★ 写真 田んぼに氷が張りました
撮影日時: 平成23年12月18日
場 所: 北側園地の田んぼ
今年初の結氷です。今年の11月は暖かい日が続きましたが、さすがに12月も下旬となると北側園地では、このような景色を見ることができます。
気温が下がり、水(液体)が結晶作用により個体になったものを氷と呼びます。水は温度や気圧などの環境変化により性質の違った物になります。このような現象は水(H2O)だけでなく、地球温暖化でよく話題になるCO2でもおこります。CO2を加圧冷却し固化したものが冷却材として使われるドライアイスです。
温室効果ガスの代表選手のように言われるCO2ですが、集めて圧縮すると有用な冷却材となるのですから地球温暖化防止のために集めて固化すると良さそうに思います。事実、大気中に拡散したCO2を集め、地中深く封じ込めようと言うアイデアはありますが、薄く広範囲に広がった物を集め濃縮するには莫大なエネルギーが必要となるので、エネルギー収支の観点から見るとあまり効果的な対策とは言えないようです。もう一つ、CO2より温室効果が高いと言われているメタン(CH4)ですが、石炭石油に替るエネルギーとして話題になっているメタンハイドレートはメタンガスが高圧で地中に封じ込められたものです。
冬になり寒くなると温暖化ってどこの話だ、と、思わなくもありませんが、冬は始まったばかりです。少し、辛抱しましょうか。
★ 写真 ヒメアカタテハです
撮影日時: 平成23年11月25日
場 所: 北側園地
ヒメアカタテハ、チョウ目タテハチョウ科の蝶です。
温暖化の影響か?冬が来るのが遅くなっているようには感じますが、11月も終わりにチョウの姿を見るのも不思議な気がします。ヒメアカタテハは暖かい所に生息するチョウですが、その分布域は広く南極大陸をのぞくすべての大陸に生息しているそうです。新横浜公園でも夏から秋にかけてよく目にする蝶です。移動性が強く、寒いところでも夏から秋にかけて勢力を広げ日本でも秋には個体数が増えるそうです。生息場所は日当たりのよい草原を好み、オスは縄張りをつくります。幼虫の食草はヨモギ、ハハコグサ、ゴボウ等のキク科の植物だそうですが、新横浜公園で幼虫の姿を見たことはありません。チョウ(蝶)はガ(蛾)のように幼虫時期を群生して過ごすことは稀なので、目立たないのです。ヒメアカタテハは南方から北上し分布を広げますが、最後には寒さで絶えてしまいます。ただ、近年の温暖化の影響で越冬出来る地域も増えているそうなので、その分、私たちが目にすることも多くなっているのです。そうは言っても11 月終わりの気候です。南方系のチョウには辛い季節です。冷えた体を温めているのでしょうか、アスファルトの園路に羽根を休めていました。もうじき師走です。
★ 写真 ササクレヒトヨタケです。
撮影日時: 平成23年11月7日
場 所: スタジアム東ゲート橋労災側緑地
寒くなり、草の伸びも止まったようなので樹林地の整理を行いました。落葉にはまだ早いので林床は暗く感じます。その暗い中に白い影が浮かび上がります。近づいてみるとキノコです。秋はキノコのシーズンですから不思議ではないのですが、名前の分からないキノコは無気味です。そこで調べてみました。ササクレヒトヨタケ(ハラタケ科ササクレヒトヨタケ属)だ、そうです。
以前はヒトヨタケ科に分類されていましたが、最近のDNA分子系統解析によりハラタケ科になりました。このキノコ、食べられるそうです。それも、かなり美味しいとのこと。料理のホームページに、ササクレヒトヨタケを使った料理のレシピが載っていました。
「ササクレツキヨタケとほうれん草のソテー」食後の感想に「ホワイトアスパラのような食感」との言葉がありました。日本ではあまり食卓に上るキノコではありませんが、料理の世界では知られた存在のようです。
外国ではキノコ初心者が最初に覚えるキノコだとのことです。栽培もされ、商品名「コプリーヌ」「コケシタケ」で販売もされているようですから、そのうちエリンギのように食卓の常連となるかもしれません。
エリンギも今では普通に八百屋の棚に並んでいますが、出始めのころは何となく敬遠されていました。食わず嫌いですが、キノコにはそんなとこがあります。
★ 写真 ゴイサギが死んでいました
撮影日時: 平成23年11月7日
場 所: 北側園地1号水路
可愛そうな姿ですが仕方ありません。新横浜公園の藪にうずくまるような姿で死んでいました。ゴイサギ(コウノトリ目サギ科ゴイサギ属の留鳥)です。図鑑に載っているゴイサギは首をすくめたような姿が多いので、鶴見川流域センターの方に写真で確認していただきました。ゴイサギに間違いないとのことです。昨日(11月6日)午後4時頃前を通った時には何もなかったので、夜に事件は起こったのでしょう。ゴイサギは夜行性ですから餌を取りに来た時に何者かに襲われたのかもしれません。でも、襲ったのは誰でしょう。第一容疑者はオオタカですが、オオタカなら死体を放置して行くことは考えられません。大切な獲物ですから羽をむしって跡は残しても死体を残すようなことはしません。犬猫はどうでしょうか、今時、野犬など見たくても見ることは出来ません。野良猫の姿を見ることはありますが、狩りができるとも思えません。例え、狩りができたとしても犬猫に襲われた場合、死体はもっと傷ついているはずです。あと思いつくのはカラスですがカラスが深夜又は早朝に生きた鳥を襲うとは思えません。鶴見川流域センターの方の見立てでは、「驚いて何かにぶつかっての自損事故」とのことです。事件ではなく事故であれば、犯人探しの必要ありません。これで、一件落着ということにしましょうか。
★ 写真 ツリフネソウです
撮影日時: 平成23年11月2日
場 所: スタジアム1階西側緑地
季節は少し遅いようですが、ツリフネソウ(ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草)の花が咲いています。新横浜公園は鶴見川の遊水地ですから、湿地に生えるツリフネソウは珍しくない、と、お思いかもしれませんが新横浜公園の北側園地にツリフネソウは生育しません。理由は簡単です。夏の暑さに耐えられないのです。何度か移植を試みましたが6月くらいまでは順調に育つのですが、それ以降はいつの間にか消えてしまいます。
では、このツリフネソウはどこにあるのかと言うと、スタジアムの1階、西側の屋内走路脇のU字溝の中です。スタジアムは高床式構造ですから床下に生えていることになります。盛夏でも数時間しか日が射すことはありません(間接光はありますが)。光を遮られた構造物の下「夏は涼しく冬は寒い」そのような環境がツリフネソウには合っているのでしょうか? U字溝を流れる水は建物に降った雨水です。
水位が高いからか水が途切れることはなく、水量もわりと安定しています。1階の管理用通路脇で人目にふれることはありませんが殺風景なコンクリート柱と埃っぽいアスファルト舗装の中で健気に咲いています。
砂漠の中のオアシスの風情です。実も付いているようですから、来年の春も育ってくれることを期待しましょう。
★ 写真 実りの秋のゴマの実です
撮影日時: 平成23年10月30日
場 所: 北側園地
新横浜公園北側園地に少しですが、ゴマ(ゴマ科ゴマ属の一年草)が育っています。収穫時期が来ているのに北側園地のゴマの鞘(さや)はいまだに開きそうにありません。種をまく時期が遅かったせいでしょうか。それとも「開けゴマ」の呪文が必要でしょうか。
