観察日 : 2020年 10月30日(金)
場 所 : 水路付近
植 物 : ミゾソバ、タコノアシ
昆 虫 : ツチイナゴ、ショウリョウバッタモドキ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
曇り空で北風が吹いて肌寒い。冬が近づいているのを感じさせるような天気。まずは草地広場近くの水路の様子から観察をスタートしました。
アシやヒメガマが生えていない開けている場所にはミゾソバが多く、たくさんの花を咲かせていました。葉の形が牛の顔(ひたい)に似ていることから、ウシノヒタイという別名があります。葉の先が少しとがっていますが、とても似ていますね。紅葉しているのは、タコノアシ。湿地などに生える植物で、花や実がつく部分が、タコの足に見えることが由来です。植物の名前を聞いてもなかなか頭に入ってこないものが多いですが、これは特徴的でおもしろく覚えやすいですね。
点々と白く見えるのがミゾソバの花、紅葉するタコノアシ
ミゾソバの花(左)と葉(右)
1つの花は小さく、十数個ほどが集まっています。 牛の額(顔)に見えますか?
タコノアシ まさにタコの足のようですね。
大池は、水面を覆っていたヒシは枯れてほとんど見られなくなり、アオサギやダイサギ、コサギ、カワセミ、オオバン、コガモ、ハシビロガモ、カルガモなど。オオバンは9月下旬より数が増えてきており、ハシビロガモは換羽がすすんでいる様子でした。
野球場から球技場にかけて北側を流れている水路は、生きものの生息・繁殖等に配慮した多自然型の管理を行っており、現在、冬に入る前のチョウなどの貴重な蜜源としてセイタカアワダチソウを、越冬する昆虫や小鳥類の隠れ場、餌場としてオギやアシを一部刈らずに残しています。なにか昆虫に出会えるか行ってみると、さっそく吸蜜しているモンシロチョウを発見。オギの葉の上で休んでいる様子のイチモンジセセリと、下の方にはツチイナゴがいました。ツチイナゴは大型のバッタで、大きさはトノサマバッタと同じほど。特徴は、黒い涙を流しているような模様と成虫で冬を越します。ツチイナゴの写真を撮っていると、すぐそばでショウリョウバッタモドキを見つけました。1枚写真を撮り終えたところで、こちらに気づいたのか、クルリと葉の裏側に身を隠し、間もなく近くにいたもう一匹が同じ葉に跳んできました。すぐにクルッと葉の裏に隠れてしまうのがカメラ泣かせでもあり、かわいらしいところでもあります。もう少し写真を撮りたくて待っていると、バッタもこちらの様子を見ようと思ったのか、半身を出してくれました。バッタからするとまだいるよ、しつこい人だなと思ったに違いないでしょう。神奈川県のレッドリストでは、本種が生息する草地環境の減少の理由で、要注意種となっています。
第2運動広場付近の水路の様子
背丈の高い草は、アシやオギ。黄色い花はセイタカアワダチソウ。
ツチイナゴの幼虫(左)と成虫(右)
ショウリョウバッタモドキ 葉っぱとそっくり
もう1匹が飛び乗ってきて、葉の裏側に2匹
(赤丸は、2匹の片方の触角)
半身を出してくれました。はっきりわかりますね。
今回は、ツチイナゴの写真をとるためにしゃがんでいたところ、ショウリョウバッタモドキを見つけることができました。歩きながら流し見ていたら気づかずに通り過ぎていたと思います。普段と違う視線で観察すると新しい発見や面白い気づきがあるかもしれませんね。