★ 写真 コトネアスターフロリバンダの冬の姿です
撮影日時: 平成22年12月22日
場 所: スタジアム2階マラソンゲート両側植樹帯
コトネアスターフロリバンダの赤い実がきれいです。コトネアスターフロリバンダについては以前観察日記で紹介したとおりですが(59号)、今年も沢山の赤い実をつけました。西日を受けると赤さが増しいっそう目立ちます。
赤い実をつける植物は沢山ありますが「縁起物(おめでたいもの)」となるとそんなに多くはありません。クリスマス関連だとホーリー(ヒイラギ、柊)でしょうか。でも、日本の柊はモクセイ科で赤い実は付けません。赤い実をつけるのはモチノキ科のヒイラギです。
日本でおめでたい植物と言えば「松竹梅」で決まりですが他にもあります。センリョウ(千両)、マンリョウ(万両)もお正月には欠かせません。他にもヤブコウジがあります。
ヤブコウジ科の小低木で2、3個の赤い実をつけます。新横浜公園では見たことありませんがこの植物がなぜ目出度いのかと言うと、落語の「寿限無」と言う話に出てきます。わが子の幸せを祈って付けた名前が長すぎて困る親の話ですが、その名の中に入っています。「やぶらこうじのぶらこうじ」がそれで「薮ら柑子のぶら柑子」の意味で「薮ら柑子」がヤブコウジのことです。ヤブコウジは古典園芸植物で江戸時代に改良が進み、当時とても高価な植物だったそうです。子供がお金に困らないようにとの親の願いでしょうか。
★ 写真 キンクロハジロです
撮影日時: 平成22年12月1日
場 所: 北側園地投てき場北側減勢池
新横浜公園北側園地の減勢池に渡り鳥の姿が目に付く季節となりました。
この鳥は渡ってきたばかりなのでしょう、羽色にも艶がなく疲れているようにも見えます。その割に人を警戒しません。餌でも貰えると思ったのか近くの水面を泳いでいましたが、そのうち見えなくなりました。長旅でお腹がすいていたのでしょうか。
キンクロハジロの雌です。カモ目カモ科の冬鳥です。
少し前のことですが、探鳥会でこの鳥の名前の覚え方を教えてもらったことがあります。目の色が金色だからキン、頭が黒いからクロ、羽が白いからハジロ、で合わせるとキンクロハジロ、とても分かりやすい名前だと思ったのを思い出しました。
日本に飛来する渡り鳥(冬鳥)の多くはシベリアで繁殖し、寒さを避けて日本に来ますが渡り鳥と言えばスェーデンの作家セルヌ・ラーゲルレーブの「ニルスのふしぎな旅」を想い出します。小説よりもNHKで放映されたアニメでご存じの方も多いと思います。ニルス少年が相棒のガチョウのモルテンとガンの群れといっしょにラップランドを目指す話ですが、このキンクロハジロにもそのようなドラマがあったのでしょうか。こんな小さな体に何千キロもの旅のできる体力があるのが不思議です。
★ 写真 ブロッコリーです
撮影日時: 平成22年12月 8日
場 所: 北側園地バタフライガーデン
ブロッコリーです。アブラナ科の野菜です。なぜ、こんなものが新横浜公園に植わっているのか不思議ですが、観察用に新横浜町内会のグループの方が植えました。八百屋に行けば何時でも手に入れることのできる野菜ですが育っている姿を見た人は少ない、まして花の咲いている姿を知っている人はもっと少ない。と言うことで植わっています。食用ではなく教材用です。地中海地方が原産地で元をただせばキャベツと同じです。キャベツは葉を食べるために改良され、ブロッコリーは花(蕾)を食べるために改良されたものです。
同じ親からいろんな子供が生まれたということですが、人間の行う品種改良はこんな形の野菜を作ってしまうのです。ブロッコリーが私達の食卓に上がるようになって間もないのですが、くせのないのが好まれ、今では料理の付け合わせにも使われています。
丸くなった花序が食べるところです。花序とは花の並び方のことですから春になると緑
のボールが黄色に変わります。それもいびつな円形になります。ブロッコリーは西洋野菜ですが、世界で使われているブロッコリーの種子の60%は日本の種苗会社「サカタのタネ」産です。ブロッコリーの種子生産量は他の穀物野菜に比べ多くはありませんが60%のシェアは凄いと思いませんか。ナンバーワンと言うよりオンリーワンの世界です。
★ 写真 カイツブリ、写真の右上に見えます
撮影日時: 平成22年11月30日
場 所: 北側園地投てき場北側減勢池
どちらかと言うと夏鳥です。関東以北では寒くなると暖かいところに渡るそうですがこの鳥は何処から来たのでしょうか? それとも新横浜公園に居ついていたのでしょうか。
カイツブリの分布域は広いのですが、世界に20種くらいしかいません。その中で日本で繁殖するのは3種(カイツブリ、アカエリカイツブリ、カンムリカイツブリ)だそうです。
カイツブリ目カイツブリ科の小さな水鳥ですが潜水の名手でもあります。小さい体ですばしこい動きをするのでバードウオッチャーにも人気があります。
カイツブリの名の由来もその泳ぎ方「掻きつ 潜りつ」がなまってその名になったとか、「ツブリ」は水に没する音とか諸説あるようですが、どれも潜水する動きに由来しています。その巧みな泳ぎの秘訣はその足にあります。水鳥の多くは「水かき」をもっていますが、アヒルやカモの足は「蹼足」(ぼくそく)足指の間に膜があるタイプですが、カイツブリの足は「弁足」と呼ばれるタイプで、足指の先に団扇のような膜がついています。足指が独立して動くので、水を掻いた後、素早く足を抜く事ができ、水の抵抗を減らすことができるそうです。泳ぎの犬掻きとクロールの差でしょうか。
ただ、泳ぎは巧みですが飛ぶのは上手くないそうです。天は二物を与えないのですね。
★ 写真 小菊が咲きました
撮影日時: 平成22年11月18日
場 所: スタジアム西側U字橋下
スタジアム西側の花壇に小菊が植わっています。重陽の節句(菊の節句とも言われ新暦で今年は10月16日)はとっくの昔に終わったのに新横浜公園の菊は今が盛りです。でも、この菊、何か変だと思いませんか。下にばかり花が咲き、上には蕾もありません、あっても疎らです。植物には日照時間の長短によって花が咲いたり咲かなかったりする性質があります。このような性質を「光周性」と言います。日に長く当たると花が咲く植物を「長日植物」、逆を「短日植物」と言います。短日植物の代表的なものが菊やコスモスです。菊は短日植物ですから日照時間の短くなった秋に咲きます。菊の下側を見ていただければお分かりいただけると思います、満開です。では、上側はどうなったかと言うと、この菊の上に街灯があるのです。街灯は暗くなると点灯されます。と、言うことは日が沈まない状態が続くことになり短日植物の菊は花を咲かすことができないのです。花が咲いているところは街灯の陰になったところです。今、街には「安全、安心」のために沢山の灯りが点いています。その明かりがこんな悪戯もするのです。
この性質を利用したのが「電照ギク」で、春でも日照時間を減らすことにより花を咲かすことができます。花屋さんに行けば菊は一年中、手に入れることができます。
★ 写真 ヒメジュウジナガカメムシです、名前のとおり長い名前です
撮影日時: 平成22年11月14日
場 所: 北側園地減勢池側植栽地
朝夕の気温も下がり、昆虫には辛い季節が近づいてきました。冬籠り(ふゆごもり)の準備でしょうか、沢山のカメムシが集まっていました。半翅目ナガカメムシ科の昆虫です。オレンジと黒の派手な模様で目立ちます。似たような模様の虫にナガメ、ヒメナガメがいますが、こちらはカメムシ科に分類されます。カメムシの体型は角ばったのが多いように思いますが、ヒメジュウジナガカメムシの方はその名の通り少し体長が長くほっそりとした印象を受けます。ジュウジナガカメムシと言うのもいますが、それより小さいの意味でしょう。でも、比べてみないとよく分かりません。
カメムシはその色合い、形のバリエーションが豊富なので昆虫愛好家には人気がありますが、一般の人の受けは良くありません、米作農家からは米の等級を落とす害虫として嫌われるのは仕方がないとしても、嫌われる原因はその匂いです。触るとかなり強烈なにおいを発します。この匂いは敵を脅かすだけでなく、自分自身をも死に至らしめるほどのものだそうです。でも、匂いの好みには個人差があり、一概にカメムシの匂いが悪臭とは言えません、事実、その刺激臭が好まれカメムシを食べる文化も世界にはあるのですから。蓼食う虫も好きづきの言葉もあります。
