新横浜公園生きもの観察日記260

観察日 : 2017年 3月14日(火)

場 所 : 減勢池(大池)周辺

生きもの: オオカマキリ(卵鞘)、ハラビロカマキリ(卵鞘)

記事作成: 横山大将(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

 

 皆さん、突然ですが問題です。日本には約10種のカマキリが生息していますが、体の形や色、大きさの他に、種類が判別できてしまうほど種ごとに異なっているものがあります。さて、それは一体何でしょうか?

 

 答えは「(らん)(しょう)(卵)」の形です。これは、昆虫類の中でもカマキリ目やゴキブリ目に見られる卵の形態で、複数の卵をケース状のもので包み、産み落としたもののことを言います。カマキリ目の場合は、ケースというよりは泡状といったほうがしっくりくる外観をしています。今回は、新横浜公園をはじめ、都市部の公園でも多く見られるカマキリの卵鞘を2種、ご紹介します。

 

 まずは、オオカマキリの卵鞘です。オオカマキリは、北海道から九州まで広い地域で見られる大型のカマキリで、「これこそカマキリ」といった印象です。前肢付根部分が黄色いこと、後翅の広い部分に黒っぽい模様が入ること等が特徴です。卵鞘も大型で、500円玉よりも大きく、一見するとふわふわした綿あめのような感じですが、触ると予想以上に硬く、しっかりしています。背丈の高い草本類の茎に産み付けられた卵鞘をよく見かけます。

オオカマキリ(卵).jpgオオカマキリの卵鞘

オオカマキリ.jpgオオカマキリ(成虫)※別日に観察

 次に、ハラビロカマキリの卵鞘です。こちらは、北海道には生息していないようですが、本州から南西諸島まで広く見られる中型の樹上性カマキリで、腹部が幅広いことからこの名前がついたとされています。名前の通り、腹部が幅広いこと、左右の前肢に黄色の点が3つほどあること、左右の前翅に白色の紋が一つずつあること等が特徴です。卵鞘はオオカマキリほど大きくはなく、500円玉よりも小さいか同等程度の大きさの紡錘形です。見た目も感触もオオカマキリのものよりも更に硬くしっかりしています。植栽されている街路樹や公園内の木、電柱等に産み付けられた卵鞘を見かける機会が多いです。

ハラビロカマキリ(卵).jpgハラビロカマキリの卵鞘

ハラビロカマキリ.jpgハラビロカマキリ(成虫)※別日に観察

 さて、今回は2種類のカマキリの卵鞘をご紹介しましたが、どちらも中には数百個以上の卵が入っており、これから2カ月ほどすると孵化の時期となります。天気が良く、気温も高い日、運が良ければカマキリの孵化の瞬間を見ることができるかもしれません。1個の卵鞘から数百匹のカマキリの幼虫が出てくるので、初めて見る方にとってはかなり迫力のあるものだと思います。なかなか見る機会は多くないと思うので、気になった方がいらしたら、ぜひお散歩がてら、探しに行ってみてください。「春」と「生命」を強く感じることができるのではないでしょうか。

オオカマキリ(卵)ほか場所.jpg