芝生観察日記の第百十二話です。
令和二年11月13日(金)
<~ Road to 2019&2020 ~>
朝晩の寒暖差が大きくなり、秋の深まりを感じるようになりました。
今日は最高気温が20℃に達し、朝の冷え込みも10℃を超えて最近の中では高めの穏やかな陽気です。
明日は、Jリーグ横浜F・マリノスのホーム最終戦が行われます。
対戦相手は、浦和レッズ。激しい試合になりそうです。
昨日までは、最低気温が7℃前後まで下がる冷え込みが連日続いており、芝生も連日アンダーヒーティングでの加温に加えて、パオパオシートと呼ばれる不織布のシートを掛けて芝生の上下両方から寒さ対策を行い、大事な一戦に備えてきました。
パオパオは、元々農業用ですが、透過性や通気性にも配慮されているため芝生にも対応できます。
今朝は、明日の試合準備として最初にパオパオシートの撤去から始まりました。通気性に配慮はされていますが、このシートを掛けることで表面温度が2℃程度上がるので、気温が高い日中は外気温よりもシート内の温度が上がり、同時に湿度も高くなるため病気の菌糸が動き出すリスクが高まります。
写真では分かり辛いかもしれませんが、黄色い枠の中にクモの巣のような菌糸が発生しています。
恐らく、以前にも名前が出た「カーブラリア葉枯れ病」の菌糸だろうと思います。
状況的に冬芝ではなく、夏芝にだけ発生しているようです。月の始めに殺菌剤は撒いたものの、この病気の厄介なところは条件さえ整えば菌が動き出すことです。
シートを掛けるのを我慢すれば菌の動きは鈍くなりますが、芝生への保温効果が無くなるため判断に迷うところです。
シートを剥がした後の芝生です。11月に入って晴れる日が多かったので、冬芝もだいぶしっかりしてきました。アンダーヒーティングとパオパオシートの効果で夏芝もまだ休眠せず、濃緑を維持して見映えは申し分ありません。
シートを剥がし、自走式の芝刈り機で刈込みます。例年この時季は乗用式の芝刈り機で刈込みを行うのですが、今年は播種後の天候があまり良くなかったため、冬芝の生育が遅れ気味なので、大事をとって重量の軽い自走式を使っています。
芝生にとっては優しい対応ですが、約8、000㎡あるピッチを二人で刈込みます。個人差はありますが、一人当たり約15,000歩の距離なので人にはあまり優しくないですね。
そのお陰で最終戦のピッチが整いました。感謝!
朝晩は凍えるような日が多くなり、日中も冷たい北風が吹くようになってきました。中央広場花壇の花は、夏の間、暑さに負けず元気に花を咲かせていました。しかし、寒い時期を迎えると本格的に枯れてしまうため、花の植え替えをしました。
今回中央広場花壇に植えたお花は、寒さで枯れることはなく、春になり暖かくなると大きく成長するパンジーです。
「よく咲くスミレ」という品種名の通り、長い間多くの花を咲かせます。
冬の間、落葉樹は葉を落とし、花を咲かせる野草も少なく、彩りが少なくなってしまいます。その間もきれいな花を咲かせる花壇の花を是非見に来てください。
観察日 : 2020年 10月30日(金)
場 所 : 水路付近
植 物 : ミゾソバ、タコノアシ
昆 虫 : ツチイナゴ、ショウリョウバッタモドキ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
曇り空で北風が吹いて肌寒い。冬が近づいているのを感じさせるような天気。まずは草地広場近くの水路の様子から観察をスタートしました。
アシやヒメガマが生えていない開けている場所にはミゾソバが多く、たくさんの花を咲かせていました。葉の形が牛の顔(ひたい)に似ていることから、ウシノヒタイという別名があります。葉の先が少しとがっていますが、とても似ていますね。紅葉しているのは、タコノアシ。湿地などに生える植物で、花や実がつく部分が、タコの足に見えることが由来です。植物の名前を聞いてもなかなか頭に入ってこないものが多いですが、これは特徴的でおもしろく覚えやすいですね。
点々と白く見えるのがミゾソバの花、紅葉するタコノアシ
ミゾソバの花(左)と葉(右)
1つの花は小さく、十数個ほどが集まっています。 牛の額(顔)に見えますか?
