生きもの観察日記
観察日 : 2023年 9月19日(火)、22日(金)、 28日(木)
場 所 : 第2運動広場北側、大池、バタフライガーデン付近
植 物 : ヒガンバナ、ハマカンゾウ、クズ
動 物 : ハラビロカマキリ、コムラサキ、コガモ、ウラナミシジミ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
狙っているのはハナムグリ?(9月19日)
クヌギの幹を見上げると、ハナムグリの仲間が4匹。樹皮に頭を突っ込んで樹液を吸っていました。そして、すぐそばにはハラビロカマキリ。上体を起こしカマを上げ、戦闘態勢です。体表が堅くて滑りそうな甲虫もうまく狩ることができるのか、興味津々で観察します。ちょっとずつ忍び寄るハラビロカマキリ。そろそろ捕まえるかという距離で、カマキリはハナムグリの横を通過。あれ? すると、枝の裏側からチョウの羽ばたく翅(はね)が見えました。なるほど、最初からカマキリは裏側にいるコムラサキを狙っていたのですね。勝ったのはコムラサキ。すぐに飛び立ち、カマは振り下ろされることはありませんでした。
後ろから忍び寄るハラビロカマキリ
狙われていたのはコムラサキでした。
獲物を逃したハラビロカマキリ
冬鳥到来(9月22日)
9月が半ばを過ぎても30℃を超える毎日。今年は厳しい暑さが続きます。雨のち曇り予報で、暑さが少し落ち着き、雨があがったため、午後から公園に向かいました。日射しがなく、気温が2、3度低いだけでもかなり涼しく感じます。
大池の上流側から観察スタート。ヨシゴイを期待して、双眼鏡でガマやアシの根元あたりを注意して探しますが姿はありません。水辺にアオサギと、飛びながら鳴くカワセミは確認することができました。大池を下流側へ。投てき場付近から排水門の方を見ると、コンクリートブロックの上で甲羅干しするアカミミガメと、カモが4羽。冬鳥のコガモでした。異例の暑さが続いていますが、遅れたりせず、この時期にしっかりと渡ってくるものですね。涼しくなるまでもう少しの辛抱!
冬鳥のコガモが渡来
クズのオアシス(9月28日)
ようやく暑さが収束してきたかという矢先の真夏日。寒暖差が体に堪えます。22日にコガモを観察した排水門の方を確認しますが、さすがにこの暑さでは、日向にはおらず、水際の木陰でも見つけられませんでした。立ち寄っただけだったのかもしれません。水辺にはほとんど鳥の姿はなく、大池の上流側へ。池沿いの草地にはヒガンバナがたくさん咲いていました。ハマカンゾウも咲いており、2ショットで撮影。赤とオレンジ、いい感じです。
越流堤の方へのスロープは、柵がクズの緑のカーテン。例年、ここまで覆われていたか覚えていないのですが、多年草で根の長さは1.5mにも達するようですので、この暑さ、乾燥にも耐えられているのかと思いました。葉の陰には花が咲いていて、甘い香り。ウラナミシジミが吸蜜に訪れていました。まさにオアシスですね。
ヒガンバナとハマカンゾウの2ショット
柵がクズの緑のカーテン状態
クズの花を吸蜜するウラナミシジミ
〜新横浜公園ナチュラルガーデン ブログ〜 2023年9月
今年の夏は、ひときわ暑さが厳しかったですね。9月に入り少しまとまった雨が降った後、ワインディング パスではゼフィランサス カリナータ(サフランモドキ)が一斉に咲きだしました。ヒガンバナ科タマスダレ属のこの花は、乾燥した時期の後に雨が降って球根が潤うと開花する性質があるため、レインリリーとも呼ばれています。
こちらは、9月11日にメンテナンスを行なった際、撮った写真です。
普段、花がない時は細い葉だけの地味な姿なので、メンテナンスをしてくださっているボランティアの方々もカヤツリグサと間違えそうになるのですが、可憐なピンクの花が咲いて、びっくりされていました。
9月22日のメンテナンスは、雨が降った後の曇り空でしたが、作業をしているとまだ蒸し暑く、メンテナンスをしてくださっている日産スタジアム運営ボランティア グリーン&クリーン部会のみなさんも、蚊に刺されたりして大変そうでした。夏の間に伸びたヤブガラシやコヒルガオを抜いたり、込み合って蒸れている植物の手入れをして、風通しを良くしたりしました。
ボーダーガーデンでは、小さくて地味ですが、よく見ると可愛らしい青い花が咲いています。左側はキャットミント(ネペタ'シックスヒルズジャイアント')で、右側がフイリカリガネソウの花です。
ロータリーガーデンでは、黄色いコレオプシスデージー フルムーンの間に植えたアオバナフジバカマのフワフワした花が咲いてきました。キク科の多年草で、セイヨウフジバカマとか、ミストフラワー、宿根アゲラタムなどと呼ばれることもあります。植えてから4年になりますが、少しずつ増えてきました。
真っ白なシュウメイギクが咲き始め、ミューレンベルギア カピラリスのピンク色の穂も出てきました。秋の気配を感じますね。
