新横浜公園生きもの観察日記290

観察日 : 2018年 7月19日(木)

場 所 : 園内水路周辺

生きもの: アブラゼミ、ニイニイゼミ、カブトムシ、シロテンハナムグリ、

      アカボシゴマダラ

記事作成: 横山大将(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

 

 東日本では異例の酷暑となっている今日この頃。筆者には大変厳しい気候で、夏バテ気味ですが、昆虫たちは元気に活動しています。そこで今回は、「夏といえば」の昆虫たちをメインに紹介していきたいと思います。

 

 真夏の日差しで、すでにフラフラになっていると、頭上から「ジリジリジリジリ・・・」、「チーチーチーチー・・・」と、うるさいほどにセミの鳴き声が聞こえてきます。毎年恒例の2種類のセミが合唱していました。

DSCF3076.jpgアブラゼミ

DSCF3078.jpgニイニイゼミ

 「ジリジリジリ」と鳴いているのはアブラゼミ、「チーチーチー」と鳴いているのはニイニイゼミです。新横浜公園をはじめ、周辺で見かける機会の最も多いアブラゼミは、その鳴き声が油で揚げ物をしているときの音に似ているため、この名前になったのだとか。翅は全体的にこげ茶色で、体は黒っぽいのが特徴です。ニイニイゼミは、鳴き声が「チーチー」や「ニーニー」と聞こえることからこの名前がついたそうです。(筆者個人の感想としては、ニーニーとは聞こえないような・・・) アブラゼミの2/3ほどの大きさしかない小型のセミで、体全体が迷彩服のようなまだら模様なのが特徴です。よくサクラの幹に止まっていますが、一見しただけでは木の幹のコブにしか見えないというほど、カモフラージュが上手です。彼らが合唱を続ける木の周辺には、抜け殻もたくさんついていて、子どもの頃に抜け殻を集めては家に持ち帰っていたのを思い出しました。

 

 この日は33℃を超える暑さとなりました。この暑さに、意識も朦朧としてきたので、少し木陰で休もうと思い、クヌギが密生している場所に逃げ込みました。すると、なにやら鼻を突く酸っぱい匂いが。その匂いの方を見ると、樹液が出ていて、昆虫たちが集まっているではありませんか!俗に言う「樹液酒場」状態ですね。そこにはなんと「あの」昆虫もやってきていました。

DSCF3099.jpg「樹液酒場」に集まったカブトムシ(メス)、シロテンハナムグリ、アカボシゴマダラ

  

 やはり、日本の夏といえばカブトムシですよね。まあ、角のないメスでしたが。それから、同じくコガネムシ科のシロテンハナムグリも集まっていました。どちらも、樹液や糖蜜トラップによく集まってくる甲虫の仲間で、夏の夜の風物詩的存在です。ですが、今回のように、エサを食べるのに夢中で、昼間でも活動している個体にもちょくちょく出会います。

 

 写真の右上、きれいなチョウもやってきていました。タテハチョウ科のアカボシゴマダラです。白地に黒筋と赤い模様の入る大変美しいチョウですが、最近「特定外来生物」に指定されてしまいました。理由としては、日本の在来種であるゴマダラチョウ類と交雑・競合する恐れがあることなどが挙げられています。近年では関東地域でも激増しており、そのほとんどが人為的に放蝶されたものであると言われています。アカボシゴマダラを放蝶した方が何を考えてこのような軽率な行動をとったのか不明ですが、本当の生きもの好きであれば、人間にとっても生きものにとっても、これほどに問題になるようなことはしない、もとい「できない」だろうと思います。このような外来種の問題に関しては、我々人間個人のモラルが問われるものであり、今後、このアカボシゴマダラのような事が起きないよう、切に祈るばかりです。

 

 今後も暑い日が続くようなので、熱中症にはくれぐれもお気をつけて、楽しいフィールドワークをお送りください!

アブラゼミほか場所.jpg