観察日 : 2018年 9月6日(木)
場 所 : 大池
生きもの: ミサゴ、チュウサギ、ジュンサイハムシ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
強風や高潮で近畿地方を中心に大きな被害をもたらした台風21号。その後の公園の生きものの様子が気になり、急きょ観察に行きました。
亀の甲橋を歩きながら公園全体を見渡していると、小机大橋下流の上空にトビでもチョウゲンボウでもないタカを発見。お馴染みのオオタカだろうと決めつけて見ていると、、、なんとミサゴでした!あまり出会うことのないタカです。ミサゴは魚食性で、獲物を捉える瞬間を期待していましたが、残念ながら期待に応えてはくれませんでした。でもここでは久しぶりに観察することができたため、嬉しい観察のスタートになりました。
ミサゴ
8月中旬の大池の水面は、ヒシの葉でほぼ緑色でしたが、この半月ほどで茶色に一変しました。一面の茶色にとても目立つ真っ白な鳥が3羽。チュウサギです。(コサギやダイサギもいるため、詐欺にあわないようにご注意を)ここでは、枯れたヒシの上にいる姿が最近の風物詩になってきました。チュウサギは夏期にやってくる鳥で、ヒシは10月に入ると水面から消えてしまうため、この光景を見ることができるのは今だけです。ぜひ、会いに来てください。
チュウサギ 目立ちすぎます
コサギ、チュウサギ、ダイサギは、名前の通り大きさが違います。コサギは、嘴が黒く、あしゆびだけが黄色。写真のチュウサギとダイサギは、嘴が黄色ですが、婚姻色では黒くなります。
コサギ
ダイサギ
ヒシはほぼ緑色(8月17日)
一面茶色になったヒシ(9月6日)
ヒシを茶色に一変させている原因は、ジュンサイハムシです。ジュンサイやヒシを食草としている昆虫です。葉についている黒っぽいイモムシが幼虫で、葉の表面を食べられると枯れていくため、右隣りのスペード型の葉はまだ幼虫に食べられていないので、青々としているのが分かります。大池にはどれほどのジュンサイハムシがいるのか、ぞっとするような数になりそうで推定するのもこわいですね。
ジュンサイハムシ
観察日 : 2018年 8月28日(火)
場 所 : 園内水路付近、メドウガーデン付近
生きもの: ヒメアトスカシバ、コガタスズメバチ、セグロアシナガバチ
記事作成: 横山大将(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
長いこと猛暑が続いています。そのせいか、今年は例年に比べ昆虫が少ないように思います。やはり、昆虫たちにとっても、今年の暑さは耐え難いものなのかもしれませんね。
さて、今回はそんな暑さの中でも元気に飛び回っていた縞模様の昆虫をご紹介したいと思います。この日は、暑かったものの曇りがちの天気だったため、昆虫たちが比較的多く出てきていました。公園内の水路周辺を見て回っていると、黄色と黒の縞模様の昆虫がつる植物の葉っぱの周りを飛んでいました。「ハチだ!」と思い、気をつけながら近づいて、じっくり観察してみると何だか様子が違います。
ヒメアトスカシバ
模様はスズメバチやアシナガバチにそっくりですが、触角の形や脚の毛の量、顔つき等々が大きく違っていました。これは、ヒメアトスカシバというスカシバガの仲間のです。ハチの仲間に擬態して、天敵から身を守っているため、このような見た目だと言われています。見つけてしばらく、カメラを構えて近くにいましたが、羽音も「ブーン・・・」と低い音で、ハチそっくりで、大変驚きました。驚いて見ている私を尻目に、ヒメアトスカシバは、水路の奥の方へと飛び去っていきました。
擬態の素晴らしさの余韻を感じつつ公園内を歩いていると、今度もつる草に昆虫が集まっています。花が咲いていたので、花粉や蜜を食べに来ていたようです。すると、「ブーン・・・」という低い羽音が聞こえてきました。「またヒメアトスカシバかな?」と思い振り返ると、今度は本物のハチでした。しかもコガタスズメバチとセグロアシナガバチの2種類。おっとっと・・・。
コガタスズメバチ
セグロアシナガバチ
コガタスズメバチは「小型」とはいえ、日本ではわりと大きなスズメバチの仲間です(オオスズメバチとくらべて小型という意味ともいわれています)。これから秋にかけては、気が荒くなることがあるので注意が必要です。セグロアシナガバチは、日本国内では最大級のアシナガバチの仲間で、都市部の公園や緑地でも普通に見られます。どちらも刺すので、怖いといえば怖いですが、基本的にはこちらからちょっかいを出さない限りは刺してきませんので、ご安心を。ハチがいたら、あわてず、静かにその場を立ち去るようにしましょう。
これから涼しくなると思いますが、生きものたちはまだまだ元気に活動をしています。身近な自然に目を向けて、フィールドワークをお楽しみ下さい!