★ 写真 トウカエデ(唐楓)の紅葉です
撮影日時: 平成22年11月18日
場 所: スタジアム西側チケット売り場横
紅葉は10月の季語ですが、スタジアムの木々はこれからが紅葉、黄葉の盛りです。紅葉は「もみじ」とも読み、もみじは楓のことでその鮮やかさは古来多くの人を魅了してきました。モミジはサクラと並んで日本人が好む樹木の一つです。トウカエデはカエデ科カエデ属の落葉樹ですが、その名の通り中国原産です。日本には江戸時代1721年(享保7年)に清国から将軍家へ献上品として入ってきたとの記録があります。テレビ時代劇「暴れん坊将軍」8代吉宗の時代です。献上品のトウカエデ6本は2か所に分けて植えられました。1か所は(現)小石川植物園(1本)。もう1か所は(現)都立浜離宮恩賜庭園(5本)で、浜離宮の5本は現存しているそうですが、真贋については分からないと「マイタウン東京」というホームページに出ていました。小石川植物園の樹は枯れて、今はないとのことです。徳川吉宗は「享保の改革」を行った将軍で、緊縮財政と共にいろんな殖産事業も起こしています。隅田川の土手にサクラを植え庶民の遊興の地にしたのも吉宗だそうです。吉宗の改革には厳しい半面息抜きができるような工夫もあったのです。新横浜公園のトウカエデはまだ若い木ですが、吉宗のトウカエデの末裔と言うことになるのでしょうか。トウカエデは気候条件が悪くてもきれいに発色します。山より街が似合う樹です。
★ 写真 オオハナアブです。
撮影日時: 平成22年10月22日
場 所: 北側園地減勢池側の緑地
今年の秋は短く、夏の暑さの記憶を残したまま冬の到来です。ここ数日は寒い日が続いています。北側園地の草も実りの秋を過ぎ、花の数も少なくなりました。残り少ない花(セイタカアワダチソウ)にオオハナアブ(ハエ目ハナアブ科)が来ていました。黒くて腹部の黄褐色の帯が目立ちます。ハナバチかと思いましたがアブでした。
アブと言っても吸血性のウシアブ等とは違います。人畜に害など与えないと言うより、受粉の手助けをする有用なアブなのですが、消毒を専門とする会社のホームページには「不快害虫」として防除対象となっています。その理由「刺したりするわけではないが、ハチと間違えられて恐怖感や不快感を生じさせる。また、花に多数飛来するので人の多く集まる施設では騒ぎになることがある」。書いてある内容はそのとおりなので文句のつけようもないのですが、ハナアブには同情します。それだけでなく、幼虫時のことまでとやかく言われています。「幼虫は下水溝や便池(肥溜めのことです)などの汚れた水中に生息する。長い尾を持つ異様な姿」云々、確かに、その通りですが「異様な姿」は言いすぎではないでしょうか。別にすき好んで汚れた水中にいる訳ではない。汚い水をきれいにしていることを少しは分かってほしいとハナアブに代わって言います。
★ 写真 ハナバチです。
撮影日時: 平成22年10月22日
場 所: 北側園地減勢池側緑地
ハナバチの一種、トラマルハナバチです。コスモスの蜜か花粉を食べに来たのでしょうか。ハチ目ハチミツ科のハナバチですが、ミツバチのような大きな群をつくることはありません。巣も地面の下にネズミやモグラが掘った穴を利用して10から20匹程度が女王蜂を中心に暮らしているそうです。何となく平家の落人伝説を彷彿とさせる暮らしぶりのようですがハナバチの有用性は言うまでもありません。受粉で多くの植物がお世話になっています。ハナバチの仲間は世界で250種、日本では15種くらいいるそうです。その中でもトラマルハナバチはサクラソウとの関係で良く知られています。小学校5年の国語の教科書にも載っています。トラマルハナバチがいないとサクラソウは受粉できず実をつける事が出来ないと言う話です。サクラソウは宿根草ですから株分けで生息域を広げる事が可能ですが、一つの株から出来た群落は外圧に弱いと言われています。このような株をクローンと呼びます。クローン技術(挿し木もそうです)は農業や園芸では一般的な技術です。人間が栽培しますから栽培条件や病害虫はコントロールできるので優良なクローン苗の方が栽培管理も楽で生産性も高く好まれます。でも、野生となれば話は違います。クローンの群落は何が起こるか分からない自然の中ではとても不安定な状態にあるのです。
★ 写真 コガネグモです。
撮影日時: 平成22年10月22日
場 所: 北側園地減勢池側緑地
コガネグモ(クモ目コガネグモ科)、阪神タイガース仕様でよく知られたクモです。
北側園地のコスモスの植え込みにネットを張っていました。よく似たクモにジョロウグモがいます。同じような造網性(網を張ること)のクモで、昔はジョロウグモもコガネグモと同じ科でしたが、今はジョロウグモは「アシナガクモ科」に分類されてしまいました。
分布や生態もよく似ていますがジョロウグモの方がその名(女郎蜘蛛)の通りほっそりしているように思いますが、どうでしょうか。
違うところは形態を除けば、活動時期でコガネグモは初夏。ジョロウグモは秋のころにに成熟し活発に活動すると図鑑には書いてありますが、今は秋、このコガネグモは出遅れてしまったのでしょうか。他にも、ネットの大きさはジョロウグモの方が大きいようですがネットの中心に白いジグザグ模様をつけるのはコガネグモだけです。この模様は「隠れ帯」とも「白帯」とも呼ばれクモの姿を隠すためのものと言われています。映画に出てくるスパイダーマン顔負けの隠れ技ですが、本家はこちらです。
★ 写真 ワタの実がはじけ始めました
撮影日時: 平成22年10月3日
場 所: 北側園地植栽地
ワタ(アオイ科ワタ属の1年草)の実がはじけ始めました。今年の8月は猛暑日の続く暑い夏でした。ワタも水切れで枯れてしまうのではと心配しましたが9月前半、台風9号の雨で生育も持ち直しました。
暑さ、乾燥には強いようです。同じような夏の花、ヒマワリの葉は暑さで黒く枯れているのにワタの葉は青々としています。
和綿は14世紀に朝鮮半島経由で日本に伝来しました。元号で言うと室町時代です。その後、関西を中心に栽培が盛んになりますが庶民の間に広まったのは江戸時代も後半になってからのことだそうです。では、庶民と言われる人たちはそれ以前にはどのような物を着ていたのでしょうか。柳田国男「木綿以前の事」には麻が多く用いられていたとのこと。
麻は通気性が良く湿気の多い日本の気候には合っていたようですが繊維が固く着心地については木綿に一歩譲るそうです。武士の正装、裃(かみしも)に付ける肩衣(かたぎぬ)は麻で出来ています、固い繊維でないと三角定規のようなあの線は出ません。
今は安くて質の良い木綿が下着や雑貨として私たちの身の回りに溢れるようにありますが、それらは皆、輸入品です。残念なことに和綿の出番はありません。
★ 写真 オオタカの食痕です
撮影日時: 平成22年9月30日
場 所: 北側園地運動広場の減勢池側植栽地
オオタカ?(だと思います)の食痕です。襲われたのはドバトでしょう、灰色の羽が散らばっていました。狩りも午後12時から午後3時の間に行われたと考えられます。なぜなら、12時前にこの前を通った時には何もありませんでしたから。羽についた肉片の色も鮮やかで、むしられた羽も泡立つように盛り上がっていました。
新横浜公園が猛禽類の狩り場として有効に機能している証明でもあります。このような光景は年に1回くらいは見る事が出来ます。電線などの障害物がないのが良いのでしょう。
今さらですが、オオタカは環境省のレッドデータブックの絶滅危惧種の一つですが、ランクについては平成18年(2006)の改定時に絶滅危惧種(VU)から準絶滅危惧種(NT)に変更されました。絶滅の危機から一歩脱したということで、うれしいことです。
ただ、手放しで喜べるかと言うとそうでもなくて、準絶滅危惧種(NT)の定義は「これからの環境変化で危険が高まってくる種」で危険な状況であることには変わりありません。