記事作成:貝瀬洋子(studio nazuna)
新横浜公園の中央広場、カツラの木が植わっている10個の花壇について、今までは年2回一年草の花苗の植替えを行ってきましたが、今年6月にナチュラルガーデンとして新たに生まれ変わりました。
この度、いつも管理作業をお手伝いいただいている日産スタジアムボランティア グリーン&クリーン部会の方々のアイデアから「スクエアガーデン」という名称に決定しました。
今後も公園を彩る花壇として、維持管理作業を行っていきます。引き続き情報発信していきますので、宜しくお願い致します。
観察日 : 2023年 8月8日(火)、22日(火)、 29日(火)
場 所 : 水路付近、第2運動広場北側、(鶴見川)
植 物 : ハマカンゾウ
動 物 : オオタカ、オオヤマトンボ、ツクツクボウシ、キアゲハ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
猛暑の観察(8月8日)
鶴見川多目的遊水地の最上流部の堤防から、減勢池や大池の様子を観察していると、越流堤下流側の水位計に、カラスほどの大きさの鳥を発見。カラスとは少し違うなと感じ、撮った写真を確認するとオオタカでした。秋から春にかけて観察されることが多いですが、こんな暑い日に現れるとは、思いもよりませんでした。近くで撮影しようと、急ぎ足で大池沿いの園路を下流へ。そろそろカメラを向けようかと思っていたとき、バッと飛び立ってしまいました。最短距離でなくても、とりあえず撮っておけばよかったと後悔。今になっても判断が難しいものです。
水位計にとまっていたオオタカ
気をとり直して観察再開。セミの鳴き声は、アブラゼミ(ジリジリジリ...)の大合唱はピークを過ぎ、ツクツクボウシ(オーシンツクツク...)が多くなってきていました。特に水路沿いのヤナギで盛ん。目を凝らして探すも、薄暗くてなかなか見つからず。下草についていた幼虫の抜け殻だけは見つけることができました。よく見かけるアブラゼミの抜け殻に比べると、小さくスリムな体型。成虫を諦め、場所を移動しようとしたとき、近くの木からオーシンツクツク、オーシンツクツク...。ちょうど目の高さの幹に成虫がとまっており、難なく写真を撮ることができました。
運が向いてきたのか、今度は隣の木の樹冠を見上げると、枝にとまっているオニヤンマ模様のトンボを見つけました。コヤマトンボとの見分けになる頭部の黄色線は見えませんでしたが、他の特徴からオオヤマトンボだと思われます。幼虫(ヤゴ)は、平地などの開放的な大きな池で2~3年過ごして羽化します。
ツクツクボウシの幼虫の抜け殻(上)と成虫(下)
オオヤマトンボと思われるトンボ
逃してしまったオオタカのことがどうしても気になり、再び戻っていることを期待して、水位計や河川カメラ、川の距離杭などいそうな場所を度々確認するも姿はありません。
新横浜公園から出て、鶴見川にも行ってみました。亀の甲橋から鶴見川の上流を目視。左の岸に生えているヤナギの枝に鳥がとまっているのに気づいて確認。いました!オオタカ。この暑さに堪えているのか、観察中はくちばしを開いて体温調整をしている様子でした。
亀の甲橋から鶴見川上流
くちばしを開き、暑そうなオオタカ
花盛り(8月22日、29日)
この夏は、本当に暑い。雨が降らない。暑さや乾燥に強いハマカンゾウも7月中旬には葉が黄色くなりはじめていました。これはまずい。水やりを定期的に行ってなんとか回復させることができました。花のピークは、例年8月20日前後。今回は回復が遅れたこともあり、8月末に170輪ほどの花を咲かせてくれました。一方、育成地のハマカンゾウは木陰になっていることもあり、ほとんど水やりをしなくても無事でした。
花の形はユリに似ており、何日も咲いているように思うかもしれませんが1日花。早朝に開花し、夕方にはしぼみます。つぼみがたくさんできるため、7月下旬から9月頃まで楽しめます。花色は、オレンジが普通ですが、赤みの強いものもあり、変化を見るのも面白いですね。
※ハマカンゾウは、暖地の海岸に分布しています。ヤブカンゾウ、ノカンゾウよりも環境の変化に強く、育成も容易であるため、多自然ガーデニングに適した種として活用しています。
葉が黄色くなり始めていたハマカンゾウ
無事に花をつけてくれました。(8月22日)
育成地のハマカンゾウ(8月29日)
吸蜜しているキアゲハ(8月22日)
赤みが強いハマカンゾウ(8月29日)
〜新横浜公園ナチュラルガーデン ブログ〜 2023年8月
残暑も厳しい今日この頃ですが、今の時期ひときわ美しく咲いているのは、ロータリーガーデンの真ん中にあるサルスベリ
サルスベリの散った花が、根元にあるシュウメイギクの葉の上に乗って、まるでピンクの花が咲いているように見えます。
シュウメイギクの蕾もだんだん膨らんで、花が咲き始めてきました。よく見ると小型のパンパスグラスの穂も出てきています。
