★ 写真 キノコ(オオシロカラカサタケ)です。見た目きれいですが毒です。
撮影日時: 平成21年12月4日
場 所: 北側園地減勢地側植栽地
北側園地を自転車で巡回していると、草むらにコンビニのビニール袋が捨ててあるのが目に付きました。拾おうと手を伸ばすとビニールの感触ではありません。白いキノコです。
笠の大きさは15cmほどもあります。でも、キノコの名前が分かりません。図鑑を調べましたが私の手持ちの図鑑には載っていません。そこで、鶴見川の流域センターに問い 合わせたところ「オオシロカラカサタケ」の名を教えていただきました。ハラタケ科ハラタケ目のキノコで、熱帯、亜熱帯に生息するキノコ、それも毒キノコだそうです。以前、 港北区の綱島で見つかり話題になったそうです。
オオシロカラカサタケはキノコの仲間としては乾燥に強く、公園の芝生や草地で目にする事が多いそうですが、施設園芸(温室やビニールハウス内で植物の栽培を行うこと)方 面では以前から作物に害を与えるキノコとして知られており、予防マニュアルもあるそうです。外来種は新横浜公園内に沢山いますが、キノコまで外来とは驚きです。南方系のキ ノコがいくら温暖化とは言えこんなところまで北上して来るとは、でもこのキノコ1週間も待たず消えてしまいます。消えると言えば「光陰矢のごとし」の例えどおり時も消えて 今年も後わずかです。では、良いお年を。
★ 写真 コサギです。
撮影日時: 平成21年11月27日
場 所: 北側園地保護区
コサギです。餌を探して水の中を足で探っています。
コサギはサギ科シラサギ属の留鳥で白鷺の中では一番馴染みのある鳥です。シラサギはその体の大きさでダイ(大)、チュウ(中)ショウ(小)と分けられ、一番小さいからコサギ(小鷺)です。分かりやすい分け方のようですが、屋外で遠目で見ると案外と分かりません。大と小は分かり易いのですが、中と小は見分けが難しいように思います。コサギ(小)に近いチュウサギ(中)もいれば、チュウサギに近いコサギもいると言うことでしょうか。
もっともシラサギと呼ばれるものは、この3種だけでなく冬羽のアマサギもそう呼ばれています。白いサギなら、皆、シラサギです。なかでもコサギは新横浜公園でもよく見る事ができますが、数が多いわけではありません。群れた姿も見た事がありません。鷺山と呼ばれるコロニーを作る習性の割に行動は個別的で、採餌方法も他のサギとは違います。足で池底を探るようにかき回し、獲物を追い出し捕まえます。足技が得意ならサッカーも上手なのではないでしょうか。華麗な足さばきをフィールドでも見てみたいものですね。
★ 写真 ガガイモの実です。
撮影日時: 平成21年11月22日
場 所: 北側園地整備予定地
気温が下がると北側園地のアシやオギも黄葉し葉を落とします。葉を落とした茎に何かぶら下がっています。カラスウリかとよく見ると、実の形が違います。色も薄い緑色で縞もありません。ガガイモの実です。ガガイモ(ガガイモ科ガガイモ属)つる性の多年草です。夏の間はアシの陰に隠れ、目立ちませんが、雑木林の林縁に見かける植物です。
この実は「袋果」と呼ばれ中に綿毛のついた種が入っています。乾燥すると茶色の殻が二つに割れて中の種が風によって飛ばされます。この様を見て、昔の人は神話を編み出しました。古事記や日本書紀に出てくる「スクナヒコナノミコト(小名彦命、須久奈古命)」の話です。ガガイモの殻が神様の乗り物(舟)になるのですから、おどろきです。
スクナヒコナノミコトは小さな神様で(一寸法師の原型との説もあります)海の向こうからガガイモの殻の船に乗って「因幡の白うさぎ」で良く知られたダイコクサマ(大国様、大国主命)のもとに来て大国様の国づくりに協力した神様だそうで医薬、温泉をつかさどる神様でもあります。国づくりが終わると、また「常世国」(桃源郷?)に帰ってしまったそうですが「出雲国風土記」には稲と水田耕作の普及に貢献した神様と書かれているそうです。ガガイモの実(殻)にそんなドラマがあったなんて、知りませんでした。
★ 写真 クビキリギスですが、写真がピンボケすぎですね。
撮影日時: 平成21年11月13日
場 所: 管理事務所内、原産地不明
外が寒くなったせいでもないでしょうが、クビキリギスの来訪がありました。でもこの虫どこから来たのでしょうか? 生息地からはかなり離れています。不思議です。
最初「クサキリ」か、と思いましたがクビキリギス(クビキリギリスとも言います)です。バッタ目キリギリス科の草地性昆虫です。クサキリに良く似ていますが、頭部に違いがあります。クビキリギスの頭部は前傾し、頂部は尖っています。もう一つ口の周囲が赤いのでクサキリではないのが分かります。
キリギリスと言えばイソップ寓話の「アリとキリギリス」を思い出します。夏遊んでいたキリギリスが、冬、お腹をすかせてアリに食べ物を恵んでもらうと言う話で、子供の頃にお説教でよく聞かされた話です。少し前の話ですが、ある大学の建築専攻の学生がこの話をネタに逆の結論の都市計画のレポートを書いた話を聞いて溜飲が下がったことを思い出しました。
その話とはアリとキリギリスが神様から同じ広さの土地をもらったところから始まります。アリはその勤勉さからその土地に沢山の家を作りました。キリギリスは何もしないでいたので草が生えて荒れ放題になりました。でも時が過ぎるとアリの作った家は古くなり街はスラムになりました。一方、キリギリスの土地は生えた木々が大きくなり木蔭を作り、草原は花でいっぱいになり、沢山の人が訪れるようになりました。キリギリスは訪れる人相手に自慢の歌を聞かせて幸せに暮らしたと言うことです。この話、学生にはウケたそうですが、教授には不評だったとのことです。今ならどうでしょうか。
★ 写真 ナマズです。ブラックバスも仲良く? いっしょです。
撮影日時: 平成21年11月6日
場 所: 北側園地投てき場横の減勢池
新横浜公園は遊水地でもあります(今更ですが)。その中の大きな池は馴染みのない呼び名ですが「減勢池」と言われています。鶴見川本川から洪水時に越流してくる水の勢いを弱めるための池です。滝の滝つぼのようなものです。
出来てから20年も経っていない新しい池で、普段は鶴見川とは水門のある排水口でしかつながっていない池なのですが、思った以上に沢山の魚や生き物がいます。
町なかの池にありがちな鯉や外来魚ばかりの池ではありません。今、調査中ですが外来と在来が同居しているようです。その調査の網にかかりました。獰猛と言われるブラック バスもこのナマズの前では形無しです。何しろこのナマズ50cmくらいあるのですから。
ナマズはナマズ目ナマズ科の淡水魚で日本には3種のナマズ科の魚がいて皆、日本の固有種です。ナマズは私達にお馴染みの魚ですが、食用と言うよりその風貌、生態に人気の秘密があり、瓢箪鯰(ひょうたんなまず)は捕らえどころのない様を形容する言葉ですし、大津絵の定番の図柄でもあります。他にも地震の話題には欠かせない存在です。それと週刊マンガ雑誌「ビッグコミック」のキャラクターでもあります。最後のはチョッと難かしかったでしょうか。
★ 写真 ベニシジミです
撮影日時: 平成21年10月29日
場 所: 北側園地北側植栽地
北側園地に秋風が吹きます。水気の抜けた草がさらさらと音を立てます。セイタカアワダチソウの黄色の花も最盛期の鮮やかさはありません。ソバも花の時期は過ぎました。
北側園地で緑濃いのはギシギシの葉くらいでしょうか。照りのある厚手の大きな葉っぱです。秋の日差しをうけ目立っています。
その葉の上に小さな蝶が止まっています。ベニシジミです。シジミチョウ科ベニシジミ属の小型の蝶です。シジミチョウは世界に広く分布し、世界に生息するチョウの約40%がシジミチョウと言われるほど種類の多いチョウなのです。シジミチョウの多くは林間、林縁を好みますがベニシジミは日当たりの良い草原を好みます。
発生期間も長く、3月から11月頃まで見ることが出来ます。ベニシジミには春、夏の季節型があり、これは春型です。春型のほうが色合いは鮮やかです。そこでひとつ謎かけです「秋なのに 春型とはこれいかに? 春服でも厭き(あき、秋)がくると言うがごとし。お粗末。
ベニシジミの幼虫はスイバやギシギシなどを食草としています。スイバ、ギシギシは北側園地に沢山生えていますから、もっと増えて欲しいものです。
★ 写真 コスモス(秋桜)です
撮影日時: 平成21年10月29日
場 所: 北側園地北側植栽地
北側園地のコスモスです。キク科コスモス属の1年草。原産地はメキシコの高地です。 コスモスは短日植物(日照時間が短くなると花を咲かす性質を持った植物)の代表的な植物として知られていましたが、今では四季咲き(早咲きとも言われています)の性質を持ったものも作出され、5月頃から花を咲かせます。園芸店で売られているコスモスの大部分が四季咲きです。昔ながらの(短日性)コスモスは、今は「秋咲き」と言われます。 新横浜公園北側園地のコスモスは2年前に四季咲きの種子を播いたものです。その後、新たに種子は播いていませんが、四季咲きと秋咲きが混在しています。2回の交配を繰り返す中で、先祖がえりしたのか。それとも、紛れ込んでいた秋咲きの種が遅れて芽を吹いたのでしょうか。 四季咲きの欠点は花が早く咲くことです。新横浜公園のコスモスのピークはまだ暑い9月です。10月に見たい花が9月に咲いてしまいます。品種改良により花色も豊富、花形も大きく、八重咲きもありで花としてのバリエーションが増えたのは良いのですが、季節感が無くなったのは残念です。コスモスは秋の花です。秋の季語でもあります。春にコスモスを見たいと思います?
