観察日 : 2018年 7月23日(月)

場 所 : 大池

生きもの: ギンヤンマ、ウチワヤンマ

記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

 

 公園を歩いていると、虫とり網を持って生きものを探す家族の姿をよく見かけるようになってきました。夏休みですね~! 新横浜公園のルールでは、生きものを持ち帰ることはできないので観察したら放してあげてくださいね。

 

 今回も鳥を中心に日記を書こうと思っていたのですが、大池はヒシやウキクサが広がって作り出した一面緑色の水面をジリジリとした日差しが照りつけ、鳥の姿はほとんど見られません。日中35℃を超える暑さはさすがに鳥にも厳しそうです。

 

 そんな暑さの中、緑の水面を双眼鏡でじっくり、汗でじっとり探していると同じような色をした生きものがもぞもぞと動いていました。ギンヤンマです。開放的な水面を好むため、新横浜公園ではよく見かけるトンボです。もぞもぞしていたのは、ヒシの茎などに腹部先端の方にある産卵管を突き刺して、産卵しているところでした。トンボの産卵方法は大きく分けて2つ。植物組織内や泥、コケなどに接触して産卵する方法と、接触せずに空中や水面に産み落とす方法があります。

DSCN2165.jpg産卵中のギンヤンマ

 次に見つけたトンボは、なにやら腹部の先の方がボコッとふくらんでいます。これがうちわ似ていることから名前になったウチワヤンマです。ヤンマとついていますがヤンマ科のトンボではなく、サナエトンボ科に属します。すぐ隣の鶴見川では枯れ葉にそっくりなコオニヤンマのヤゴもよく捕れますが、これもサナエトンボの仲間。紛らわしいですね。オスは、水面から出た植物などの先にとまって縄張りを主張するようですので、この写真もアピールしているところだったかもしれません。飛ばれる前になんとか写真を撮ろうとばかりに気が焦って、帰って写真を見直している時に下にもトンボがとまっていることに気づきました。胸の部分の模様や色合いがはっきり見えないので難しいですが、全体的な特徴をみるとコフキトンボかと思われます。

 

 観察を終えて帰り道、園内の広場で見かけたハシボソガラスは(くちばし)を開けてハーハーしていました。黒い羽衣をまとったカラスには暑さが余計に堪えるのかもしれないですね。

DSCN2144.jpgウチワヤンマ(上)とコフキトンボ?(下)

ギンヤンマほか場所.jpg

観察日 : 2018年 7月19日(木)

場 所 : 園内水路周辺

生きもの: アブラゼミ、ニイニイゼミ、カブトムシ、シロテンハナムグリ、

      アカボシゴマダラ

記事作成: 横山大将(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

 

 東日本では異例の酷暑となっている今日この頃。筆者には大変厳しい気候で、夏バテ気味ですが、昆虫たちは元気に活動しています。そこで今回は、「夏といえば」の昆虫たちをメインに紹介していきたいと思います。

 

 真夏の日差しで、すでにフラフラになっていると、頭上から「ジリジリジリジリ・・・」、「チーチーチーチー・・・」と、うるさいほどにセミの鳴き声が聞こえてきます。毎年恒例の2種類のセミが合唱していました。

DSCF3076.jpgアブラゼミ

DSCF3078.jpgニイニイゼミ

 「ジリジリジリ」と鳴いているのはアブラゼミ、「チーチーチー」と鳴いているのはニイニイゼミです。新横浜公園をはじめ、周辺で見かける機会の最も多いアブラゼミは、その鳴き声が油で揚げ物をしているときの音に似ているため、この名前になったのだとか。翅は全体的にこげ茶色で、体は黒っぽいのが特徴です。ニイニイゼミは、鳴き声が「チーチー」や「ニーニー」と聞こえることからこの名前がついたそうです。(筆者個人の感想としては、ニーニーとは聞こえないような・・・) アブラゼミの2/3ほどの大きさしかない小型のセミで、体全体が迷彩服のようなまだら模様なのが特徴です。よくサクラの幹に止まっていますが、一見しただけでは木の幹のコブにしか見えないというほど、カモフラージュが上手です。彼らが合唱を続ける木の周辺には、抜け殻もたくさんついていて、子どもの頃に抜け殻を集めては家に持ち帰っていたのを思い出しました。

