観察日 : 2017年 1月24日(火)

場 所 : 園内水路

生きもの: ビワコカタカイガラモドキ

記事作成: 横山大将(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

  年が明け、寒い日が続いていますが、皆さんはどのようにお過ごしでしょうか?私は、末端冷え性に悩まされる日々が続いています・・・。

 さて、新年1発目は、少し不思議な生きものに焦点を当ててみたいと思います。皆さんは、「カイガラムシ」という生きものをご存知でしょうか?ご存知でない方は、どのような生きものを想像するでしょうか。貝?虫?どっちつかずな名前ですが、この生きものは、植物に寄生して植物の師管液を吸って生活する、セミやカメムシに近いれっきとした半翅目の昆虫なのです。

 今回紹介するビワコカタカイガラモドキという種も、半翅目に分類されていますが、皆さんご存知のセミやカメムシとは異なる生活をしています。初齢幼虫に限っては脚があるものの、それ以降の幼虫、成虫は脚が消失してしまい、寄生植物であるアシやツルヨシの葉鞘裏に固着して動かないまま、その場で一生を過ごすのです。しかし、動かないままで越冬するため、冬場の小鳥たちにとっては貴重なタンパク源となっており、しばしばアシの葉鞘を器用に嘴で剥がし、捕食している場面を観察することができます。アシ原の方から「パキッ、パキッ」と枯れ草の茎を折るような音がしたら、小鳥がビワコカタカイガラモドキを捕食しているのかもしれません。ちなみに、名前に「ビワコ(琵琶湖)」と付いていますが、琵琶湖限定のレアな生きものではなく、関東を中心に広い範囲で見られます。

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ビワコカタカイガラモドキ(赤丸内)

 冬場の鳥のエサとして極めて重要なビワコカタカイガラモドキを含むカイガラムシ類ですが、知らず知らずのうちに良くも悪くも、我々人間の生活にも深く関わっています。日頃生活していて、気がついている方はどのくらいいるでしょうか?

 まず、悪い方面ですが、植物に寄生するため、農家の方々からすれば害虫となっており、果樹や野菜に損害を出すことがあります。次に良い方面では、カイガラムシの分泌物を原料に天然樹脂が作られ、レコード盤の材料になったり、ハム等の食品の着色料になったりしています。(虫の苦手な方、すみません。)そんな理由から、海外では、このカイガラムシを養殖しているというから驚きです。

  とにもかくにも、自然界では冬場の鳥たちの命をつなぎ、人間の世界ではところによっては大切に育てられ、我々の生活と密に関わっている、多くの生きものを支える小さな小さな変わった生きものを知ってもらえたでしょうか?カイガラムシの仲間は日本に約400種いると言われており、公園でも多くの種類を見ることができます。きれいなものも多くいます。暖かくなったら探しに行かれてみてはいかがでしょうか?

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ビワコカタカイガラモドキを見つけたアシ原   (アシの葉鞘を剥がすと見つかるかも?)

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   1月9日(月祝)に、新横浜公園草地広場にて「凧揚げの日」を開催しました。毎年、このイベントはお天気に恵まれ、たくさんの方にご参加いただいていたのですが、当日はまさかの朝から雨模様。一時は開催も危ぶまれましたが、天気の回復を信じ、相模凧(大凧)揚げ体験のみを中止して、他は予定通り開催しました。

 あいにくの天気にも関わらず、凧作りには早速ご家族連れの方が。日産スタジアム運営ボランティアの皆さんが用意してくれた凧に、思い思いに絵を描き、凧を完成させていきます。

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手作り凧だけではなく、持込みの凧も、風を受けてよく揚がっています。

ボランティアさんから凧揚げのコツを聞いて、「ほら、よく揚がるようになったよ!」

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当日は凧揚げのほかに、昔遊びコーナーも用意。けん玉や竹ぽっくり、竹とんぼ、コマ回し、羽子板などの色々な遊び道具がありました。

ボランティアさんから竹とんぼの飛ばし方を教わっています。

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親子で竹ぽっくり。色々な遊び道具があるので、どれから遊ぼうか迷っちゃう?