お花の少ないこの時期に活躍してくれるのが、秋の七草の一つであるオミナエシ(女郎花)。オミナエシ科の宿根草で、日本では万葉集や源氏物語などに登場し、古くから親しまれてきました。ナチュラルガーデンでは、6月ごろからずっと咲き続けていますが、ススキなどのイネ科の植物とも、とてもよく似合います。
8月28日に、日産スタジアム運営ボランティア グリーン&クリーン部会のみなさんとメンテナンスを行ないました。夏の間に伸びてきて他の植物に絡みついているヤブガラシや、するどいトゲを持つワルナスビなどの除草を行ないました。花の終わったエキナセアやモナルダが面白い形のシードヘッドになっていますが、こちらはもう少し枯れ姿を残しておくことにしました。
中央広場のカツラの木の根元の植栽は、6月の植え付け直後から、厳しい暑さにさらされてきました。植物によって元気なものと、元気のないものが出てきているようなので、9月にはみなさんと観察しながら、補植や球根の計画についても考えていきたいと思っています。
記事作成:貝瀬洋子(studio nazuna)
観察日 : 2023年 7月13日(木)、28日(金)、30日(日)
場 所 : 水路付近
生きもの: アブラゼミ、ニイニイゼミ、コクワガタ、ルリタテハ、コムラサキ、クロカナブン
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
地中生活から地上へ(7月13日)
ジリジリジリ...。アブラゼミの鳴き声は、盛夏を感じさせてくれます。今年も聞こえ始めたため、夜の公園に行ってきました。
19時過ぎ。あたりは大分暗くなり、暑さは少し落ち着いてきました。投てき場周辺から観察開始。探し始めて間もなく、地面を歩いているアブラゼミの幼虫を発見。近くの木を見ると、幹を登っているものもいました。
場所を移動して、第2運動広場の北側の樹木が点在しているエリア。針葉樹のメタセコイアでは、羽化中のニイニイゼミが3匹。うち1匹は翅が展開していました。本種は、アブラゼミよりも小型で幼虫の体には泥がついているので一目瞭然です。シダレヤナギには、アブラゼミの抜け殻がよくついているため、根本付近の地面や幹、枝葉を探していると、1匹の幼虫が木登り中。すぐそばには、樹液に来ていたコクワガタの雄と雌がいましたが、両者気にする様子は全くなし。幼虫はマイペースに登っていきました。
20時40分頃。投てき場のそばにいた幼虫の様子が気になり、戻ってみました。枝先の方を探すと、真っ白なアブラゼミが2匹、目につきました。以前、アブラゼミの羽化を観察したときは、幼虫が場所を決めて背中が割れ始めてから、約50分で翅(はね)が展開しました。幼虫の確認から1時間以上経っていたので、羽化に十分な時間でした。何回も観察しているのですが、毎年、感慨深いものを感じます。
地上に出てきたアブラゼミの幼虫(19時20分、投てき場そば)
登っている幼虫もいました。
アブラゼミの成虫
羽化中のニイニイゼミ(19時50分、第2運動広場北側)
羽化したニイニイゼミ(20時、第2運動広場北側)
ニイニイゼミの成虫
サクラの樹皮にうまく溶け込んでいますね。
コクワガタの横を登っていくアブラゼミの幼虫
(20時、第2運動広場北側)
アブラゼミの羽化。翅(はね)はしっかり広がっていました。
(20時45分、投てき場そば)
樹液などに集まるチョウ(7月28日、30日)
夜の昆虫観察のために仕掛けを木につけていると、黒っぽいチョウのようなものが、視界の隅に一瞬入りました。後ろを振り向くと、パタパタ飛んでおり、翅の表に青白い模様。ルリタテハでした。仕掛けの匂いに誘われてやってきたのかなと思っていると、すぐにその木にとまり、吸汁を始めました。時々ルリタテハを見かけるため、2年前、多自然型管理を行っている水路に食草のホトトギスを植えたのですが、幼虫は未確認。個体数が少なそうなので、すぐにとはいかないものですね。
別の場所の仕掛けには、コムラサキとクロカナブンがきていました。コムラサキは、ルリタテハと同じタテハチョウの仲間。神奈川県では、レッドデータ報告書2006によると、絶滅危惧ⅠB類(ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)に位置づけられています。今年は、目につきやすい場所で樹液が出ており、そこに集中しているためなのか分かりませんが、例年よりも数が多く感じられます。
園内には食草となるヤナギ類が豊富。産卵場所も餌場もあるため、とてもよい環境だといえそうです。今後もたくさんのコムラサキが見られる公園であってほしいですね。
匂いに誘われてやってきたルリタテハ(7月28日)
吸汁し始めました。
ルリタテハの翅裏の模様
仕掛けにやってきたコムラサキとクロカナブン(7月30日)
クヌギの樹液に集まるコムラサキ(7月30日)