★ 写真 ヒメジュウジナガカメムシです、名前のとおり長い名前です
撮影日時: 平成22年11月14日
場 所: 北側園地減勢池側植栽地
朝夕の気温も下がり、昆虫には辛い季節が近づいてきました。冬籠り(ふゆごもり)の準備でしょうか、沢山のカメムシが集まっていました。半翅目ナガカメムシ科の昆虫です。オレンジと黒の派手な模様で目立ちます。似たような模様の虫にナガメ、ヒメナガメがいますが、こちらはカメムシ科に分類されます。カメムシの体型は角ばったのが多いように思いますが、ヒメジュウジナガカメムシの方はその名の通り少し体長が長くほっそりとした印象を受けます。ジュウジナガカメムシと言うのもいますが、それより小さいの意味でしょう。でも、比べてみないとよく分かりません。
カメムシはその色合い、形のバリエーションが豊富なので昆虫愛好家には人気がありますが、一般の人の受けは良くありません、米作農家からは米の等級を落とす害虫として嫌われるのは仕方がないとしても、嫌われる原因はその匂いです。触るとかなり強烈なにおいを発します。この匂いは敵を脅かすだけでなく、自分自身をも死に至らしめるほどのものだそうです。でも、匂いの好みには個人差があり、一概にカメムシの匂いが悪臭とは言えません、事実、その刺激臭が好まれカメムシを食べる文化も世界にはあるのですから。蓼食う虫も好きづきの言葉もあります。
二年ほど前から挿し木を始め、花芽を付けたのは昨年に続いて3回目です。今年も昨年の株を株分けして昨年の6本から増やそうと試みましたが、残念ながら株分けに失敗したり台風で折れたりと昨年より少ない5本しか花芽を付けることができませんでした。
それでも、生き抜いた5株が大輪の花を咲かせ始めました。開花は10日でしたから昨年よりも3日ほど遅れました。これから約1ヶ月間霜にあたるまで次々に花を咲かせると想うので、今月
末から12月の始めまでが見頃となるでしょう。
咲いている場所は、日産フィールド小机に隣接した中央広場の一角にある花壇です。
まだまだこれからが見頃です。是非足を運んでみてください。
簡単に「帝王ダリア」についてご紹介します。
品名 帝王ダリア(別名 コダチダリア)
科/属性 キク科 ダリア属
原産 メキシコ、コロンビアなど中南米
草丈 2.5?4m、生育環境や手入れ次第では5mになる超大型
花色 ライトラベンダーピンク
花径 15?内外
花付 1本当たり15?50輪
【開花時期】
大晩生10月中旬から12月上旬(地域差がありますが、霜が降りる頃までです。)
【生育特性】
ダリアの仲間で唯一木質科する種であり、樹高は5m程度にもなります。葉も大きく、対生で1節から2枚発生しますが、生育旺盛な株であれば3本出ることもあるようです。花芽分化、開花は日長に左右されると言われていますが、一般的には上記のような時期とされています。中南米の標高900?2700mの比較的高地の原産ですが、低温には弱く、霜に当たると地上部は枯れて、冬季は塊茎の防寒が必要です。
★ 写真 トウカエデ(唐楓)の紅葉です
撮影日時: 平成22年11月18日
場 所: スタジアム西側チケット売り場横
紅葉は10月の季語ですが、スタジアムの木々はこれからが紅葉、黄葉の盛りです。紅葉は「もみじ」とも読み、もみじは楓のことでその鮮やかさは古来多くの人を魅了してきました。モミジはサクラと並んで日本人が好む樹木の一つです。トウカエデはカエデ科カエデ属の落葉樹ですが、その名の通り中国原産です。日本には江戸時代1721年(享保7年)に清国から将軍家へ献上品として入ってきたとの記録があります。テレビ時代劇「暴れん坊将軍」8代吉宗の時代です。献上品のトウカエデ6本は2か所に分けて植えられました。1か所は(現)小石川植物園(1本)。もう1か所は(現)都立浜離宮恩賜庭園(5本)で、浜離宮の5本は現存しているそうですが、真贋については分からないと「マイタウン東京」というホームページに出ていました。小石川植物園の樹は枯れて、今はないとのことです。徳川吉宗は「享保の改革」を行った将軍で、緊縮財政と共にいろんな殖産事業も起こしています。隅田川の土手にサクラを植え庶民の遊興の地にしたのも吉宗だそうです。吉宗の改革には厳しい半面息抜きができるような工夫もあったのです。新横浜公園のトウカエデはまだ若い木ですが、吉宗のトウカエデの末裔と言うことになるのでしょうか。トウカエデは気候条件が悪くてもきれいに発色します。山より街が似合う樹です。
さくらそうの植え替えシーズンの到来です、まだ、少し早いでしょうか。
この苗は横浜さくらそう会の三宅さんがこの春、採取した種をジベレリン処理して育てたものです。「ジベレリン処理」の言葉はご存じだと思います。種なしスイカや種なしブドウでおなじみですが、今は発芽促進や単為結実促進剤として園芸にはよく使われています。
サクラソウの種は寒さに当たらないと発芽しないのですが、ジベレリンには種子の休眠を打破する作用があり寒さに当たらなくても発芽します。こうすると来年の春まで発芽を待つ必要が無くなり、栽培期間を短縮することができます。
このような技術の上に今の農業、特に施設園芸は成立しており、昔のような天気を見ながら種をまく時期を決める素朴な姿は趣味の園芸世界でも少なくなりました。愛好家と呼ばれる人たちは意外(失礼)と先端技術志向が強いのです。綺麗な花を咲かせるためなら手段、労力を惜しみません。この苗、北側園地でどのように育ってくれるのでしょうか。
↑ 実生苗です。播種は今年の7月です ↑ 植え付けです
↑ 植え付け完了。これからの寒さや乾燥に耐えて育ってほしいものです
芝生観察日記の第二十八話です。
平成22年11月12日
冬芝が「分げつ」しました!!