人間の経済活動がオオタカの生息地、生息数を減少させたのは間違いありません。人間が生き物との付き合い方を変える時期に来ています。人間が少し身を引くだけで他の生き物はずいぶんと暮らしやすくなるのではないでしょうか。
★ 写真 赤とんぼ(アキアカネ)です
撮影日時: 平成22年9月29日
場 所: 北側園地1号水路下流側
アキアカネ、トンボ科アキアカネ属のトンボで「秋の風物詩」の一つです。
近縁種にナツアカネ、タイリクアカネ等々いますが体色が赤ければみな赤とんぼです。
ただ、タイリクアカネはその名の通り大陸に生息する種類でシベリア沿海州のほうから季節風に乗ってくるので関東地方、神奈川県で見かけることは稀とのことです。
アキアカネは暑さに弱く気温が30℃を越えると生存できなるとのことで、夏になる前に涼しい山岳地帯に移動することが知られています。もうずいぶん前のことですが知人が7月に飯豊連峰に登山に行った時、トンボの大群に遭遇した話をしていたのを想い出しました。トンボの大群は山の斜面を地表面を這うように、谷底から湧き上がるように山頂を目指して飛んで行ったとのことです。その時間5?6分のことだったそうですがトンボの洪水のような大群を見たのは初めてだと言っていました。それがアキアカネだったかどうかは聞き忘れましたが間違いないでしょう。
そんな普通種のアキアカネも全国的に見れば減少傾向にあり、その原因は都市化による水田の減少、水田の乾田化、農薬、温暖化による環境変化等々が考えられますが、はっきりしたことはまだ分からないそうです。でも、トンボの飛ばない秋の空は寂しいです。
★ 写真 クズの花が咲きました
撮影日時: 平成22年9月13日
場 所: 北側園地保護区
クズの花です。マメ科のつる性の多年草、秋の七草の一つでもあります。
旺盛な繁殖力で空き地や河川敷を覆ってしまうので管理者からは厄介者あつかいです。
クズは高蛋白の牧草、斜面緑化の材料として外国にも広まりました。有名なのが194
0年頃の米国、ルーズベルト大統領のニューディール政策の一つ「テネシー川流域総合開
発計画」TVAの略称でよく知られていますが、そのダムの工事跡や斜面の緑化にも使わ
れたことです。そこまでは良かったのですが、その強健さで他の牧草地や樹林地に入り込
み、今では害草としてIUCN(国際自然保護連合)が決めた「世界の侵略的外来種ワー
スト100」に入っています。でも、クズの根からは良質のデンプンがとれます。葛粉の原材
料ですが、今は葛の根を掘る職人も少なくなり、台湾や中国からの輸入が増えているそう
で奈良の「吉野葛」は高価な食材です。ブランドとしては吉野葛が有名ですが、他にも産
地の名のついた葛粉は全国に沢山あります。静岡県・掛川葛、福井県・若狭葛、福岡県・
秋月葛等々。食べ方も「葛切り」「葛餅」どちらも和風の甘味には欠かせません。漢方の風
邪薬「葛根湯」もありました。
増えて困っているのなら米国産の葛粉として日本に戻ってこないものでしょうか。
稲の穂が出始めました。この時期のことを稲の生育段階で「出穂期」と言います。稲の花が咲き花粉が飛び、結実する大切な時でもあります。この時期の大風は稲の穂を痛め結実を阻害するので嫌われます。この時期「二百十日」(立春から数えての日数のこと、今年は新暦の9月1日がそうでした)は台風来襲の時期に重なるので要注意です。
稲は風媒花ですから強風は花粉を遠くまで飛ばしてくれるので稲にとって好都合のように思われますが、稲の受粉方法は「自家受粉」なので大気中に飛んでいる花粉はあまり必要とされないのです。綺麗な花を咲かす植物の多くは「他家受粉」でこちらは花粉を運ぶ昆虫の手助けがなければ実がなりません。イチゴ栽培のビニールハウスの中にミツバチの巣箱が置かれているのがそれですね。ミツバチがいないと良いイチゴは出来ません。
自家受粉は確実に受粉できるのでイネにとっては良いのですが、人為的に品種改良をしようとすれば厄介な障壁となります。違う品種との交配が難しいのです。稲の品種改良は江戸時代から行われていますが、その方法は篤農家(とくのうか)と呼ばれる人たちが自分の田んぼの稲を選抜淘汰して長い時間をかけ作り上げてきたものです。
もっとも最新技術の「遺伝子組み換え」なら他家、自家関係ありませんが。
★ 写真 ヒマワリの花の季節は終わりですが、これからが実りの季節です
撮影日時: 平成22年9月9日
場 所: 北側園地野球場ホーム側緑地
台風9号の豪雨が恵みの雨となって、ヒマワリもほっと一息です。暑さには強い植物ですが今年の暑さにはさすがに参ったようです。キク科ヒマワリ属の1年草で北アメリカ原産。アメリカ先住民が食用として栽培していたのをスペイン人が母国に持ち帰り、その後世界に広がりました。500年も前のことです。ただ、その有用性が知られるようになったのはロシアあたりまで栽培区域が広がった後のことだそうです。
盛夏、上を向いていた花も花弁が枯れると下を向き1カ月くらいで実が入ります。このように下を向くヒマワリの姿を見て数学者岡潔は「考えている姿がよい」といったとの話を小説家藤本義一が「雨のひまわり」と言う小説に書いています。岡潔は日本を代表する高名な数学者で名文家でもありますが、奇行の人でもありました。
そのような人への取材をベースにした小説ですから、対談の名手と言われた藤本義一でも、かなりてこずったのでしょう。何しろ相手は寡黙の人で対話にならないのですから。
対話にならない対話に疲れ、話のネタも尽きた作者が苦し紛れに、先生はどんなお花がお好きですかと聞くと、ヒマワリが好きだとの答えが返ってきます。意外な答えにその理由を問うと、前に言った答えが返ってきます。太陽の光を一身に浴びたヒマワリではなく、盛りを過ぎ、実りの時期を迎え頭を下げた姿に難解な数式を解く自分の姿を投影しての言葉だったのでしょうか。
ヒマワリの花を見ると何時も、この話を想い出します。
★ 写真 アカミミガメの子どもです。
撮影日時: 平成22年8月25日
場 所: 北側園地1号水路上流部
どんな生き物でも子どもは可愛いものですが、この姿を見て可愛くないと思う人はかなりのへそ曲がりです。
ミシシッピーアカミミガメ(ヌマガメ科アカミミガメ属、北米産の外来種)の子どもです。親は要注意外来生物とか、
在来種の生存を脅かすとかいろいろ言われて肩身の狭い思いをしていますが亀に罪はありません。もとはと
言えば人間が運んできたのですから。人間って勝手です。
この写真では分からないと思いますが、この時期、北側園地は暑さと乾燥で砂漠状態です。
乾燥した地面の温度は50℃近いのではないでしょうか。その中を新天地求めて、まさに亀の速度で移動していました。
新横浜公園生まれです、国籍JAPAN。
ガラパゴス島の陸ガメならいざ知らず、ミシシッピーアカミミガメは水辺の生き物です。
泳ぎは得意ですが歩くのは苦手です。それも生まれたて? 体長2?足らずの甲羅もまだ柔らかい
ミドリガメです。近くの水路は干上がって自慢の緑色の甲羅は土埃で白っぽく汚れ途方に暮れてい
るように見えました。
この姿を見て黙って通り過ぎるほど薄情ではありません。減勢池の水辺に放してやりました。
生き残れるでしょうか。それでは GOOD LUCK 幸運を祈る。
★ 写真 コニシキソウ(小錦草)です
撮影日時: 平成22年8月22日
場 所: 新横浜公園北側園地
コニシキソウ(トウダイグサ科ニシキソウ属)北米原産の帰化植物です。畑地雑草としてもよく知られています。名の由来は小さなニシキソウ(錦草)です。在来種でニシキソウと言う草があり、それより小さいのでその名がつきました。錦織りの錦ならとても綺麗な名前をもらったことになります。因みに「小」があれば「大」もあるのかと調べたらオオニシキソウと言うのがありました、コニシキソウと同じく北米産の帰化植物です。北側園地にも沢山生えています。
コニシキと言えば大相撲の元大関「小錦」を連想しますが、角界、最重量の関取のしこ名が小錦と言うのも不思議です。でも、しこ名と言うのは相撲部屋が代々引き継いでいくもので力士の体型でつけるものではありませんから不思議でもなんでもないそうです。
