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NSAA(陸上教室)

NSAA

開校にあたり(2007年1月4日)

 21世紀を迎え、文明社会はとどまるところを知らず発展し続けています。しかし、社会の繁栄とは裏腹に、ここ数年間子どもの体力の低下が指摘されるようになってきています。立つために必要な骨格や筋力の衰えから、長時間立てない子どもたちが増えてきているという現状を私たちはどのように受け止めたらいいのでしょうか。また、私たち大人に目を向けてみても、多くの人が偏った食生活や運動不足、そしてストレス過多の毎日の中で、深刻かつ様々な生活習慣病や精神的疾患に悩まされています。また、昔より足から老化が始まるといわれていますが、忙しい日常生活の中で、その衰えをただ受け入れるだけの日々を過ごしていて良いのでしょうか。
人類の歩みをみると、今から500万年前、アフリカ東側の地域が大きな地殻変動により草原化し、その時まで木の上で生活をしていた人類の祖先はやむなく地上での生活を強いられました。しかし、地上での生活は決して楽なものではなく、食料確保に苦労するとともに、多くの肉食動物の餌食になるなど、人類の祖先にとって地上は楽園とは程遠い厳しい環境だったのです。

 やがて、われわれ人類の先祖は、地上に降り立って厳しい生活を強いられていくうちに、二本足で立ち上がって周囲の状況を観察したり、手で触れたりするなかで、常に二本足で立ち続けることを可能にしました。そして、立つことによって自由になった手と、色々な音色を発することができるようになった声帯などを使って、仲間との様々なコミュニケーション方法を編み出し、肉食動物の脅威から開放されただけではなく、組織的に食料を手に入れる知恵を身につけたのです。この生活環境の変化と好奇心くすぐられる地上での生活が人類の脳を次第に肥大化させていくことになり、それを支えて立ち続けるために背骨はきれいなS字に湾曲し、容易に立ち続けるために必要な抗重力筋が発達していきました。

 つまり、大きな脳を支えるためにわれわれが手に入れた立位姿勢と二足歩行は人間が人間であり続けるための基本なのです。そして、このような人類の起源から現代までの歴史を調べてみると、一生は人類の進化の過程にとても似ているということに気がつきます。お母さんのおなかの中では爬虫類、そして生まれてからしばらくは4本足動物、何かにつかまって立ち上がり始め、徐々に人としての進化が始まり、色々な運動を繰り返して10歳くらいでやっと人として生活していくために必要な骨格と筋力を手に入れるのです。

 このように、人類が歩んできた道筋や人の成長過程から考えると、幼児期からショートカットしたり飛び級をして人生を急いで突っ走ることは決して望ましいことだとは思いません。

 日産スタジアム・アスレティクスアカデミー(NSAA)では人類の進化の過程と同じく、手と足を使って行う全身運動からスタートし、最終的には各自の目的・目標にマッチさせた専門的な運動まで、4つのグレードと1つのコース、そして1つのクラスに分けた6段階のカリキュラムを世界規模の施設を有する日産スタジアムの機能を最大限に利用しながら実施していきます。そして、ここに述べてきた目的を達成するために、日産スタジアム・アスレティクスアカデミーの開校に対しまして、私の今日までの経験とネットワークを活かして、全力で貢献していきたいと考えております。

日産スタジアム・アスレティクスアカデミー
代表 高野 進

※2011年4月よりグレード制からクラス・コース制へ変更しました。