★ 写真 遊水地の稲田です。台風18号の影響でご覧のとおり
撮影日時: 平成21年10月8日
場 所: 北側園地北側提体下
今年は台風が来ないと思っていたら、10月8日に大型台風18号の襲来があり、新横 浜公園北側園地も浸水しました。
ここが遊水地であることを実感した1日でした。新横浜公園の田んぼも水没しましたが 膝上程度の水位でしたから稲の収穫に影響はありません。
もともと高温多雨を好む作物です。イネの種類は去年と同じ「インディカ系」ですから故郷(インド)の雨を思い出したかもしれません。インディカ種は日本ではほとんど栽培されていませんが、世界ではこちらの方が主流です。世界の米生産量の約8割がインディカ米だと聞けば驚かれるのではないでしょうか。1993年の米不足時に輸入されたタイ米(タイ国産米)はインディカ種の長粒米ですがインディカ種すべてが長粒米だとは限りません。
ジャポニカ種のような短粒米も糯(モチ)もあります。イネも長い時間をかけて熱帯から温帯に広まった植物です。伝播の途中いろいろな地域の環境に適応しながら交雑を繰り返し、ここまで来たのです。
南アジア方面には高水位に適応した「ウキイネ」(浮き稲)という品種もありますからこの程度の増水では驚きません。
★ 写真 キツネノタイマツと言うキノコ(菌糸類)です
撮影日時: 平成21年10月5日
場 所: 北側園地減勢池側植栽地
ソバの播いてある横に見たことのないキノコが生えていました。
キツネノタイマツ(スッポンタケ科スッポンタケ属)と言うキノコです。キノコと言っても食べられません。この色、形を見て食べてみようと言う人はいないと思いますが。
このキノコ、木材のチップ等が野積みされたような場所に生えます。この場所は今年2月に公園管理で発生した剪定枝をチップにして敷き均したところです。腐葉土となる前の剪定枝が先日からの雨で適度の湿り気を帯びてこの様なキノコの発生を促したのでしょう。
名前も変わっていますが、似たようなキノコに「キツネノエフデ」「キツネノロウソク」と言うのがあります。狐がらみですから、狐の嫁入り道具の一つなのでしょう。
でも、エフデ(絵筆)は分かりますがタイマツ(松明)とロウソク(蝋燭)の差は何でしょうか? 答えはその形にあります。キツネノタイマツには笠(かさ)がありますがキツネノロウソクには笠がありません。もちろんキツネノエフデにもありません。
昔の人は細かいところまで見てうまい名前をつけるなと感心します。
でも、このキノコは1日で消えてしまうので、なかなか目にすることがありません。
狐だけになかなか正体をあらわさないのです。
★ 写真 タカアザミです
撮影日時: 平成21年9月28日
場 所: 北側園地減勢池側植栽地
新横浜公園のアザミは「アメリカオニアザミ」だけかと思っていましたが、こんなアザミが生えているのを初めて知りました。タカアザミ(キク科アザミ属の越年草)です。
セイタカアワダチソウと競うように背を伸ばしていました。
アザミは春咲くものが多いのですがタカアザミは秋に咲きます。花色は紅紫色で、花は 下向きに咲きます。河川敷などの湿った草地に生育します。
アザミの種類は世界に300種ほどあり、日本にはそのうちの100種ほどが生息していると言われています。そのうちの5種以外は日本の固有種です。
タカアザミはその5種の中のひとつですから日本の固有種ではありません。昔、北方から渡って来ておいてけぼりをくらったのか、それとも南下の途中なのか、そう言えばうつむいて咲いている姿はこれからどうしようかと思案に暮れているようにも見えます。
アザミには剣を持った騎士のようなイメージがあります。事実、スコットランドではアザミは救国の花としてラグビー代表チームの選手の胸を飾っています。
でも、同じアザミでもタカアザミにはそんな印象はありません。むしろ、ひかえめで思 慮深い僧侶のようにも見えますが、どうでしょうか。
★写真 ソバです。
撮影日時: 平成21年9月28日
場 所: 北側園地減勢池側植栽地
ソバの芽立です。種をまいて2週間目です。葉も三枚葉となりました。しばらく雨が降
っていないので伸びは良くありませんが厳しい環境にも適応できる栽培植物です。
タデ科ソバ属の一年草で収穫までの期日が短く、寒冷地、荒れた土地でも育つことから
主に山間地での栽培が盛んです。よく知られているのは「信州そば」の長野県でしょう。
「信濃では月とほとけとおらがソバ」一茶 の句にあるようにソバは信州の名物と言う
だけでなく、お国自慢でもあります。今でこそ生産量は北海道にかないませんが知名度なら年季が違います。今は外国からの輸入も多くなりましたがブランド名は健在です。
原産地は中央アジア。日本には奈良時代(7世紀頃)中国、韓国経由で入ってきたそう
ですが、現在のような食べ方(汁につけてすする)は江戸時代からで、それまでは蕎麦掻
(そばがき)のような食べ方が一般的だったようです。ソバのお餅、あるいはパンですね。
北側園地のソバはあと2週間くらいで白い花を咲かせます。
これからしばらくは銀色のススキの穂、セイタカアワダチソウの黄、ソバの白で北側園
地は秋の風情です。もうひとつ、空の青を忘れていました。
★写真 キクイモです。
撮影日時: 平成21年9月14日
場 所: 北側園地減勢池側植栽地
キクイモの花が咲き始めました。キク科ヒマワリ属の多年草です。
江戸時代に食用作物として移入された北米原産の帰化植物です。きれいな黄色の花を咲かすこともあって彩りに個人の庭にも植栽されています。
でも、外来生物法では「要注意外来生物」に指定されています。要注意の意味は、その 繁殖力の強さで日本の在来種、固有生物と競合、駆逐の恐れがあるので栽培に当たっては 適切な管理をしましょうと言うことです。
多年草ですから一度根付くと駆除するのは難しくなります。新横浜公園でも数ヶ所の群落がありますが一番大きなのは未整備区域の中です。
話は変わりますが、最近、キクイモが園芸植物としてではなく、健康食品として脚光を浴びているのをご存知でしょうか、キクイモですから食べるのは根塊です。ショウガ(生姜)の根に似ています。この根にイヌリンという成分があり、これが糖尿病に効くのだそうです。食べ方は色々あるようですが、味噌漬けにしておくと保存も利き美味しいとのことです。糖尿病は厄介な病気ですが、それに効くのなら本当のキクイモです。これ、洒落のつもりなのですが分かるでしょうか?