小錦も明治時代の横綱のしこ名(小錦八十吉)をそのまま引き継いだのだそうですがフルネーム(名字+名前)でしこ名とは知りませんでした。小錦関の得意技は押し出し、突き出しでしたがコニシキソウの得意技は「張り付き」でしょうか、地面にピッタリと張り付かれると引き抜くのにも一苦労です。外国出身者が強いのは相撲だけではありません。
★ 写真 セミ(蝉)の抜け殻です。鈴なりです
撮影日時: 平成22年8月19日
場 所: 日産スタジアム東側植栽地
季節もののネタとしては少し遅いように思いますが、セミの抜け殻です。
種類はアブラゼミです。日本には30種くらいのセミがいますが、私たちが目、耳にするのは5?6種類で、アブラゼミはその中でもよく見られるものです。成虫は大型で羽の色が茶色で不透明なのですぐわかります。新横浜公園でもよく目にする種類です。夏の暑い盛りの昼前後に鳴き、その音量は「蝉しぐれ」とも言われます。しぐれは「時雨」で降る雨のように鳴き声が降ってくる様を表した言葉ですが、今はそのような沢山のセミを見、聞くことも少なくなりました。それに、同じ「蝉しぐれ」でも関東と関西ではセミの種類が違うかもしれません。関東ではアブラゼミが多数派ですが、関西ではクマゼミの方が優勢です。体の大きさはほぼ同じですが、クマゼミの鳴き声の方が大きいように思います。昔、クマゼミは箱根より東にはいないと言われていましたが、今は東京、神奈川でも見、聞く事が出来ます。その原因については諸説ありますが、地球温暖化の影響により生息区域を北に広げてきたのではないかとの説が有力です。
セミは照度(明るさ)によって鳴く時間を分け、棲み分けをしています。確かに同時に鳴かれると混線しそうですが、人間世界と同じで大きな声の方が勝つのでしょうか。
★ 写真 オトコエシ(男郎花)です
撮影日時: 平成22年8月19日
場 所: 新横浜公園北側園地
北側園地の植物もこの暑さと乾燥で元気がありません。
でもその中で白い花を咲かせている草があります。「オトコエシ」です。オミナエシ科の多年草です。オミナエシ(女郎花)に対してオトコエシですが当て字にしても「男郎花」をオトコエシとは無理があるように思いますが、どうでしょうか。女郎の意は遊女のことですが、美しい女の意もあるそうです。そうであればいい男の意で「男前」とか「男伊達」をつけて「男前花、男伊達花」をオトコエシと読むのも一興だと思いますが、まあ、どうでもいい話です。忘れてください。
このオトコエシは群馬県昭和村の教育長だった角田さんから頂いたものです。送っていただいたオミナエシの種の中に入っていました。播いて3年目です。
オミナエシは秋の七草のひとつで良く知られていますが、オトコエシの知名度は今一つです。でも、薬草としての薬効(腫れものの解毒)もあり、山菜としても利用できるとのことです。若い芽を天ぷらにしたり、おひたしにしてもおいしいそうです。
夏枯れのこの時期、北側園地ではオトコエシの花は貴重です。白い花の食卓に多くの虫たちが集まっています。結構頼りにされています。
★ 写真 スベリヒユです。暑さに負けない草です
撮影日時: 平成22年8月9日
場 所: 新横浜公園北側園地
スベリヒユ(ナデシコ目スベリヒユ科)南アメリカ原産。畑地雑草の中でも多肉質で乾燥に強く難防除雑草と呼ばれ農家の人からは嫌われています。
でも、その強健さゆえに人の記憶に残っていることがあります。戦後の食糧難の時に食べたことがある、と言う話です。でも、どんな味がしたのでしょうか。
空腹と貧しい食卓に少しでも彩りを添えてくれたのでしょう、でも、感謝の言葉を聞いたことはありません。美味しくなかったのでしょうか。
今は飽食の時代、無理して食べるような物ではないのでしょう。健康に良いという話も聞きません。その代わり「ハナスベリヒユ」と言う花が最近、園芸店の店先をにぎわせています。ハナスベリヒユと言うより「ポーチュラカ」と言う名の方が馴染みがあるかもしれません。同じ科の「マツバボタン」に似ていますが、マツバ(松葉)ボタンは1年草。スベリヒユは多年草(冬越しできればですが、寒さには弱いのです)で栽培も簡単です。花色、花形は、まだ、マツバボタンに一日の長があるように思いますが品種改良が進めば
そのうちきれいな花を咲かせる難防除雑草として北側園地に君臨する時代が来るかもしれません。そんなことになったらどうしましょう、悩みが一つ増えました。
オオミズアオ(チョウ目ヤママユガ科)です。大きな蛾です。サツキツツジの植え込みの中に風を避け
るように止まっていました。
蛾の多くは夜行性で昼間目にすることは少ないのですが羽化したてでしょうか、枝を揺らしても動きま
せん。姿が三角翼のステルス戦闘機にも似ているように思いますが、例えが無粋ですね。
オオミズアオの学名は「Actias artemis」でartemisはギリシャ神話の女神アルテミスに由来します。
アルテミスは月の神で太陽神アポロンの兄弟神でもあります。蛾の多くは夜行性ですから月の神の
名がふさわしいと考えられたのでしょうか。
ところが、最近の研究で(2008年)日本のオオミズアオ(オオミズアオ・本州・九州・対馬亜種)は外国
にあるオオミズアオの基本標本とは違う種であることが分かり学名も「Actias aliena」に変更になった
とのことです。alienaは「他所の、外国」の意味だそうですが、まさか月のことではありませんよね。日本
の蛾ですから月つながりで「かぐや姫」に因んだ名がつくと良いのにと思ったりします。今回の場合、
亜種名が種名に格上げになったということですが、変わらないことが基本の分類の世界も変わるん
ですね。
★ 写真 カマキリ(蟷螂)の子どもです。
撮影日時: 平成22年7月30日
場 所: 日産フィールド小机外周植栽地
カマキリ(カマキリ目カマキリ科の肉食性昆虫)です。今年生まれたのがこんなに大きくなりました。カマキリは日本に2科9種がいますが、これはハラビロカマキリの幼生です。子どもながら獲物を狙う姿にはハンターの凄みがあります。と言うのは嘘でとてもかわいい姿をしています。こんな姿を見ると「蟷螂の斧」の言葉を想い出します。自分の力ではとてもかなわないような敵にたち向かうことの意味ですが、向う見ずなニュアンスが強く、ほめ言葉とは言えないでしょう。でも、この言葉にまつわる故事はそれとは少し違います。カマキリの名誉のために少し書きます。
中国の古代説話集「韓詩外伝」に書かれた故事では、斉の荘公(春秋時代、斉25代目の君主)が狩に向かう途中、荘公の馬車の前に立ちふさがる虫を見つけ、従者に虫の名を尋ねたところ従者が「この虫はカマキリと言い、前に進むことしか知らなく退くことを知りません、自分の力のほどもわきまえず一途に敵に当たる奴です」と進言したところ、荘公は「この虫が人であったら、天下に並びなき勇者となったであろう」と言って馬車を戻させたということです。荘公と言う人は武を尊び配下にも勇敢な武人が多かったそうです。兵の士気を鼓舞する言葉としてカマキリを使ったわけですが、褒められていますよね。
★ 写真 イラガの幼虫です。幹に2匹いますが下の方は繭をつくり始めています。こ
の暑い中、越冬の準備でしょうか? 幼虫の周りに脱皮後の繭が見えます
撮影日時: 平成22年7月30日
場 所: 第一レストハウス横の植樹帯
ヒロヘリアオイラガ(チョウ目イラガ科)の幼虫です。日本に27種類くらいのイラガがいると言われていますが、このイラガは新参者、簡単に言えば外来種です。原産地は東南アジアから中国南部で1920年ころに鹿児島県で確認され、その後、日本を北上し1990年から2000年の間に神奈川、東京まで生息範囲を広げているとのことです。
普通イラガはカキなどの落葉樹を食害するものとばかり思っていましたがヒロヘリイラガはシラカシ等の常緑樹も食害します。新横浜公園でもシラカシ、サクラ、カエデを食害しています。食べ方も葉脈を残し葉を透かすような食べ方をしますからすぐわかります。そのような葉を見たら要注意です。イラガはチャドクガと並んで有毒害虫と呼ばれています。その理由は刺されるととても痛いからです。駆除方法は早期に発見して毛虫の付いている葉をとってしまうことです。早い時期だと1枚の葉に小さな幼虫が群生しているので効率的です。
