芝生観察日記 第51話

芝生観察日記の第五十一話です。
平成25年8月10日(土)

芝生観察日記の更新を楽しみにされていた皆さまお久しぶりです。
8カ月ぶりの更新となってしまいました。
ようやく夏真っ盛りとなって汗ばむ陽気が続いていますが、例年より10日も早く梅雨入りしたものの雨量は少なく、戻り梅雨があったり、曇天日が多い天気の影響で冬芝から夏芝へのトラジションが遅れ気味な今年の日産スタジアムの芝生コンディションです。
全国的に見ると記録的な大雨に見舞われている地域もあり、異常気象という言葉で逃げたくはありませんが、芝生に限らず植物管理をされている方にとっては悩ましい問題ではないでしょうか。
Jリーグは中盤に差し掛かろうとしていますが、ホームのF・マリノスは開幕から好調を維持して現在2位。ACLの出場権どころか優勝の二文字が浮かぶ活躍なので芝生を管理する我々グリーンキーパーにとってもやり甲斐のある毎日です。
が、さて、好調が故に気になる芝生の状態。。。
初めて6月に開催したコンサート。多くのお客様にご来場いただきTV等でも放映され、普段は日産スタジアムの名前を聞いた事がない方にも知っていただけたイベントでした。開催が1日ということと、梅雨入り前後という時期もあって芝生のダメージは小さいと考えていましたが、曇天日の多かった梅雨時季の日照不足が響いて、想定外に芝生が落ち込み回復に時間を要しました。
しかし、ここへ来て猛暑となり夏芝のティフトンがようやく元気になってきました。このまま一気にトラジションを完了させたいところですが、今週と来週の2週に亘ってコンサートが開催されます。
スタジアムの運営上は、ありがたいイベントですが芝生を管理する我々にとっては胃の痛い夏がやってきました。
コンサートでは芝生フィールドも「テラプラス」という芝生専用の保護材を設置してアリーナ席となります。芝生専用とはいえ芝生は傷みます。しかも2週連続ではさすがに芝生も辛いのです。
マリノス、そして日本代表のホームとして常に最高の状態をというのが我々のプライドです。コンサートの後だから仕方ないよねとは言われたくないので、コンサートをしても芝生が傷まない保護材を研究して辿りついたのが写真の通称「はるさめ」。正式名称は「コアマット」。芝生の保護材ではなく、浸食防止マットが本来の用途です。芝生の保護材として採用したのが新潟の東北電力ビッグスワンスタジアム。このマットを保護材として使った際の特許も取得しています。上には上がいるものですね。
 
sibafu51-1.jpg sibafu51-2.jpg

今回は、このマットを新潟からお借りし、我々が試験してコンサート時の芝生保護材として新しい可能性を模索した結果、探し当てたのがイベント用床面養生材「ポーターフロア」。

sibafu51-3.jpg sibafu51-4.jpg

コアマットの良さは前から知っていましたが、これだけでは大事な芝生を守ることができないので別の資材との組み合わせが必要です。色々と試験を重ねた結果「コアマット+ポーターフロア」の組み合わせであれば2週連続のコンサートを開催しても何とか8月29日のJリーグ浦和戦、そして9月10日に控えた日本代表戦にホームとして恥ずかしくない芝生に回復させられると信じてサザンオールスターズのコンサートでデビューします。日本、いや世界初のチャレンジです。
2002年ワールドカップの会場でもあるビッグスワンスタジアムとのコラボでもあり、非常に結果が楽しみです。

sibafu51-5.jpg

サザンオールスターズ35周年記念の復活コンサート。スタジアム内は満員のお客様で盛り上ってます。
結果は、週明けに報告します。