観察日 : 2022年 4月19日(火)
場 所 : 大池付近、水路付近
植 物 : ニョイスミレ、ヤナギの種子(柳絮・りゅうじょ)
動 物 : ハシビロガモ、コガモ、オオバン、ツバメ、アブラムシ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
4月に入り、20℃を超える日が多くなってきました。大池では、越冬していたハシビロガモやコガモ、オオバンなどの数が徐々に少なくなり、繁殖のために渡来したツバメが見られるようになりました。最寄りの小机駅では、ツバメの巣がいくつか出来始めています。
観察しながら池沿いを歩いていると、行く先の地面に多数の白い花を発見。この時期、ヘビイチゴの黄色い花はよく見ますが、白い花は何だったろうと近づくと、スミレの仲間でした。ニョイスミレのようです。こんなにたくさん咲いていた場所があったとは今まで全く気づきませんでした。こういう突然の出会いが楽しいですね。
ハシビロガモのペア 今シーズンもこれで見納めか
ニョイスミレの群落
白い花びらに紫色の筋が美しい
ニョイスミレ(如意菫)の花を堪能して、少し進むと柵のそばにギシギシが生えていました。茎はすすがついたように真っ黒。正体は、アブラムシでした。アブラムシは昆虫で、セミやカメムシと同じように、針状の口を植物に差し込んで栄養をとります。種によって、寄生する植物がほぼ決まっており、ギシギシには、ギシギシアブラムシやマメクロアブラムシがつくようです。(外見で見分けるのは困難なよう) びっしりつくほどの数を見るとギョッとしますが、アブラムシ自体は弱い生きもの。テントウムシやハチ等の昆虫やクモといった天敵が多く存在し、風雨の影響も受けやすいようです。これを増殖力で補っているアブラムシの生き残るための戦略ですね。観察していると翅(はね)があるアブラムシを見かけることがあります。同種でも翅を持つものと持たないものがいます。寄生する植物の状態が悪くなると、有翅型(ゆうしがた)が現れて移動するようです。無翅型(むしがた)は、雌のみ。単為生殖で増殖に特化しているのです。卵胎生のため、赤ちゃんを産み増えていきます。
ギシギシ 緑色の茎が真っ黒に
正体はアブラムシ
(ギシギシには、ギシギシアブラムシやマメクロアブラムシなどがつくようです)
大池を離れ、園路を歩いていると、柵の下に白いものが積もっていました。冬、ガマの穂綿で雪が積もったように見えることはたまにありますが、今は春。気づけば、空中を綿毛が飛んでいます。柳絮(りゅうじょ)です。
公園内の水辺には多くのヤナギが生えており、春に開花。その後、果実が熟すと割れて、綿毛に包まれた種子が出現。これが柳絮(りゅうじょ)と呼ばれます。雪のように舞う様子は風情があります。一方、中国では、大量の柳絮が飛散するため、吸い込むことによってアレルギー反応を引き起こす(柳絮自体は無害だが、汚染物質が付着することが要因とも)ことが問題となっており、日中の外出制限が呼びかけられたりしているようです。
今はみなさんマスクをして園内を利用されているので問題ないと思いますが、たくさん飛んでいるときは吸い込まないよう注意しつつ、今の時期だけの光景を楽しみましょう。
雪が降ったように見えますね。
柳絮 ヤナギの小さな種子が綿毛に包まれています。
果実が割れて出てきた柳絮