観察日 : 2017年 12月19日(火)
場 所 : 減勢池
生きもの: ノスリ、カンムリカイツブリ、タシギ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
冷え込む日が続きますね。公園入りしたのは10時前でしたが、日陰の植物一面にはまだ霜が残っていました。投てき練習場の方から減勢池沿いに観察をはじめ、まず見られたのが排水門前のコンクリートブロックにたたずむ6羽のカワウ。繁殖羽で頭の羽が白くなっているものもいました(年老いて白髪になってきたカワウではありません)。
そして排水門の上にも留まっている鳥が1羽、ノスリでした。冬期になるとこの付近でよく見られるタカの一種です。写真を撮ってまもなく、獲物を見つけたのか鶴見川の方にヒュ~っと降りて行きました。神奈川県では、オオタカと同様に繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類※、非繁殖期・希少種※に指定されています。観察が終わったお昼過ぎには、ハシボソガラスがノスリにモビング(嫌がらせをして追い払う行動)をして、もう1羽のノスリがそれを伺っているような様子も見ることができました。
ノスリ(タカ科)
カンムリカイツブリは、10月31日の観察(生きもの観察日記275)で成鳥を確認していましたが、第1回冬羽(今年生まれで秋の換羽による羽衣)で、顔に幼羽の白黒模様の面影が残る個体がいました。カイツブリの仲間は潜水が得意で、弁足という足の指1本1本に発達した膜がついている形になっています。日本で見られるカイツブリの仲間5種で、この日はカイツブリも確認できました。以前は年中見ることができましたが、夏場はヒシに覆われて潜水しにくくなったせいか、最近はヒシがない秋から春にかけて姿を見るようになりました。
カンムリカイツブリ(カイツブリ科)
続いてタシギです。今月3日に実施した生きもの観察会と同じ辺りにいたので、相当この場所がお好きのようです。旅鳥・冬鳥で、ここでは秋から春にかけて見られます。枯れ草の中に潜んでいるときは、本当に分からず、近づいてジェッ!と鳴き飛ばれて気づくというまさに忍者です。神奈川県では、湿地等の減少により生息環境が心配されており注目種※になっています。
鳥山川合流部の上流に広がる草原性の淡水低湿地環境を好む生きもののためにも、このような環境の大切さを認識して大事にしていきたいですね。
タシギ(シギ科)
※絶滅危惧Ⅱ類...絶滅の危険が増大している種
希少種...生息地が狭域であるなど生息環境が脆弱な種のうち、現在は個体数を特に減少させていないが、生息地での環境悪化によっては絶滅が危惧される種。
注目種...生息環境が特殊なもののうち、県内における衰退は目立たないが、環境悪化が生じた際には絶滅が危惧される種。