 

 この日は33℃を超える暑さとなりました。この暑さに、意識も朦朧としてきたので、少し木陰で休もうと思い、クヌギが密生している場所に逃げ込みました。すると、なにやら鼻を突く酸っぱい匂いが。その匂いの方を見ると、樹液が出ていて、昆虫たちが集まっているではありませんか!俗に言う「樹液酒場」状態ですね。そこにはなんと「あの」昆虫もやってきていました。

DSCF3099.jpg「樹液酒場」に集まったカブトムシ(メス)、シロテンハナムグリ、アカボシゴマダラ

  

 やはり、日本の夏といえばカブトムシですよね。まあ、角のないメスでしたが。それから、同じくコガネムシ科のシロテンハナムグリも集まっていました。どちらも、樹液や糖蜜トラップによく集まってくる甲虫の仲間で、夏の夜の風物詩的存在です。ですが、今回のように、エサを食べるのに夢中で、昼間でも活動している個体にもちょくちょく出会います。

 

 写真の右上、きれいなチョウもやってきていました。タテハチョウ科のアカボシゴマダラです。白地に黒筋と赤い模様の入る大変美しいチョウですが、最近「特定外来生物」に指定されてしまいました。理由としては、日本の在来種であるゴマダラチョウ類と交雑・競合する恐れがあることなどが挙げられています。近年では関東地域でも激増しており、そのほとんどが人為的に放蝶されたものであると言われています。アカボシゴマダラを放蝶した方が何を考えてこのような軽率な行動をとったのか不明ですが、本当の生きもの好きであれば、人間にとっても生きものにとっても、これほどに問題になるようなことはしない、もとい「できない」だろうと思います。このような外来種の問題に関しては、我々人間個人のモラルが問われるものであり、今後、このアカボシゴマダラのような事が起きないよう、切に祈るばかりです。

 

 今後も暑い日が続くようなので、熱中症にはくれぐれもお気をつけて、楽しいフィールドワークをお送りください!

アブラゼミほか場所.jpg

 727()、「新横浜公園四季折々のいきもの観察会」(協賛:株式会社春秋商事)の2回目の観察会が行われました。

 今回は「夜の生きもの探検!昆虫トラップ&セミの羽化観察」と題し、セミが羽化する様子と事前に仕掛けたトラップ(罠)に集まる昆虫たちを観察しました。

 まずは、教室でセミの抜け殻を使って見分け方についての解説がありました。横浜ではアブラゼミやニイニイゼミなど約6種類のセミが見られるようです。

 2018いきもの観察会②_1.jpgセミの見分け方について解説中

 みんな教室での説明をしっかり頭に入れて、早速公園内での観察会です。まずは、セミが羽化するポイントに行きました。時間は18時半すぎ。日が落ちていないためまだ明るく、セミが羽化するには少し早い時間です。そこで、最初はセミの幼虫と抜け殻探しを行いました。

2018いきもの観察会②_2.jpgセミの幼虫と抜け殻を捜索中

 このポイントでは幼虫を見つけることはできませんでした。。。アブラゼミの抜け殻をいくつか見つけることができましたが、例年に比べ数が少ないように感じました。

 続いて、新横浜公園内を歩いて移動しながら昆虫トラップの観察会です。

 最初のポイントで早速、カブトムシのオスを3匹見つけることができました!参加者からは「すごい!!」「こんなところにいるんだ!!」などの声が上がりました。

2018いきもの観察会②_3.jpgカブトムシ(オス)

 とても幸先の良いスタートです!!

 どんな生きものに出会えるのか期待を持ちつつ次のポイントに向かいました。別々の場所でしたが、ノコギリクワガタのオスを2匹見つけることができました。同じ種類なのに、アゴの大きさや形が違うのがお分かりいただけますか。

2018いきもの観察会②_4.jpgノコギリクワガタ(オス)

2018いきもの観察会②_5.jpgノコギリクワガタ(オス)※別個体

 これは幼虫期に過ごした環境が影響するようです。特に幼虫期の栄養状態によって、アゴの形や大きさが決まってくるそうです。まるで違う種類のようですね!

