生き物図鑑(バラ)追加しました

 今年は、冬から春にかけて、暖かくなるのが早く、小机競技場ローズガーデンのバラは4月下旬から綺麗に咲いていました。バラが多く咲く時期(5月)は過ぎてしまいましたが、まだ咲いているバラを紹介します。197ウィリアム&キャサリン _1.jpg

 白い花「ウィリアム&キャサリン」。花は大きさにより大輪、中輪、小輪とありますが、ウィリアム&キャサリンは中輪です。

 香りは決して強くないですが、花に近づけばバラの香りを楽しめます(中香)。

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 濃赤の花「ダーシー・バッセル」。ウィリアム&キャサリンと同様中輪で中香です。

 ウィリアム&キャサリンもダーシー・バッセルも港の見える丘公園から移植されたバラです。

 この春、小机競技場ローズガーデンのバラを新横浜公園ホームページ生き物図鑑に追加しました。ご来園の際は、咲いているバラを調べてみてください。

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芝生観察日記 第96話

芝生観察日記の第九十六話です。

令和二年6月16日(火)

<~ Road to 2019&2020 ~>

 6月11日に梅雨入りが発表されました。例年より3日ほど遅れての梅雨入りです。

 梅雨入りした当日は激しい雨となりました。ひと昔前まで梅雨と言えばしとしとと雨が降り、アジサイの花とカタツムリなんて風情を感じる季節でしたが、最近は天気の様子がずいぶんと変わりました。

 しかし、気温と湿度が上がってじめじめした蒸し暑さは今も昔も変わりません。

 人間にとって一年のうちで最も不快な季節ですが、芝生にとっても色々な障害が出る季節です。

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 写真は、昨日の朝に確認した病気の菌糸です。黄色い輪の中に白い綿状の菌糸が見られます。写真では分かり辛いのですが、その脇の黒い輪の中には赤茶色に枯れた病斑も見られます。

 恐らく「ダラースポット病」か「カーブラリア葉枯病」辺りではないかと思われますが、今後の対応を決める上で正確に病原菌を特定する必要があります。既に菌糸を含む芝生を専門の研究所に送り、菌の特定を依頼しました。

 いずれの病気にしても、高温多湿が発生要因の一つですが、この手の病気は芝刈り機のほか、人が歩いた靴に菌糸が付着してどんどん拡散します。発見が遅れ、対応を間違えると激発して大きな被害となるため迅速な対応が求められます。

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 次は、今朝発見したのですが、黄色い輪の中央に穴が空いているのが分かりますか。その周りの芝生は茶色く齧られたようになっています。犯人は白い輪の中にいる「タマナヤガ」という蛾の幼虫です。既に相当量の芝生を食べてまる丸と太っています。体長は凡そ4㎝ほどです。

 朝の巡回時に所々で芝生が円形状に赤茶色に枯れた部分を見つけ、気になったので芝生を掻き分けて見ると大きな穴が見つかったので、穴の中を穿ってみると4㎝くらいの深さに潜っていました。芝生害虫の多くが、日中は土の中に潜んでいて、夜になると表面付近に上がってきて芝生の根や茎を食害します。

 この虫の個体自体は決して多くはありませんが、体が大きいため1匹あたりの被害が大きく、気付かないうちに数cmにおよびます。そのため、先ほどの病気と同様に早期発見、早期対応が重要です。

 日産スタジアムの芝生管理は、微生物の活動を重視して有機肥料を中心とした管理方法であるため、病害虫に対する予防的な対応は極力行わないようにしています。そのため、特に病気に関しては病原菌が特定次第、速やかに適応薬剤を散布して被害を最小限に抑えるよう心掛けています。

 病気が特定されたら対応等を含めてまた報告します。

観察日 : 2020年 6月2日(火)

場 所 : 園路脇、バタフライガーデン、大池付近

生きもの: オオヒラタシデムシ、ラミーカミキリ、コシアキトンボ、オオヨシキリ

記事作成: 横山大将(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

 

 緊急事態宣言が解除され、やっと普段の生活に戻り始めました。そうこうしている間に、もうすぐ梅雨に入ろうとしています。ジメジメとした日が多く、気分も落ち込みがちですが、なんとか乗り切りましょう!

