観察日 : 2018年 8月28日(火)
場 所 : 園内水路付近、メドウガーデン付近
生きもの: ヒメアトスカシバ、コガタスズメバチ、セグロアシナガバチ
記事作成: 横山大将(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
長いこと猛暑が続いています。そのせいか、今年は例年に比べ昆虫が少ないように思います。やはり、昆虫たちにとっても、今年の暑さは耐え難いものなのかもしれませんね。
さて、今回はそんな暑さの中でも元気に飛び回っていた縞模様の昆虫をご紹介したいと思います。この日は、暑かったものの曇りがちの天気だったため、昆虫たちが比較的多く出てきていました。公園内の水路周辺を見て回っていると、黄色と黒の縞模様の昆虫がつる植物の葉っぱの周りを飛んでいました。「ハチだ!」と思い、気をつけながら近づいて、じっくり観察してみると何だか様子が違います。
ヒメアトスカシバ
模様はスズメバチやアシナガバチにそっくりですが、触角の形や脚の毛の量、顔つき等々が大きく違っていました。これは、ヒメアトスカシバというスカシバガの仲間のです。ハチの仲間に擬態して、天敵から身を守っているため、このような見た目だと言われています。見つけてしばらく、カメラを構えて近くにいましたが、羽音も「ブーン・・・」と低い音で、ハチそっくりで、大変驚きました。驚いて見ている私を尻目に、ヒメアトスカシバは、水路の奥の方へと飛び去っていきました。
擬態の素晴らしさの余韻を感じつつ公園内を歩いていると、今度もつる草に昆虫が集まっています。花が咲いていたので、花粉や蜜を食べに来ていたようです。すると、「ブーン・・・」という低い羽音が聞こえてきました。「またヒメアトスカシバかな?」と思い振り返ると、今度は本物のハチでした。しかもコガタスズメバチとセグロアシナガバチの2種類。おっとっと・・・。
コガタスズメバチ
セグロアシナガバチ
コガタスズメバチは「小型」とはいえ、日本ではわりと大きなスズメバチの仲間です(オオスズメバチとくらべて小型という意味ともいわれています)。これから秋にかけては、気が荒くなることがあるので注意が必要です。セグロアシナガバチは、日本国内では最大級のアシナガバチの仲間で、都市部の公園や緑地でも普通に見られます。どちらも刺すので、怖いといえば怖いですが、基本的にはこちらからちょっかいを出さない限りは刺してきませんので、ご安心を。ハチがいたら、あわてず、静かにその場を立ち去るようにしましょう。
これから涼しくなると思いますが、生きものたちはまだまだ元気に活動をしています。身近な自然に目を向けて、フィールドワークをお楽しみ下さい!
新横浜公園市民活動支援事業の「日産スタジアム運営ボランティア グリーン&グリーンクラブ」主管による「かかし作り体験」を8月24日に開催し、6組の家族にご参加いただきました。かかし1体に1家族、作り方を指導してくれるボランティアさんとチームになって作り上げました。
「筋肉隆々のヒミツはペットボトル」
「古着を利用したラグビー日本代表風ユニフォームを着ます」
「参加者のみなさん、ボランティアさんとかかしで記念写真」
ボランティアさんにより田んぼに飾られたかかしは、新横浜公園の田んぼの稲を鳥から守り、2019年ラグビーワールドカップの応援もしています。個性豊かな表情とポーズをしたかかし達を見に来てくださいね。
観察日 : 2018年 8月17日(金)
場 所 : 投てき練習場付近、大池
生きもの: チョウゲンボウ、カルガモ、クワカミキリ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
ここ何日か朝晩の気温は、秋の気配が感じられるようになってきました。とは言うもののまだ真夏。日中は暑さが厳しくなるだろうと思い、今回は7時半から観察をスタートしました。
日産スタジアムの上空がなにやら騒がしい。ハヤブサの仲間のチョウゲンボウが5羽のカラスに追われていました。うまく追手から逃れチョウゲンボウは一安心。するとカラスは別の方向へ向かっていき、カラスの向かう先からはもう1羽チョウゲンボウが出現しました。集団で追われるチョウゲンボウも大変ですが、猛禽類から身を守ろうとするカラスも必死ですね。
公園内に入ると、あんなに騒がしかったアブラゼミなどの鳴き声は静か。代わりに草むらからエンマコオロギなど秋の虫たちの声が響いており、着実に季節が変わっていっていることを実感できました。鳴き声を涼しげに聴きながら、クワの木を見ると、枝にクワカミキリを発見!反射的に捕まえようと手が動いてしまい、写真が先だったと枝に戻したのですが、ポロッと落ちる。何回やっても落ちてしまうので、諦めて地面で撮りました。手にする度に「キュイキュイ」鳴くのですが、前胸あたり(下写真の黄丸)をしきりに動かし音を出しているようでした。
クワカミキリ 強そう~!