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お昼過ぎからようやく晴れ間がでてきました!やはり青空に揚がる凧は気持ちがいいですね。たくさんの凧が風を受けて大空に揚がっていました。

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今回もたくさんの方にご参加いただきありがとうございました。

新横浜公園では、他にも季節を感じられる様々なイベントを開催しています。

またぜひ遊びに来てください。お待ちしています。

新年のご挨拶

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新年あけましておめでとうございます。

日産スタジアムから見える富士山です。

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昨年も、多くの皆様にご来園いただき誠にありがとうございました。

2017年も新横浜公園(日産スタジアム)は、安全・安心を最優先に、「笑顔あふれる公園(スタジアム)」を目指し、皆様に親しんでいただける公園となるよう、スタッフ一同力を合わせて管理運営を行います。今後ともよろしくお願いいたします。

皆様のご健康とご多幸をお祈りし、新年のご挨拶といたします。

観察日 : 2016年 12月9日(金)

場 所 : 大池

生きもの: オギ、アシ、コガモ、ミコアイサ

記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

  鳥の紹介が多かったので、今月は植物を紹介します。今日は風がとても強く、綿毛の種子がたくさん飛んでいました。その多くはオギの種子。オギは、水辺に生える大型のイネ科植物で9月頃になると銀色の穂をつけます。英名ではamur silver grassといいます。特徴をとらえていて分かりやすいですね。漢字では、「荻」と書き、成り立ちについてはよく分かりませんが、オギの穂が、獣の毛が火をふくように見えることからそうあてられたのかなと想像してしまいます。ススキとよく似ていますが、オギは、湿った場所に一面に生え、穂が銀色であるのに対し、ススキは、湿ったところには見られず、株立ち、穂が黄色っぽく見えることなどで見分けることができます。

  アシも水辺を代表する植物でイネの仲間。オギよりも水辺に近い場所に見られ、穂はくすんだ色合いです。アシを利用した身近なものは、夏にホームセンターでよくみる葦簀(よしず)。アシの茎を束ねて作った葦舟は、最も原始的な舟とされています。

 冬の川辺は、本来、こういったオギやアシが枯れて茶色い風景が見られますが、近年、緑になっている場所も増えてきました。鶴見川ではこの多くはネズミホソムギという外来のイネ科の牧草です。冬は青々として、5月に開花するのですが、花粉症の原因となります。気になる方はこの時期の川辺近くの散策はご注意ください。

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 来年は酉年ですので、少しだけ鳥の紹介も。常連ながら紹介できていなかったコガモは、9月下旬から見られはじめ、5月上旬まで観察することができます。日本では最も小さいカモの仲間です。ミコアイサは、コガモよりやや大きいカモの仲間で同じく冬鳥。この場所ではほとんど見たことがなかったため、うれしい確認でしたが、メス1羽だったため、仲間はどこに行ったのかちょっと気になりました。オスは、パンダのような模様をしているので、パンダガモと呼ばれたりもしています。新年1月はいい鳥ネタがご紹介できればいいなと思っています。

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芝生観察日記 第77話

芝生観察日記の第七十七話です。

平成28年12月20日(火)

 

  一昨日、多くの感動と共に「FIFAクラブワールドカップジャパン2016」が閉幕しました。

  皆さんご存じの通り、決勝戦のM8ではヨーロッパチャンピオンのレアルマドリードが開催国代表として参加した鹿島アントラーズを延長戦の末に4対2で破り、優勝を勝ち取りましたね。

  途中、主審の判定で試合の流れが変わりました。その裁定を巡っては世界的な論議となっており、未だにネットを賑わしていますが、そちらは専門家にお任せするとします。

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 場内は多くのお客様で埋まり、決勝戦の公式入場者数は日本で開催されてきたクラブワールドカップとしての最多記録となる68、742名を記録しました。