★写真 クワモドキです。オオブタクサと言った方が分かるでしょうか
撮影日時: 平成21年9月14日
場 所: 北側園地植栽地
気温も下がり、北側園地の空も高く、吹く風も心地よい季節になりました。その空に背 を高く伸ばしている草があります。クワモドキです。キク科ブタクサ属の一年草でオオブ タクサの別名を持っています。
ブタクサと言えば皆さんよくご存知の花粉症を起こす風媒花の植物です。春のスギ花粉 と並んで嫌われています。北米原産の帰化植物で日本に入ってきたのは戦前と言われてい ますから意外と旧いのです。でも、花粉症が皆の話題になったのは今から20年くらい前 ではなかったでしょうか。ブタクサは背丈1mから1.5mくらいのヨモギに似た植物で 一時は空地や耕作放棄地に繁茂していましたが、今はあまり見かけなくなりました。その 代わり勢力を広げてきたのがクワモドキ(別名オオブタクサ)です。こちらは、戦後に入 ってきたそうですが、背丈は3mにもなる大型の植物です。葉の形が桑の葉に似ているの が名の由来です。ブタクサが減りオオブタクサが増える、外来種にも栄枯盛衰? 流行り 廃りがあるのでしょうか。背が高いだけ遠くまで花粉を飛ばすことが出来るので繁殖には 有利と言えば有利ですが、花粉症の人には迷惑です。早速草刈を行いました。
★写真 ヤブツルアズキです。アズキの原種です。
撮影日時: 平成21年9月7日
場 所: 北側園地減勢池側植栽地
ツルマメの藪の中に黄色い花が咲いています。ツルマメの花は紫色ですから別種である のは分かりますが、花も大きく目に付きます。
ヤブツルアズキ(マメ科ササゲ属)一年草です。アズキ(小豆)のご先祖様です。セイ タカアワダチソウやオギの茎に巻きついて蔓を伸ばしています。
ヤブツルアズキに良く似たものにノアズキ(マメ科ノアズキ属)があります。両者良く似ていますが葉と莢(さや)の形で違いが分かります。ノアズキ(野小豆)の葉は菱形でクズの葉に似ています。クズは気温が上がると葉を直立させ強い日差しを避ける性質を持っていますが、ノアズキも同じような性質を持っておりヒメクズ(姫葛)と呼ばれることもあります。アズキの近縁種ですが、こちらの実は美味しくないそうです。
アズキはヤブツルアズキの改良種ですが、2000年前に中国東北部から渡来した時の姿はどんなだったのでしょうか。北側園地のヤブツルアズキに似ていたのか、畑で栽培されているアズキに似ていたのか? どちらにしても、あんな小さな実を今のアズキに改良した人間の英知、努力には頭が下がります。苦労に見合うだけの魅力がアズキにはあったと言う事でしょうか。
★写真 ツルマメです。
撮影日時:平成21年9月7日
場 所:北側園地減勢池側植栽地
北側園地の園路沿いにクズと競うように繁茂しているツル植物があります。小さな紫色 の花を付けアシやセイタカアワダチソウを足場にテントを張るように伸びています。
ツルマメ(マメ科ダイズ属)の一年草です。
地味で目立たない存在ですが、これを改良したものがダイズ(大豆)だと知ったら驚か れるのではないでしょうか。
大豆は豆腐や醤油の原材料だけでなく、未熟果を茹でて食べる枝豆としてお馴染みです。
茹でたての熱いのをつまんで口に放り込み、冷たいビールを一気に喉に流し込む、夏の 暑さを忘れる最良の方法の一つですが、これは枝豆だから出来ることで、ツルマメではそうは行きません。つまむには小さすぎます。ツルマメの味は確かに大豆ですが、実は小さくて食卓に上るには永年の改良が必要だったのが実感できます。
近縁種にヤブマメというのがあり、こちらはソラマメの味がするそうですが、本当でしょうか。残念ながら私は食べたことはありませんが。
★ 写真 ウナギ(ウナギ目ウナギ科)です。
撮影日時: 平成21年8月27日
場 所: 北側園地投てき場上流側減勢池
ウナギです。
蛇ではありませんからご安心ください。
外来魚調査の定置網に入っていました。
網を引き上げたときには死んでいましたが、この池にはウナギもいるのです。
体長50cm位のウナギでした。大きくなると1mにもなるそうですから、まだ、
子供なのでしょう。
でも残念なことをしました。
ウナギは淡水魚の王様です。
食材としても人気があります。
鮎や鯉も欠かせませんが「土用の丑の日」の様な記念日は持っていません
(地域によってはあるかもしれませんが)。
土用の丑の日にウナギを食べる習慣は江戸時代に蘭学者?の平賀源内が
発案したとの説が有力です。
土用に「う」の字の付く食べ物を食べると夏バテしないとの民間伝承が
あり、それをヒントにこのような習慣を作ったのだそうです。
「う」ですから鰻ではなくても良かったようですが。
ウナギは馴染みの魚ですが、その生態は意外と分かっていません。
川と海を行き来するのは分かっていますが、どこで産卵し、どのようなルート
で日本まで来るのか? 最近の調査で産卵場所はかなり正確に特定されている
ようですが、なぜ、あんな遠くまで(マリアナ海溝付近)よく道に迷わないものですね。
このウナギも旅の途中だったのでしょうか。
★ 写真 ミソハギです。
撮影日時: 平成21年8月21日
場 所: 北側園地多目的運動広場東側水路
暑い日が続きます。北側園地は今、夏枯れで色彩に乏しい時期です。
その中に少しですがピンクの花が目に付きます。ミソハギ(ミソハギ科の多年草)です。
名前の由来は諸説あるようですが神事仏事にまつわるものが多いようです。
神事の「禊」にかけてミソギハギ(禊萩)それが短くなって「ミソハギ」との説が一般的のようです。
ちょうど咲く時期が「お盆」と言うことでボンバナ(盆花)とも呼ばれることもあるそうです。
確かにこの時期、仏前に供える花に事欠く季節でもあります。
そんな時期にはありがたい花です。
このミソハギは今年5月に植栽したものですが3ヶ月で根を張り花を咲かせました。
水辺、湿地を好む丈夫な草花です。ミゾハギ(溝萩)と呼ばれる地域もありますから水には
縁のある植物です。
ミソハギ科の草花で私達に馴染みのものはミソハギですが、樹木ではサルスベリ(百日紅)
が知られています。
サルスベリは亜熱帯、熱帯に分布する樹木で日本の盛夏に燃えるような紅い花を咲かせます。
キョウチクトウ(夾竹桃)と並んで盛夏の花です。
その暑い夏も終わり。二十四節気ではもう「処暑」です。
★ 写真 シオカラトンボのメスです。羽化して間がないようです。
撮影日時: 平成21年8月16日
場 所: 北側園地の田んぼ
シオカラトンボです。中型のトンボでアキアカネ(赤とんぼ)と並んで馴染みのあるト
ンボです。身近すぎて有難味が欠けるのは、どこの世にもある話ですが。
シオカラトンボの仲間は、未成熟な時期はオス、メス共黄色っぽい色をしています。
成熟するにしたがってオスは粉を吹いたような青っぽい体色となります。
シオカラトンボの仲間には、オオシオカラトンボ、シオヤトンボ、ハラビロトンボなどが
いますが、新横浜公園でよく見かけるのは、オオシオカラトンボでしょうか。
シオカラトンボより少し太めで体色も青味が濃いように見えます。オスだけですが。
メスは黄色と黒との縞模様です。タイガース仕様です。
シオヤトンボは見たことがありませんが、平成19年度の調査レポートには新横浜公園
の確認種としてシオヤトンボが入っていますから、いつか会えるかもしれません。
ハラビロトンボの確認は無いようですが。ハラビロトンボはそのユーモラスなネーミング