 今回は朝のまだ涼しい時間から観察を始めてみました。園路を歩いていると、死んでしまったミミズが多く見られました。前日に雨が降っていたためでしょう。そのミミズに乗っかるようにして、コウチュウの仲間がちらほらと見受けられます。いずれも、革小物のような鈍い光沢のある黒っぽい色をしています。正体は「オオヒラタシデムシ」。

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ミミズを食べるオオヒラタシデムシ(成虫)



オオヒラタシデムシ幼虫.jpgミミズを食べるオオヒラタシデムシ(幼虫)

 

 シデムシ類は生きものの死骸を食べる分解者で、そこから「死出虫」という名前がつけられたそうです。中でもこの種類は市街地の公園から林道まで広い地域で見られます。名前の由来は、「大きくて平たい死出虫」と、見た目そのものからきているようです。幼虫も平たい体型をしていますが、成虫とは違い、テントウムシの幼虫を大きくしたような、はたまたフナムシのような形をしています。ジ○リ作品にでも出てきそうなフォルムで、個人的にはカッコいいと思うのですが、この話をするとほとんどの方に引かれてしまいます・・・。

 続いてバタフライガーデンの様子を見てみましょう。雨が上がったばかりだからか、チョウ類はそれほど見られませんでしたが、1匹の甲虫に目を惹かれました。「ラミーカミキリ」という小型のカミキリムシです。

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ラミーカミキリ

 

 青緑色に黒い特徴的な模様で、初めて見たときはその色合いに驚かされました。今では普通に見られますが、本来の生息域はインドシナ半島や中国だそうです。日本には幕末から明治にかけて入ってきたとされています。名前の由来は本種が食草としているラミー(イラクサ科・カラムシの変種)からきています。日本に入ってきたのも、繊維を取るために輸入したラミーにくっついてきたものが最初だとされています。模様に個体差はありますが、胸部の黒い点が目、前翅の黒い模様が4つの足のようにも見えるので、「パンダカミキリ」と呼ぶ方もいるようです。

 日も昇り、暑くなってきたので最後に大池の様子を見て、撤収するとしましょう。ラミーカミキリほどではありませんが、こちらにもパンダカラーの昆虫がいました!「コシアキトンボ」です。

休憩中のコシアキトンボ(♂).jpg

休憩中のコシアキトンボ(♂)

 

 人間で言うところの腰のあたりが白く空いているので「腰空きトンボ」という名前です。写真はオス個体ですが、メスは腰が黄色く空いているので、雄雌の見分けは慣れると簡単です。コシアキトンボの写真を撮っていると、大池対岸の藪から「ギョギョシ!ギョギョシ!」と聞き慣れた鳥の鳴き声が聞こえてきました。新横浜公園で見られる夏鳥の代表「オオヨシキリ」です。

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   さえずるオオヨシキリ

 

 普段は鳴き声が聞こえるだけで、その姿はあまり見えませんが、園内の水路や大池の近くでこの鳴き声が聞こえたらよ~く目を凝らしてみてください。オオヨシキリの姿を見ることができるかもしれませんよ!

 まもなく梅雨入り。夏もすぐそこまで来ています。早く虫とりや生きものの観察をしたいところではありますが、まだまだ油断はできません。不要不急の外出は控え、手洗い・うがいをしっかりして、皆さんで新型コロナを乗り越えましょう!

