観察日 : 2017年 6月29日(木)
場 所 : 園内水路
生きもの: セマダラコガネ、キイロテントウ、クワカミキリ
記事作成: 横山大将(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
今日は天気予報では雨の予想でしたが、良い方に転び、快晴とまではいかないまでも、昆虫を観察するにはちょうどいいくらいの気候となりました。今回は、甲虫の仲間を紹介していきたいと思います。
まずは、皆さんご存じコガネムシとテントウムシの仲間。セマダラコガネとキイロテントウです。セマダラコガネは、名前のとおり、前翅全体にまだら状の模様が入るのが特徴です。写真のような茶色っぽいタイプと黒色のタイプがあります。キイロテントウは、こちらも名前のとおり前翅が黄色で、ナナホシテントウのような模様が入らないのが特徴です。見た目そのままの名前がつけられているため、はじめてこの2種を知った時は、「なんて適当な名前なんだ・・・。」と思ったものですが、多くの昆虫を知り、やたらと長い名前の昆虫が多いことを学んだ今では、「シンプルイズベスト」の一言に尽きます。生きものと関わっていく、またそのようなイベントを行っていく上で、名前の覚えやすさは大変重要だと痛感しました。
セマダラコガネ
キイロテントウ
さて、少し脱線してしまいましたが、上記に関連して、食草の名前がそのままその昆虫の名前の由来になっているものが多くいます。甲虫の中ではカミキリムシ類はそういった名前を持つ種が多いと思います。
今回紹介するのは、クワカミキリです。名前のとおり、クワの生木やその新芽を食草としている中型のカミキリムシです。新横浜公園内にはクワの木が多く見られます。今回もネタ探しをしている最中に近くにあったクワの枝に目を向けると、樹皮を食いちぎった痕が!「もしや・・・。」その枝先に視線を持っていくと、「やっぱり!」いました。クワカミキリ。しかも40mm超え(この種ではほぼ最大サイズかと思います)。久々に見つけたので、年甲斐もなく公園の隅で小さくガッツポーズを決めてしまいました。
これから夏本番。昆虫たちが最も賑やかになる季節です。ぜひ、新横浜公園に昆虫観察をしに来てみて下さい。もしかしたら、珍しい昆虫たちに出会えるかもしれませんよ!(熱中症対策は万全に。倒れると後が辛いですよ!)
クワカミキリ
クワの枝にあった食痕
観察日 : 2017年 6月22日(木)
場 所 : 園内水路
生きもの: キマダラセセリ、アオスジアゲハ
記事作成: 横山大将(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
どんよりした天気が続いています。こんな天気が続くと、なかなか昆虫たちに出会えません。特にチョウやトンボといった飛翔昆虫は雨が降るとなかなか出てきません。しかし、少しの晴れ間にどこからか顔を覗かせることがあります。今回はそのような状況で見られたチョウを2種、ご紹介したいと思います。
チョウといっても、アゲハチョウの仲間のように綺麗なものもいれば、非常に地味でガの仲間のようなものもいます。下の写真はその「地味」なチョウの仲間、セセリチョウの1種で、キマダラセセリと言います。茶色ベースに黄色のまだら模様の翅が特徴的です。飛んでいる姿も静止している姿もガそのもので、自然観察界などでは「うわ、ガだ・・・。」と残念がられることもしばしばです。しかし、よく見てみるとなんとも言えない魅力のあるチョウでもあり、「この渋さがたまらない!」というマニアックなファンがいたりもします。みなさんは、どちらの印象をお持ちになったでしょうか?(ちなみに筆者は後者です。)
キマダラセセリ
続いては、「綺麗な」アゲハチョウの仲間で、アオスジアゲハです。黒ベースの翅に水色の模様と、赤い小さな斑点が入るのが特徴です。公園や水辺など、広い範囲で見られるため、目にしたことのある方も多いのではないでしょうか?