 再び、最初のポイントに戻ってみると、、、なんとカブトムシのオスを6匹、カブトムシのメスを3匹見つけることができました!!まさに「カブトムシ大集合!」といった様子でした。

2018いきもの観察会②_6.jpgカブトムシ大集合 ※あくまで一部です

 ほかにも、カナブンやシロテンハナムグリなど多くの生きものを見つけることができました。

 完全に暗くなった20時頃、セミの羽化を観るポイントに行きました。幼虫を見つけることができましたが、残念ながらセミが羽化する直前だったようです。今にも羽化しそうでしたが、お時間になってしまったのでセミたちとの別れを惜しみつつも観察場所をあとにしました。

 最後に、教室に戻り、今回仕掛けたトラップの作り方を教えていただきました。基本の材料は、バナナ・ドライイースト。チャック付きの袋を使ってアルコール発酵させるのがポイントです。これでみんなも昆虫が集まるトラップを作れますね。

2018いきもの観察会②_7.jpg昆虫トラップの作り方をレクチャー中

 次回の四季折々のいきもの観察会は915()開催です。この日は、時間内で何種類いきものを見つけられるか、みんなでチャレンジします。皆様のご参加をお待ちしております。観察会の様子はまた、ブログで紹介します。

 この「新横浜公園四季折々のいきもの観察会」は年5回の観察会を予定しており、株式会社春秋商事様にご協賛いただいています。また、NPO法人鶴見川流域ネットワーキングさんに講師を依頼しています。

 なお、今回観察会のために特別にトラップ設置を行いましたが、普段は無断でのトラップ設置は禁止となっております。また、公園内で捕まえた昆虫は放してあげるなどの配慮をお願いいたします。

 

【追記】

 後日、スタッフにてニイニイゼミの羽化の様子を観察することができました。木に止まったセミが背中から成虫が出ているところでした。イベント中に観察できなかったのは残念でしたが、その様子をご覧ください。

2018いきもの観察会②_8.jpg2018いきもの観察会②_9.jpg2018いきもの観察会②_10.jpg

芝生観察日記 第81話

芝生観察日記の第八十一話です。

平成30年7月28日(土)

<~ Road to 2019&2020 ~>

 ハイブリッド芝への張替え工事が終わって丁度4週目の今日、本来であればお披露目となるJリーグ(横浜F・マリノス 対 清水エスパルス)が開催される予定でしたが、既にご承知のとおり台風12号接近にともない残念ながら中止(延期)となりました。

 ロシアワールドカップ開催に伴う中断後、初めて日産スタジアムで行われるホームゲームとして多くのサポーターの皆さんが楽しみにされていたことでしょう。

 Jリーグのホームスタジアムとしてノエビアスタジアム神戸に続き、ハイブリッド芝2例目となった日産スタジアムですが、Jリーグ規約のスタジアム要件にあるピッチの条件として、これまでは天然芝となっていましたが、今シーズンより「Jリーグが認めたハイブリッド芝」という文言が追記されました。そして、ハイブリッド芝を採用するにあたっては以下の4項目の条件をクリアしなければなりません。

 1 人工芝の割合が5%未満であること

 2 スタジアムのピッチの外でテスト敷設して事前検証をすること

 3 ホーム試合開催に対し、当面はバックアップになる会場を確保すること

 4 相手クラブが希望すれば、当該スタジアムにて前日練習ができるようにすること

 1~3の項目については導入決定のプロセスでクリアしてきましたが、最後の4については相手チーム、つまり今回は清水エスパルスが練習を希望するかどうかということでしたが、やはりハイブリッド芝には関心があるようでチームの希望通り練習が行われました。

 当然、ホームスタジアムなのでマリノスも事前に練習を行いましたのでご心配なく。

 さて、気になる練習後の状況は以下のような感じでしたが、やや想定外の結果となりました。

049.jpg051.jpg

 バミューダグラス系特有の削り取られるような傷が多く散在しました。想定外というのは傷ができたことです。傷自体は表面的なものなので芝を刈ってしまえば目立たなくなるのですが、ハイブリッド芝への期待が高かったため傷すらできないかと少々高を括っていました。とはいえ、凹むような傷ではなく、さすがにハイブリッド芝だなと感心する部分もありました。

