芝生観察日記の第七十四話です。
平成28年12月9日(金)
「FIFAクラブワールドカップジャパン2016」の開幕戦から一夜明けました。
開催国代表として参加しているJリーグチャンピオンの鹿島アントラーズがオセアニア代表のオークランドシティーに2対1の逆転で勝利しました。
平日の夜ながら17,667人の観衆が詰掛けました。しかし、まだまだ開幕戦ということでスタジアムの雰囲気は想ってたよりも柔らかい空気に包まれていました。
何にしても鹿島アントラーズの皆さん、「おめでとうございます」。
昨年のサンフレッチェ広島に引き続き、日本代表として旋風を巻き起こして欲しいと思います。
試合前のフィールドはこんな感じでした。今年の天候にはいろいろ泣かされましたが、何とかこの大会にギリギリ間に合ったかなというところでしょうか。テレビ映えもしていたような?
この大会に向けて、毎回フィールド全体に荒治療を施してきましたが、今回も試合の3日前にバーチドレン掛けを行いました。長いフォークのような機械で芝生に穴を空けるやつです。
昨年の開幕戦では、12月とは思えない雨の中での試合となりましたが、バーチドレンの効果もあってか水溜り一つできずに試合は滞りなく終了しました。今大会前もFIFAのジェネラルコーディネーターからピッチの排水性について注文をもらいました。
バーチドレン掛けは、排水性の向上だけでなく、通気性を改善し、芝生の根圏に酸素を送ることで芝生を活性化させます。そして、何といっても土壌を軟らかくするので選手の疲労軽減や転倒時の安全性向上に役立つのです。本来は春先や秋口に加えて、夏場のコンサート前など年に数回実施しますが、今回のように試合の3日前というのは稀なケースです。しかし、メリットばかりのようなバーチドレン掛けですが、芝生に穴を空けて、土壌をほぐすため試合で荒れる可能性が高くなるほか、根を傷付けてしまうというデメリットもあります。しかし、10日間という長期間の大会なのでデメリットよりもメリットに期待して実施しました。
試合後は、細かな傷が全体に発生しましたが、サッカーの質に影響しそうな状況には至らず、ホッとしています。
次の試合は、次週12月15日(木)です。いよいよヨーロッパチャンピオンとしてスペインのレアルマドリードが登場します。吹田スタジアムで行われるアジアチャンピオンとして参加する韓国の全北現代モータース対北中米カリブチャンピオンとして参加するメキシコのクラブアメリカの勝者と対戦します。
正味5日という短い養生期間ですが、注目の一戦に向けてできる限りの手当てをして臨みたいと思います。
また、次回をお楽しみに!