でよく知られ、見ればすぐに分かります。そのままですから。
今なら「メタボトンボ」と呼ばれたかもしれませんが、腹部が少し広いだけで肥っている
わけではありません、これは蛇足ですね。
★写真 フタモンアシナガバチと巣です。
撮影日時: 平成21年8月8日
場 所: 北側園地未整備区域内
フタモンアシナガバチ(脚あし長蜂ながはち)の巣です。私達に馴染みのアシナガバチは家の軒下
に巣を作るキアシナガバチかもしれませんが、これは、フタモンアシナガバチです。
どちらも私達の身近にいる蜂です。
アシナガバチは膜翅目まくしもくスズメバチ科アシナガバチ族のハチの総称で、日本には3属11種が生息しています。フタモンアシナガバチは小型のアシナガバチで、草むらや石垣の隙間に巣を作ります。
大人しいハチで巣を叩いたり、踏んだりしないかぎり人を攻撃したりはしませんが、蜂はスズメバチの印象が強いのか蛇と並んで怖がられ、危険予防の名目ですぐに排除されてしまいます。
毛虫などを食べてくれて見えないところで人間の役に立っているのですが、残念です。
アシナガバチはその名のとおり、手足が長く腰の締まったスリムな体型をしていますが、飛行はうまくありません。青虫や毛虫を食餌とするため飛行のスピードを必要としないためとも言われています、そう言われれば、獲物を探して草むらや木々の葉裏を飛ぶ姿は捜索活動をしている山岳救助のヘリコプターにそっくりです。
アシナガバチは夏に活躍するハチですが、その季節も残り少なくなりました。
★ 写真 マメコガネ(豆黄金)です。
撮影日時: 平成21年7月23日
場 所: 北側園地保護区のフェンス上
マメコガネ、コウチュウ目(鞘翅目)コガネムシ科の甲虫です。
学名Popillia japonicaです。学名にジャポニカの名が付くくらい
ですから、日本の在来種です。体長8?13mmくらいの小さな黄金虫です。
ヤブガラシの花の上で円卓会議と言うより宴会です。
小さな体ですが食欲も旺盛なのでしょう、日本ではそれほどではありま
せんが、北米では「ジャパニーズビートル」と呼ばれ嫌われているとのことです。
桜に付く毛虫で「アメリカシロヒトリ」と言うのがいますが、その逆ですね。
そう言われれば「アメリカザリガニ」と言うのもいました。
アメリカ、ニュージャージー州で見つかったのが1916年。
アメリカで検疫が始まったのが1912年ですからアメリカに検疫制度が
出来る前に渡ったと言う事です。
マメコガネが渡米してまもなく100年ですが、一度入ってしまうと駆除は
困難との移入種の好例です。まして、マメコガネは作物を荒らす害虫ですから
アメリカ側とすれば歯噛みする思いでしょう。
太平洋戦争時には反日のプロバガンダにも使われたとのことですから
、かなり嫌われています。
これからも好かれる事はないのでしょう。でも、悪いのはマメコガネではありません。
持ち込んだのは人間ですから。
★写 真 オミナエシです。
撮影日時: 平成21年7月23日
場 所: 北側園地野球場センター奥
北側園地のオミナエシです。今、満開状態です。
このオミナエシについては以前に報告しましたが(平成19年10月17日付観察日記4)
群馬県昭和村からの贈り物です。もう2年経ちました。頂いた時には5号のポット苗でしたが
この地に根を張り大きくなりました。高さも150cmくらいあり沢山の黄色い花をつけています。
昭和村のオミナエシも今頃咲いているのでしょうか。
今は、端境期で花も少ないのか、花蜂やミツバチ、マメコガネ、シジミチョウの来訪が相次ぎ
近寄るとぶんぶんと羽音がうるさいくらいです。
オミナエシは秋の七草の一つですが、こんなに早く咲くと、秋まで持たないのではないかと
心配です。
話しは変りますが、昨日(7月22日)は「日食」が見られる日でした。
でも、日産スタジアムは曇り空で日食を見ることは出来ませんでした。
関東地方では三分の二が欠ける部分日食でしたが、空は暗くもならず気が付けば終わって
しまっていた。
チョッと残念な一日でした。
★ 写真 モクゲンジの花です。
撮影日時: 平成21年6月25日
場 所: 東ゲート橋共済病院側緑地
雨上がりの木々の中でひときわ目を引きます。新緑の中で黄色い色が目立ちます。
モクゲンジの英名は「Golden rain tree」ですから見たままです。
でも、なぜrain(雨)か不思議に思いますが、木の下に立てばその訳が分かります。
風が吹くと花びらが雨の様に降りかかります。
モクゲンジの名の由来は「木樂樹」の音読みで「モクゲンジュ」となったと聞きました
が「木樂樹」は以前ムクロジの漢名だったのが読み間違ってモクゲンジの名前になったの
だそうです。
ちなみに、ムクロジの漢名は「無患子」です。
漢字は表意文字ですから音、訓読みで読み方は変わりますが、意味は変わりません。
「木樂樹」の方がモクゲンジにふさわしいと思った人がいたと言うことでしょうか。
モクゲンジもムクロジもこの時期に花を咲かせ、実を付けます。
実は硬く数珠や羽根つきの羽になるそうですが、モクゲンジの実は細工するには小さすぎ
るように思いますが、どうでしょうか。
★ 写真 コチドリの巣と卵です。
撮影日時: 平成21年6月22日
場 所: 北側園地整備予定地
今は鳥たちの子育ての季節です。北側園地で目立つところではオオヨシキリ、セッカ、
キジでしょうか、さすがに、巣の場所は分かりませんが、せわしない鳴き声でわかります。
ところが、他にも子育てをしている鳥がいました。コチドリです「チドリ目チドリ科チ
ドリ属コチドリ」で河川や海岸の中洲のような砂利まじりの場所で産卵、子育てをします。
この写真は近くから低いアングルで撮っていますから良く分かりますが、真上から見る
と卵の斑紋がまわりの砂利に同化して見分けが付きません。
それにしても、簡素な作りです。周りには外敵のカラスがウロウロしているのにこんな
ので大丈夫でしょうか。他人事ながら心配です。
今年の3月まで隣接工事の資材置き場として使用され、工事終了後、整地された場所で
す。雨で表土が洗い流され砕石が出た場所です。草が点々と生えていますが身を隠すには
貧相すぎます。子育てには辛そうな場所ですが、元気な子が育つことを願わずにはいられ
ません。
★ 写真 キジの全体像です。でも、ピンボケです
撮影日時: 平成21年6月5日
場 所: 北側園地多目的運動広場東側水路
以前、草むらのキジのことを報告しましたが(観察日記76)今回は全身写真です。
距離にして20mくらい離れていますが、今回はカメラを向けても逃げません。
繁殖期なのかケーン、ケーンと鋭い鳴き声が新横浜公園の北側園地に響きます。
この時期、遊水地堤体の草刈が始まり、身を隠す場所が少なくなったせいでしょうか、北側
園地でよく見かけます。
でも「焼け野の雉子(きぎす)夜の鶴」のことわざどおり、キジは子育てを始めると我身に危険
が迫っても巣をなかなか離れないそうです。
草むらを歩いていると足元からキジが飛び立つとの経験談を聞いたことがあります。
キジは強い飛翔力を持っていますが、普段は地面の上を歩いて暮らしています。ですから、
身を隠す草むらがなくなると暮らしていけなくなります。地上には敵も多いのです。
敵から逃れるために草むらに身を隠したつもりが尻尾までは隠せなくて意味を成さないことの
例えに「頭かくして尻隠さず」のことわざがありますが、これはキジの習性を見てのことだそうです。
