはわかりません。と言うのは、植栽樹木の移動は皆さんが思っている以上に広域にわたっており県内産とは限らないからです。それと、ハンノキの自生地は横浜市内には数えるほどしかありません。水田耕作と縁の深い樹木です。有名なのは滋賀県湖西地方の水田地帯に稲架木(ハサギと読みます)として植えられたもので、皆さんも観光写真などで一度はご覧になったことがあると思います。ハンノキが造園樹木として使われるようになったのは最近のことです。 
それは水田や湿地の減少と裏腹の関係にあります。ハンノキの生息地が住宅開発や耕地整理により減少し、ハンノキの希少性が高まる一方、環境やエコロジーへの関心が高まり、水辺や湿地の大切さが理解されてきたからです。
ハンノキは湿地のクヌギ、コナラのような存在でハンノキ林は多くの甲虫や蝶の棲家ともなります。

ネコヤナギの花です

★ 写真 ネコヤナギの花です
撮影日時: 平成20年2月7日
場  所: 新横浜公園北側園地・投てき練習場横

 ネコヤナギです。フキノトウや福寿草と並び早春を告げる植物です。雪深い渓流の脇や雪の残る農村風景には欠かせないものです。新横浜公園のネコヤナギも銀色の花を咲かせました。でも、「花が咲いた」と言うより「芽が出た」という表現がふさわしいように思います。
 やわらかい銀白色の穂は冷たい季節の中でも羽毛のように暖かそうです。何しろ、植えてあるところは高架道路の日陰でシベリアよりも寒いと噂されている所です(行ったことはありませんが)。原産地は中国だそうですが、同じヤナギ科の「シダレヤナギ」の学名は「Salix babylonica」でバビロニアの名が付いています。Salixとは水に近いとの意味だそうですが、チグリスユーフラテス川の河畔にも生えていたのでしょうか。
 ネコヤナギの学名は「Salix gracilistyla」です。salixはヤナギの意、gracilistylaは花柱が長いとの意味だそうです。その花穂の形からの命名ですが、花穂を猫の尻尾に見立てた日本名のほうが早春の陽だまりを思い出させて好ましいように思います。
 猫が縁側で日向ぼっこをしている。その尻尾の先がゆっくりと動いている。風に揺れるネコヤナギの花穂にそっくりだとは思いませんか。♪春?よこい、早?くこい。

新横浜公園生き物観察日記(11)
2008/02/10
 
ホトケノザ

★ 写真 ホトケノザです。
撮影日時: 平成20年1月17日
場  所: 新横浜公園北側園地、池側草地

 ホトケノザ(仏の蓮座)、シソ科。1年草の畑地雑草の代表的な植物です。寒さで葉が黄色くなっていますが、けなげに赤い花をつけています。でも、花を訪れる蝶や蜂の姿はありません。春はまだまだ先のことです。同じ名前ですが、春の七草のホトケノザとは違います。春の七草のホトケノザは「コオニタビラコ」というキク科の植物で田んぼに広く生えるので「田平子」に由来し、こちらは食べられます。七草粥ですよね。
 ひとつの種に複数の名前が付くことはありますが、違う種に同じ名前をつけることは命名法としてはまちがいです。でも、そうなったのにはそれなりの理由があったのでしょう。  確かに、葉の形態から言えば、シソ科のホトケノザの方が仏様の蓮座に似ているように思います。花も赤く、形も仏様の立ち姿に似ていなくもない。いや、観音様かな。
 でも、この筒状の花は、昆虫が受粉するには厄介な形で、当然、受粉の確率は低くなり子孫繁栄を目指すホトケノザの生存戦略上は好ましくない形です。お釈迦様でも気がつくめーといったところ。ところが良くしたもので、ホトケノザは受粉しなくても種子が出来る「自稔性」という性質を持ち、いざという時には第二の花「閉鎖花」で種子を作ることが出来るのです。捨てる神あれば、拾う神在りということでしょうか。

雪のスタジアム

★ 写真 雪の日産スタジアムです
撮影日時: 平成20年1月23日
場  所: 新横浜公園北側園地から

 雪の日産スタジアムです。去年は1回の積雪もなかったので、久しぶりの銀世界です。寒いのはいやだけど雪は好きと言う方も多いのではないでしょうか。雪だるまや雪合戦は子供の雪遊びの定番です。スキーが出来るほどの積雪は望むべくもありませんが、一時雪国を体感できました。
 雪は氷の結晶ですが、雨(液体)が凍って出来るのではない水蒸気(気体)が凍って出来るのだと、昔、理科の先生に教わったような記憶があります。世界で始めて雪の結晶を人工的に作った中谷宇吉郎博士は「雪は天から送られた手紙」との言葉を残しています。  
 雪の形が気温と湿度によって決まり、条件によりその形も変わる、地上に届く雪の形で
上空の大気の状態が分かる。同じ雪でも粉雪とぼたん雪は見ただけで製作過程が違うのだろうと子供心に思ったことがあります。
 春になったら花が咲き、冬になったら雪が降るそんなところに暮らせれば良いのでしょうが、地球温暖化はそんな四季のある日本を亜熱帯化しそうな勢いです。南の島に雪が降る必要はありませんが、♪雪やこんこん、あられはこんこんと童謡にあるように犬も猫も幸せな雪景色が続くように。では、大人は雪見で一杯とゆきますか。