ゴマを英語で言うとセサミ「Sesame」ですが、1971年からNHKで放映されたセサミストリート「Sesame Street」と言う英語の教育番組があったのをご存じでしょうか。なぜ「ゴマ通り」なのか意味が良く分からなかったのですが、アメリカのテキサス州には同名の街が実在するのだそうです。
その町はゴマ農場を中心に出来た町でその繁華街がセサミストリートなのだそうです。その農場の経営者が行った社員教育(人種、貧富にとらわれない職業教育)がモデルとなりセサミストーリーが生まれたとのことです。英語を母国語とするアメリカは移民の国でもあります。
人種だけでなく様々な言語が混在し、影響しあい、変化し共通語としての英語が共通語として機能しなくなる、そんな危機感から生まれたテレビ番組だと聞いたことがあります。広い国だとそんなことも起こるのです。
番組のキャラクターの話す言葉が現在のアメリカ英語のスタンダードと言うことです。
ゴマは健康に効きますが、セサミストリートは子供の言語に効くようです。
★ 写真 キタテハです
撮影日時: 平成23年10月17日
場 所: 北側園地1号水路
キタテハ、チョウ目タテハチョウ科の蝶です。全国広範囲に生息する蝶で新横浜公園でもよく目にするチョウですが、発生時期により夏型、秋型と呼ばれます。夏型は羽の色がくすんだ黄色ですが縁取りや黒班はハッキリとしています。
それに比べて秋型の羽は鮮やかな山吹色ですが縁取り、黒班の色は薄いのが特徴です。でも、季節型というものは、どこでも出るわけではありません。季節のない熱帯に季節型のチョウはいません。
季節型を発生させるメカニズムはチョウが羽化する時の日照時間、温度差にあると言われています。春型の発生時期は3月から4月。夏型は6月から8月くらいですが,温度調整により夏型を春型に変えることは可能です。夏型と秋型の発生時期はほぼ同じですが、この季節、それほどの温度差があるようには思えませんが、キタテハでは形や色合いが違います。
キタテハの食草はカナムグラ(アサ科の一年草)です。同じような名前の畑地雑草にヤエムグラと言うのがありますがこちらはアカネ科で違う種です。河川敷や耕作放棄地に大きな群落をつくります。
鶴見川や鳥山川にも繁茂しています。新横浜公園の整備予定地にも生えていますから、食べ物には困らないはずなのでもっと沢山のキタテハがいても良さそうに思うのは、人間の勝手でしょうか。
★ 写真 メンガタスズメ(蛾)の幼虫です
撮影日時: 平成23年10月12日
場 所: 北側園地
前回に続いてスズメです。鳥類のスズメでないのは見れば分かります。
このスズメはメンガタスズメ(チョウ目スズメガ科メンガタスズメ属)です。ゴマの葉についていました。特徴は背中の縞模様でしょうか。
成虫(蛾)になると胸部背面に頭蓋骨のような模様が見えます。そのため「ドクロ蛾」とも呼ばれ、和名ではメンガタ(面形)スズメです。人の顔のように見えると言うのが名の由来です。ムンクの「叫び」に似ています? 1991年に公開された映画「羊たちの沈黙」のポスターにこの蛾が載っています。美しい女性の口許に蛾がとまっている図柄ですが、この蛾がメンガタスズメです。
同名の小説(作者はトマス・ハリス)の映画化で猟奇連続殺人事件を題材にしたものですが、この蛾がポスターになった訳は殺人犯の性格設定にあります。
殺人犯の性格「裁縫とアジア産の大型の蛾を育てるのが趣味」ということですが、虫が好きな人にとってはあまりうれしくない性格設定ではないでしょうか。もっとも、1965年公開の映画「コレクター」の主人公も趣味が昆虫採集(蝶)だったのを考えると、昆虫愛好家?の世間での評価が気になるところです。
映画は評判になり、主演のジョディ・ホスターはこの映画でアカデミー賞を受賞しています。それでメンガタスズメの知名度が上がったとの話は聞きませんが。
★ 写真 トビイロスズメ(蛾)の幼虫です
撮影日時: 平成23年9月30日
場 所: 北側園地整備予定地
台風一過、北側園地の草木も冬支度を始めたようです。ススキ、オギの穂が出始め、イネ科の植物の葉から水気がなくなってきました。整備予定地のクズも例外ではありませんが、そのクズの葉に鮮やかな黄緑色のイモ虫がとまっています。トビイロスズメ(チョウ目スズメガ科)です。
北側園地でスズメガの幼虫は珍しくはありませんが沢山いるのには驚きました。トビイロスズメは他のスズメガと違い幼虫形態で越冬します。幼虫形態は凍える冬を越すには不利なようにも思えますが、でも、それでトビイロスズメが減少することもないようなので生き物の生態とは不思議です。
新横浜公園北側園地のトビイロスズメの食草はクズですが、マメ科の植物なら大豆、ハギ、ニセアカシアでも問題ありません。中国山東省、江蘇省あたりでは「豆虫」と呼ばれ食用とされています。
無農薬の自然食品として人気があるそうです。殺虫剤を撒かれると虫はいなくなってしまいますから無農薬なのは間違いありません。その食べ方ですが、油で揚げたり、炒めたり、スープの具にしたりと多彩だそうです。中国清代の作家?蒲松齢(ほしょうれい)と言う人がその料理法を詳しく書いているそうですが、私は読んだことはありません。蒲松齢は「聊斎志異」の作者です。かなり変わった料理法が書いてあるのではないでしょうか。
★ 写真 カボチャ(西洋カボチャ)です
撮影日時: 平成23年9月28日
場 所: 北側園地耕作地
先日の15号台風の強風で葉の陰に隠れていたカボチャが顔を出しました。
ウリ科カボチャ属の一年草で夏を代表する野菜の一つです。日本には17世紀に東南アジア経由で入ってきました。カボチャの名も経由した国の一つカンボジアに由来するそうですが、カンボジアではどんな料理になったのでしょうか。
今、日本で栽培されているカボチャは日本カボチャ、西洋カボチャ、ぺポカボチャの3種です。
17世紀最初に日本に入ったのは日本カボチャで40年前に食卓の上っていたのはこの種類です。武者小路実篤が色紙に画いたカボチャですね。縦にしわのあるカボチャで和食には欠かせないカボチャですが、今は甘味が強く、食感もほくほくした西洋カボチャが主流で日本カボチャを見ることは少なくなりました。でも、鹿ヶ谷(ししがや)カボチャは京野菜ブランドとして健在です。ぺポカボチャは「おもちゃかぼちゃ」とも呼ばれますが、種子から取れるオイルは医薬品でもあります。未成熟果実を食べるズッキーニもこの中に入ります。
大きなキュウリのような形で南欧料理には欠かせません。カボチャは夏野菜ですが、しばらく置いた方が美味しくなり冬の保存食として重宝されています。
冬至に食べると風邪をひかないと言われるビタミンBの豊富な健康食品でもあります。
★ 写真 トロロアオイです
撮影日時: 平成23年9月25日
場 所: 北側園地耕作地
今、トロロアオイ(アオイ科トロロアオイ属、一年草)が咲いています。
薄黄色の大きな花です。台風15号の強風にコスモスやヒマワリの花が吹き飛ばされ色味のない草原の中で目立っています。
トロロアオイの名の由来はトロロ芋(山芋)のトロロに因むそうでトロロアオイの根からでる粘液質の透明な液を指してのことです。この粘りのある液は「ねり」と呼ばれ和紙すきには欠かせないものです。
和紙すきの原料はコウゾやミツマタ等の樹皮の繊維です。この繊維は水よりも重くかき混ぜてもすぐに桶の底に沈んでしまいます。そこでトロロアオイの粘液で水に粘りを与えると繊維は沈むことなく長時間水中に浮くようになり、水中の紙の繊維の分散を助ける役目をします。粘りはありますが接着剤として使用されるわけではありません。
