新横浜公園の北側園地には、遊水地としての排水機能を発揮する1号から6号までの水路が配置されています。
水路は、本来の設置目的である排水機能のほかに、自然環境のポテンシャルを測る指標であると認識しています。
鶴見川の越流により冠水した影響で攪乱がある新横浜公園の自然環境は、生物の生息・生育に配慮した植生管理や外来生物のコントロールも進める必要があります。具体的には、在来生物、貴重生物の生息・生育・繁殖に配慮した植生管理を行うとともに、アレチウリ、オオカワヂシャ等の攪乱性外来生物の除去を行っています。
これを進めるに当たり生物種の判別や生態系を熟知し、鶴見川流域の自然環境に精通した慶応義塾大学名誉教授の岸由二氏の指導を受け、鶴見川の自然と一体となった順応的な「多自然型管理」により遊水地公園としての機能を維持しながら自然環境を保全しています。
実際の維持管理は、鶴見川流域の自然環境に詳しいNPO法人が動植物調査を実施し、生態系に配慮した草刈りを行っています。
草刈りの頻度や草丈の設定は、利用者の安全性と快適性に配慮し、水路としての排水機能を損なわぬように、独自の「水路管理マニュアル」に基き、水路毎に管理指標を定めて、人と自然がふれあう場所を創出しています。
多自然型管理エリア
- オオヨシキリエリア
- オオヨシキリが繁殖する5~8月はアシ原を維持。秋はシギ類など湿地性の野鳥のために水域部を刈り払います。
- ヘイケボタルエリア
- 明るい水辺にすることで藻類の発生が促され、貝類が繁殖、ホタルの幼虫が生長する糧となります。
- サクラソウエリア
- 暑さや乾燥に弱いため、夏は除草せず残しておき、秋以降に草刈りを行います。
- サクラソウ・昆虫エリア
- チョウの吸蜜・食草となる植物の保全、移植をすすめるとともにバッタやキリギリス類の生息、繁殖をささえます。サクラソウ植栽区域は上記同様。
管理指標種
オオヨシキリ(ヨシキリ科)
ヘイケボタル(ホタル科)
サクラソウ(サクラソウ科)
キアゲハ(アゲハチョウ科)