新横浜公園生き物観察日記(10)
2008/01/19
 
この足跡、誰のでしょう。

★ 写真 この足跡、誰のでしょう。
撮影日時: 平成20年度1月9日
場  所: 新横浜公園北側園地、野球場北側の水路

 北側園地は今、生き物の気配が希薄です。整備工事が佳境に入り、生き物たちは機械や工事人の慌しい動きに、これからの成り行きを息を潜めてみているのでしょうか。
 でも、いなくなったわけではありません。水路にしっかりと訪れた痕跡が残っています。
 写真では良く分かりませんが、3種類の来訪者があったようです。一番大きいのはコサギでしょうか。後は、シギとセキレイと思われますが、本当のところは本人に聞くしかありませんね。でも、餌があるようにも思えないこんなところに、採餌のためだとしたら、何を食べたのでしょうか。今、水の中に居るものといえば、モノアラガイやサカマキガイのような巻貝くらいで、それも僅かです。お腹がいっぱいになるには足りないように思います。
 大きな足は真直ぐに動いていますが、小さな足はちょこまかと慌しく方向が定まっていません。鳥の行動をよく知っている人なら、この足跡で鳥の心理状態まで読めるのかもしれませんが、残念ながら私には良く分かりません。
 でも、お腹がいっぱいになったのなら何もいうことはありませんが。

はて、何でしょう?モグラ塚です。

★ 写真 はて、何でしょう? モグラ塚です。
撮影日時: 平成20年度1月17日
場  所: 新横浜公園北側園地、池側の草地

 北側園地の園路沿い、池側の冬枯れの草地に小さな土の山が目に付きます。モグラ塚です。モグラがトンネルを掘った後の残土ですが、人間の行うトンネル工事の残土と同じです。モグラは地中を生活の場とする生態と穴掘りの才能で土木関係のキャラクターにも多用されています。工事現場の案内や注意看板でヘルメットをかぶり、スコップを肩にしたモグラの勇姿を目にしたことがおありだと思います。
 あまり人目につかず、人に迷惑かけない印象なのですが、稲作農家やゴルフ場、競馬場からは嫌われています。田んぼの畦にモグラが穴をあけると田んぼに水が張れません。競馬場ではモグラの穴に馬が足を取られ足を折る事故もあるとのこと。モグラ捕殺器なる物騒な器械も市販されていますから穏やかではありません。
 でも、モグラの肩を持つわけではありませんが、モグラは土壌の守り神なのです。ミミズはモグラの餌ですが、汚染された土壌では育ちません。それを食べるモグラは土壌の環境指標でもあるのです。硬くなった土壌に空気を通し、土の天地返しをし、植物の生育を助けます。文字どおり縁の下の力持ちです。
 モグラ塚はモグラの活動の証なのです。

新横浜公園生き物観察日記(9)
2008/01/10
 

オオタカの飛翔?

★ 写真 オオタカの飛翔?(オオタカの姿はこの写真にはありません、残念)
撮影日時: 平成20年度1月4日
場  所: 新横浜公園北側園地、上空

 明けましておめでとうございます。
 新年の初夢で目出度いのは「一富士、ニ鷹、三茄子」ですが、新横浜公園からも「茄子」を除きすべて見えます。残念ながら夢ではありませんが。
 西の方向に雪化粧の富士の山、天空にオオタカ。オオタカの飛来時刻は季節によりまちまちではっきりとはしませんが、オオタカがくると水辺から水鳥の気配が消えます。カラスだけが、わいわいがやがやうるさく騒ぎ立てるのですぐ分かります。
 ご存知のようにオオタカは食物連鎖の頂点に立つ生物で、オオタカ一羽が生息するには餌となる沢山の生き物が必要です。逆を言えば多くの生き物が生息できる環境がないとオオタカは生存できないということです。オオタカは豊かな環境のシンボルなのです。残念ながらオオタカが営巣できる場所は新横浜公園内にはありませんが、広い空間が狩場としての役を果たしています。この空間がもっと豊かで、生き物の豊富な狩場となるようにと思っていますが、狩られる生物の身となると、もっと隠れ家も必要だとも思います。弱肉強食ではなく、共存共栄の道を目指しましょう。本年もよろしく