トロロアオイの粘液にはカラクチュロン酸と言う多糖類が含まれており、これは植物繊維のセルロースと相性が良く、一本一本の繊維をそのぬめりで包み込み、繊維の絡みを防止し均一な厚みの和紙をつくる手助けをしてくれます。ただ、この「ねり」の粘度は長持ちせず、また気温が高くなると粘度が落ちるので紙すきは冬期に行うのだそうです。
★ 写真 ツマキシャチホコの幼虫です
撮影日時: 平成23年9月14日
場 所: スタジアム東ゲート橋緑地
あまりうれしくはないのですが、この時期、新横浜公園の樹木は毛虫で賑わいます。
毛虫対策は「早期発見早期駆除」が鉄則ですが、なかなか鉄則どおりにはいきません。
気がつくのは、葉が食われ裸になった枝を見る時か、歩道に毛虫のフンが落ちているのを発見する時です。この時期の毛虫はこの写真のツマキシャチホコ(チョウ目シャチホコガ科)にしても、皆、でかいのが特徴です。かぶれたり、刺したりはしない毛虫ですがそのままにしておく訳にもいきません。なにしろ凄い食欲であっと言う間に葉を食いつくしてしまいますから。大食漢のくせにクヌギやコナラなどのブナ科の植物しかたべません。ツマキシャチホコには他にもタカサゴ、ムクの名をもったツマキシャチホコがおり、皆よく似ていて判別に困ります。でも、これはツマキシャチホコで間違いないと思います。
私たちはツマキシャチホコを害虫として駆除される所までしか知りません、つまりは幼虫の姿しか知らないと言うことです。ツマキシャチホコの幼虫がどこで蛹になり、どのような蛾になるのかを知りません。昆虫図鑑には成虫の写真や他のツマキシャチホコとの見分け方も詳しく載っていますが、実物を見ることは稀です。「敵を知り己を知らば百戦危うからず」は孫子ですが、毎年出会うこの虫についても知っていることは少ないのです。
★ 写真 コガタスズメバチです
撮影日時: 平成23年9月10日
場 所: 新横浜公園小机第二歩道橋下緑地
コガタスズメバチ(ハチ目スズメバチ科)です。
生き物観察日記178号でキイロスズメバチと紹介しましたが、知り合いの方から「コガタスズメバチ」ではないかと言われ調べ直しました。スズメバチなどの危険昆虫駆除は巣を取ればそれでおしまいで種類の確認まではしません。今回は駆除した業者がサンプルとして保存していたので確認できました。結果はコガタスズメバチでした。生き物観察日記178号のキイロスズメバチを「コガタスズメバチ」に訂正します。
キイロスズメバチとコガタスズメバチの見分け方については胸部の色の違いで見分けられます。黒いのがコガタスズメバチです。他にも見分けるポイントはありますが、ホームページ「新横浜 応援隊がゆく」に分かりやすい解説があります。
普通、スズメバチ駆除は巣の撤去をもって完了ですが、名古屋市は1983年からの25年分1万件を超えるスズメバチ駆除のデータを整理保存しています。スズメバチ駆除の数や種類別の分布特性が行政区別に分かりやすく整理されています。その中にコガタスズメバチも入っており、コガタスズメバチは駆除数全体の90%を占め、同じように都市部に生息するキイロスズメバチの数は減少傾向にあるそうです。
25年のデータの蓄積には説得力があります。ただ、残念なことに制度の変更があり今は止めてしまったそうです。このデータは「都市のスズメバチ」のホームページで見ることができます。興味のある方は覗いてみられてはいかがでしょうか。
★ 写真 ニラの花です
撮影日時: 平成23年9月1日
場 所: 北側園地バタフライガーデン
ニラ、ネギ科ネギ属の多年草で黄緑野菜として知られています。今の時期から花をつけ、群生する姿はとてもきれいです。野菜とは思えません。
原産地は中国ですが、日本でも野生化しています。日本の固有種との話もあるくらい古い付き合いなのです。名前も古代には「みら」と呼ばれていたようで、古事記には「加美良(かみら)」万葉集には「久々美良(くくみら)」の名での記載があります。その後、今の名前ニラに転訛したとのことです。
食材としてもお馴染みですが、五葷(くん)の一つで精進料理には使われません、因みに五葷とはネギ、ラッキョウ、ニンニク、アサツキにニラを入れての呼び名です。匂いの強いものは強壮の効果もあり、若いお坊さんの修行の妨げになるからだそうですが、夏バテ防止には良さそうな物ばかりです。
赤塚不二夫の漫画「天才バカボン」のバカボンのパパの好物が「ニラレバ炒め」だそうですが、この漫画(アニメも)には「レバニラ炒め」と書かれており、この漫画がヒットしてからは「レバニラ」の呼び方が一般的となったそうです。バカボンのパパの元気のもとがニラとは、確かに修行の妨げにはなりそうです。
★ 写真 スッポンです
撮影日時: 平成23年8月28日
場 所: 投てき場上流側減勢池
港北区主催の「水と緑の学校」が8月28日新横浜公園で開催されました。二日前に仕掛けた定置網に沢山の生き物がかかりました。その中でも圧巻がこのカメ、スッポンです。体長50cm位の大物です。網との比較でスッポンの大きさを想像してください。
スッポン、カメ目スッポン科の爬虫類ですが高級食材でもあります。私たちが目にできるものは魚屋の桶で泳いでいる養殖か輸入ものです。野生ものは少なくなりました。
スッポンと人間のかかわりは古く、今から3000年も前、中国の周の時代に国王に献上されたとの記録があります。日本でもスッポンの図柄が弥生時代の銅鐸に残っています。 「月とすっぽん」の例えもあります。同じようなものでも比較にならないぐらいの違いがある、の意ですが、これは江戸時代の作家「喜田村 庭」の書いた風俗百科事典「嬉遊笑覧」の一文「スッポンを丸と異名をつけて呼ぶ、漢名にも団魚と言うと等し。月は丸きなれど、丸と呼ぶスッポンとはいたく異なるなり」が始まりだとのことですが、諸説あり、スッポンはカメのスッポンではなく、朱盆がなまってスッポンになったとの話もあります。
でも、このスッポン、つかまっても悠揚迫らず堂々としていて、皆が少し目をそらしたすきに池に戻ってしまいました。スッポンにとって迷惑な時間だったかもしれません。
★ 写真 キイロスズメバチです
撮影日時: 平成23年8月25日
場 所: 新横浜公園小机歩道橋下植栽地
キイロスズメバチ(ハチ目スズメバチ科)は人の身近に巣をつくる大型のハチです。今頃から秋にかけてよく話題になるハチです。その多くは事故のニュースとして。
新横浜公園でも毎年一つや二つは見つかりますが、すぐに駆除されてしまいます。巣に触ったり脅かしたりしなければ攻撃してくることはありませんが、刺されると痛いのと悪くすると死ぬこともあるので身近にいてほしくない生き物と言うことです。同じように危険と言われる熊やマムシよりも事故率(死亡率)が高いのも嫌われる理由かもしれません。
でも、スズメバチの運動能力は高く、一日で100kmの距離を飛ぶスタミナを持ち、飛翔時の筋肉の動きは人間の10倍もの力を発揮するそうです。
でも、なぜ、そんな力が出るのか、それに興味を持った研究者がスズメバチの食べ物(スズメバチの幼虫の分泌する栄養液)を分析し、その中身が17種のアミノ酸からできており、脂肪を有効に燃焼させる効果があるのを突き止め、それがスポーツ栄養飲料「ヴァーム」になったそうです。ヴァーム(VAAM)はVespa Amino Acid Mixtureの略で「スズメバチのアミノ酸混合液」の意味だそうです。少し前ですがランナー高橋尚子のコマーシャルで評判になりました。飲まれた方も多いのではないでしょうか。