そう言われればキジの尻尾は長くて目立ちます。派手なのは顔だけではありません。
★ 写真 ミシシッピアカミミガメの産卵準備です
撮影日時: 平成21年5月28日
場 所: 小机フィールド南側植栽地
ミシシッピアカミミガメです。改めて言うほどのことでもありませんが、爬虫綱カメ目
ママガメ科アカミミガメ属の亜種で北アメリカ産の外来種です。最近は外来種と言う
だけで何となく疎んじられる傾向がありますが外来生物法では「要注意外来種」駆除
されない位置です,微妙です。
新横浜公園では珍しくありませんが、この写真のような産卵準備の姿はめったに見
られないのではないでしょうか。雨の降る午前11時頃、水路から100mくらい離れてい
る芝生広場での出来事です、産卵にしては無用心です。
産卵のための穴は後足を使って掘ります,後足の一方で体を支え、片方の足を地面
に差込み、ロクロを回すように動かします。
そうすると土と水が混ざりドロドロになります。
その土を器用に外に掻き出します。
それを繰り返すと内径10cm弱の穴が掘りあがりますが作業はそれで終わり。
産卵までは行きませんでした。,卵場所にふさわしくないのに気付いたのかもしれません。
一時間くらい経って見に行くと地面に小さな素焼きの甕(かめ)のような穴を残して亀
はいなくなっていました。
★ 写真 オオキンケイギク(大金鶏菊)です。
撮影日時: 平成21年5月18日
場 所: 北側園地保護区側植栽地
去年には見なかった花です。今年は北側園地と第3駐車場西側の堤体に
ぽつぽつと生えています。
黄色い花で遠目にも目立ちます。オレンジがかった黄色がとてもきれいです。
オオキンケイギクです。北アメリカ産、キク科の多年草、帰化植物です。
少し前、道路や河川工事の斜面処理に「ワイルドフラワー」の商品名でよく
使われたものです。
群生すると迫力があります。
でもこの繁殖力が裏目に出て、今は特定外来生物に指定されています。
特定外来生物に指定されると人為的な移動や繁殖は禁止されます。
指定の理由は在来生物生息域の圧迫ですが、園芸品種としても人気があり
駆除するにもこの辺が悩ましいところです。
石川県のホームページの特定外来生物の項には「花はきれいだが、いつの
まにか河原などを覆いつくしてしまう」の副題が付いていますから担当者の苦労
が偲ばれます。
新横浜公園のオオキンケイギクはまもなく始まる堤防管理の草刈により刈り
取られてしまいます。
チョッと可哀想な気がしないでもありませんが、狭い日本にはオオキンケイギク
の居場所はないということでしょうか。
★ 写真 マンテマ、2年草の帰化植物です。
撮影日時: 平成21年5月18日
場 所: フットボールパーク側堤体上の通路際
新横浜公園の堤帯は定期的に草刈されますから植生は単一的になります。
でも単一的な中にも珍しい植物を見ることもあります。この植物もその類です。
「マンテマ」ナデシコ科マンテマ属の越年(2年と同じ意味)草です。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、和名がマンテマですから不思議です。
和名は一般的に漢字表記が多いのですが、カタカナ標記なのは日本に入ってきた
時の名前をそのまま使ったと言うことでしょうか。
日本に入ってきたのは江戸時代、今から150?60年も前のことで観賞用として
入って来たそうですが、江戸時代の人はどんな気持で見ていたのでしょうか。
きっと、舶来品として珍重されたのでしょう。
生育場所は図鑑によると「河原や堤防の路傍」ですから新横浜公園の生育場所そのままです。
しばらくすると他の草と一緒に刈られてしまいますが、来年も花を見ることが出来るでしょうか。
★ 写真 ナガミヒナゲシ(ケシ科)帰化植物です。
撮影日時: 平成21年4月20日
場 所: 北側園地野球場ライト側の緑地
ヒナゲシは春の花です。園芸種で馴染みのあるものはアイスランドポピー、オリエン
タルポピーでしょうか。ヒナゲシの別名は「虞美人草」で夏目漱石の小説の題名にもなっ
ています。
美しい女性の代名詞でもあります。「虞美人」は中国の秦時代末期「項羽と劉邦」
が覇権を争った時に出てくる悲劇の女性の名です。楊貴妃と並んでよく知られた名前です。
ところが、新横浜公園に今咲いている「ナガミヒナゲシ」は地中海産の1年草の外来種
で、色は朱色ですが鮮やかな朱ではありません。どちらかと言うと地味な花です。
日本で最初に確認されたのが1961年ですから新しい部類に入ると思います。
繁殖力旺盛で都市部を中心に生育範囲を広げています。
ナガミヒナゲシの生育分布拡大には人間の経済活動が大きく働いていると言われています。
特に自動車と温暖化が主要な要因としてあげられています。
自動車は分布を広げる手段として、温暖化は生育環境改変の原因として。
ナガミヒナゲシは暖かい気候を好み、アルカリ土壌に適した草です。
今の都市はコンクリートで造られ、乾燥はアルカリ化を促進します。
ヒートアイランド現象に象徴される都市の気候変動はナガミヒナゲシには心地よいもののようですが
、人間にはどうでしょうか。
★ 写真 マツバウンラン(ゴマノハグサ科ウンラン属)帰化植物です
撮影日時: 平成21年4月20日
場 所: 北側園地多目的運動広場横の水路きわ
ランの名が付いていますが、ラン(蘭)ではありません。
ウンランと言うゴマノハグサ科の名をもらっていますがそれとも違います。
マツバウンランは北米を原産地とする帰化植物です。横浜港の埠頭にも沢山生えています。
倉庫を取り壊した跡や道路の分離帯に咲いています。
薄紫の繊細な姿に似合わず、荒地にもしっかりと根を張ります。
さすが外来種です。少し荒れた芝地が好きなようです。
ネジバナに似ています。
写真のマツバウンランはクローバーに足元を覆われて見えませんが、葉はその名のとおり
細い松葉のような形をしています。
花は金魚草の花を小さくしたようです。
金魚草と言えば、最近、リナリア(姫金魚草)と言うマツバウンランによく似た花が園芸店
で売られています。
原産地は南ヨーロッパで、こちらは1年草と宿根草があります。園芸種だけあって花色、花数も豊富です
少し前の話になりますが、JR桜木町駅前にお花畑がありました。
外来と言うか園芸種の花で建築予定地が華やかに彩られていました。
オリエンタルポピーや花菱草の中にリナリアの花も咲いていたような記憶があります。
でも、マツバウンランの近縁種とは思いませんでした。
★ 写真 ジシバリ(キク科ニガナ属)多年草です
撮影日時: 平成21年4月20日
場 所: 北側園地多目的運動広場横の水路きわ
北側園地の水路際に黄色い花が群生しています。黄色い花で遠目にはタンポポかと見間違えそうですが、近くによって見ると違いが分かります。ジシバリです。細い茎を四方に伸ばし範囲を広げてゆきます。厄介な畑地雑草として知られていますが公園に生えているうちは嫌われることもありません。
ジシバリの名の由来は「地縛り」のようですが、大地を縛り付けるような丈夫な茎を持っているわけではありません。むしろ、細くてすぐ千切れてしまいそうで繊細な茎に見えますが、これが曲者なのです。
ジシバリの茎は抜こうとするとすぐに切れてしまいますが、ちぎれた茎の節からすぐ根が生えてきて生息範囲を広げてしまいます。