大きくなった毛虫は叩き落とします。落とされた毛虫に樹を登る力はありません。イラガの足は地面を歩くようには出来ていないのです。ほっておいても死んでしまいます。
※現在はきちんと駆除しています。
↑ カルガモの親子です。草むらを匍匐前進中です
↑ 園路の上を整列歩行中。これが本当の「カルガモ走行」です
★ 写真 カルガモの親子です。
撮影日時: 平成22年7月8日
場 所: 北側園地減勢池側緑地
この時期、新横浜公園で目撃例の多い生き物です。観察日記に登場するのも4回目です。
このカルガモの親子は観察日記124号で紹介した卵の雛たちです。6月28日に巣離れを
し、もう、こんなに大きくなりました。
親子連れで園路を横断してゆく姿はいつ見ても心温まる光景です。のんびりしている様
に見えますが、親鳥は園路を横断する時には首をのばし左右確認を怠りません。人影があ
ると草むらに戻り人が通り過ぎるのを待ちます。交通ルールを知っているかのようです。
そういえば、交通用語の中に「カルガモ走行」と言うのがあります。短い車間距離で行
う連続走行のことで、その姿をカルガモの親子連れに見立ててのネーミングで車群走行と
も呼ばれています。燃費向上、交通混雑緩和に効果があるとのことですが、前の車にピタ
ッとはり付き料金所を通過する不正走行も「カルガモ走行」と呼ばれています。でも、こ
れはカルガモには罪のない話です。
先頭の車を風よけにして走るのはF1レースや自転車競技の団体戦ではよく見かける光
景ですが新横浜公園のカルガモ走行、いや、歩行はそんな慌ただしさとは無縁です。
★ 写真 アマガエルの卵です。
撮影日時: 平成22年6月27日
場 所: 北側園地稲の植わっている田んぼ
ニホンアマガエル(両生網無尾目アマガエル科)の卵です。ヒキガエルの卵に比べてとても小さく感じます。体の大きさが違いますから当たり前と言えば当たり前の話。
いつ産卵したのか分かりませんが13日以降であったのはまちがいありません。13日は田植えをした日ですから、それ以前に産卵できるはずもありません。
少し前の話ですが、新横浜公園にはアマガエルがいないとの話をしたら新羽の農家の方がうちの田んぼには鳴き声がうるさいほどいるから今度持ってきてあげる。という話があり田植え後の田んぼに10匹くらいのアマガエルを放していただきました。
そのアマガエルが生んだのは間違いないと思いますが、黒い胚の部分が細長く変形し始めているのもあります。ものの本によると卵は2?3日で孵化しオタマジャクシになるそうですから産卵はそんなに前のことではなさそうです。
ニホンアマガエルは日本の水田耕作に適応した身近な生き物の一つですが、最近ではあまり見かけなくなった生き物でもあります。土地利用の変更に伴う水田の減少が一番の原因とのことですから新横浜公園の田んぼがニホンアマガエルの安住の地となることを祈っています。でも、チョット狭いでしょうか。
★ 写真 モクゲンジの開花です。
撮影日時: 平成22年6月18日
場 所: 東ゲート橋労災病院側緑地
今年もモクゲンジ(ムクロジ科モクゲンジ属)の花が咲きました。
一年一度のいつもながらの花の姿ですが、そのたびに人が足を止め樹を見上げます。それくらい目立ちます。木も年々大きくなっています。
私たちはモクゲンジの花の色、形にしか興味を持ちませんが中国広東省中山市の農村部では旧暦4月8日の浴佛節(お釈迦様の誕生日)にはモクゲンジの葉を粉にして餅をつくり祝う習慣があったそうです。モクゲンジ餅は熱を下げ、体内の毒を消す効能があるそうで、日本で言うとヨモギ餅のようなものなのでしょうか、お釈迦様の誕生日の祝い方も宗派や地方によって違います。狭い日本でもそうなのですから広い中国ではもっと変わった祝い方をすることもあるのかもしれません。
でも、モクゲンジの木はお寺の境内に多く見ることができ、実は数珠の材料になるとのことですから仏教と縁の深い樹木なのは間違いありません。そう思って見るとお釈迦さまにふさわしい樹木に想えてきますから不思議です。広東省中山市のモクゲンジも今頃、黄色い花を咲かせているのでしょうか。
★ 写真 「長井古種」と言う品種名のハナショウブです。
撮影日時: 平成22年6月14日
場 所: スタジアム西側堤体下
去年より約1 週間遅れで関東地方も梅雨入りしました。雨が似合う花と言えばアジサイ
でしょうか。アジサイの葉にカタツムリはおなじみの図柄です。
もう一つ、ハナショウブ(アヤメ科アヤメ属)も欠かせません。花菖蒲は江戸時代に栽
培が普及した古典園芸植物の一つです。涼しげな青や紫の花は梅雨時の一服の清涼剤でも
あります。今では品種改良が進み地域固有の系統はあまり言われなくなりましたが江戸系、
伊勢系、肥後系は今も健在です。花菖蒲は日本だけでなく米国でも人気があり改良されて
「外国系」品種として里帰りしています。花も大きく、色も派手です。
でも、新横浜公園に咲いている花菖蒲はそのような改良とは無縁のハナショウブです。
その名も「長井古種」山形県の長井市で発見された江戸中期のハナショウブの特徴を残
している種類だそうで、それで「古種」の名が付いています。原種ではないということで
しょうか。
山形県長井市のあやめ公園には長井古種の30品種が選抜保存されています。
粗放な栽培にも耐える強健な性質と、楚々とした小柄な花は茶花としても人気があり愛
好家も多いそうです。
← 子連れのカルガモです
← ?カルガモの卵です
★ 写真 カルガモの親子と巣と卵です
撮影日時: 平成22年6月10日
場 所: 北側園地第二グランド横の水路と麦畑の脇
今回の観察日記はカルガモ二題です。
まず一話、手前の草が邪魔をしてよく見えませんが親子連れのカルガモです。
カルガモ(カモ目カモ科)は新横浜公園では一年中見ることができるのでそれほどの有難味はないのですが、この時期のカルガモは一味違います。普段では見向きもしない大物狙いのバードウオッチャーも思わずカメラを向けます。
子連れは、これはカルガモに限りませんが警戒心が強くなり、人の姿を見ると動きを止
めます。親鳥を先頭に長くなっていた隊列がひと固まりになり気配を消します。そうして
しばらく様子を見て、また、動き始めます。ヒナを狙う外敵も多いのでしょう、ヒナが大
きくなるのはもう少し先です。
二話、ヒナを連れて避難できればいいのですが、こちらは(写真?)どうしようもありません。草刈りの途中で気がつきました。もっと早く気がつけばよかったのですが親鳥も巣を離れていたのでしょうか。慌てて草刈りは止め、刈った草を目隠しに積み、親鳥が巣を放棄しないことを祈ってその場を離れました。
次の日に怖々覗きに行きました。遠目からですが親鳥の頭のようなものが確認できました。巣の放棄は免れたようです。早くヒナがかえってほしいと思います。
新横浜公園は、今、命あふれる季節です。
★ 写真 モンシロチョウです。
撮影日時: 平成22年6月5日
場 所: 新横浜公園北側園地
モンシロチョウ(チョウ目シロチョウ科)です。春を代表する蝶です。
キャベツ畑でよく見ます。虫食いキャベツでは商品にならないとのことでキャベツ栽培農家からは嫌われています。でも、昨今、多少の虫食いは無農薬の証明ということで以前ほどではないそうですが、本当でしょうか。
幼虫はアオムシですがアブラナ科の植物が好きなようで、その中でもキャベツが大好きでキャベツを植えるとモンシロチョウは増えます。これは本当です
その名の通り白いチョウですが、同じ仲間で、スジグロシロチョウというのもいます。ただ、生息場所に違いがあり、モンシロチョウは開けた草原を好みますが、スジグロシ
ロチョウのほうは日蔭のある林を好むと言われています。北側園地に日蔭などありませんからモンシロチョウで間違いありません。
蝶の紹介文での極め付きはこれで異論はないでしょう。「二つ折りの恋文が 花の番地を捜している」ルナールの「博物誌」です。皆さんも一度は目、耳にされたことのあるフレーズではないでしょうか。
春は生きものにとって恋の季節でもあります。
↑ 写真右上、中央よりに親鳥がみえます。わかりますか?