さて、このアオスジアゲハ、他のアゲハチョウと体の作りに大きな違いがあるのですがどこだと思いますか?実は、多種に比べて口(口吻)が極端に短いのです。そのため、他のアゲハチョウが蜜を吸うユリのような花弁の長い花の蜜を吸うことができず、ハチやハナアブが蜜を吸うヤブガラシやヒメジョオンといった花の蜜を吸いに来ます。観察する時は、このような植物を見つけるのがポイントです。
アオスジアゲハ
観察日 : 2017年 6月13日(火)
場 所 : 減勢地(大池)
生きもの: カルガモ、アマサギ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
気づけばもう6月も半ば。あっという間に夏がやってきますね。冬の間、大池はカモの仲間でとてもにぎわっていましたが、そのほとんどは、繁殖のため北の地域へ渡っていきました。残っているのは、国内でも繁殖するカルガモです。この時期になるとヒナを連れているカルガモ親子の姿をテレビでも目にしますね。大池にいたカルガモは、2羽のヒナと水面に広がるヒシを食べるのに夢中の様子でした。ヒシにはジュンサイハムシもたくさんついていたので、一緒に食べていると思われます。草地の中などに草で皿状の巣を作り、10個ほど卵を産むようです。
このカルガモは産卵数が少ないのか、うまく孵化できなかったり、外敵におそわれてしまったりしたのか、ヒナが2羽しか確認できませんでした。元気に大きく育ってほしいですね。
カルガモ
遠目では常連のコサギかなと思いましたが、双眼鏡で見てみるとアマサギでした。夏鳥で、繁殖のために渡来し、湿地や草地等でバッタなどの昆虫やカエルを好んで食べます。1羽は、頭から胸にかけてオレンジ色でしたが、もう1羽は、額だけオレンジ色でした。夏羽に換羽中なのか若鳥でしょうか。
6月3日(土)に実施した第1回生きもの観察会では、残念ながらオオヨシキリを見ることができませんでしたが、この日は水路のアシ原で「ギョギョシ、ギョギョシ」とさえずりを聴くことができました。頑張ってメスを呼んで繁殖してほしいです。写真もねばったのですが、アシ原の中からなかなか出てこず、雨が強くなってきたため断念しました。夏場は、冬に比べると観察できる鳥の種数が減りますが、こういった夏鳥などとの出会いが楽しいです。
アマサギ
水と緑が豊かな環境を持つ新横浜公園は、多種多様ないきものが生息しています。中には珍しいいきものも生息しており、そんな多種多様な新横浜公園のいきものを地域の方々に知っていただく機会として、「新横浜公園四季折々のいきもの観察会」を2年前より開催しています。
このイベントでは年5回の観察会を予定しており、今年度は株式会社春秋商事様のご協賛により成り立っています。また、特定非営利活動法人鶴見川流域ネットワーキング(以下、TRネット)さんに講師を依頼しています。その第1回目となる「初夏の野鳥と草花をさがそう!」を6月3日(土)に開催しました。
TRネット阿部さんから双眼鏡の使い方の説明や諸注意の後、観察会スタートです。
歩き出してすぐに、「ツメクサ」を発見しました。
ツメクサは種類により、ツメクサ(詰草)とツメクサ(爪草)と名前の由来が違うそうです。
・シロツメクサ(詰草)・・・江戸時代にオランダから長崎に輸入されるガラス製品の梱包材(詰め物)として使われたのが由来とされています
・ツメクサ(爪草)・・・葉の形が鳥の爪のような形をしていること、切った爪に似ていることなどが由来とされています
ツメクサについて解説中
次に、草地広場そばの池でカルガモとミシシッピアカミミガメに出会いました。カルガモは水面を気持ちよさそうに泳いでおり、ミシシッピアカミミガメは甲羅干しをしていました。
カルガモとミシシッピアカミミガメ
しばらく歩いていると、キアゲハ(アゲハチョウ科)の幼虫に出会いました。見た目が鮮やかな昆虫に参加者からは歓声があがっていました。
キアゲハの幼虫
続いては水路の自然回復体験です。ヨシが繁茂する場所はヨシ原に営巣する野鳥のオオヨシキリにとって重要になりますが、近年そういった場所は減ってきています。新横浜公園内の水路の一部では、オオヨシキリの繁殖を目指していますが、このヨシ原にはまだセイタカアワダチソウという外来植物が入り込んでいます。セイタカアワダチソウは、他の植物の生育を阻害する物質を根から出すことで、生育範囲を拡げていきます。そのため、根からしっかり抜き、ヨシの群落を広げるための作業を行いました。参加者全員とスタッフで15分行っただけの作業ですが、大分すっきり除草できました。
セイタカアワダチソウを見分けて引き抜く多自然型管理を体験中
たくさん抜きました!
今回は初夏らしい陽気の中での観察会となり、作業をすると少し汗をかくほど気温も上がりました。オオヨシキリは観察できませんでしたが、多くのいきものを観察することができました。来年はオオヨシキリを観察できるよう期待しましょう!
今年も新横浜公園の中央広場で麻生養護学校のみなさんによる花の植え付け実習が、5月19日に実施されました。
天候にも恵まれ気持ちよく晴れわたった空の下、麻生養護学校の11名の生徒さんと3名の先生方が、「ガザニア」を植え付けてくれました。
▼最初に、代表の生徒さんから朝のご挨拶をいただき実習をスタートしました。
▼3グループにわかれて、皆で10ヵ所の花壇に植え付けました。
▼植え付けが終わったら、皆で協力して花壇周囲の掃除や植えた花の水やりを行いました。
生徒さんが協力して丁寧に植え付けてくださったガザニアは、中央広場にあります。
また、新横浜公園には、他にもいろんな種類の花や樹木が植えられています。是非そちらも一緒にご覧になってください。
次回の実習は、秋に行う予定です。
麻生養護学校の皆さん、ありがとうございました。