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観察日 : 2020年 5月27日(水)

場 所 : 水路、大池など

生きもの: オオヨシキリ、アオサギ、スッポン

記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

 

 季節は春から初夏へ。草木の緑は濃さを増し、ずいぶん茂ってきました。公園内の水路に生えているアシやオギもこの1ヶ月で大人の背丈ほどに伸びています。この時期の植物の成長は本当にあっという間ですね。

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水路の植物の様子    4月23日    →    5月27日

 

 スケボー広場付近の水路に近づいてくると「ギョギョシギョギョシ」という大きな声が聴こえてきました。夏鳥のオオヨシキリです。今年も無事に新横浜公園に渡来してくれました。アシ原の中からヤナギの木が突き出て生えており、その辺りから鳴き声が聴こえます。しかし、目視や双眼鏡で探しても姿はなし。しばらく様子を伺っていると、アシがガサガサっと動き、葉の隙間からオオヨシキリが見えました。フィールドスコープをあわせているうちに、飛んでしまいましたが、そばにあるメタセコイアの上の方にとまり、難なく撮影成功。

 新横浜公園では、水路の一部にオオヨシキリエリアを作り、一昨年は巣を1つ、昨年は2つ確認することができました。今年も巣作りに期待したいです。(参照:生きもの観察日記323

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オオヨシキリ

  

 続いて大池に向かうと、水面にはヒシが点々と出始めてきていました。昨年の夏はヒシが覆っていない場所が割と広く見られましたが今年はどうなるでしょうか。今日はアオサギが多く、アメリカザリガニを捕食する場面も撮影できました。

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大池  水面にポツポツとヒシが見られます。

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アメリカザリガニを捕食するアオサギ

  

 双眼鏡で水辺を流し見ていると、水際に灰色っぽいツルッとしたような物体を発見。みなさんは何だと思いますか?過去に見ているあの生きものだと確信はあったものの、しばらく見ていても全く動かず、だんだんと確信への疑いが大きくなってきました。じりじりとした暑さとも闘い10分程たったとき、ズルズルっと物体が動いて水の中へ。灰色の物体は、確信通りスッポンでした。

 今回は、オオヨシキリ、スッポンと忍耐戦が続きましたが、これからの暑い季節は要注意ですね。緊急事態宣言が解除されましたが、再度コロナウイルスの感染が広がらないよう、ひとつひとつの行動に注意し、熱中症にも十分気をつけて観察を楽しみましょう。

 

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ツルッとした感じのこの物体はなんでしょう?

  

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スッポンでした!

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芝生観察日記 第95話

芝生観察日記の第九十五話です。

令和二年6月3日(水)

<~ Road to 2019&2020 ~>

 Jリーグの再開日程が発表されました。

 日産スタジアムでは、2月23日に開催された開幕戦以来、新型コロナウイルスが猛威を振るい、政府による感染拡大防止策として緊急事態宣言が発出されたのを受けてJリーグも開催を見合わせていました。

同時に、東京2020オリンピックも延期となり、日本だけでなく世界中で外出自粛を余儀なくされています。

 しかし、Jリーグが無くても、オリンピックが無くても芝生は伸びます。そして、いつ再開されても選手が最高のパフォーマンスができるように芝生の管理に滞りはありません。

 とはいえ、緊急事態宣言下で不要不急の外出が制限されていたため、我々の出勤も交代勤務となり、ひたすら冬芝から夏芝へ移行させるトランジション作業を厳選して行いました。

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 昨年のラグビーワールドカップで傷んだピッチも、2月23日の開幕戦は見事に冬芝に覆われて濃緑の緑で美しいピッチに回復しました。

 当初は、この試合の翌日から7月23日に行われる予定だった東京2020オリンピックのサッカー競技に向けて緩やかにトランジション作業を進めていく予定でした。しかし、Jリーグが中断し、再開の見込みが立たない情勢となったため、急遽計画を変更して強制的なトランジション作業をすることとしました。