★ 写真 マメハンミョウです
撮影日時: 平成23年8月18日
場 所: 北側園地の耕作地
北側園地の草むしりをしていたら見なれない虫に会いました。さっそく調べたのですが、私の手持ちの昆虫図鑑には載っていません。そこで(NPO)鶴見川流域ネットワーキングの阿部さんに教えてもらいました。マメハンミョウ(甲虫目ツチハンミョウ科)だそうです。その阿部さんの最後の一言「有毒昆虫ですよ」が、ちょっと気になります。
昆虫に限らず植物でも有害有毒なものは沢山ありますから驚きませんが、有毒にも色んなタイプがあります。このマメハンミョウの体液には人をも殺せる猛毒カンタジリンが含まれていて、カンタリジンの致死量は30ミリグラムだそうです。時代劇のお家騒動で殿様暗殺をたくらむ筆頭家老なら喜んで使いそうな薬ですが(テレビドラマ水戸黄門の世界です)、残念ながら?日本で使われた形跡はないそうです。この話、社団法人農林水産技術情報協会のホームページの「昆虫科学館」→「虫を食べる話」第14話(毒薬「はんみょうの粉」の正体)に載っていました。毒だけでなく医薬品としての効能もあるそうです。
マメハンミョウは大豆の葉を食害する害虫ですが、幼虫の時にはイナゴの卵を食べる益虫でもあるそうで、イナゴの減少に伴いその数を減らしているそうです。と、言うことは新横浜公園北側園地には、まだ、イナゴが沢山いると言うことです、か。
★ 写真 ジュンサイハムシです
撮影日時: 平成23年8月1日
場 所: 北側園地減勢池
この写真で分かるでしょうか? レース状のヒシの葉の上に小さな灰色の甲虫がいます。これがジュンサイハムシ(甲虫目ハムシ科)です。ヒシの葉を食害する虫ですが、神奈川県レッドデータ2006では絶滅危惧種?類です。
なぜ、この虫が絶滅危惧種なのか不思議に思いますが、食草となるヒシやジュンサイの生息できる環境がなくなっており、その食草依存度の高いこの虫の生息条件も悪化していると言うのがその理由です。
新横浜公園減勢池のヒシの繁茂にも驚きますが、ジュンサイハムシの生命力にも驚かされます。水面に広がっていた緑の絨毯が、ある日、赤い(茶色と言った方が近いでしょうか)絨毯に替ってしまうのですから。
★ 写真 ムクドリです
撮影日時: 平成23年7月31日午後5時半頃
場 所: 小机駅側堤体から
ムクドリの整列写真です。
ムクドリ、スズメ目ムクドリ科の留鳥です。夜、集団でねぐらを形成する習性があり、繁華街の街路樹や駅前広場の樹木に集まり苦情の種になったりしています。
新横浜公園のこのムクドリたちは整列しこれから何をしようとしているのでしょう、ねぐらに移動する前に点呼を受けているようにも見えないこともありませんが。
ムクドリに限らず、鳥が等間隔に止まる姿はそれほど珍しくはありません。では、なぜ等間隔に止まるのかの説明はムクドリに聞くしかありませんが,このような現象は人間の間でも見ることができます。エドワード ホール著「かくれた次元」にはこのような現象を「個体間距離」として説明していて、その距離は民族、宗教、生活習慣、また個人の親密度によっても変わるそうです。
通勤の満員電車の混雑は論外ですが、空いている電車の座席の埋まり方でそのような経験された方も多いのではないでしょうか。空いていれば詰めて座ることはありません。
有名なのが京都賀茂川で夕涼みをするアベック(今では死語に近いですね)で対岸から見れば、きれいに等間隔に座っています。人間も動物だとの証明でしょうか。
★ 写真 チョウトンボです
撮影日時: 平成23年7月21日
場 所: 北側園地減勢池
チョウトンボ(トンボ科チョウトンボ属)の静止画像です。チョウトンボは観察日記40号でも紹介しましたが、その時の飛行写真は小さすぎてよく分からないと言うことで、別のホームページの写真を使わせていただきましたが、今回の写真なら問題ないでしょう、正真正銘の新横浜公園のチョウトンボです。
チョウトンボはその姿や飛び方に特徴があり、トンボらしくないトンボとして人気があります。体長に比べて羽が大きく、色も濃い紫と言うより黒に近い紫色をしています(雄と雌では少し違います)。飛び方もふわふわと飛びますが、意外と敏捷な動きもします。飛行機で言うと複葉機のイメージでしょうか。
市内でも珍しいトンボだと思いますが、絶滅危惧種になるほどではありません。生息場所も多くはありませんが市内でも、鶴見区の二つ池、中区の三渓園でも見ることができます。
発生時期は6月初めから8月終わりまででしょうか、夏のトンボです。
静岡県磐田市に桶ケ谷沼と言う日本でも有数のトンボの生息地がありますが、そこのチョウトンボには圧倒されます。池沿いの、わずか数百メートルの観察路で百数十のチョウトンボを見ることができるのですから。もっとも、私が見たのは10数年前でしたが。
★ 写真 キイロアシナガバチです
撮影日時: 平成23年7月25日
場 所: 北側園地第3レストハウス
北側園地の第3レストハウスがオープンしました。
喜んだのは北側園地を利用する人達ばかりではありません。早速、引っ越してきたものがいます。キイロアシナガバチです。レストハウス西側の嵌め込み窓の庇に新居をかまえてせっせと家族を増やしています。人の手の届かない高いところです。
アシナガバチはスズメバチ科アシナガバチ亜科の総称で、日本に生息するアシナガバチは3属11種でキイロアシナガバチはその中の一つです。
家の軒先や庇に巣をつくり、私達にはお馴染みのハチです。
ハチ(蜂)と言うと「刺す」→「危険」→「駆除」の憎しみの連鎖が作動しすぐに殺されてしまいますが、ハチに罪はありません。
ハチは私たち人間に見えない所でアオムシや毛虫を狩り樹林や草地の保全に貢献してくれています。アシナガバチは肉食派なのです。
また、アシナガバチはハンターと言うだけでなく、家づくりの名人でもあります。同じ科のスズメバチも立派な巣をつくりますが、そちらの素材は朽ち木の木質部を砕いたものですが、アシナガバチの巣の素材は樹皮の繊維だけで作られており、その差は洋紙と和紙にたとえられます。小さいけれど天空の城です。
★ 写真 ヤブカンゾウの花が咲いています
撮影日時: 平成23年7月11日
場 所: 北側園地田んぼの横
ユリ科ワスレグサ属の多年草です。似た花にノカンゾウがありますが、違いは花が八重か一重かくらいでしょうか。新横浜公園にノカンゾウはありませんがヤブカンゾウは地に合ったのでしょう、大きな株になりました。このヤブカンゾウも植栽されたものです。
花の少ないこの時期に田んぼの畔や土手を賑やかにしてくれています。
この時期、ワスレナグサ属でよく話題になるのは新横浜公園のヤブカンゾウではなく(残念ですが)ノカンゾウに近いニッコウキスゲです。尾瀬や霧降高原の高層湿原を彩る花です。 暑い都会の夏を避け、涼を求めて多くの人がこの花を見るために訪れます。
ワスレグサ属はその花の美しさから人気があり、品種改良により多くの園芸種が生まれています。園芸店でヘメロカリスと呼ばれているものがそれで、中国、日本原産のワスレグサ属がヨーロッパ、アメリカで品種改良され逆輸入されたものです。
ヘメロカリスの語源はギリシャ語で花が一日しか持たないことに由来して、一日(ヘメロ)美しい(カリス)の名がついたそうですが、はかないものを美しいと感じるのは万国共通のようです。日本にも「美人薄命」の言葉がありますが、でもそれは昔の話です、長寿国ニッポンに「薄命」の言葉は似合いません。