また、生息場所も畑のような土の柔らかいところから、石のある固いところでも生息することが出来、イワニガナ(岩ニガナ)とも呼ばれていますから見た目とは違い中々したたかな草のようです。
★ 写真 良く分からないと思いますが、キジ(雉)です
撮影日時: 平成21年4月13日
場 所: 北側園地整備区域の草むら
新横浜公園北側園地では今の時期、空高く飛ぶヒバリの姿を見ることが出来ます。
公園整備が進み草原性の鳥の棲家もせまくなりました。
その中でも大型の鳥は稀となりました。キジもそのひとつです。久しぶりにキジの姿を
見ましたが、整備区域の草むらにそっと身を隠してしまい、草むらに身を潜めるとじっと
して動きません。
「キジも鳴かずば撃たれまい」の言葉を思い出しました。
キジは日本人には馴染みの鳥です。
キジ目キジ科の留鳥で日本の国鳥でもあります。
姿かたちが美しいだけでなく食べても美味しいとのことで家禽と同じように繁殖、飼育され
5月の愛鳥週間には全国で10万羽ものキジが放鳥されるそうです。
キジと言えば民話「桃太郎」の鬼退治の中に出てきます。
何故、キジなのかについては諸説あるようですが、風水学では鬼は丑と寅の方向(鬼門)
から来るので、裏鬼門に相当する申(サル)酉(キジ)戌(イヌ)を率いたとの説があります。
しかし、丑、寅の反対は未、酉で前の説とは違うので別な意味があるのではないかとも
言われています。
キジは大型で美しい鳥です、いつまでも新横浜公園にいて欲しいものです。
★ 写真 リキュウバイ(利休梅)です
撮影日時: 平成21年3月23日
場 所: 東ゲート橋リハビリ側緑地
リキュウバイ(バラ科ヤナギサクラ属)です。バス停の横で可憐な花を咲かせています。新横浜公園は早春になると白い花で溢れます。花桃、ユキヤナギ、コブシ、ハクモクレ
ン本数は多くありませんが冬枯れの林が明るくなります。
茶花として珍重され、千利休にちなみ命名されたそうですが、千利休が活けた記録はありません。それもそのはず、原産地は中国北中部で日本に入ってきたのは明治時代とのことですから意外と新しい樹木なのです。
そのせいでもないでしょうがマルバヤナギサクラ、バイカシモツケといろんな呼び方をされています。もう一つ、利休梅の字も利久梅が正しいとのことですが、中国ではどちらの名で書かれているのでしょうか。
★ 写真 タネツケバナです。
撮影日時: 平成21年3月18日
場 所: スタジアム西側土手下
タネツケバナです。アブラナ科タネツケバナ属の越年草。遊水地の土手下の水の切れない場所で白い花を咲かせています。名前の由来は皆さんご存知だと思います。「種浸け花」ですから、稲の種籾を水に浸すその目安のとなると言うことですが、こんなに早く苗の準備をするものでしょうか?
田植えは、地域によって違いますから一概には言えませんが横浜あたりでは5月中下旬です。二毛作(稲の裏作に麦を育てること)をしていた頃にはもっと遅かったように思います。
麦の収穫が終わらなければ田おこし、田植えが出来ないのですから仕方ありません。水稲の栽培指導書(マニュアルと言った方が良いでしょうか)によると、種籾は発芽をそろえるために播種の前に「浸種」と言う作業をします。その時の水温の目安が15℃でその中に10日程度浸しておきます。
今は、農家が自分で苗作りをすることも少なくなり、農協からパレット状の苗を購入することが一般的ですからタネツケバナの花を見てもこれと言った感慨はないかも知れません。忙しくなる農作業、田植え準備の記憶が草の名前として残ったと言うことです。
今は稲の栽培技術も進み、また、田植えの機械化により昔のような素朴な田植え風景は見なくなりました、と言うより、横浜市内では田んぼそのものが珍しくなりました。
★ 写真 カズノコグサです(イネ科カズノコグサ属)の越年草
撮影日時: 平成21年3月18日
場 所: スタジアム西側の土手下
カズノコグサです。名前の由来は穂を見れば分かります。おせち料理には欠かせないあの「数の子」です。ただ、残念なことに形は似てもこのカズノコは食べられません。
でも、この食べられる、られないが名前に影響しているのですから不思議です。カズノコグサには「ミノゴメ」(みの米)と言う江戸以来の別名がありましたが、カズノコグサは食用にはならない、ミノゴメの名前は食用になる「ムツオレグサ」につけるはずの名前の誤用だと指摘し、改名させたのが植物学者の牧野富太郎だそうです。ちなみに、ムツオレグサ(六折草)は田麦とも呼ばれるイネ科の植物です。確かに食べられるようですが、今の稲を見慣れている人には食べられると言っても信じてもらえないように思います。この話、インタネットのフリー百科事典「ウィキペディア」に載っていました。
その中に、カエル釣りの竿として子供には人気があるとの話がありました。穂先の一粒だけを残し他を取り除き、竿をカエルの顔の前でゆらすと、えさと間違えて食いつくと言う話です。私も子供の頃にこれで遊んだ記憶があります。ただ残念なことに、今の新横浜公園にはカエルの姿はありません。いてもウシガエルかヒキガエルですからこの程度の竿では釣り上げることは出来ません。子供と遊んでくれるカエルがいて欲しいと思います。
前回の新横浜公園生き物観察日記(72)はこちらです。
★ 写真 カワジシャです。春の風情です。
撮影日時: 平成21年3月13日
場 所: 北側園地保護区の田んぼ
カワジシャです。川に生える「チシャ」の意でしょうが、そう言われれば柔らかそうな葉で、クレソンの若い頃にも似ています。チシャとはレタスのことですが、食べた話は聞きません。ゴマノハグサ科クワガタソウ属の越年草です。分布域は広く朝鮮、中国、東南アジア、インドまでを生息域にしているそうですから適応力も強いのでしょう。新横浜公園の北側園地の水路沿いにも沢山生えています。田んぼの畦に生えて、水田雑草と呼ばれます。水田雑草ですが稲の生育に害をなすわけではなく、田起こし前には繁茂するが、田植えが終わる頃には姿を消すそうですから、とても控えめな性格のようです。その性格のよさがあだになったのか環境省のレッドデータリストの準絶滅危惧(NT)種になっています。
神奈川県での指定は無いようですから一安心ですが、絶滅危惧種になった方が人の関心を集め大切にされるかもしれません。でも、カワジシャのような適応力のある種が生息し難くなっているほど私達を取り巻く自然環境は変化しているということです。街から水辺がなくなり土地が乾地化していると言うことでしょうか。
前回の新横浜公園生き物観察日記(71)はこちらをご覧下さい
★ 写真 桜(ソメイヨシノ)です。
撮影日時: 平成21年3月23日
場 所: スタジアム東ゲート橋労災病院側緑地
桜の季節になりました。新横浜公園のサクラにも一輪花が付きました。多くはありませんが新横浜公園にも桜(ソメイヨシノ)はあります。花の時期には絶賛されますが、毛虫や日陰になるとの理由で植栽本数は少ないのです。今はカワズザクラ(河津桜)カンヒザクラ(寒緋桜)のような早咲きの桜がもてはやされ、桜の時期も長くなりましたが、お花見ならソメイヨシノが一番です。花冷えするブルーシートのうえで車座になり、紙コップで日本酒を飲む。これが、少し前の職場での恒例行事で風物詩でもありました。
