芝生観察日記の第百二十二話です。
令和四年1月17日(月)
令和四年最初の芝生観察日記となります。
15日、今年最初の利用となるラグビーリーグワンディヴィジョン1第2節「横浜キヤノンイーグルス vs コベルコ神戸スティーラーズ」の試合が行われました。
横浜キヤノンイーグルスにとっては、ホストゲーム初戦となる負けられない一戦です。
スタンドには、日増しに感染者数が増すコロナ禍にも関わらず、しっかりした感染対策の下、11,233人の観客が詰めかけました。
試合当日は、快晴となり氷点下の厳しい朝でした。日中も気温の上がり方は鈍く、キックオフの14時半でも10℃を少し超える程度の底冷えする天候でした。
日産スタジアムでラグビーが開催されるのは、2019年のワールドカップ以来となります。
17mのラグビーポールも決勝戦以来となりますが、改めて見ても大きいですね。
試合は、横浜キヤノンイーグルスが55対21の圧勝で、過去の対戦成績で分が悪かったコベルコ神戸スティーラーズを破り、開幕から2連勝を飾りました。
当日のピッチコンディションは、年明け5日に22㍉で刈込みを行って以来、この試合のために刈込みは行わなかったので凡そ25㍉程度の草丈であったと思います。
サッカーと比べて、ボールを転がすのが主の競技ではないので、芝の葉先が綺麗に揃っていることより、選手の体への負担を軽減するため弾力とスクラムを組んだ際に足元をしっかり支えてくれる強度が求められます。そのため草丈を長くして、芝生の弾力を増させると同時に強度を強くするのが狙いです。
今回の刈らない対応が功を奏してか、試合前の表面硬度は80.5ポイントと理想的な値でした。
とはいえ、ワールドカップの時はハイブリッド芝でしたが、現在は天然芝に戻っているため強度的な部分では若干不安もありました。
写真は、スクラムが組まれた場所のダメージ状況です。細かい傷は目立ちますが、スパイクが横ずれしたような傷跡もなく、強度はまずまずだったと思います。
個々の傷も、深く抉れたり、陥没するような傷は少なく、試合を通じてスクラムを組む場面が少ない試合だったので想定以上に良い結果で終われたと安堵しています。
2月に入るとJリーグが開幕します。今年は、その開幕を告げる「FUJIFILM SUPERCUP2022」が2月12日に予定されています。
ラグビーによる傷は、その頃までには目立たなくなるよう養生管理を行っていきます。
サッカーとラグビーが共存するためには、的確な管理作業は勿論ですが、コンディション的にお互いの試合に影響が出ないように綿密なスケジュール調整が欠かせません。
4月には、横浜キヤノンイーグルスの試合がもう1試合予定されています。前後のスケジュール調整をしっかり行い、サッカーとラグビーが共にベストコンディションで迎えられるように我々の試行錯誤は続きます。
今年も、どうぞよろしくお願い致します。