タコノアシ まさにタコの足のようですね。
大池は、水面を覆っていたヒシは枯れてほとんど見られなくなり、アオサギやダイサギ、コサギ、カワセミ、オオバン、コガモ、ハシビロガモ、カルガモなど。オオバンは9月下旬より数が増えてきており、ハシビロガモは換羽がすすんでいる様子でした。
野球場から球技場にかけて北側を流れている水路は、生きものの生息・繁殖等に配慮した多自然型の管理を行っており、現在、冬に入る前のチョウなどの貴重な蜜源としてセイタカアワダチソウを、越冬する昆虫や小鳥類の隠れ場、餌場としてオギやアシを一部刈らずに残しています。なにか昆虫に出会えるか行ってみると、さっそく吸蜜しているモンシロチョウを発見。オギの葉の上で休んでいる様子のイチモンジセセリと、下の方にはツチイナゴがいました。ツチイナゴは大型のバッタで、大きさはトノサマバッタと同じほど。特徴は、黒い涙を流しているような模様と成虫で冬を越します。ツチイナゴの写真を撮っていると、すぐそばでショウリョウバッタモドキを見つけました。1枚写真を撮り終えたところで、こちらに気づいたのか、クルリと葉の裏側に身を隠し、間もなく近くにいたもう一匹が同じ葉に跳んできました。すぐにクルッと葉の裏に隠れてしまうのがカメラ泣かせでもあり、かわいらしいところでもあります。もう少し写真を撮りたくて待っていると、バッタもこちらの様子を見ようと思ったのか、半身を出してくれました。バッタからするとまだいるよ、しつこい人だなと思ったに違いないでしょう。神奈川県のレッドリストでは、本種が生息する草地環境の減少の理由で、要注意種となっています。
第2運動広場付近の水路の様子
背丈の高い草は、アシやオギ。黄色い花はセイタカアワダチソウ。
ツチイナゴの幼虫(左)と成虫(右)
ショウリョウバッタモドキ 葉っぱとそっくり
もう1匹が飛び乗ってきて、葉の裏側に2匹
(赤丸は、2匹の片方の触角)
半身を出してくれました。はっきりわかりますね。
今回は、ツチイナゴの写真をとるためにしゃがんでいたところ、ショウリョウバッタモドキを見つけることができました。歩きながら流し見ていたら気づかずに通り過ぎていたと思います。普段と違う視線で観察すると新しい発見や面白い気づきがあるかもしれませんね。
芝生観察日記の第百十一話です。
令和二年10月30日(金)
<~ Road to 2019&2020 ~>
四葉目が出始めました。そして、分げつを始めました。
分げつは、芝生に限らず様々な植物でも見られる株分かれです。
一粒の種から出た芽が、四枚の葉を出し、更にその株が新たな芽を出して、既に三枚目の葉を出し始めています。つまり単純に言うと7倍に増えたということになります。
今後、更に葉の枚数と共に分げつしながら密度を増やし、冬芝主体のフィールドへと変化していきます。
前回のブログの後、先週21日にはJリーグ、F・マリノス対名古屋戦が行われました。ようやく三葉が出始めた直後の試合で芝生の傷みが心配されましたが、幸い冬芝の根が短いながらも土壌に絡んでくれたので思いの外、大きな傷は残りませんでした。
上の写真は北側コーナー付近の状況です。細かな傷は点在しますが、前節までのように砂が飛ぶような傷は目立ちませんでした。右側の傷が全体で最も目立った傷です。
上の写真は、試合前の状態ですが、ゼブラ模様が美しく、冬芝の魅力を改めて実感します。右側の写真で光沢のある淡い緑が冬芝で、濃緑な方が夏芝のセレブレーションになります。見分けがつくでしょうか。
次の試合は、来週11月3日(祝日)の鹿島戦となります。朝晩の冷え込みが体に沁みる季節となりました。スタジアムの芝生もアンダーヒーティングとシート養生を開始し、冬支度を始めました。
次回は、鹿島戦後の状態をお伝えします。
朝晩の冷え込みが強く、すでに冬の気配が感じられるようになってきました。気温が低くなるにつれて、新横浜公園の植物の生育も鈍くなってきました。小机競技場ローズガーデンも秋の見ごろを少し過ぎてしまいました。それでもまだ半数近くの花が咲いています。
「チャールズ・レニ・マッキントッシュ」
ライラックのような柔らかいピンク色の花は、近くで嗅ぐとよい香りがします。コーヒーカップのような花の形(カップ咲き)をしています。
小机競技場ローズガーデンができて、まだ2年程度ですが、宿根草の植物たちも大きくなってきて、花には数種類のチョウが集まっています。
ローズマリーに止まるベニシジミ
アメリカンブルーに止まるセセリチョウ科の仲間
飛んでいる昆虫たちの数も冬になると少なくなってしまいますが、晴れた日中は公園の至るところで元気に飛んでいる姿が見られます。新横浜公園にお越しの際は、花に集まる昆虫たちもお楽しみください。バラにはトゲがありますので、近くで鑑賞される際はトゲにお気を付けください。