芝生観察日記の第百十四話です。
令和二年12月15日(火)
<~ Road to 2019&2020 ~>
まずは、お詫びから。前回アウェイ側ゴール前の芝張替えについて綴りました。文中で張替えた面積を約40㎡としましたが、正解は約16㎡です。40㎡張替えることはなかなかありません。ごめんなさい。
さて、新型ウイルスに翻弄された2020年もあと2週間ほどになりました。日産スタジアムでは本年全ての利用が終了し、来年のJリーグ開幕に向けて既に芝生は養生中です。
朝の気温は、一桁台ですが、日中は15℃に達する日もあり、日向ではポカポカ陽気の穏やかな12月となっています。ただ、今日辺りから厳しい寒気が南下し、いよいよ本格的な冬が到来してきたようです。
例年なら今くらいの時季に初霜を確認するのですが、今年は暖冬のせいか、まだ確認されていません。
現在は、養生中ということで連日芝生には不織布のシートが掛けられています。シートは週に一回だけ剥がして、芝生に陽を当てることで、湿気を飛ばして乾燥させています。
写真がぴんぼけして分かり辛いかもしれませんが、シートを剥がした直後の状況です。芝と芝の隙間に細かい水滴が付着しているのが分かりますか。病気の菌糸かもしれません。連日、最低気温4℃、最高気温13℃前後の温度帯ですから普通じゃ発生しません。しかし、シートを掛けることで菌が動くほど表面温度が上がる可能性はあります。そのため、定期的に陽を当てて、乾かすことが大事なのです。
シートによる養生は、芝生にメリットがある一方で、シートの種類、掛けるタイミング、掛ける期間などを考慮しないと本末転倒な結果を招くこともあるので気を付けなければなりません。
シートを撤去し、決まって行う作業は刈込みと液肥散布です。
今年の12月は、暖かいのでシートの効果により冬芝の生育が順調です。
写真は冬芝がぎっしり詰まった状況です。芝生を掻き分ければ所々で夏芝を確認できますが、さすがに12月も中旬なので表面上は殆ど冬芝に移行しています。ただ、来年のトランジションのことを考えると少し出来すぎたかなという懸念も沸いてきます。
写真の真ん中に少し黄色っぽい芝生が生えていますが、違う種類ではありません。これは、芝生の中に生える最もポピュラーな雑草、「スズメノカタビラ」です。私たちは色の違いで見分けられますが、普通は芝生にしか見えません。雑草もシートで保温されることで生育が旺盛になりますが、この位のうちに除草すれば容易に抜くことができます。
写真は、メインスタンドの2階席から西側コーナー付近を撮ったものです。以前のブログでも日産スタジアムの特殊な環境については、何度も出て書いてきました。これから冬至を挟んで約1ヶ月に亘ってこの付近は陽が全く当たらない期間となります。一年を通じて日照時間は少ない地点ですが、これからの1ヶ月間はゼロです。勿論、芝生の生育に影響が出るのは言うまでもありませんが、日産スタジアムではグロウライトやLEDのような補助光のシステムを備えていないため、誤魔化しながら利用に支障を来さないように管理しています。
年内、そして年明けも管理作業と言えば、シート掛け、刈込み、液肥散布の繰り返しとなります。これからの厳冬期は、シートを二重にすることもあります。次回は、そのタイミングで更新できればと思います。
寒さが一層厳しくなります。新型ウイルスの第三波も猛威を振るい先が見えませんが、皆さまどうぞご自愛ください。
来年こそ良い年でありますように。