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 18日は、決勝戦の前に3位決定戦が開催され、南米チャンピオンのアトレティコ・ナシオナルが北中米チャンピオンのクラブアメリカをPK戦の末に破って、本大会の3位となりました。誰もが想定しなかった南米チャンピオンの3位決定戦への登場ですが、試合は決勝戦とは異なり、大会の規程によりPK戦に突入して4対3という結果でした。

 ここで我々が一番想定外だったのは、PK戦になったことです。

 準決勝戦(M6)が終わった後、開幕戦の他、公式練習を含めてゴール前は激しく荒れてしまい、芝生が薄くなってしまいました。

 スタジアム内で観戦されるお客様は勿論、世界で約180の国々の方が決勝戦を観戦します。

スタジアム内には4本のケーブルで吊った「スパイダーカム」が設置されており、上空からフィールドの隅々まで鮮明に映し出されるため、粗を隠したくてもなかなか誤魔化しは効きません。

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【芝生張替え前】

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【芝生張替え後】

 ゴール前の芝生が薄くなるのは当たり前のことです。しかし、世界一を決める舞台で芝が薄いことでボールがイレギュラーしたなんてことが起きて点数が入ってしまったら選手に申し訳ないので我々も限られた時間の中でなるべくベストを尽くしたいと思っています。上の写真は、M6の翌日に荒れ果てたゴール前の芝生をM7とM8に向けて張り替えた状況です。

 張り替えた芝は、通常の試合で選手が走ったり、蹴ったりする分には特に問題ありませんが、今回想定外だったPK戦はそうではありません。

 一瞬の判断で、ゴールキーパーが踏ん張る時の踏圧はそうとうな力です。運悪く張り替えた芝生の継ぎ目を、スパイクのポイントが噛んでしまうと稀に芝生が捲れてしまうことがあります。

 今回はその運が悪いケースが大事なM7のPK戦で発生してしまいました。蹴ったボールに飛びついたゴールキーパーの足元の芝生が捲れてしまい、その後ゴールキーパーが足で踏んで均していた映像が世界に配信されてしまいました。みなさんは気付いたでしょうか。

 冬季の張替えは凍結や霜の影響に配慮しなければなりませんが、今回は時間がない中で我々のグラウンドスタッフも良く対応してくれたと思います。若干の技術的な問題はありましたが、この経験を今後に活かしていきたいと思います。

 試合が終わり、煌びやかな銀テープが舞う表彰セレモニーの後、表彰式で使用したステージにFIFAの関係者を始め、この大会に携わった多くのスタッフが集い、大会成功の喜びを分ち合いました。

 その片隅で、選手入場の際、先頭に立って入場するFIFAのジェネラルコーディネーター(GC)から我々に向けて感謝の言葉がありました。「プロフェッショナルな仕事に感謝」、格好悪いですが通訳さんから聞いた言葉です。

 今回、横浜を担当したGCは、リオデジャネイロオリンピックのサッカーファイナルを担当したFIFAのGCの中でもトップの方でした。

 今年は地球全体が抱える気候変動により春から異常気象に見舞われ、芝生を管理する者としては難しい一年でした。生きもの相手なので簡単な年などありませんが、その中でも今年は思うように行きませんでした。そんな中、今年もベストピッチ賞を逃した日産スタジアムに対して、謝辞を贈ってくれたGCに感謝したいと思います。今回も、世界で我々しか経験できない貴重な経験をさせてもらいました。10日間で4試合をベストな状態という厳しいミッションでしたが、多くを学びました。

 今年は、まだ24日と29日に天皇杯が残っています。

24日は準々決勝、横浜F・マリノス対ガンバ大阪戦が行われます。マリノスが勝ち進んでも29日の準決勝は、大阪のヤンマースタジアム長居に行ってしまうので残念ながらマリノスが日産スタジアムで試合をするのは24日が最後となり、我々のモチベーションは低めですが、誰が使うとしても手は抜きません。最後までベストを尽くしていきます。

  FCWC(FIFAクラブワールドカップ)は来年、再来年とUAEで開催される予定です。

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 また、日本で開催されることをみなさんも期待してくださいね。

 また次回をお楽しみに。

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