★ 写真 ヤブヤンマです、生態写真ではありません
撮影日時: 平成23年7月8日
場 所: 北側園地5号エレベーターホール
暑い日が続きます。関東地方も梅雨明けしました。
太陽の陽射しで生き物は活性化しますが、さすがに真昼の園地には生き物の影はありません。ただ、スタジアムは巨大な高床式構造物で、その床下には昼間でも仄暗い空間があります。
ヤブヤンマ(ヤンマ科ヤブヤンマ属)はそのような空間が好きなのでしょうか、エレベーターの1階入り口で捕獲しました。
ヤブヤンマはその名のとおり、ヤブ(藪)を生息地とするトンボです。最初オニヤンマかと思いましたが、尻尾のトラ模様がオニヤンマとは違い、体長もオニヤンマほど大きくはありません。ただ、体長には個体差があり、また、ヤゴの時期の栄養状態により多少は変化します。
地域差もあり関西のオニヤンマは関東のものに比べ小さめだとの話を聞いたことがあります。他にも、オオヤマトンボかとも思いましたが、結局分からず、横浜市環境創造局の職員の方に写真を送り「ヤブヤンマの♀」と判明しました。
この方はトンボ博士でトンボの事なら何でもご存じです。夕暮れ時に新横浜公園の上空を「黄昏飛行」するヤブヤンマを見たことがあるとのことでした。
トンボと言えば、北側園地では今、チョウトンボを見ることができます。
★ 写真 カワラナデシコが咲きました
撮影日時: 平成23年 7月 6日
場 所: 北側園地
カワラナデシコ(ナデシコ科ナデシコ属)の多年草です。
秋の七草の一つで万葉人にも好まれた植物のようですが、今の季節は夏、まだ、関東地方は梅雨明けもしていません。
本当に秋の七草なのでしょうか。
万葉集にもカワラナデシコを題材にした和歌は沢山ありますが、この歌などはどうでしょうか。
「秋さらば見つつ偲(しの)へと妹が植ゑしやどのなでしこ咲きにけるかも」大伴家持。
秋になったら一緒に見ましょうね、と言って妻が植えてくれたナデシコの花が咲いている。 そんな意味の歌ですが、一緒に見るはずの奥さんは亡くなって今はいない。と聞かされれば状況は一変してしまいます。
私達は大伴家持を万葉集の編者、三十六歌仙の一人として知っていますが、政治家、行政官でもありました。
鹿児島県JR薩摩川内駅前に大伴家持の銅像が建っています。
どうしてこんな所に大伴家持像があるのか不思議に思って説明板を読むと、天平宝字八年(764年)に薩摩の国司として赴任したからだそうです。今の転勤族のようなものでしょうか。
今は飛行機もあり、九州新幹線も開通し鹿児島も近くなりましたが当時はとても遠い国だったはずです。もしも、赴任先から帰ってみると奥さんは亡くなり、ナデシコの紅い花だけが咲いていたのであれば、なんとも切ない話です。
ナデシコの花を奥さんといっしょに見ていたらどんな歌を詠んだのでしょうか。
★ 写真 モクゲンジの花が咲き始めました
撮影日時: 平成22年6月23日
場 所: 東ゲート橋労災病院側緑地
JR横浜線小机駅舎のツバメたちも巣立ちの時期を迎えたようで通路に置かれた新聞紙の汚れも少なくなりました。
時間のたつのは早いものです。
梅雨の晴れ間ですが、日中の気温は30℃を越えました。気温だけなら真夏です。
先日までの雨をたっぷり吸った木々も強い日差しを受けて葉の色が濃くなります。
木々の緑の中に黄色の花が人目を引きます。今年もモクゲンジ(ムクロジ科モクゲンジ属)の花が咲きました。
新横浜公園のモクゲンジは植えられて12,3年ですが大阪府藤井寺市の道明寺のモクゲンジは古く、元慶8年(884年)
菅原道真公が道明寺で5部の大乗経を写経された時に、その経文をお寺の西側に埋めるようにとの神のお告げがあり、
その通りにするとその場所に数年後モクゲンジの樹が生えてきたとの伝承があるそうです。
その話が本当なら樹齢1100年を越えますが、現在の樹は何代目かでそれほどの古木ではありません。でも、
道真公ゆかりの樹木と言うことで大阪府指定の天然記念物になっています。
このモクゲンジは謡曲「道明寺」(作者は異説もあるようですが世阿弥です)にも出てきますから同じモクゲンジでも
格が違いますが、新横浜公園のモクゲンジも1000年生きてほしいものです。
★ 写真 チガヤです
撮影日時: 平成23年6月16日
場 所: 北側園地3号水路
チガヤ、イネ科チガヤ属の多年草です。
新横浜公園の植相は外来種がその敷地の大部分を占めていますが
チガヤはれっきとした在来種です。
梅雨の雨にぬれて花穂が重そうにうなだれていますが、好天が続
けばタンポポの実のように風で遠くに飛ばされます。
ススキ、オギもカヤ(萱)と総称されます。「萱ぶき」の材料と
してお馴染みですが、萱葺き屋根も今は歴史的建造物でもなければ
見ることはありません。では、チガヤの語源はと言うと諸説ありそ
の中でもよく知られたものは、チガヤが群生している様子、細い葉
を一面に立てた姿からの連想で「千茅」。葉が赤くなる時期がある
ので「血茅」と言うのもあります。
漢方ではこちらを使うようです。チガヤの根は漢方薬になり、薬
名は「茅根(ぼうこん)」です。
陰干した根を煎じて飲むと利尿効果があるとのことです。
もう一つ、チガヤの花穂は食べられます「ツバナ」の名を年配の
方ならご存知かもしれません。
出穂前の葉鞘に包まれた花穂を抜き出して食べると、ほのかな甘
みがあります。
チガヤはサトウキビの近縁種です。今は甘いものが身近に溢れる
ほどあり、チガヤの甘味を甘いと感じる子どもは少ないと思います
が、万葉人も好んだ味です。
★ 写真 ヘビです。アオダイショウです。長いです。
撮影日時: 平成23年6月1日
場 所: 新横浜公園北側園地減勢池
特に人間に悪さをするわけでもないのに、あまり好かれません。
草むらを通っていてもあまり会いたくない存在でもあります。
マムシのような毒蛇なら警戒するのは当然ですが長いだけで毒をもってい
る訳ではありません。
新横浜公園の北側園地に住まいしているのはアオダイショウ、ナミヘビ科
ナメラ属のヘビで日本本土では最大のヘビです。
ナミヘビ科はヘビ亜目の中でも最大のグループで2000種を数えますが人
に害を与えることは少ないのです。むしろ、貯蔵した穀物を荒らすネズミ等
を餌とするので益虫(ヘビは虫でしょうか?)に分類されてしかるべき存在
です。
事実、家の守り神として祀る地域もあるそうですから怖がられるだけの存
在ではないのです。
山口県岩国市にはアオダイショウの白化型が生息しています。
このアルビノの形質が固定化されたシロヘビは神の使いとして信仰の対
象となって1924年には国指定の天然記念物になっています。ところが今は
神の使いの役割より観光資源の客寄せとして重宝されているようで、錦帯
橋の近くの飼育槽の中で観光客の被写体となっています。でも、日本で一
番有名なアオダイショウは東宝映画の「若大将シリーズ」加山雄三演ずる
若大将のライバル、田中邦衛の「青大将」ではないでしょうか。
どちらも毒は無いのですが何となく敬遠されるところは似ています。
★ 写真 ブタナです。奇妙な名前です
撮影日時: 平成23年6月1日
場 所: 北側園地1号水路
ブタナ、キク科エゾコウゾリナ属の多年草でヨーロッパ原産の帰化植物です。
タンポポに似ています。花だけでなく葉も似ています。
フランス語では「Salad de porc」でブタのサラダ菜の意味だそうです。
ブタが好んで食べる草なのでこの名があるそうですが、では、人間には食べられるのか?