← 卵が4個ありました。
★ 写真 ヒバリの巣です、
撮影日時: 平成22年5月21日
場 所: 新横浜公園北側園地第二グランド内
飛んでいるヒバリ(ヒバリ科ヒバリ属)は北側園地では珍しくありません。
でも、巣を見ることは稀です。ヒバリは警戒心の強い鳥です。簡単には見つけさせてはくれません。
でも、こんなところに巣を作らなくても、と、思います。整備中のグランドの中です。それもきれいに刈り込まれた芝生の上です。人と犬の立ち入りはありませんが。
見通しが良い場所に巣をつくるのは、敵を早期に発見するには良いでしょうが、守るにはどうでしょうか。それでなくてもカラスの多いところです。
ヒバリが抱卵している姿は横からは良く見えません。ヒバリの背中の線と地面の線が一直線になります。草原で生きてきた知恵と度胸はさすがです。
繁殖期にヒバリは縄張りをつくります。その面積は5,000??1haくらいだそうですからこのグランドとほぼ同じ広さです。子育ての条件はそろっているようですが、芝刈だけは予想外だったのではないでしょうか、ヒナが巣立つまで芝刈りは中止しています。
ヒバリのヒナは9?10日で巣立つそうです。6月初めにはグランドを走るヒナの姿が見られるのでしょうか。
★ 写真 ノハナショウブです。
撮影日時: 平成22年5月17日
場 所: 新横浜公園北側園地1号水路
ノハナショウブ(アヤメ科アヤメ属)が咲きました。この時期は日ざしも強く、雨も多いので植物の伸びは早くアッという間に草地が藪(やぶ)になってしまいます。
でもその伸びた草の上に紫の花を咲かせています。背の高い湿性植物です。
ハナショウブ(花菖蒲)の原種ですが、ここに植わっているノハナショウブは園芸店で購入したものが増えたので、産地、品種名までは分かりません。
尾瀬や北海道の放牧場などでノハナショウブが群生している姿を写真や映像でご覧になった方も多いと思いますが、これは、ノハナショウブには毒があり放牧された牛や野生の鹿は食べないためだと言われています。湿地は本来的には生産性が高く、ノハナショウブとの競合種も多いのですが、他の生き物の力を借りて生息地を広げる適応のよい例だと思います。新横浜公園では牛、鹿の役割を人間がしているということです。
草が伸びてうっとうしく感じられるためと、梅雨時期をひかえた河川管理のために、方々で草刈りが行われています。なかでも国土交通省京浜河川事務所が行っている堤防の草刈りは一見の価値があります。戦車のようなキャタピラ式の草刈機が一走りするだけで、幅2mの草が刈り取られ、粉砕されます。長い堤防があっと言う間に丸坊主になります。
でも、キジやヒバリのような、今が子育て時期の草原性の鳥にとっては困りものです。草むらが無くなることは鳥にとって、えさ場と隠れ家が同時に無くなることですから。
↑ アシや他の草の緑を背景に赤や白の花が目立ちます。
← 去年より大きな株になりました。
★ 写真 クリンソウです。この地で3回目の開花です。
撮影日時: 平成22年5月12日
場 所: 新横浜公園日産スタジアム西側堤体下
クリンソウ(サクラソウ科、多年草)が咲きました。このクリンソウは群馬県の元昭和村館長から
いただいたものです。植えてから3年が経ちました。
最初、横浜の夏の暑さに耐えられるかどうか心配しましたが、この場所はクリンソウに合ったよ
うです。北側園地に植えたものは枯れてしまいましたから。
クリンソウと言うと高山性の山野草で
横浜とは縁がない植物のように思っていましたが、1860年頃に来日した英国人のプラントハンター
「ロバート・フォーチュン」の「幕末日本探訪記」にはサクラソウとクリンソウの話が出ています。
当時、江戸幕府はヨーロッパの主要国と米国と通商条約を結び外国人の居留を認めていました
が国内の移動に関しては厳しい制限があり、R・フォーチュンといえども自由に採集活動が行え
たわけではありません。そこで江戸や神奈川の植木屋さんからや、近在の人たちが持ち込む物
を購入することも多かったようです。その中にクリンソウを購入した経緯が書いてあります。サクラ
ソウについては咲いているのを見たとの記述があります。
この時、R・フォーチュンは神奈川(現在の神奈川区より広いようですが)に住んでいました、と、
言うことは江戸時代には神奈川にもクリンソウ、サクラソウの自生か栽培地があったと言うこと
です。新横浜公園にクリンソウが育っても何の不思議もありません。
【公園内地図】
★ 写真 この豆は「ツタンカーメンの豌豆(エンドウ)」と呼ばれています。
撮影日時: 平成22年5月7日
場 所: 新横浜公園小机側U字橋脇花壇
エンドウ(マメ科、1,2年草)は家庭菜園ではお馴染みの野菜です。種も大きく扱いやすく、
収穫時期も初夏までで病害虫も少ないのが人気の理由でしょうか。
原産地は地中海地方、栽培の起源も旧く今から5000年前青銅器時代まで遡れるそうで、
中国を経て日本に入ってきたのは9?10世紀頃と言われています。
でも、このエンドウが日本に入ってきたのは米国経由です。昔と逆方向からですね。
ツタンカーメンと言えば古代エジプトの王「黄金のマスク」で有名ですが、発掘についても
関係者の不慮の死も含めミステリーじみた噂が絶えません。そのツタンカーメン王の副葬
品の中から出てきた豆なので「ツタンカーメンの豌豆」と言うのが名前の由来です。発見さ
れたエンドウは英国に運ばれ、発芽に成功、その後米国に渡り、戦後日本に来たそうです。
特徴としては莢(サヤ)が赤くなることでしょうか。
ツタンカーメン王の墳墓から出てきたとの説には異論もあるようですが、では、なぜ「ツタン
カーメンの豌豆」が存在するのでしょうか? 地中海にそそぐナイル川はエジプト文明発祥
の地です。ピラミッドがいまだに多くの謎を持ち、その謎解きに多くの人が情熱を傾けている、
そんな長い歴史が「ツタンカーメンの豌豆」の逸話を生んだのでしょうか。
★ 写真 クヌギの芽吹きです
撮影日時: 平成22年4月19日
場 所: 新横浜公園スタジアム南側植栽地
暖かくなってきて、木々が一斉に芽を吹き始めました。
これから梅雨までが一番雑木林が美しい季節ではないでしょうか。新横浜公園には
雑木林と呼べるほどの林はありませんが、スタジアム東ゲート橋両側とリハビリセン
ター側植樹帯にはクヌギ、コナラもあります。
雑木林を代表する樹木と言えばクヌギ(ブナ科コナラ属、落葉広葉樹)でしょう。コナ
ラもありますが、樹液でカブトムシが呼べるのはクヌギの方です。でも、それは少し先
の話、今は、新芽と花穂の季節です。朝日に当たると全体が黄金色に輝きます。
枝をゆすると黄色い花粉が飛びます。そうです、クヌギは風媒花なのです。ブナ科の
植物には風媒花が多いのですが、同じような木でもクリ(栗)は違います。クリは虫
媒花です。虫媒花ですからハチミツが採れます。蜂蜜の瓶に採蜜「クリ」と書かれた
ラベルをご覧になった方もおられると思います。アカシア、レンゲほどの人気はない
ようですが。
クヌギは関東地方に多い木ですが、関西の方ではアベマキの方が一般的です。葉
の形は良く似ていますが、アベマキの葉の裏は白いので違いが分かります。でも、
新横浜公園にはありません。
★ 写真 エンコウソウです
撮影日時: 平成22年4月14日
場 所: 新横浜公園北側園地1号水路
北側園地の水路際も賑やかになってきました。
今、水辺で勢いがあるのはセリ、カワジシャでしょうか。その陰に黄色いキンポウゲのような花を咲かせている草があります。エンコウソウ(キンポウゲ科、多年草)です。エンコウソウの名の由来は、その花柄が長く横に伸びる姿をエンコウ(猿のこと)の手に見立ててのことです。同じ科にリュウキンカがありますがリュウキンカの花柄は直立し、エンコウソウは直立しません。それで違いを見分けられます。
エンコウソウは、横浜市内での生息は珍しいのではないでしょうか。では、なぜ、ここにあるのかと言うと人為的に植栽されたからですが、では、どこから持ってきたのでしょうか? 今から20年も前ですが戸塚区舞岡町の公園予定地(現舞岡公園)にあったものを採取し育てた人がいてその方から頂いたものです。今は採取した場所には無いそうです。
エンコウソウも人為的に育てるのは難しくありませんが、自然状態で育てようとすると意外と難しいのが分かります。他の草との競合や生息地の遷移(乾地化)に弱いのです。横に長く伸びる花柄が、救いを求めて差し出された手のようにも見えますが、考えすぎでしょうか。
★ 写真 ハンノキハムシです
撮影日時: 平成22年4月14日
場 所: 新横浜公園中央広場水路際植栽地
ハンノキハムシ(甲虫目ハムシ科)ハンノキの新芽、葉に群がっています。ハンノキの芽吹きにうまく適応しています。
体色は黒く藍色の光沢があり、後半身が幅広でずんぐりした体型をしています。成虫で越冬し、暖かくなると這い出て
ハンノキの葉を透かすように食害します。かなりの数ですが、これで木が枯れることはないそうです。
ハンノキ(ケヤマハンノキだと思います)には同じ科のルリハムシも付きます。体色が違う(光沢のある濃い緑色をしている)
ので見違えることはないと思いますが?
ハムシ科の虫は色々な樹木に付きますが、樹によって種類が違います。意外と偏食屋さんなのです。もっとも、この樹の隣
にもハンノキはありますが違う種類でこちらはまだ芽吹いてもいない冬の姿です。食われないように樹木の方でも考えてい
るのでしょうか?
