芝生観察日記 第96話

芝生観察日記の第九十六話です。

令和二年6月16日(火)

<~ Road to 2019&2020 ~>

 6月11日に梅雨入りが発表されました。例年より3日ほど遅れての梅雨入りです。

 梅雨入りした当日は激しい雨となりました。ひと昔前まで梅雨と言えばしとしとと雨が降り、アジサイの花とカタツムリなんて風情を感じる季節でしたが、最近は天気の様子がずいぶんと変わりました。

 しかし、気温と湿度が上がってじめじめした蒸し暑さは今も昔も変わりません。

 人間にとって一年のうちで最も不快な季節ですが、芝生にとっても色々な障害が出る季節です。

①菌糸.jpg

 写真は、昨日の朝に確認した病気の菌糸です。黄色い輪の中に白い綿状の菌糸が見られます。写真では分かり辛いのですが、その脇の黒い輪の中には赤茶色に枯れた病斑も見られます。

 恐らく「ダラースポット病」か「カーブラリア葉枯病」辺りではないかと思われますが、今後の対応を決める上で正確に病原菌を特定する必要があります。既に菌糸を含む芝生を専門の研究所に送り、菌の特定を依頼しました。

 いずれの病気にしても、高温多湿が発生要因の一つですが、この手の病気は芝刈り機のほか、人が歩いた靴に菌糸が付着してどんどん拡散します。発見が遅れ、対応を間違えると激発して大きな被害となるため迅速な対応が求められます。

②タマナヤガ.jpg

 次は、今朝発見したのですが、黄色い輪の中央に穴が空いているのが分かりますか。その周りの芝生は茶色く齧られたようになっています。犯人は白い輪の中にいる「タマナヤガ」という蛾の幼虫です。既に相当量の芝生を食べてまる丸と太っています。体長は凡そ4㎝ほどです。

 朝の巡回時に所々で芝生が円形状に赤茶色に枯れた部分を見つけ、気になったので芝生を掻き分けて見ると大きな穴が見つかったので、穴の中を穿ってみると4㎝くらいの深さに潜っていました。芝生害虫の多くが、日中は土の中に潜んでいて、夜になると表面付近に上がってきて芝生の根や茎を食害します。

 この虫の個体自体は決して多くはありませんが、体が大きいため1匹あたりの被害が大きく、気付かないうちに数cmにおよびます。そのため、先ほどの病気と同様に早期発見、早期対応が重要です。

 日産スタジアムの芝生管理は、微生物の活動を重視して有機肥料を中心とした管理方法であるため、病害虫に対する予防的な対応は極力行わないようにしています。そのため、特に病気に関しては病原菌が特定次第、速やかに適応薬剤を散布して被害を最小限に抑えるよう心掛けています。

 病気が特定されたら対応等を含めてまた報告します。