桜は日本の国花でもあり、古来多くの文人に愛された花でもあります。なかでも西行の「願わくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月の頃」は有名で、西行の最期はこの歌のようだったと言われています。次は在原業平(古今和歌集)の「世の中に絶えて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」もう一つ「敷島の大和心を人問わば 朝日に匂う山桜花」本居宣長。ところが、この三つの歌に詠われた桜は残念ながらソメイヨシノではありません。ソメイヨシノは江戸時代に出来た新しい桜です。私達はサクラと言えばソメイヨシノと思っていますがサクラの歴史は長いのです。
前回の新横浜公園生き物観察日記(70)はこちらをご覧下さい
★ 写真 ヒキガエルです。春の兆しです。
撮影日時: 平成21年3月2日
場 所: 北側園地野球場ライト側水路
ヒキガエルです。去年の今頃(3月10日)ヒキガエルの卵の写真をのせましたが、今回はカエル本人?です。今年2月は暖冬だったとの気象庁の発表がありました。その影響でもないでしょうが、暖かい陽射しに誘われて出てきました。啓蟄の候です。虫(昔はカエルも虫のうちです)が這い出でてくる時期を「啓蟄」と言いますが、遅いのか早いのか良く分かりません。都会の便利な生活に慣れた私達は外気温度とは縁遠い生活をしています。冬暖かく夏涼しい部屋での生活を繰り返していれば季節感が薄れるのも当たり前です。春を待ち望む気持ちも弱くなっているのでしょう。知識としては知っていても、暖かくなることのうれしさを実感することも少なくなりました。
私達の祖先は1年間を24節気に分け、日々の暮らしの中に生かしていました。今の私達は12ヶ月。倍違います。私達は季節の移り変わりを細やかな感性で受け止めることが出来なくなっています。ただ、東京都心で梅の開花が平年より21日早いと言われれば、誰だって心配になります。温暖化や異常気象、環境問題についてのニュースがテレビから流れない日はありません。不安ばかりが増幅される、憂鬱な春にはなってほしくありません。
前回の新横浜公園生き物観察日記(69)はこちらをご覧下さい
★ 写真 カルガモです。柵の奥にいるのがオオバンです。
撮影日時: 平成21年2月19日
場 所: 北側園地の減勢池横
カルガモです。陸に上がった河童ならぬカルガモです。陸に上がって草をついばんでいました。去年、新横浜公園で生まれた子供たちでしょうか、随分と大きくなりました。
カルガモはカモ科の留鳥ですから一年中見ることが出来ます。人見知りをしないタイプのようで10m位なら近づいても逃げません。今から20数年も前の事ですが、東京丸ノ内の三井物産ビルの池から皇居のお堀に引越しをするカルガモの映像がマスコミを賑わしたことがありました。親を先頭にヒナたちが道路を横断している姿をテレビでご覧になった方も多いのではないでしょうか。今でも三井物産(株)のホームページには「カルガモ日記」のコーナーがあります。さすが、東京です。それに比べると、新横浜公園のカルガモは話題にもなりません。
カルガモは雌雄同じような羽の色で目立ちませんし、希少種でもありません。でも、カルガモがいると水面に落ち着きが出て、他の水鳥も安心するのか群れが大きくなります。
結構、頼りにされています。
新横浜公園生き物観察日記(68)はこちらをご覧下さい
★ 写真 花桃が咲き始めました。
撮影日時: 平成21年2月26日
場 所: スタジアム西側U字橋脇
冷たい雨の中、花桃が咲き始めました。この桃は花を見る木で、実なりの桃とは違います。花のためだけに品種改良されたものです。そのせいでしょうか花の時期が早いように想います。実なりの桃の花期は4月初めですから。それに比べると1ヶ月も早いことになります。それとも温暖化のせいもあるのでしょうか。
桃といえば「桃の節句」。五節句の一つで、節句とは季節の節目となる日のこと。桃の節句は女の子の節句です。雛祭りで赤い毛氈の上にお雛様を飾る「ひな壇飾り」は日本の伝統美の一つで、女の子の憧れでもあります。見てきれいだけでなく、雛あられ、ひし餅などのお菓子もあり、男の子にも人気があります。白酒で顔を紅くした子供の姿も好いものです。「♪明かりをつけましょ ぼんぼりに お花を上げましょ 桃の花」の歌は今も歌われているのでしょうか。
日本では桜ですが、中国では桃のほうが好まれるとの話を聞いたことがあります。そう言えば仙人の住む桃源郷は中国の話でした。桃は邪気をはらい不老長寿を与えてくれると言われています。長寿社会が高齢化社会だけでなく桃源郷のようであればと思います。
前回の新横浜公園生き物観察日記(67)はこちらをご覧下さい
★ 写真 ゲンゴロウブナです。ヘラブナとも言われます。
撮影日時: 平成21年2月10日
場 所: 北側園地投てき場横の減勢池
まだ、春浅く、水辺に魚の気配はありませんが池底には動きがあります。外来魚調査のため網を入れるとブルーギル、ブラックバスより多くのゲンゴロウブナが獲れました。形も良く銀色の鱗がきれいです。
フナはコイ科フナ属の淡水魚で、小学校唱歌「♪兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川」の歌詞のとおり子供達にとって馴染みの魚でした。どこの小川でも目にすることが出来たものです。それも今は昔の話で琵琶湖のゲンゴロウブナは環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧種1B類になっています。1B類とは「近い将来に野生での絶滅の危険度が高い」の意味です。神奈川県ではキンブナが絶滅危惧種1B類に入っています。神奈川県のゲンゴロウブナはまだ平気なようですが、同じフナでも色々あるようです。
呼び名だと、ゲンゴロウブナよりヘラブナの方が通りがいいでしょうか。ゲンゴロウブナの改良種がヘラブナで釣り仲間ではこちらの名でよばれています。同じ種なので違いがあるようには思わないのですが、食相が違うそうです。ゲンゴロウブナは雑食なのにヘラブナは植物プランクトンを食べるベジタリアンだそうです。食べ物には困らないようですから外来種に負けないで増えて欲しいと思います。
新横浜公園生き物観察日記(66)はこちらをご覧下さい
★ 写真 イヌです。ホックステリア・ワイヤーヘアード種です。
撮影日時: 平成21年2月9日
場 所: 北側園地多目的運動広場横
新横浜公園には沢山の生き物の来訪があります。一番多いのは勿論、ヒト科ヒトの人間です。スポーツやコンサートでスタジアムが一杯になると7万人を超える数になりますからこれが一番で間違いはないでしょう。でも、イベントがない日でも散歩やジョギングを楽しむ人を見ない日はありません。そして次に目立つのがイヌです。カラス、スズメの数には負けるかもしれませんが、種類では負けません。それも良いイヌばかりです。雑種のイヌも見なくなりました。
イヌはネコ(食肉)目イヌ科イヌ族の哺乳類ですが、犬種は沢山あります。写真は「フォックステリア・ワイヤーヘアード」(ワイヤー・ホックス・テリアとも言います)ですが、あまり見ない犬種です。イギリス産で、その名のとおり狐狩りに使われる猟犬です。黒い瞳が愛らしい愛嬌のある顔をしていますが、解説書によると、快活で大型犬の風格をそなえているとのこと。どういう意味かと言うと勇猛果敢で大きな相手でもひるまず向かって行く性格だそうです。もっと言うと「飼い難い」犬種と言うことです。