と言う話が「英仏語ガイドの植物観察メモ」と言うブログに詳しく載っています。結論か
ら言えば食べられるのですが、地域性があり、食べるかどうかは好きづきと言うことです。
日本に入って来たのは1933年札幌、1934年神戸で採取、命名は植物学者の北村
氏。名前はフランス名の和訳そのままです。
国立環境研究所のホームページによると、ブタナの分布は全国に広がり外来生物法の「要
注意外来生物」の指定となっています。でも、同じ要注意外来生物でブタの名がついてい
るブタクサに比べれば、花粉アレルギーも起こさないので、まだ、ましです。
ブタと言う名がついているのは可哀想と言う意見もあるようですが、そんなことを言う
とブタに叱られそうですから、今の話は無かったことにしましょう。
★ 写真 ムシトリナデシコです
撮影日時: 平成23年5月25日
場 所: 北側園地バタフライガーデン
「虫取り」の名がついていますが食虫植物ではありません。ナデシコ科マンテマ属の1年草です。
茎上部の葉の下に粘液を分泌する部分があり、茎を登る虫を阻止することができます。
でも、花に来る虫の多くは羽があり、虫除けの効能があるようには思えませんが、アリが運ぶアブラムシ予防には有効かも知れません。
分泌される粘液が「ハエ取り紙効果」(意味がわかるでしょうか?ハエ取り紙を知る人も少なくなりました)でアリを寄せ付けません。もっとも、ムシトリナデシコの粘液にはハエ取り紙ほどの粘着力はありませんが。学名は(Silene armeria)でSilene(シレネ)はギリシャ神話に出てくる人物の名でバッカス(正確にはローマ神話の名)の養父の名に由来するそうです。バッカスはゼウス(ギリシャ神話での名、ローマ神話ではジュピター)の子どもですが、ゼウスの妻ヘラの子どもではありません。
ヘラと言う人はとても嫉妬深い人でバッカスを亡き者にしようと色々策略を凝らしますが、父親のゼウスは必死にバッカスを守ります。結果としてバッカスはシレネの下に身を隠し、シレネといっしょにブドウ栽培やワイン作りに精を出します。バッカスはお酒の神様ですからお酒は大好きです。
シレネもお酒は大好きで、その酔っ払った姿が学名の由来だそうですが、紅い花の色が酔顔を連想させるのでしょうか。
★ 写真 ハナウドの花です
撮影日時: 平成23年5月5日
場 所: 北側園地保護区
ハナウドです。セリ科ハナウド属の多年草です。
鶴見川の河川敷では珍しくもありませんが、人の背丈ほどにもなり白い花
を咲かせるので遠目にも目立ちます。新横浜公園のハナウドは去年移植した
ばかりなのと、ガラ交じりの土壌と言うこともあって今は盆栽状態ですが土
地に馴染めば鶴見川のものに負けない大きさになるはずです。
ウドの名がついていますから食べられるのではないかと思いますが、食べ
られる「ウド」はウコギ科タラノキ属で「科」が違います。
八百屋で売られているウドはウコギ科の方です。では、食べられないかと
言うとそんなこともなく、芽立ちの頃の新芽なら天ぷらにすれば食べられな
いこともありません。でも、山菜としては認められてはいないようです。
天ぷらにすればたいていのものは食べられますから。
同じセリ科にはシシウドがあります。どちらかと言うと山地に育ち、ウド
に似て根がイノシシが食べるくらい大きくなるのでシシ(猪)の名がついた
そうです。シシウドの根は鎮痛、鎮静の生薬「独活(どつかつ)」として重
用されていますが、ハナウドの根にその効能はありません。
その名のとおり花を見るだけのウドのようです。
★ 写真 ハルジオンが咲いています
撮影日時: 平成23年5月5日
場 所: 北側園地減勢池側植栽地
ハルジオン、キク科ムカシヨモギ属の多年草で北米原産の帰化植物です。
北側園地の減勢池側園路沿いに白いお花畑をつくっています。今の時期は草丈
も50?程度と低く、手前の草の陰で見過ごしてしまいがちですが群生している
姿には迫力があります。
よく似た植物に「ヒメジョン」があります。咲く時期や草丈に多少の違いは
ありますが見た目はそっくりです。
その見分け方は、植物をネタにしたクイズには良く使われます。それほど似
ていると言うことでしょう。
確かに原産地も同じで、同じ仲間(科、属同じです)ですから似ていて当然
かもしれません。
その見分け方ですが、葉や蕾の付き方で分からない時には茎を折ってその断
面を見るとすぐに分かります。
ハルジオンの茎には空洞がありますが、ヒメジョンにはありません。
茎が空洞ならならハルジオンということになります。
植物の茎の場合、空洞の方が構造的には軽くて強く、草丈を高く伸ばすに向い
ているように思いますが、植物図鑑にはハルジオン50?80cm、ヒメジョン30
?150cmと草丈が表記されていますから、茎の構造と草丈に相関はないようです。
★ 写真 キャベツの花です
撮影日時: 平成23年4月25日
場 所: 北側園地バタフライガーデン
春のキャベツ畑の風景です。取り残しのキャベツに野生の息吹が感じられます。
キャベツの球を割って茎が伸び花を咲かそうとしています。
八百屋やスーパーの棚では見ることのない姿です。キャベツはアブラナ科アブ
ラ
ナ属の多年草です。栽培期間が短く、季節を問わず収獲出来るので1年草のように
思われますが、本来は多年草です、でも人間の手にかかると1年、多年関係ありません。
キャベツは丸いのが普通と思われていますが結球(葉が巻くこと)しない種類
もあります。葉ボタンが代表例です。では、なぜ、キャベツの葉は巻くのでしょ
うか?キャベツの結球の仕組みには成長ホルモンの1種オーキシンが関係あると言
われています。オーキシンには成長促進作用がありますが、その濃度が適当でない
と、うまく作用しないのです。薄すぎると効かなくて、濃すぎると逆に成長を抑制
するように作用します。また、オーキシンは光を避ける性質があり葉の表裏でオー
キシンの濃度が違うようになります。その表裏のオーキシンの濃度差が葉の伸びの
差となり、葉が巻きこむように生長するのでキャベツは丸くなる。これが結球のメ
カニズムですが。では、なぜ結球するのかとは、色々な理由がありますが、本当の
ところ良く分かっていないのだそうです。
★ 写真 ヤセウツボです。
撮影日時: 平成23年4月24日
場 所: 小机フィールド西側堤体
ヤセウツボ(ハマウツボ科ハマウツボ属)です。その前にお詫びと訂正
です。
以前、観察日記26号で「オニノヤガラ」と紹介した植物は「ヤセウツボ」
の間違いでした。訂正します。
ヤセウツボ、地中海地方原産の寄生植物です。1937年千葉県で確認され
要注意外来種に指定されています。牧草と共に日本に入ってきたそうでアカ
ツメクサやシロツメクサ等のマメ科の植物に寄生し、最後は宿主を枯らして
しまうので千葉県では有害植物になっているそうです。
マメ科の植物は高タンパク質の牧草としてたくさん輸入されていますが
まさか、こんな招かざる客も一緒に入ってきていたとは「お釈迦様でも気
がつくめー」。
寄生と言う変わった生態をもっていますが、在来種ではナンバンギセル
ハマウツボがよく知られています。ナンバンギセルはイネ科の植物、特に