ハムシは成虫(甲虫)の時にはそれほどではないのですが、幼虫(毛虫)の時にはとても嫌われます。幸いにして食草と
なるハンノキは人目につきにくい場所にあり、また、サクラのようにその開花を待ち焦がれ、皆の関心を持たれるような樹木
でないのがハンノキハムシには良かったと言うことでしょうか。これがサクラなら人に一網打尽で捕らえられ、あっという間に
天国行きです。
★ 写真 ユキヤナギです
撮影日時: 平成22年3月24日
場 所: 新横浜公園小机駅側園路際
JR横浜線小机駅に向かう園路際にユキヤナギが咲いています。今、満開状態です。
先日からの雨で花が水を含み、その重みでシダレ柳のように垂れ下がり、その名の
とおりの姿を見せてくれています。白い滝のようです。
ユキヤナギ(雪柳)、バラ科シモツケ属、落葉小かん木で少し前まではどこの公園で
も見る事が出来ました。原産地は中国とも日本とも言われていますが日本産説の方が
有力だそうで、石川県の自生種は絶滅危惧種(離弁花類、絶滅危惧?類)となっていま
す。お隣の富山県での指定はありませんから狭い範囲で自生しているのでしょうか。
以前(20年位前)、横浜の公園にはレンギョウ、アベリアと並んでよく植えられていた
ものです。花付きが良く、手入れも簡単なので生垣樹木として使われていましたが、狭
い公園では、その成長の早さ、強健さが裏目に出て、何となく疎んじられ剪定時期に関
係なく刈り込まれ、結果として花付きの良さを生かされることはなく、あまり目にすること
もなくなりました。 ユキヤナギの花はその前の年に伸びた枝先に付きます。これはユキ
ヤナギに限りませんが、花を見るには、それなりの剪定方法と時期があるのです。もう一
つは十分に枝を伸ばすことの出来る広さでしょうか。
★ 写真 ナズナです。と、言うより、ぺんぺん草の方が分かるでしょうか。
撮影日時: 平成22年3月18日
場 所: 日産スタジアム小机側花壇
雨が降り、気温が上がると植物は一気に勢いづきます。つい、1?2週間前まではパンジーの
陰でしおらしくしていたのに、今はこんな状態です。「ナズナ」アブラナ科アブラナ属の越年草です。
白い小さな花をつけます。
ナズナの名の由来は「なでたいほど可愛いから、撫菜(なでな)」との事ですが、大きくなり実が
付くと、別な呼び方をされます「ぺんぺん草」です。小さいときの呼び名とどちらが良いでしょうか。
ぺんぺん草の名の由来は、実の形が三味線のバチに似ているからとの事ですが、この草で音を
出すことも出来ます。果実を下に引っ張って茎と実の一部を剥がし、茎を中心に回すとジャラジャラ、
バチバチと音が出ます。こんな草遊びをする子供は今はいないかもしれませんが、結構楽しめます。
ナズナは「春の七草」の一つで七草粥でお馴染みですが、漢方薬でもあります。少し前の話ですが、
NHKで放映され人気のあった韓国ドラマ「チャングムの誓い」で主人公のチャングムが天然痘の
蔓延を防ぐために指示した薬草の一つでもあったとの話を聞きました。51話だそうです。ファンとい
うのはよく見ています。感心しました。
★写真 ジンチョウゲ(沈丁花)です
撮影日時: 平成22年3月3日
場 所: 日産スタジアム2階通路北側植樹帯
ジンチョウゲは早春の花です。まだ、寒い頃から甘い香りを漂わせ春の訪れを知らせてくれます。
秋のキンモクセイ(金木犀)と並んで季節を知らせる香りの樹です。
スタジアム2階通路際のジンチョウゲは日当たりが悪いのか少し徒長気味です。
ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木で、その名も香りに由来します。ジン(沈)は香木の
「沈香」、チョウ(丁)は「丁子」これも香料で中華料理には欠かせません。その二つの名をもらっ
ているのですから良い香りがするのは当然かもしれません。
原産地も中国南部で室町時代(今からおおよそ700年前)に日本に入ってきたとの事です。
室町時代は各地で戦乱が起こり、世相の安定しない暗い時代との印象がありますが農業技術、
手工業や商業の発達した時代でもあります。中国(当時は「明」です)や朝鮮との貿易も盛んで
いろんな文物が入ってきた時代でもあります。その中にジンチョウゲも入っていたのでしょう。
どんな風にして持ってこられたのか見てみたかったですね。
ジンチョウゲは雌雄異株で日本にあるのは雄株だけなので実が付きません。同じような例に
キンモクセイがあります。どうして両方持ってこなかったのか不思議に思いますが、人のやる
ことですからそう言うこともあるのでしょう。中国では赤い実を付けるそうです。
★ 写真 セリ(セリ科セリ属、多年草)です
撮影日時: 平成22年2月15日
場 所: 北側園地1号水路
北側園地の水辺も今は冬枯れで、冷たい北風が川面を吹き抜けます。
でも、この水路の一角にはこんもりとした緑の塊が育っています。周りが
枯れ草模様なので目に付きます。
セリです。セリは身近な野草で別名シロネグサ(白根草)とも言われます。
八百屋やスーパーの棚に並んでいるのを見るとなるほどと納得です。野生
と栽培種の差があまり無いのもセリの特徴の一つです。野生の方が香りが
強いようには思いますが?
セリの分布域は広く東南アジア、インド。南半球ではオーストラリアにもある
そうです。そのため、人類の移動がセリの分布域を広げたのではないかと
考えられ史前帰化植物とも呼ばれています。学名はOenanthe javanicaで
javanicaはインドネシアのジャワ島の意味です。標本として採取されたのが
ジャワ島だったのが学名の由来です。
日本では「春の七草」の一つでもあります。「秋の七草」に対して春の七草
です。秋の七草を詠んだのは山上憶良ですが、春の7種を選んだのは誰で
しょうか? 南北朝時代の四辻の左大臣(本名:四辻喜成)との説が有力です。
この人は源氏物語の注釈書「河海抄」を書いた人で、その中に7種の野草が
列記されてそれが根拠になっています。「なずな はこへら せり すずな
ごぎょう すずしろ ほとけのざ」ですが、語呂としては「せり なずな ごぎょう
はこべら ほとけのざ すずな すずしろ」の方が良いです。
★ 写真 ヒキガエルですが、春を待たず死んでいました
撮影日時: 平成22年2月8日
場 所: 北側園地1号水路
今年の冬は暖かいと言っても、この時期に目覚めるのは無謀と言うものです。
去年3月2日に、この水路の上流側でヒキガエルの出現を確認していますが、
今年は約1ヶ月早く目覚めたことになります。この二三日朝冷え込み、水路の
土手に大きな霜柱が立っていましたから寒さに耐えられなかったのでしょうか?
でも、ヒキガエルは寒さにも強く、産卵時期以外は水をそれほど必要としない
生活スタイルを持っています。春、目覚めるのも他のカエルより早く、2月頃から
活動を開始しますから季節外れということではありませんが、かわいそうなこと
をしました。皮膚が傷ついていましたから水鳥に襲われたのかもしれません。
でも、この大きさですから飲み込めなかったのでしょう。ヒキガエルには毒腺もあり、
肉もあまり美味しくないそうです? が、新横浜公園では貴重なカエル
(両生綱無尾目ヒキガエル科ヒキガエル属)です。他には外来種のウシガエル
くらいしかいませんから。
これだけの水辺があれば、もっと沢山のカエルがいてもよさそうですが、池が新し
いからでしょうか、前記した2種のカエル以外の姿を見ることはありません。
(追記)このヒキガエルはサクラソウの水路(3号水路)のカエルではありません。
3号水路のカエルはまだ冬眠中です。確認しておきました。
★ 写真 昨日降った雪が残っています。この冬、初の雪景色です
撮影日時: 平成22年2月3日
場 所: 北側園地
久しぶりに雪が降りました。積雪3cmくらいでしたが子供たちが遊ぶには十分
だったと見えて、ところどころに雪だるまの残骸が残っています。子供たちの歓声が
聞こえてきそうな風景です。
雪を降らせた雲は早々と太平洋上に移動して行き、今朝は良い天気になりました。
朝日で暖められた地面は雪を融かし、溶けた水は靄(もや)となって立ちのぼり、
逆光の中、スタジアムが黒く霞んで見えます。
写真手前の麦畑にも雪が見えますが、残っているのは畝(うね)の陽の当たらない
ところだけです。隣り合わせでも雪を融かす、残すだけの温度差があるのです。
このような状態を「微気象」と言います。暖房された部屋で、顔は熱いのに足元は
冷たい、このような経験をされた方も多いと思いますが、それも微気象の一つです。
地面のこんな小さな凸凹が起こす微気象が、小さな生き物にとっては命の境目と
なりかねません。雪は見た目寒そうですが積雪は生き物をスッポリと覆ってくれて
良いとは限らないのです。
★ 写真 モズの「はやにえ」です。
撮影日時: 平成22年1月27日
場 所: 北側園地保護区
北側園地のヨコハマナガゴミムシ保護区の工事が始まりました。
ヨコハマナガゴミムシは皆さんよくご存知のとおり、鶴見川の限られた
区域にしか生息しない甲虫です。レッドデータ環境省カテゴリー絶滅
危惧?類でもあります。?類の上は「絶滅」ですからいかに貴重であ
るかお分かりでしょう。国土交通省がその保護に熱心なのも理解でき
ます。この工事で新横浜公園にヨコハマナガゴミムシが定着してくれ
たら、新横浜公園の自慢が一つ増えます。
でも、ゴミムシってどんな虫でしたっけ?
