観察日 : 2023年 7月13日(木)、28日(金)、30日(日)
場 所 : 水路付近
生きもの: アブラゼミ、ニイニイゼミ、コクワガタ、ルリタテハ、コムラサキ、クロカナブン
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
地中生活から地上へ(7月13日)
ジリジリジリ...。アブラゼミの鳴き声は、盛夏を感じさせてくれます。今年も聞こえ始めたため、夜の公園に行ってきました。
19時過ぎ。あたりは大分暗くなり、暑さは少し落ち着いてきました。投てき場周辺から観察開始。探し始めて間もなく、地面を歩いているアブラゼミの幼虫を発見。近くの木を見ると、幹を登っているものもいました。
場所を移動して、第2運動広場の北側の樹木が点在しているエリア。針葉樹のメタセコイアでは、羽化中のニイニイゼミが3匹。うち1匹は翅が展開していました。本種は、アブラゼミよりも小型で幼虫の体には泥がついているので一目瞭然です。シダレヤナギには、アブラゼミの抜け殻がよくついているため、根本付近の地面や幹、枝葉を探していると、1匹の幼虫が木登り中。すぐそばには、樹液に来ていたコクワガタの雄と雌がいましたが、両者気にする様子は全くなし。幼虫はマイペースに登っていきました。
20時40分頃。投てき場のそばにいた幼虫の様子が気になり、戻ってみました。枝先の方を探すと、真っ白なアブラゼミが2匹、目につきました。以前、アブラゼミの羽化を観察したときは、幼虫が場所を決めて背中が割れ始めてから、約50分で翅(はね)が展開しました。幼虫の確認から1時間以上経っていたので、羽化に十分な時間でした。何回も観察しているのですが、毎年、感慨深いものを感じます。
地上に出てきたアブラゼミの幼虫(19時20分、投てき場そば)
登っている幼虫もいました。
アブラゼミの成虫
羽化中のニイニイゼミ(19時50分、第2運動広場北側)
羽化したニイニイゼミ(20時、第2運動広場北側)
ニイニイゼミの成虫
サクラの樹皮にうまく溶け込んでいますね。
コクワガタの横を登っていくアブラゼミの幼虫
(20時、第2運動広場北側)
アブラゼミの羽化。翅(はね)はしっかり広がっていました。
(20時45分、投てき場そば)
樹液などに集まるチョウ(7月28日、30日)
夜の昆虫観察のために仕掛けを木につけていると、黒っぽいチョウのようなものが、視界の隅に一瞬入りました。後ろを振り向くと、パタパタ飛んでおり、翅の表に青白い模様。ルリタテハでした。仕掛けの匂いに誘われてやってきたのかなと思っていると、すぐにその木にとまり、吸汁を始めました。時々ルリタテハを見かけるため、2年前、多自然型管理を行っている水路に食草のホトトギスを植えたのですが、幼虫は未確認。個体数が少なそうなので、すぐにとはいかないものですね。
別の場所の仕掛けには、コムラサキとクロカナブンがきていました。コムラサキは、ルリタテハと同じタテハチョウの仲間。神奈川県では、レッドデータ報告書2006によると、絶滅危惧ⅠB類(ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)に位置づけられています。今年は、目につきやすい場所で樹液が出ており、そこに集中しているためなのか分かりませんが、例年よりも数が多く感じられます。
園内には食草となるヤナギ類が豊富。産卵場所も餌場もあるため、とてもよい環境だといえそうです。今後もたくさんのコムラサキが見られる公園であってほしいですね。
匂いに誘われてやってきたルリタテハ(7月28日)
吸汁し始めました。
ルリタテハの翅裏の模様
仕掛けにやってきたコムラサキとクロカナブン(7月30日)
クヌギの樹液に集まるコムラサキ(7月30日)