ススキに寄生しススキの養分で成長しますが、それでススキが枯れた姿を
見たことはありません。
宿主が死んでしまえば元も子もなくなりますから、寄生の極意は生かさ
ず殺さずのはずです。
でも、ヤセウツボは宿主を枯らすそうです。原産地ではどのように共生
しているのでしょうか。日本と同じように嫌われているのならチョット可
愛そうな気もします。
★ 写真 レンゲソウ(蓮華草)の花です
撮影日時: 平成23年4月20日
場 所: 北側園地の田んぼ
レンゲソウ、少し前の春の農村風景には欠かせない花でした。と過去形で言うのは
今、横浜に限らず全国でもレンゲ畑を見ることは少なくなっているからです。
1960年(昭和35年)全国のレンゲの作付面積は約24万haありましたが、2003年
(平成15年)には約3万haに減少しています。
理由は沢山ありますが、化学肥料の普及により肥料(緑肥)としての意味合いが薄
れたこと、稲作の促成栽培化(昔、田植えは6月にしましたが、今は5月)によりレンゲ
の花が咲く期間が短くなってしまったことが大きいのではないでしょうか。
滝野瓢水と言う人の警句「手に取るな やはり野に置け蓮華草」で野草のイメージが
ありますが、レンゲソウは栽培植物なのです。マメ科レンゲ属の越年草。
レンゲの呼び方には色々ありますが「ゲンゲ」が標準和名です。原産地は中国ですが南
の方でしょうか。中国江西省はレンゲの栽培が盛んで種子は日本にも輸出されています。
江西省は景徳鎮の磁器で有名ですが、中国有数の稲作地帯でもあります。
春の暖かい日差しに咲く紅い花は、野に遊んだ子どもの頃の記憶と共に私達の郷愁を誘
いますが、昔の週刊新潮の表紙を描いた谷内六郎も春の情景としてレンゲソウを描いて
います。
小学校唱歌「春の小川」にも歌われています。
★ 写真 ダイコン(大根)の花です、無肥料栽培だと花数も少なくなります
撮影日時: 平成23年4月11日
場 所: 北側園地バタフライガーデン
ダイコン、日本人にはお馴染みの野菜です。煮てもよし、生でもよし癖がないの
で何の料理にも合います。
何にでも合いすぎて「刺身のつま」などと言われ、なんとなく軽んじられる存在
ですが人気者です。でも、花はどうでしょうか。
白い花で目立ちません。テレビドラマ「だいこんの花」も目立たない、市井の暮
らしが舞台でした。
主演、森繁久弥と竹脇無我でシリーズ化されましたからご覧になった方も多いの
ではないでしょうか。脚本、向田邦子です。
だいこんの花を「人知れず忘れられた茎に咲き 人知れずこぼれ散る 細やかな
白、だいこんの花」と詠います。何となく、昭和初期のお母さんのイメージでしょ
うか。でも、大根は食品としては実力者です。アブラナ科ダイコン属。アブラナ科
の植物には食用となるものが多く、食品成分表に記載されている野菜150種の内35
種がアブラナ科です。キャベツ、白菜なども同じ仲間です。
アブラナ科の植物は昔、「十字花植物」と呼ばれていました。4枚の花弁が十字
に見える事からの命名ですが「十字架」ではありません、念のため。
今は分類体系の考え方も変わり、この名前も使われることは少なくなりました。
だからと言って間違いと言う訳ではありません、保留名として今でも有効です。
★ 写真 ソメイヨシノの開花です、1分咲きくらいでしょうか
撮影日時: 平成23年4月1日
場 所: 日産スタジアム東ゲート橋横
待ち望んだ春です。今年の3月は東日本大震災で日本中がとてもつらい思いをしました。もう春は来ないのでは、と、思うほどの気分の沈んだ日々が続きましたが、季節は巡るのですね、今年も桜が咲きました。
ソメイヨシノは一年の始まりを告げる花でもあります。
東日本大震災では多くの方が被災され、今も多くの方々が避難され不自由な生活をされていると聞いています。一日も早い復興をお祈りします。
また、未曾有の大津波で沢山の方が亡くなりました謹んでご冥福をお祈りいたします。
横浜地方気象台のサクラの開花宣言は3月22日で昨年と同じでしたが、その後の寒さでサクラがほころび始めたのはこの二三日前からです。
ソメイヨシノ(染井吉野)はバラ科サクラ属の園芸種です。
その名のとおり江戸末期に染井村の伊藤伊兵衛さんの庭で見つかり全国に広まったと言う説が一般的でしたが、発生については人為交配、自然発生等諸説あり、作出者名も今では言わず、産出地の染井村の名のみを言うことが多いようです。
サクラの花は日本人の好みに合い、沢山の交配種、園芸種がつくられ、その数600種とも言われていますが、親となるサクラ属の種は意外と少なく5?7種しかありません。
こんな限られた親からあんなに多様な品種が生まれるのですから、遺伝ってほんとに不思議です。
★ 写真 コブシの花です、満開です
撮影日時: 平成23年3月31日
場 所: 東ゲート橋横の歩道(リハビリセンター前)
北国の春を告げる花です。雪のように白い花です。
コブシを喩えた言葉「咲き始めも白く、盛りでも白く、散る時も白い」とは誰の言葉だったのでしょうか、想い出せません。記憶違いでしょうか。
コブシ、モクレン科モクレン属の落葉広葉樹で里山が似合う樹木ですが、今は街路樹や公園樹としても使われ都会でもよく見かけます。
虫もつかず、樹形も良く、木質も柔らかく剪定しやすいのが人気の秘密かもしれませんが、剪定しすぎると花が咲かなくなります。
コブシの枝は切るものではありません。やはり野におけ、と言った樹木でしょうか。
街路樹は植物ですが、道路法では交通標識や街路灯と同じ「道路の付属物」の扱いとなっています。道路の付属物ですから通行の支障になれば「支障物(生き物ではない)」として撤去されます。
ここのコブシが枝を伸ばし、遠目で見るとサクラと見間違えそうな花を咲かすことができているのは、その立地にあります。割合広い歩道と、先がT字の道路なので車もスピードを出しません。また、交通量も少なく大型車の通行もあまりありません。
何より良いのは隣がリハビリセンターの駐車場で、コブシが枝を伸ばすことのできる広い空間があることです。来年はもっと多くの花を見てみたいと思います。
★ 写真 カブ(蕪)の花が咲いています
撮影日時: 平成23年3月23日
場 所: 北側園地バタフライガーデン
北側園地を吹く風はまだ冷たく、カブの花は咲いても訪れる虫はいません。
カブは春の七草の「すずな」の名でおなじみですが、食卓に上るのは根の
白い部分だけなので花を見ることは滅多にありません。
アブラナ科の野菜で根菜類ともいわれます。
カブは「根菜」の名のとおり肥大した根を食べるものですが、正確に言うと
根ではなく「胚軸」と言われる部分を食べます。馴染みのない言葉ですが胚軸
とは、芽が出て二葉が開いた時、葉の下から土の間まで部分を指します
(カイワレダイコンを見ると分かりやすい?)ダイコンも同じですが、カブの
方が胚軸の割合が多いので柔らかいのだそうです。
カブの球体には赤と白がありますが、カブの全国分布を調べると糸魚川・浜
松断層(通称ホッサマグマ)を境に東には赤カブが多く、西には白カブが多い
そうです。また、赤カブの色素にはアントシアン系のシアニン、ジアスターゼ
イソチアネートが含まれていて、シアニンには抗酸化作用、イソチアシアネー
