「新横浜公園四季折々のいきもの観察会」(協賛:株式会社春秋商事)の4回目の観察会を開催しました。
今回はNPO法人 鶴見川流域ネットワーキング(以下npo TRネット)代表理事であり、慶応義塾大学名誉教授でもある岸由二先生による「外来種とどうつきあうか」がテーマの講義です。
岸由二先生
昨今、盛り上がりを見せている「外来種問題」についてお話いただきました。外来種問題とはそもそも何なのか。世界や日本、特に鶴見川流域、新横浜公園での現状についてお話いただきました。以下、岸先生の講義をご紹介いたします。
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外来種とはそもそも何なのか、について世界的な統一見解はありません。日本では、「明治時代以降」に、もともとその地域にいなかったのに人間の活動によって他の地域から入ってきた大型の動植物を対象として、特に注意すべきものを特定外来生物に指定し、飼育・販売・もち運び等を規制する外来生物法が施行されています。
外来種は「危険」という考え方が先行しており、まるで外来種の全てに罪があるかのように言われてしまっています。外来種を徹底的に排除することこそ正義とするような理解のされかたをするのは果たして正しいあり方なのでしょうか。固有種の生息や生態系に有意な影響を与える外来種は、排除、コントロールすべきものですが、そうでない外来種もふくめて、一律に全て排除の対象とするのは、効果に関しても、また、必要な経緯や労力の点でも適当でないと私は考えます。
在来生物に影響を与える外来種は、排除するだけで有効活用できないのでしょうか。特定外来種として有名なブラックバスやブルーギルは、今は持ち運びも、取引も法律で厳格に禁止されていますが、もとは水産資源として導入された歴史がありました。
新横浜公園にいたブルーギル(2018いきもの観察会①にて)
ミシシッピアカミミガメもスッポンが当たり前に食べられているように、食糧として考えることもできるかもしれませんね。
新横浜公園にいたミシシッピアカミミガメ(2017いきもの観察会③にて)
新横浜公園にはどのくらい外来種がいるのでしょうか。
新横浜公園にある植物はnpo TRネットの調査(2016-17年度)によると「204種」、そのうち外来種は「72種」でした。(実に35%が外来種ということになります!)
植物を通してみても、在来種ばかりでなく多種多様な外来種があることがわかります。新横浜公園では、外来種をすべて排除するなどということを目標とするのではなく、オギやアシなどの在来の植物を中心とする群落の回復・創出ならびにそこに暮らす生きものとの多様性を重視する多自然型管理を行なっています。その回復作業にとって妨害となる植物は、外来であれ(セイタカアワダチソウやアレチウリなど)、在来種(ツルマメ、カナムグラなど)であれ、排除する作業をすすめています。
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実際に新横浜公園ではどのような管理を行なっているのでしょうか。npo TRネット阿部さんにガイドして頂き、園内の水路へ向かいました。
多自然型管理を行なっている水路
水路の一部では「神奈川県絶滅危惧Ⅱ類」(貴重な鳥とされています)に指定されているオオヨシキリの繁殖を目指しています。オオヨシキリが住みやすいようにアシを維持・回復させながら、それらに影響を与えるアレチウリなどの除去を行なっています。
水路に生えているアレチウリ
こうした努力が実を結び、先日オオヨシキリの巣を確認することができました!
オオヨシキリの巣(2018年9月27日撮影 提供:npo TRネット)
その後、参加者からは様々な質問・議論が交わされ、みなさまの生物多様性に対する関心の高さを伺うことができました。
この四季折々のいきもの観察会は年間で全5回行われる予定です。次回は第5回 野鳥と冬越しの虫観察&クリスマスリース作りを予定しています。是非ご応募ください!!