種を播いてから約1ヵ月半が経過しました。これまで1葉、2葉と種から発芽した1本の茎から出た葉の枚数を報告してきましたが、今度は初めに出た茎の生え際から新たな茎が出てきました。これを「分げつ」と呼びます。樹木では「ヒコバエ」と呼びますが、聞いたことありますか。
下の写真は2本の茎を採取していますが、左側は2本、右側は3本に分げつしているのが判りますか。
こうして1粒の種が10本、20本と増えて株状に芝生面(ターフ)を形成していきます。ただ、これも冬芝だけでターフを形成させるのであれば肥料と水をどんどんやって分げつを促しますが、日産スタジアムのように夏芝にオーバーシードする場合は、あまり大きな株になり過ぎては困ります。理由は、夏芝を覆うことで春になって夏芝の芽出しを邪魔するからです。大きな要因としては日差しを遮ることで夏芝の芽出しに必要な地温の上昇を抑制するからです。
日産スタジアムでの冬芝の位置付けはあくまでも冬の間、茶色く退色する夏芝のお化粧なので肥料や散水を抑えて必要以上に分げつさせません。
ただ、その年の天候に左右され、景観的な視点とコンディションの両方をクリアする育成管理はこれが絶対だという数値で示せるものではないので、何年やっても難しいと毎年しみじみ感じます。
果たして来春には何本に分げつしているでしょうか。
今、世間では「仕分け」で盛り上がっているようですが、サクラソウの仕分けはこれからです。
世間の仕分けとは違い、いたって平和なものですが真剣さについては負けません。
仕分けを間違えると、半年先には結果が出て、下手をすると恥ずかしい思いをします。誰もそれを責めたりはしないのですが、プライドが許しません。
丹精込めて育てた苗を植木鉢から取り外し、根を洗い、品種ごとにビニール袋に詰めます。
今日の成果は、約110品種、約500株(芽)でした。
園芸種、野生種色々ありますが、どのようにして新横浜公園のさくらそう植栽地に植えるかはこれからです。
↑ この植木鉢のサクラソウを株分けします
↑ 作業風景、ほぼ2時間こんな姿勢で作業をします
APECメディア関係者の方が日産スタジアムで行われている「ワールドカップスタジアムツアーに参加しました。
この企画は、APECの開催に伴って行われた、「視察ツアー&市内観光プログラム」の中に含まれるプログラムの1つです。
ツアー一行は港北区水再生センターを見学してから日産スタジアムに到着。
スタジアムでのガイドをしてくれたのは、普段からツアーのガイドを担当していただいているツアーボランティア平川さん。
まずは再生センターからスタジアムへ送られてくる再生水の使用について説明をし、2002年のワールドカップ展示品が飾られている正面ホールへ
次にスタジアムツアーで一番人気のブラジルロッカー。2002年のワールドカップで優勝したブラジルの選手チームのロッカーを再現しています。実際の選手サインもあり当時の雰囲気を体験できる場所です。そしてフィールドへ。フィールドへ上がる時には入場時の音楽を流し選手になった気分を味わっていただきました。
記者の方は熱心に説明を聞き、たくさんメモをとっていました。
最後の見学場所VIP席へ・・・と思ったら!!
