鶴見川の多目的遊水地として水と緑が豊かな新横浜公園には、多種多様な生きものが生息しています。生きものを好きになり、理解を深めていただく機会として、今年度も「新横浜公園の生きもの博士になろう!2024」(協賛:株式会社春秋商事)を開催。年5回を予定しました。
今回は、水辺の野鳥や草花の観察とハマカンゾウの植栽を行いました。講師は、NPO法人鶴見川流域ネットワーキングさんです。
はじめに双眼鏡の使い方の説明です。天気が良いときは、絶対に太陽を見ないように気を付けましょう。目を傷めます。飛んでいる鳥を観察しているときは要注意です。双眼鏡が視力に合っていないとはっきりと見えないため、視度の調整をしました。
スタートして間もなく、ピーヨ、ピーヨと鳴き声が聞こえ、クスノキの樹冠(枝葉の茂っているところ)から鳥が3羽ほど飛んでいきました。おなじみのヒヨドリです。少し進んでバタフライガーデンに到着すると、ランタナの花にツマグロヒョウモンの雄が数匹、吸蜜にきていました。日差しを浴びてとても暖かそうでした。チョウの紹介をしていると「カマキリがいた!」と子どもの声。子どもたちの発見力、さすがですね。オオカマキリが訪花する昆虫を待ち伏せていたのかもしれません。
双眼鏡の使い方
バタフライガーデンのランタナ
吸蜜するツマグロヒョウモンの雄
オオカマキリが待ち伏せていました
大池にさしかかったところで、越流堤の水位計を見ると、モズがとまっていました。肉眼で場所を確かめてもらい、双眼鏡で観察します。鳥が小さいとその場所を探しあてるだけでも大変ですね。池の水面にはオオバンが登場。黒い体におでこと嘴(くちばし)の白が目立ちます。そして、カンムリカイツブリも現れてくれました。水面には鳥の姿はあまり見られず、水辺に生えているヤナギやガマ、アシの根本にハシビロガモやコガモが多く、首をまるめて休んでいました。
ハシビロガモは水面に嘴をつけて、プランクトン等を食べていると言われています。新横浜公園では何を食べているのか、プランクトンネットで採集してみると、ピコピコと動く生きものがたくさん。ケンミジンコやゾウミジンコの仲間が多かったようです。
野鳥観察の様子
小さなハンター モズ
白いおでことクチバシが特徴のオオバン
ハシビロガモ
カンムリカイツブリ
プランクトンネットで微生物を採集
ケンミジンコの仲間
ゾウミジンコの仲間
大池からいったん離れて、メドウガーデンの方へ。ここでは、モズのはやにえ探し。枝の先に虫などが刺さっていないか、みなさんに探してもらいました。静かな時間が少し流れて、「いた!」と無事に発見。指をさした先には、枝にオンブバッタが刺さっていました。今年は暖かいためか、例年よりもはやにえの数が少ないようです。
モズのはやにえ探し
はやにえにされたオンブバッタ
ハマカンゾウを植える場所に到着しました。株分けしてから、1株ずつ植えていきました。ハマカンゾウの花期は、7月下旬から10月上旬頃まで。元気に生長して、きれいな花をたくさん咲かせてほしいですね。
ハマカンゾウの株分け
来年元気に花を咲かせてね
ハマカンゾウの花
野鳥観察の後半戦スタート。さっそく姿を見せてくれたのはカワセミでした。きれいな色合いが素敵です。そして、大きな白いサギ、ダイサギ。シュッと嘴が水中に入り、小魚か何かを捕らえた様子も見ることができました。水際の陸上では、オオバンがもぐもぐタイム。休日の草地広場は、とても賑わっていましたが、立ち入り禁止になっていた範囲では、タヒバリとハクセキレイがたくさん見られました。突堤に移動すると、水辺にはたくさんのハシビロガモとコガモが休息中。数羽は水面を泳いで目の前を通ってくれたので、近くで観察することができました。
アシ原は小鳥たちのレストラン。葉鞘(茎を包んだ葉)をめくると小判状のものがついていました。カイガラムシの仲間で、冬の野鳥にとって大切な食べ物になっているんですね。今回は、2時間ほどで22種の野鳥を観察することができました。
カワセミ
ダイサギ
上陸して草を食べているオオバンを観察
タヒバリ
ハシビロガモ(左)とコガモ(右)
アシについているカイガラムシ