 判りづらいと思いますが、2月末から5月末にかけて月毎の芝種のトランジション状況をお見せします。

2_2月メイン全景.jpg2_2月北コーナー接写.jpg

2月末 メインスタンド2階部より全景   芝生接写

3_3月メイン全景.jpg3_3月北コーナー接写.jpg

3月末 メインスタンド2階部より全景   芝生接写

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4月末 メインスタンド2階部より全景   芝生接写

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5月末 バックスタンド2階部より全景   芝生接写

 2月の段階では殆どが冬芝でした。3月にはトランジション作業や気温の上昇により少し夏芝が芽を出し始めます。4月になると過去に経験のない作業にチャレンジした結果、冬芝が衰退して夏芝が目立つようになりました。そして、5月になると初夏のような気温と強い日差し、そしてこれも初めての試みとなるシートによる保温やアンダーヒーティング稼働という例年はできない取組みによって夏芝が急激に拡がり始めました。

 写真では伝わり辛いのですが、冬芝から夏芝に移行する経過で、緑度の濃淡があるの判りますか。

 ここからはどんな作業をしたのか、トランジション作業の様子をご紹介します。

6_2月27日コアリング(2).jpg6_2月27日コアリング2.jpg

 2月末に行ったコアリングです。外径26㍉(内径17㍉)とかなり太い穴を抜きました。12月、1月に続いての実施です。カーペットタイプのハイブリッド芝にはNGと言われているのですが、我々が抱える課題をクリアするには、、、、色々賛否はありましたが思い切ったチャレンジをしちゃいました。

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 お馴染みのバーチドレン掛け(左)は、グラウンドが硬いと評されるハイブリッド芝の硬さの改善、発根促進のほか、透水性も改善します。3月には、例年5月、6月辺りに実施している夏芝(セレブレーション)の苗植え(右)を行いました。ティフトン419の苗に比べ、茎が太いため作業も思考錯誤でした。

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 そして、シート掛けです。2月から5月初旬まで殆どこのシートに覆われていました。我々もピッチ全面を見る機会がなかなかありませんでした。通常は、11月から2月くらいまで、冬芝を霜や凍結から護るために設置するものですが、今年は、夏芝の萌芽と成育を促進させ、トランジションを早期に進めることが狙いでした。3月、4月になると気温が上がり、シートの下で芝生が蒸れて病気が出るリスクも承知の上で、必用な対応をして臨みました。

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 5月には、夏芝の地上茎(匍匐茎)を伸ばすため目砂散布を2回実施しました。ハイブリッド芝にはNGなのですが、夏芝特にセレブレーションの生育を調整する上で目砂は有効とされています。この辺りが難しいです。

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 そして、これが現状です。冬芝は殆どなくなりました、夏芝が地上茎(ランナー)を伸ばして密度を増やしています。夏芝は、地上茎(ランナー)と地下茎(ライゾーム)が幾層にも重なりあってマット状のクッション層を形成して強く、弾力のある芝生になります。今はまだ、絶対数が足りず、下の砂が透けて見えます。

 現在芝の刈高は10㍉。冬芝が優先している間は、ゴルフ場のグリーン並みに8㍉で刈っていました。

 Jリーグの再開が7月4日に決まったので、残り1か月で完全な状態に仕上げていきます。

 懸念されるのは、梅雨入りです。強い日照と25℃以上の気温が必須な夏芝にとって、日本の梅雨は決して生育適期とは言えません。この先は、シート掛けやヒーティングも使えないため日常の管理でベストを尽くしていくだけです。

 ACLや開幕戦のほか、この間に及ぶトランジション作業など芝生観察日記でお伝えしたい情報は山ほどありましたが、緊急事態宣言下で、様々な場面で自粛が求められていたので書き出しては止め、の繰り返しでお蔵入りも何話かあります。しかし、東京2020オリンピックに向けた芝生作りは我々の記憶だけで留めておくのはもったいない。是非みなさんにもお伝えしたいと思い、Jリーグの再開が決まったことを機にまとめてお伝えしました。

 スタジアムのお問い合わせフォームに、芝生観察日記のアップを望まれる声も寄せられました。「こんな時だからこそ芝生の生育具合を見て、心を穏やかにしたい」大変励まされました。

 引き続き、報告していきますね。次回をお楽しみに。

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