さすが記者の方ですね。記者席が気になったみたいです。まずは記者席に座ってスタジアム全体の景観と設備などを確認していました。
このあとVIP席を見学し、日産スタジアムでの視察ツアーは終了しました。
普段行っているツアーとは少し違うコースでの案内でしたが、メディアのかたも非常に興味をもっていただけたのではないでしょうか。
横浜観光の1つとして「ワールドカップスタジアムツアー」を海外の方に知っていただけることを期待したいです。
★ 写真 オオハナアブです。
撮影日時: 平成22年10月22日
場 所: 北側園地減勢池側の緑地
今年の秋は短く、夏の暑さの記憶を残したまま冬の到来です。ここ数日は寒い日が続いています。北側園地の草も実りの秋を過ぎ、花の数も少なくなりました。残り少ない花(セイタカアワダチソウ)にオオハナアブ(ハエ目ハナアブ科)が来ていました。黒くて腹部の黄褐色の帯が目立ちます。ハナバチかと思いましたがアブでした。
アブと言っても吸血性のウシアブ等とは違います。人畜に害など与えないと言うより、受粉の手助けをする有用なアブなのですが、消毒を専門とする会社のホームページには「不快害虫」として防除対象となっています。その理由「刺したりするわけではないが、ハチと間違えられて恐怖感や不快感を生じさせる。また、花に多数飛来するので人の多く集まる施設では騒ぎになることがある」。書いてある内容はそのとおりなので文句のつけようもないのですが、ハナアブには同情します。それだけでなく、幼虫時のことまでとやかく言われています。「幼虫は下水溝や便池(肥溜めのことです)などの汚れた水中に生息する。長い尾を持つ異様な姿」云々、確かに、その通りですが「異様な姿」は言いすぎではないでしょうか。別にすき好んで汚れた水中にいる訳ではない。汚い水をきれいにしていることを少しは分かってほしいとハナアブに代わって言います。
★ 写真 ハナバチです。
撮影日時: 平成22年10月22日
場 所: 北側園地減勢池側緑地
ハナバチの一種、トラマルハナバチです。コスモスの蜜か花粉を食べに来たのでしょうか。ハチ目ハチミツ科のハナバチですが、ミツバチのような大きな群をつくることはありません。巣も地面の下にネズミやモグラが掘った穴を利用して10から20匹程度が女王蜂を中心に暮らしているそうです。何となく平家の落人伝説を彷彿とさせる暮らしぶりのようですがハナバチの有用性は言うまでもありません。受粉で多くの植物がお世話になっています。ハナバチの仲間は世界で250種、日本では15種くらいいるそうです。その中でもトラマルハナバチはサクラソウとの関係で良く知られています。小学校5年の国語の教科書にも載っています。トラマルハナバチがいないとサクラソウは受粉できず実をつける事が出来ないと言う話です。サクラソウは宿根草ですから株分けで生息域を広げる事が可能ですが、一つの株から出来た群落は外圧に弱いと言われています。このような株をクローンと呼びます。クローン技術(挿し木もそうです)は農業や園芸では一般的な技術です。人間が栽培しますから栽培条件や病害虫はコントロールできるので優良なクローン苗の方が栽培管理も楽で生産性も高く好まれます。でも、野生となれば話は違います。クローンの群落は何が起こるか分からない自然の中ではとても不安定な状態にあるのです。
芝生観察日記の第二十七話です。
平成22年10月31日
季節外れの台風14号の接近は冷たい雨が70?程度降りましたが芝生への直接的な影響はありませんでした。人工地盤上に建てられた日産スタジアムは土壌の排水性が優れているため雨がいくら降っても心配することはありません。雨が降ることで心配なのは日照時間が少なくなることによる生育不良です。気温も低い日が続いているので、冬芝の生育が鈍いことも気がかりです。
さて、10月22日(金)から24日(日)までの3日間陸上のジュニアオリンピックが開催されました。陸上にはウレタントラックの上を走る、飛ぶの他に、芝生グラウンドに向かって投げる「投てき競技」があります。下の写真は、投てき競技の円盤投げが行われている会場の全景です。
今回の大会では「円盤投げ」の他、「ジャベリックスロー」と「砲丸投げ」といった投てき競技が行われましたが、下の写真はジャベリックスロー(写真左)と円盤投げ(写真右)の傷跡です。個々の傷は大きくはありませんが、一人の選手が何回も投げるので、器具の落下が集中する場所はたまりません。傷は砂を入れて埋め戻しておきますがサッカーの傷同様に直ぐには回復しません。
日産スタジアムは総合競技場です。陸上競技も使用用途の柱の一つですので、会場として使っていただけるのはありがたいことです。ただ、意外に芝生には厳しい利用であるのも事実です。
著しい天候の変化を読みながら多くの利用に耐えうる芝生を育てる仕事。グリーンキーパーには気が休む暇はありません。
ハナバチです。それもトラマルハナバチです。
新横浜公園北側園地のコスモスに来ていました。同じハナバチ仲間のクマバチは良く目にしていましたから驚きませんが、トラマルハナバチは初めてです。トラマルハナバチはサクラソウと受粉や吸蜜を通じて協力関係にあり、サクラソウはトラマルハナバチがいないと種をつける事が出来ません。このような関係を「共生」と言います。小学校5年生の教科書に「サクラソウとトラマルハナバチ」の題で鷲谷いずみさんが書いておられます。
新横浜公園にトラマルハナバチがいると言うことは、新横浜公園のサクラソウの植栽地のサクラソウも実をつけ、新しい株を作り広げることができると言うことでもあります。単なるサクラソウの花壇ではい、と、言うことです。もし、そうならとてもうれしいことです。来年の4月サクラソウの花に止まっているトラマルハナバチを見たいと思います。
↑ 忙しげに飛び交っていました。冬ごもりの準備でしょうか。そう言えば朝夕めっきり涼しくなりました。
涼しいというより寒いと言った方が適切かもしれません。