最近は厳しい暑さのためだったのか、大池にはアオサギがポツ、ポツといる程度でしたが、カルガモが16羽もいてとても賑やかでした。このうち、体が明らかに小さい子ガモは2羽。お母さんガモに付いて水草などパクパク食べていました。この母ガモがすっと首を伸ばして何かに気づいた様子。近くにいたカルガモの群れからもグワァ、グワァと鳴き声が。私はタカが出たのかと見上げたと同時に、水面からは水しぶきがバシャッ!そこから上昇していったのはチョウゲンボウでした。水しぶきのそばにいたのは、大きな体のカルガモだったため、本気で狩ろうというよりは好奇心が強く滑空していったのかなと思いますが、こんなチョウゲンボウの行動を目撃したのは初めてだったのでとても驚きました。
ジリジリ暑くなりはじめてきた10時に観察を終了。汗ひとつかかず快適に巡ることができました。チョウゲンボウの珍しい行動を観察することができ、やはり早起きは三文の徳ですね。
カルガモの親子
上親子のそばにいたカルガモ
芝生観察日記の第八十二話です。
平成30年8月16日(木)
<~ Road to 2019&2020 ~>
昨夜、ハイブリッド芝へ張替えて初となるJリーグが開催されました。
試合の結果は残念でしたが、お披露目となったハイブリッド芝は、試合を見た方であれば素人目で見ても「あれっ、大丈夫か」と、きっと思われた方が多かったのではないでしょうか。
下の写真は、試合直後のフィールド状況です。
確かに毛羽立った感じがしますが、個々の傷を近くで見ると下の写真のような傷が点在した状況になります。
しかし、試合後に芝を刈ると下の写真の左側のように綺麗になりました。今回ハイブリッド芝へ張替えた際に、これまでのティフトン419からセレブレーションへと芝生の種類も変更していますが、共にバミューダグラスの仲間です。性質的には匍匐茎という横に広がる茎が重なり合ってスポーツターフとして芝生の強度を増しています。そのため、サッカーやラグビーなど激しい競技で選手の加重がかかった部分の匍匐茎が切れて、跳ね上がり実質的な損傷よりも重い傷のように見えてしまいますが、写真のように芝を刈り、跳ね上がった芝片を刈り取ると目立たなくなります。
写真は、傷口の接写ですが、指で指した先に細い人工芝が覗いているのが判りますか。人工芝の比率は僅か3%弱ですから見つけるのは結構大変です。
今回の結果を見て、感じたことは、ハイブリッド芝は決して不死身ではないということ。フィールドを覆う97%以上が天然芝であり、何より大事なことは天然芝の管理を如何に上手く行うかということが重要だということです。
収穫もありました。選手の加重によって生じる芝生の凹みや抉れるといった症状が殆ど確認されなかったことです。これはハイブリッド芝による効果だと言えます。
最も大事な天然芝の管理については、まだ芝生を張って1ヶ月半です。コンサート後という影響もありますが、芝生の密度は少なく、まだ十分に根が下りていません。1年かけて畑で大事に育てた芝生ですが、よっぽど好条件が揃わない限り、これまでのティフトン芝では、1年間でビッグロールにして張り替えることは難しいとされています。今回横浜市が採用したセレブレーションの生育が旺盛なので可能となった業だと感じています。
セレブレーションの管理については、手探りの日々です。手馴れたティフトン419とは勝手が違う部分も多々ありますが、秘めたクオリティーはこんなものではないと思っています。今後、Jリーグの試合を重ね、試行錯誤しながら目指すは10月27日に予定されているラグビーのブレディスローカップです。来年開催されるラグビーワールドカップのシュミレーションと位置づけられた試合です。
この試合の状態を元に、来年の本大会に向けた課題を整理し、管理計画を作成する予定です。
次節に向けた状況をまた報告します。
観察日 : 2018年 7月23日(月)
場 所 : 大池
生きもの: ギンヤンマ、ウチワヤンマ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
公園を歩いていると、虫とり網を持って生きものを探す家族の姿をよく見かけるようになってきました。夏休みですね~! 新横浜公園のルールでは、生きものを持ち帰ることはできないので観察したら放してあげてくださいね。
今回も鳥を中心に日記を書こうと思っていたのですが、大池はヒシやウキクサが広がって作り出した一面緑色の水面をジリジリとした日差しが照りつけ、鳥の姿はほとんど見られません。日中35℃を超える暑さはさすがに鳥にも厳しそうです。
そんな暑さの中、緑の水面を双眼鏡でじっくり、汗でじっとり探していると同じような色をした生きものがもぞもぞと動いていました。ギンヤンマです。開放的な水面を好むため、新横浜公園ではよく見かけるトンボです。もぞもぞしていたのは、ヒシの茎などに腹部先端の方にある産卵管を突き刺して、産卵しているところでした。トンボの産卵方法は大きく分けて2つ。植物組織内や泥、コケなどに接触して産卵する方法と、接触せずに空中や水面に産み落とす方法があります。
産卵中のギンヤンマ
次に見つけたトンボは、なにやら腹部の先の方がボコッとふくらんでいます。これがうちわ似ていることから名前になったウチワヤンマです。ヤンマとついていますがヤンマ科のトンボではなく、サナエトンボ科に属します。すぐ隣の鶴見川では枯れ葉にそっくりなコオニヤンマのヤゴもよく捕れますが、これもサナエトンボの仲間。紛らわしいですね。オスは、水面から出た植物などの先にとまって縄張りを主張するようですので、この写真もアピールしているところだったかもしれません。飛ばれる前になんとか写真を撮ろうとばかりに気が焦って、帰って写真を見直している時に下にもトンボがとまっていることに気づきました。胸の部分の模様や色合いがはっきり見えないので難しいですが、全体的な特徴をみるとコフキトンボかと思われます。
観察を終えて帰り道、園内の広場で見かけたハシボソガラスは嘴を開けてハーハーしていました。黒い羽衣をまとったカラスには暑さが余計に堪えるのかもしれないですね。
ウチワヤンマ(上)とコフキトンボ?(下)