チェコの作家、カレル・チャペックの「ダーシェンカ、子犬の生活」にそのやんちゃぶりが写真と軽妙な文章で書かれています。この写真にも、そのやんちゃぶりが出ています。良いアングルの写真を撮らしてくれません。悪いのは私の腕だけではありません。
前回の新横浜公園生き物観察日記(65)はこちらをご覧下さい
★ 写真 今年のモグラ塚です、土の色で地面の下の状況が分かります。
撮影日時: 平成21年1月26日
場 所: 北側園地多目的運動広場横
今年のもぐら塚です。去年の今頃にも「もぐら塚」のことを書きましたが、今年は場所が違います。今年は芝生広場の園路沿いです。地下が掘りにくいのか塚と塚との間隔が狭いように思います。トンネルを掘っていたら園路の縁石にぶつかり、しばらく園路沿いに掘っていたようですが、その後、堀跡が見えなくなりました。総延長30mくらいのトンネル工事です。このトンネル、1匹で掘ったのならその力 恐るべし。
私たちはひとくちにモグラ(トガリネズミ目モグラ科の哺乳類)と言いますが、日本に生息するモグラは4属7種類で、その内のモグラらしいモグラは2属5種。絶滅危惧種も3種いるそうです。でも、モグラらしくないモグラってなに? モグラの生活スタイルは地中生活を基本としますが、ヒミズのように地上に出てくるのもいるので「らしい」「らしくない」といわれる訳です。昔、テレビで見た「サンダーバード」のジェット・モグラ(英名:MOLEはモグラのこと)はどちらに入るのでしょうか。新横浜公園北側園地のトンネルの主は「アズマモグラ」だと思いますが、西日本を中心に勢力を伸ばしている大型のコウベモグラというのもいるそうですから油断なりません。穴の大きさが4cmならアズマモグラ、5cmはコウベモグラとの話が自然観察関係のホームページに出ていました。
前回の新横浜公園生き物観察日記(64)はこちらをご覧下さい
★ 写真 ミツマタの花です。
撮影日時: 平成21年1月14日
場 所: 東ゲート橋リハビリセンター側緑地
ミツマタ(和名:三椏)です。枝先が三つに分かれるのが名の由来です。まだ蕾で植え込みの中では目立ちません。花が咲くのは少し先です。ミツマタはジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木で原産地はヒマラヤです。和紙の原料として知られています。和紙の材料としては他にガンピ、コウゾがありますが、ミツマタは日本の紙幣(お札ですね)に使用され、その優秀さは世界のトップレベルです。日本の紙幣の優秀さを支えているのは印刷技術と紙質です。和紙の優秀性といっても良いと思います。他の二つが紙幣の材料に選ばれなかったのは紙質の良し悪しと言うより、量が確保できるかがポイントだったようで、栽培容易なミツマタが選ばれたとのことです。
お札に使われるくらいだからさぞや高価と思いきや園芸店でも売っていますからたいしたことはありません。挿し木で増やすことも出来ます。
話は変わりますが、法人税法のなかに資産の評価をする省令「原価償却資産の耐用年数等に関する省令」というのがあり、その別表第四「生物の耐用年数表」の中にミツマタの「決定耐用年数」は5年と記載されています。コウゾは9年です。ミツマタを植えたら5年間は課税評価の対象となり、6年目で資産価値は0と言うことでしょうか?
では、5年と9年の違いは何でしょうか。樹の寿命? いや、賞味期限でしょうか。因みに一番長いのは36年の「柿」でした。
前回の新横浜公園生き物観察日記(63)はこちらをご覧下さい
★ 写真 ロウバイ(蝋梅)の花です。
撮影日時: 平成21年1月16日
場 所: 東ゲート橋リハビリセンター側緑地
ロウバイの花が咲いていました。藪の中で人知れず咲いていましたが、花の香りで分かります。ほのかに甘い香りが漂っていました。冬枯れの庭が安らぎます。
ロウバイの名の由来は、江戸時代に中国から日本に入ってきた時の中国名が「蝋梅」だったのでそのまま名前になったとのことです。中国から来たので「唐梅」とも言われます。
梅の名前が付いていますがバラ科のウメとは違います。ロウバイ科ロウバイ属の落葉低木です。ロウバイの花は中心が暗紫色、花びらが黄色ですが、全体が黄色に改良された園芸種もあります。その花の見た目どおり、ソシンロウバイ(素心蝋梅)と呼ばれます。庭に植えられるロウバイの大部分がソシンロウバイで、新横浜公園の蝋梅もソシンロウバイです。透明感のある黄色が好まれるのでしょう。同じ黄色でもレモンイエローに近いように思います。
どう言う分けか群生で植栽されることは稀ですが、埼玉県長瀞町の宝登山のロウバイ園は4?500本もの蝋梅で全山黄色に染まるそうです。花の季節には沢山の見物客で賑わうそうですが、蝋梅見物も「観梅」と言うのでしょうか。
前回の新横浜公園生き物観察日記(62)はこちらをご覧下さい
★ 写真 クマザサです。
撮影日時: 平成21年1月11日
場 所: 東ゲート橋共済病院側緑地
クマザサです。植栽地の「根じめ」に植えられたものが元気に育っています。その名の由来でもある隈取が鮮やかです。樹林地の明るくて乾燥気味の林床に適応した、高さが1?2m、人の背丈ほどにもなる大形の笹です。笹が繁茂するとその稠密な根により草や樹木の発芽が抑えられ樹林地の遷移が進まなくなります。日本にヨーロッパの平地林のような明るい見通しの良い森が少ないのは、林床を明るくすると笹が入り込んでしまうからだと言われています。
名前の由来でもある隈取(くまどり)は若葉の時には無く、冬になると葉の縁が枯れて隈取が出来ます。「熊笹」とも書かれます。
また、岐阜県北部の方では「野麦」とも呼ばれ、山本茂美のルポルタージュ「あゝ野麦峠」の題名にもなりました。明治期の飛騨の農家の娘たちが諏訪、岡谷の製糸工場に働きに行く話しで、日本の資本主義黎明期の女工哀史として有名です。映画にもなりましたから、娘たちの薄幸で健気な姿に涙した方も多いのではないでしょうか。
何故、野麦と呼ばれるのかはクマザサの実が麦の穂に似ているからだそうで、飢饉の時には食用にされたとの記録もあります。飽食の現在では考えられないことですが、今なら健康食品として棚に並ぶかもしれません。でも、美味しいのでしょうか。
前回の新横浜公園生き物観察日記(61)はこちらをご覧下さい
↑麦の芽立ちです ↑麦畑の今の様子です
★ 写真 麦の芽が出ました。
撮影日時: 平成21年1月5日
場 所: 北側園地の耕作地
麦の芽が出始めました。播種の時期が遅かったので発芽も遅くなりました。昨年度は10月24日に播き、発芽は29日頃からでした。今年度は12月12日に播き、26日頃から芽が出始めました。昨年度は播種から発芽まで5日でしたが、今年度は2週間くらいかかっています。一般的に麦は14?18℃で発芽しますが4℃以下では発芽しないと言われ、21℃以上になると成長障害を起こすと言われています。暑さより寒さを好む植物です。
植物の発芽、開花、結実、熟成時期を知る指標に「積算温度」と言うものがあります。植物の成長を気温の累積値で知ろうとするもので桜の開花予想やスイカの熟成時期を知るのに使われています。積算温度を基準にすれば、今年度、発芽までに時間がかかったのが理解できます。日本の冬は麦を枯らすほどの寒さにはなりませんが、本格的な寒さが来る前にしっかりとした株にしておくことが必要ですが、少し心配です。
でも、芽が出て、お目出度いと言うことで、本年もよろしく。
前回の新横浜公園生き物観察日記(60)はこちらをご覧ください