 残念ながら今日の試合が中止となり、ハイブリッド芝本来の効果を見極めることはできませんでしたが、傷の状況からハイブリッド芝というより芝生自体の生育が未熟だったのではないかというのが我々の見込みです。

 ハイブリッド芝と言っても、人工芝は所詮3%程度しか入っていません。殆どが天然芝であるということを再認識できたという点では今後の管理の参考となりました。

 今回のハイブリッド芝導入に伴い、天然芝自体をセレブレーションという芝に変更しているという点も管理上は大変重要なポイントです。

 次回のJリーグは、8月15日の名古屋グランパス戦となります。3週間足らず養生期間が延びたと考えれば、芝生的には今日の中止は不幸中の幸いだったかもしれません。今回見つかった課題をクリアしながら次の試合に万全で臨みたいと思います。

 毎日が勉強の日々です。

観察日 : 2018年 6月29日(金)

場 所 : 大池

生きもの: カルガモ、アオサギ、スッポン

記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

 5月の観察で、夏はすぐそこだなと感じてから一ヶ月。この日、関東甲信で梅雨明けが発表され、あっという間に夏がやってきました。数日前から30℃近い気温と強風が続き、この日も同じような天気。風がある分、暑さは抑えられているように感じますが、一旦やむとじわじわっと汗がにじみ出てきます。

 排水門付近には、コンクリートブロックの上で休むカルガモが3羽。熱そうなコンクリートの上でよく休めるものだなと思いながらスコープを覗いていると、そのカルガモの奥でシュパッと(くちばし)を水面へ突っ込む鳥が。アオサギでした!一発で獲物(アメリカザリガニ?)を捕らえて飲み込みました。普段はじっとしている姿を見ることが多いのではないかと思いますが、こういうときはやはり素早いですね。

DSCN1978.jpgカルガモと獲物を捕らえたアオサギ       

アオサギ多目的遊水地111222.jpgじっとしている姿(アオサギ)

  園路を歩いていると、今度は炎天下ではなく木陰にカルガモを見つけました。暑くて日陰で休みたいカルガモもそりゃいるよなと、親近感がわきました。気持ちよさそうだなと思って観察していましたが、だんだんと2羽の微妙な距離が気になってしまい、ケンカしたのかな?などいろいろ考えてしまいました。

DSCN1987.jpg

  DSCN1983.jpg

DSCN1986.jpg木陰で休むカルガモ

 観察のタイムリミットも近づき、このままではネタが薄いと心にも汗をかきながら目と耳を集中させて探していると、、、出てくれました! 神様仏様スッポン様!後ろ脚を目一杯広げて甲羅干ししていました。通常カメの甲羅は鱗状で硬いですが、スッポンの仲間は、皮膚で覆うことで軽量化させ、かつ扁平なため、遊泳能力と底泥などへの潜行能力が高いのが特徴です。足にもしっかりと水かきがついており、とても泳ぎが速そうです。数年前に仕事で大分県に行った時、小川でスッポンを見つけ、石の間に隠れたのを絶対捕まえようと汗だくになって格闘したことがあったのですが、動かざるごと山の如し。踏ん張る力の凄まじさに驚きました。(結果は、私が勝利!満足して逃しました。)

 日本の集団と中国などの大陸集団を別亜種とし、前者をニホンスッポン、後者をチュウゴクスッポンとする考えもあるようです。また、国内のスッポンは、養殖個体が逃げ出したのもあるため、自然個体との正確な分布も不明のようです。

 もう少し近づいて写真を撮るため歩み寄ると、動きに気づかれてしまい、スッポーン!とではなく、ズルズルと水に戻っていきました。

 観察を終え、日向から高架下の日陰へ。やっぱり夏場に休憩するのは風通しの良い日陰が最高ですね。カルガモさん。

DSCN2004.jpg甲羅干するスッポン(手前)

スッポンほか場所.jpg

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