トには老化防止の効能があると言われています。 健康に良さそうなので食べ
てみたくなりますが、でも、この時期のカブは「とうが立つた」と言われ食用
には適しません。
「とうが立つ」とは「盛りを過ぎる」の意味です。
花は盛りなのに盛りを過ぎるとは、これいかに。
★ 写真 富士山にかかる笠雲です
撮影日時: 平成23年2月27日午後5時30分頃
場 所: スタジアム西側2階通路から
空気が乾燥している冬には富士がくっきりと見えます。その時期もそろそろ終わりです。
国土交通省関東地方整備局のホームページ「関東の富士見百景」に「ダイヤモンド富士」
の欄があります。「ダイヤモンド富士」とは富士山頂に太陽が沈む瞬間の光輝現象を指すもので、ちゃんとした定義もあります。ホームページにはダイヤモンド富士を見ることのできる場所、日時の一覧があり新横浜公園(多目的遊水地)もその中に入っています。
日時も2月26日?27日とあったので日没を待っていたのですが、雲が出てきて「ダイヤモンド富士」を見ることは出来ませんでした。
ただ、富士山頂に掛かる雲、別に珍しくはないかもしれませんが、笠雲です。富士は標高の高い単独峰ということもあって、様々な型の雲を見ることができます。富士にかかる雲の型で明日の天気を予想することは昔から行われており「富士が笠をかぶれば近いうちに雨」の言葉もあります。実際に富士に笠雲がかかった次の日の雨の確率は70%以上との統計があります。笠雲とつるし雲がセットになった時の確率は80%以上とのことです。
天気予報としては十分に信頼できると言ってよいでしょう、事実、この次の日28日は朝から冷たい雨でした。
★ 写真 トビ(鳶)の幼鳥です
撮影日時: 平成23年1月21日
場 所: 北側園地減勢池
トビは空高く舞い、風をとらえるのが上手な鳥です。♪鳶がクルリと輪
をかいたと三橋美智也も歌っています。でも、この鳥はどうしたのでしょうか。
冬枯れの護岸に寂しそうに止まっていました。親にはぐれお腹がすいて途方
に暮れているように見えましたが、人間の子どもではないので迷子ではないで
しょう。餌が捕れずにお腹がすいていることは十分に考えられますが、野生の
生き物ですから仕方ありません。
江ノ島や鎌倉の海岸では、トビが観光客のお弁当を狙う話がテレビ等で放映
されたことがありますが、人間とのかかわりが強いとは言え、一応、猛禽類
(タカ目タカ科、肉食のはず)ですから人間の食べ物をかすめ取る様な事は止
めてほしいと思います。
でも「鳶に油揚げさらわれる」とのことわざもありますからトビは昔から人間
に馴染みのある鳥であるのは間違いありません。
建築現場で足場を組んだり、高いところの仕事をする職業を「鳶職」、江戸
火消の必須アイテム「鳶口」と言うのもありました。でも、極めつけは「鳶が
鷹を生む」でしょう、でも、この言葉をわが子に使うのはひかえた方が賢明
です。「カエルの子は蛙」と返されるのが落ちですから。
でも、この幼鳥、早く元気になって大空を舞う姿を見せてほしいと思います。
★ 写真 オオバンのひなたぼっこです
撮影日時: 平成23年1月12日
場 所: 北側園地減勢池
水が冷たいからでもないでしょうが、オオバンが陸に上がって
ひなたぼっこをしています。人が近くを通っても気にする風でも
なく座っていますが、人が立ち止まると警戒して腰を上げ水に入ります。
「オオバン」クイナ科オオバン属の冬鳥(渡り鳥)です。白いくちば
しと黒い羽根が特徴的で遠くからでも目につきます。新横浜公園の減勢
池では一年中見ることができますが、夏季と違うのはその数です。
夏季には4?5羽程度の群ですが、今は30羽を越えるような大きな
群れとなっています。この差が渡り鳥の証明です。泳ぎも得意だそうで
すが、歩くのもカルガモに比べ、とても達者です。足が長く背筋が伸び
てクイナ科の鳥だと分かります。
クイナ科にはたくさんの種類がいますが一番良く知られているのは沖
縄本島北部に生息する(世界でここにしか生息しない)ヤンバルクイナ
ではないでしょうか。
オオバンもヤンバルクイナも同じ科ですがその生態には大きな違いが
あります。オオバンは飛べ、渡りをすることができ、飛ぶことにより外
敵から身を守ることができますが、ヤンバルクイナはそれができません。
それだけ生息環境の変化に敏感だということです。ヤンバルクイナは
今、絶滅危惧種として人間の手で保護されていますが、そのような状況
に追い込んだのも人間と言うのも皮肉なことです。
★ 写真 ガマの花穂(かすい)の飛散状況です
撮影日時: 平成23年1月8日
場 所: 北側園地の保護区
ヒメガマの穂です。ガマ科ガマ属の多年草で、夏にはフランクフルトソーセージの様だった雌花穂(しかすい)は結実するとご覧のようにほぐれて風に乗って遠くまで飛ばされてゆきます。古代の人々はこの穂綿(ほわた)を集めて布団?を作ったそうです。 そう言われれば綿のようにふかふかしてとても気持ちよさそうです。
童謡に「大黒様」と言う歌があります。古事記の「因幡の素兎」(いなばのしろうさぎ))の物語を歌ったもので「♪大きな袋を肩にかけ 大黒様が来かかると ここに因幡の白うさぎ 皮をむかれて赤裸」で始まり3番まであります。
3番は「♪大黒様のいうとおり きれいな水に身を洗い がまの穂綿にくるまると うさぎはもとの白うさぎ」で終わります。
子供の頃、ウサギはガマの穂綿にくるまって傷を癒すのだと思っていましたが、そうではなく、ガマの雄花から採れる花粉には止血や利尿の薬効がありそれを生薬(漢方薬)として使って傷を治したのだそうです。また歌にある「きれいな水に身を洗い がまの穂綿にくるまる」のくだりは日本最古の傷治療の手順書なのだそうです。
今は医療も高度化し私達には理解不可能な世界となっていますが、治療の基本は傷口を清潔に保ち、安静にして体力の回復を待つこと。古代人も現代人もこれは同じです。
★ 写真 氷柱(つらら)ができました
撮影日時: 平成23年1月7日
場 所: スタジアム東ゲート橋入口
年明けから良い天気が続きます。昼間の日射しは暖かいのですが、夜は放射冷却現象により気温は下がります。東ゲート橋の両脇を飾っているハンギングフラワーに氷柱ができました。新横浜公園は思った以上に寒いのです。
ハンギングフラワーには灌水のための配管がしてあり、日に2回自動で給水されるようになっています。1回目の給水時間は午前5時頃で、今の時期なら一番寒い時間ではないでしょうか。給水される水量は極わずかですがそのわずかな水がこのような氷柱を作りました。氷柱は水が凍って出来るものですが、温度が低ければできるというものでもありません。このような形になるにはある条件が必要になります。その条件とは「凍っていない水」が必要と言うことです。水が冷気によって冷やされ氷になり、その氷の表面をまた水が流れ、また凍る。この繰り返しにより氷柱は出来ます。霜柱もできる場所は違いますが同じです。霜柱ができる仕組みについては観察日記60、108号にも書いています。季節ものとは言え二番煎じの感は否めませんが。
氷柱ができるような寒い朝は空気も澄み、朝日に輝く富士山も輪郭がはっきりして大きく見えます。今年も良い年でありますように。