工事に先立ち、繁茂していたアシが刈り取られます。その枯れたアシ
の先に奇妙なものがついていました。干からびたカエルです。
ウシガエルの子供です。モズの「はやにえ」と言います。モズの冬場
の保存食と言われていますが、食べ残したのを置いていっただけとの
説もあります。
「はやにえ」の意は「速贄」で初物のお供え物の事だそうです。
「モズのはやにえ」はモズが枝に刺した獲物を供物に見立てた言葉ですが、
モズは誰に供物を捧げているのでしょうか、一度聞いてみたいですね。
★ 写真 ツグミの群れです。枝先の黒い物がそうです
撮影日時: 平成22年1月7日
場 所: 日産スタジアム西側の2階植栽地
朝8時ごろ、2階通路際のクヌギの枝に沢山のツグミが止まっていました。
ツグミ自体はそれほど珍しい鳥ではありませんが、新横浜公園で群れている姿
を見ることは稀です。
スズメ目ツグミ科の冬鳥でシベリア東部からカムチャッカ半島にかけ生息、
繁殖し冬季に日本や中国南部に渡来します。今は禁猟種ですが、昔は狩猟対象
で「ツグミの塩辛」は珍味のひとつです。習性として渡来時には群生し、その後
地域に分散します。分散後は単独で行動します。私達が多く目にするツグミは
分散後の姿です、と、言うことはこの群れは、到着間もないツグミと言うことでしょうか?
でも、なぜ、こんなところで羽を休めているのか不思議に思いましたが、思い当たる節
がありました。この木の下にピラカンサやコトネアスターフロリバンダの生垣があります。
去年の11月から暮れにかけて赤い実を沢山付けて私達の目を楽しませてくれたもので
すが、その実がお目当てだったようで3日もあけず赤い実はなくなってしまいました。
★ 写真 霜柱が立ちました。朝の陽射しで融け始めています
撮影日時: 平成22年1月4日
場 所: 北側園地3号水路(サクラソウ植栽地)
寒い朝が続きます。新横浜公園のサクラソウの植栽地にも霜柱が立ちました。
良い天気が続き、空気は乾燥気味で霜よりも霜柱が目だちます。
霜も霜柱も水の凝結現象の一つで、霜が出来ることを「着氷現象」と言い、霜柱は「結氷現象」
と言われます。霜は大気中の水分が凍りいろんな物につくから「着氷」で、有名な蔵王の樹氷
も規模は違いますが現象としては同じものです。
霜柱は土壌中の水分が凍って出来るので「結氷」です。お仲間には氷柱(つらら)や南、北極の
氷山も入ります。
氷柱や霜柱に共通しているのは気温が0度前後で、水と氷の状態が同時にないとできないと言
うことです。氷柱は上から落ちてくる水滴が凍って大きくなりますが、気温が下がり落ちてくる水
滴が凍って水の流れが止まってしまうと氷柱にはなりません。
霜柱は地中の水分が凍って出来ますが、霜柱のような形になるには地表面を境に、上が0度以下、
下が0度以上の条件が必要です。地表面で0度以下の温度に触れた水は氷になり、水が凍ると0度
の線は下に移動してそこに集まった水がまた凍り、これを繰りかえすことで凍り柱(霜柱)は出来ます。
寒ければ出来るものでもないのです。不思議ですね。
★ 写真 ハキダメギクです。
撮影日時: 平成21年12月17日
場 所: 中央広場のバラ花壇
明けましておめでとうございます。
一年最初のページがハキダメギク(掃溜菊)です。「掃き溜めに鶴」の例えもあります。
でも、そうなら、ツルの名をつけて欲しかった、と、ハキダメギクは思っているのではないでしょうか。
白くてかわいい花なのに残念です。
新横浜公園の耕作地に沢山生えています。ハキダメギク(キク科コゴメギク属)熱帯アメリ
カ産の帰化植物で1年草です。図鑑にはそう書いてあります。でも、熱帯アメリカってどこでしたっけ?
日本全国に広がったのは戦後だそうですが、この草の命名者は植物学者の牧野富太郎で
す。東京世田谷の「掃き溜め」で見つけたから「ハキダメ」で、花が菊に似ているから「キ
ク」でハキダメギクです。動植物の名前には、時には可哀想と思われる名前をもらっているものもいま
す。鳥の「アホウドリ」はまだましな方で、植物の「ママコノシリヌグイ」「ヘクソカズラ」などは、草に口が
利けたら、きっと、抗議間違いありません。
でも、今時、掃き溜めと言っても分かりませんね、ゴミ捨て場のことですが、今のゴミは舗装道路の
上にビニールのゴミ袋に入れられて出され、草が生える余地はありません。ツルでなくても芽が出る
だけまだマシ、で、おめでたい。と言うことで、本年もよろしく。
この件の文、去年も使ったような気がしますがリユースということで大目に見てください。
では、本年もよろしくお願いいたします。
★ 写真 春をつげるツクシです。
撮影日時: 平成20年3月2日
場 所: 新横浜公園北側園地
「♪つくし誰の子スギナの子」と歌われる唄がありますがツクシ(土筆)とスギナは親子ではありません。ツクシ(トクサ科)とスギナは同じ根っこから出ます。茎の形が違うだけです。ツクシの茎は「胞子茎」と呼ばれスギナは「栄養茎」と呼ばれます。でも、同じ植物で二つ名前を持っているのも不思議です。昔の人もその形態からまさか同じ植物とは考えなかったということでしょうか。
そのかわいらしい形から「ツクシ」は多くの人から愛されています。春を告げる植物として唄や俳句にも歌われています。ツクシは春の季語でもあります。ところが、「スギナ」となると途端に扱いは冷たくなります。家庭菜園の主人や農家のおじさん、おばさんからは蛇蝎のごとく嫌われています。言うに事欠いて「難防除雑草」の名を頂いているのですからあんまりです。年齢なら畑に植わっている大根、キャベツなんか比ではありません。何しろ3億年前から地球上に存在していたシダ植物の仲間で、大先輩なのですから。
だって、食べられないじゃん、と言われる方もおられるかも知れませんが、そんなことはありません。漢方では利尿の生薬として今も使われています。ところが最近、スギナではなくツクシのほうが花粉症に効くとの話があり、ここでも旗色はよくありません。残念。
オオイヌノフグリ(ゴマノハグサ科)が咲いています。瑠璃色のかわいい花ですが、大きな声では言い難い名前です。名前の由来はこうです。「オオイヌノフグリ」は外来種で1890年に東京で確認されたそうですが、それ以前に在来種として「イヌノフグリ」と言う植物があり、それより大きかったので大の名前をもらって「オオイヌノフグリ」となったと言うことです。大きい犬のフグリ(陰嚢)の意味ではありません。でも、今どき「フグリ」の言葉の意味を知っている人って何人いるのでしょうか。疑問です。
オオイヌノフグリは畑地雑草としてどこにでも見ることが出来ますが、イヌノフグリの方は環境省のレッドデータブックの絶滅危惧種?類に指定されています。大は小を兼ねない良い例というべきでしょうか。
命名法にはルールがありますが、どんな名前をつけるかについてはルールがありません。お笑いコンビ「浅草キッド」の「玉袋筋太郎」などもお笑いでなければ笑えません。
「アホウドリ」もかわいそうだから命名変更をしようという人もいるくらいです。でもアホウドリも英名「アルバトロス」となれば違います。ゴルフ界では憧れの鳥です。「イーグル(鷲)」よりも強いのですから。