新横浜公園市民活動支援事業の「日産スタジアム運営ボランティア グリーン&グリーンクラブ」主管による「かかし作り体験」を8月24日に開催し、6組の家族にご参加いただきました。かかし1体に1家族、作り方を指導してくれるボランティアさんとチームになって作り上げました。
「筋肉隆々のヒミツはペットボトル」
「古着を利用したラグビー日本代表風ユニフォームを着ます」
「参加者のみなさん、ボランティアさんとかかしで記念写真」
ボランティアさんにより田んぼに飾られたかかしは、新横浜公園の田んぼの稲を鳥から守り、2019年ラグビーワールドカップの応援もしています。個性豊かな表情とポーズをしたかかし達を見に来てくださいね。
観察日 : 2018年 8月17日(金)
場 所 : 投てき練習場付近、大池
生きもの: チョウゲンボウ、カルガモ、クワカミキリ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
ここ何日か朝晩の気温は、秋の気配が感じられるようになってきました。とは言うもののまだ真夏。日中は暑さが厳しくなるだろうと思い、今回は7時半から観察をスタートしました。
日産スタジアムの上空がなにやら騒がしい。ハヤブサの仲間のチョウゲンボウが5羽のカラスに追われていました。うまく追手から逃れチョウゲンボウは一安心。するとカラスは別の方向へ向かっていき、カラスの向かう先からはもう1羽チョウゲンボウが出現しました。集団で追われるチョウゲンボウも大変ですが、猛禽類から身を守ろうとするカラスも必死ですね。
公園内に入ると、あんなに騒がしかったアブラゼミなどの鳴き声は静か。代わりに草むらからエンマコオロギなど秋の虫たちの声が響いており、着実に季節が変わっていっていることを実感できました。鳴き声を涼しげに聴きながら、クワの木を見ると、枝にクワカミキリを発見!反射的に捕まえようと手が動いてしまい、写真が先だったと枝に戻したのですが、ポロッと落ちる。何回やっても落ちてしまうので、諦めて地面で撮りました。手にする度に「キュイキュイ」鳴くのですが、前胸あたり(下写真の黄丸)をしきりに動かし音を出しているようでした。
クワカミキリ 強そう~!
最近は厳しい暑さのためだったのか、大池にはアオサギがポツ、ポツといる程度でしたが、カルガモが16羽もいてとても賑やかでした。このうち、体が明らかに小さい子ガモは2羽。お母さんガモに付いて水草などパクパク食べていました。この母ガモがすっと首を伸ばして何かに気づいた様子。近くにいたカルガモの群れからもグワァ、グワァと鳴き声が。私はタカが出たのかと見上げたと同時に、水面からは水しぶきがバシャッ!そこから上昇していったのはチョウゲンボウでした。水しぶきのそばにいたのは、大きな体のカルガモだったため、本気で狩ろうというよりは好奇心が強く滑空していったのかなと思いますが、こんなチョウゲンボウの行動を目撃したのは初めてだったのでとても驚きました。
ジリジリ暑くなりはじめてきた10時に観察を終了。汗ひとつかかず快適に巡ることができました。チョウゲンボウの珍しい行動を観察することができ、やはり早起きは三文の徳ですね。
カルガモの親子
上親子のそばにいたカルガモ
芝生観察日記の第八十二話です。
平成30年8月16日(木)
<~ Road to 2019&2020 ~>
昨夜、ハイブリッド芝へ張替えて初となるJリーグが開催されました。
試合の結果は残念でしたが、お披露目となったハイブリッド芝は、試合を見た方であれば素人目で見ても「あれっ、大丈夫か」と、きっと思われた方が多かったのではないでしょうか。
下の写真は、試合直後のフィールド状況です。
確かに毛羽立った感じがしますが、個々の傷を近くで見ると下の写真のような傷が点在した状況になります。
しかし、試合後に芝を刈ると下の写真の左側のように綺麗になりました。今回ハイブリッド芝へ張替えた際に、これまでのティフトン419からセレブレーションへと芝生の種類も変更していますが、共にバミューダグラスの仲間です。性質的には匍匐茎という横に広がる茎が重なり合ってスポーツターフとして芝生の強度を増しています。そのため、サッカーやラグビーなど激しい競技で選手の加重がかかった部分の匍匐茎が切れて、跳ね上がり実質的な損傷よりも重い傷のように見えてしまいますが、写真のように芝を刈り、跳ね上がった芝片を刈り取ると目立たなくなります。
写真は、傷口の接写ですが、指で指した先に細い人工芝が覗いているのが判りますか。人工芝の比率は僅か3%弱ですから見つけるのは結構大変です。
今回の結果を見て、感じたことは、ハイブリッド芝は決して不死身ではないということ。フィールドを覆う97%以上が天然芝であり、何より大事なことは天然芝の管理を如何に上手く行うかということが重要だということです。
収穫もありました。選手の加重によって生じる芝生の凹みや抉れるといった症状が殆ど確認されなかったことです。これはハイブリッド芝による効果だと言えます。
最も大事な天然芝の管理については、まだ芝生を張って1ヶ月半です。コンサート後という影響もありますが、芝生の密度は少なく、まだ十分に根が下りていません。1年かけて畑で大事に育てた芝生ですが、よっぽど好条件が揃わない限り、これまでのティフトン芝では、1年間でビッグロールにして張り替えることは難しいとされています。今回横浜市が採用したセレブレーションの生育が旺盛なので可能となった業だと感じています。
セレブレーションの管理については、手探りの日々です。手馴れたティフトン419とは勝手が違う部分も多々ありますが、秘めたクオリティーはこんなものではないと思っています。今後、Jリーグの試合を重ね、試行錯誤しながら目指すは10月27日に予定されているラグビーのブレディスローカップです。来年開催されるラグビーワールドカップのシュミレーションと位置づけられた試合です。
この試合の状態を元に、来年の本大会に向けた課題を整理し、管理計画を作成する予定です。
次節に向けた状況をまた報告します。