芝生観察日記の第百二十四話です。
令和四年2月21日(月)
2月19日(土)、J1リーグの開幕戦となる横浜F・マリノスvsセレッソ大阪戦が開催されました。
天候は、曇り。時折小雨がぱらつき、気温も10℃を割る底冷えする中での試合は、マリノスが前半1点ビハインドで迎えた後半に2点を取返し、一時は逆転しましたが、後半45分に再びセレッソ大阪が得点して、結果は残念ながら2対2の引き分けとなりました。
それにしても、今年の冬は本当に寒いですね。各地で大雪となり、ここ横浜でも毎週のように降雪予報が出て、既に積雪も2回確認されています。
この寒さは人間だけでなく、芝生にも影響が出ています。
先週行われたスーパーカップの朝もそうでしたが、氷点下の朝が珍しくないこの冬は、基本的に作業をする時や雪予報が出た時以外は、保温のためシートを掛けています。
この日の朝も、開門前までシートを掛けていました。
近年は、温暖化の影響により暖冬傾向でしたが、今年は冬らしい冬となっており、日産スタジアムのある新横浜公園の池が凍り、各所で霜柱が立っています。
ここ最近の冬は、暖冬により夏芝(暖地型)ティフトン419に限らず、公園のノシバやコウライシバも完全に休眠せず、地際では緑の茎や葉が見られますが、今年は冷え込みが厳しく、完全に休眠しています。ただ、夏芝にとっては完全に休眠した方が、養分の消費が少なく、春の目出しがスムーズになるはずなので楽しみです。
それでは、冬芝(寒地型)はどうなのかというと冬芝も寒さが好きなわけではありません。夏芝のように休眠して葉が茶色く退色するわけではありませんが、氷点下となるような環境では緑色こそ維持しますが、養分吸収は停止し、生育は殆どしません。そのため、スーパーカップ後の1週間で芝刈りはわずか2回と少なく、芝生を刈ると言うよりゼブラ模様の刈り目をつけたり、清掃目的で飛び散った芝カスを回収する意味合いが大きいです。
現在、日産スタジアムのピッチを緑で覆っているのは冬芝ですが、上記のとおり生育していないので先週のスーパーカップで傷ついた部分も全く回復していません。
この先、冬芝が動き出すのは3月上旬ころ、夏芝は遅れて4月中下旬ころです。それまでは、傷口を手当てし、誤魔化しながら試合を消化していきます。春はもう直ぐそこまで来ています。
上の写真はセレッソ戦後の状況です。左側がホーム側(北西)ゴール前、右側がアウェイ側(南東)のゴール前の状況です。
昨年12月4日のJリーグ最終戦後、先週のスーパーカップまで約2カ月間で1回イベントで使った以外は、ほぼシートを掛けて養生していましたが、冬季の利用は回復しないので傷んだままです。
特に、アウェイ側はつい最近まで1日に2時間程度しか陽が当たらない場所なので、芝生の生育がホーム側と比べて劣るため、ストレス耐性が弱く、傷み易く、回復し辛い場所です。
写真を見比べてみると、ホーム側が緑色を維持しているのに対して、アウェイ側は白っぽくなっています。実際現場で見ると、その違いは歴然です。
ゴール前以外は、この試合で目立ったダメージは残りませんでした。先週のスーパーカップ時の表面硬度が、83ポイントと若干硬さを感じたので、19日の試合前にバーチドレンを掛けた結果、試合当日の表面硬度は78ポイントまで改善され、選手からも好評だったようです。
しかし、この時季は芝生自体がまだ動いていないので、我々的には物足りなさを感じています。
次戦は、明後日23日の川崎フロンターレ戦です。
誤魔化しながら、凌いで春を待ちます。