新横浜公園の生きもの博士になろう!2024

第1回「初夏の自然観察&Eボート体験」を開催しました。

 

 鶴見川の多目的遊水地として水と緑が豊かな新横浜公園には、多種多様な生きものが生息しています。生きものを好きになり、理解を深めていただく機会として、今年度も「新横浜公園の生きもの博士になろう!2024」(協賛:株式会社春秋商事)を開催。年5回を予定しました。

 

 今回は、初夏に見られる水辺の生きもの観察とEボート体験を行いました。Eボート体験は、「生きもの博士になろう!」では初の試み。水面からの観察がとても楽しみです。講師は、NPO法人鶴見川流域ネットワーキング(以下npoTRネット)さんです。

 ※Eボート・・・10人乗りの手漕ぎカヌー型ボート

「E」は、Exchange(川やダム湖などの水辺で人々が交流)、Environment(水辺の地域や環境を見直し、考え直すきっかけ)、Eco-Life(エコライフを促進)、Everybody(子どもからお年寄りまで障害を持った人も)、Easy(簡単に)、Enjoy(楽しく)、Experience(水辺のすばらしさを体験)、Education(青少年教育)、Emergency(水害や水辺の事故等の緊急時の活用)などの意味を持ちます。     引用:NPO法人川に学ぶ体験活動協議会(RAC)

3.jpg水辺での活動にはとてもよい天気になりました。熱中症やスズメバチへの対応など、安全の話しをして観察会スタート。Eボート体験を行う大池に向かいました。

途中、木陰の芝生にヘビを発見!1m以上あるアオダイショウでした。すぐに水路の方へ逃げていったため、後ろの方にいたみなさんは見ることができなかったかもしれません。2日前には、近くの水路でアオダイショウの子どもを見つけ、写真を撮ったので紹介しました。

4.jpg19.jpgアオダイショウの幼体(撮影 6月6日)模様がマムシに似ています

Eボートの乗降り場に到着。ここで2グループに分かれ、陸上での自然観察とEボート体験を交代で行いました。

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【陸上での自然観察】

大池の水辺の様子を見ながら、オオヨシキリ紹介ポイントへ。5月上旬になるとやってくる渡り鳥で、ツバメと同じように繁殖をして、秋になると南へ旅立ちます。朝は、「ギョギョシギョギョシ」という特徴的な鳴き声が聞こえて、今日はいけるかなと思っていたのですが、すっかり静かになってしまいました。鳴き声や数年前に水路のアシ原に作った巣を紹介しました。

6.jpgオオヨシキリと巣の解説

 1グループ目では、次の場所への移動中に「ギョギョシ、ギョギョシ」と聞こえてきました。メドウガーデン裏手の水路に生えているヤナギから声はするものの、姿はほとんど見えず。込み入った枝葉の中で鳴いているようでした。2グループ目は声を聞くこともできませんでした。

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声は聞こえるのですが、姿が見えません

2.jpgオオヨシキリ(撮影 5月16日)

 鶴見川の流域で取り組んでいる花さく鶴見川プロジェクトの紹介。河川敷には、外来種のネズミホソムギが多く、花粉症の原因にもなっています。これをノカンゾウやハマカンゾウ、ヤブカンゾウに置きかえていくことで、花粉症の影響を抑えて生物多様性豊かなビオトープへと創出しています。新横浜公園では、ハマカンゾウを育て大池沿いに移植をすすめています。花は、7月下旬から9月上旬に見ることができます。

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 続いて、大池の生きもの観察。投網をうつと、モツゴやブルーギルがとれました。別の場所の仕掛けに入っていたテナガエビとあわせてタッチプールに入れてふれあいました。子どもたちは、とても喜んで観察会が終わってからも延長戦で楽しんでいました。

 最近は、植物プランクトンや動物プランクトンが増えて透明度が低くなった影響か、モツゴやテナガエビがとても増えてきました。

8.jpg投網の様子

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何がとれているかな?

13.jpg子どもたちはこれが一番楽しいですね

17.jpgモツゴ

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ブルーギル  ※特定外来生物

16.jpgテナガエビ

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投網中に帰ってきたEボート

【Eボート体験】

 ライフジャケットを着て、パドルの漕ぎ方を練習しました。持ち方を確認して、イチ、ニー、イチ、ニーと声に合わせてパドルを漕ぎます。準備万端!さあ、Eボートに乗船です。

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Eボート体験出発!

 亀の甲橋の下を通過して、排水門付近の島をUターンして戻ります。休憩をはさみながらすすんでいきました。息が合うとボートはどんどん進みます。排水門や島の辺りは、ボートでないとなかなか見れない風景ですね。水辺にはアオサギの姿があり、「チィー」というカワセミの声もよく聞こえてきました

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投てき場の北側 島をぐるっとまわります

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所々で休憩 右には遊水地の排水門

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アオサギ(撮影 5月16日)

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越流堤前  もう少しでゴール

 自然観察とEボート体験の後は、水難事故防止について解説しました。これからの時期は、川での事故が多くなります。川遊びはとても楽しいですが、どのような危険があるか知ることが大切です。また、救助の際はリスクの低い方法から選択することなどお話ししました。

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 今回は、初夏の新横浜公園の自然を陸と池の両方から観察しました。ボートからの観察では、新たな自然の魅力を発見してもらうことができたのではないかと思います。

なお、池の生きもの採集は、観察会のために特別に行いました。普段は採集、釣りともに禁止になっており、柵内に入ることはできません。

ご来園のみなさまも、公園内でつかまえた昆虫等の生きものは、放してあげるなどの配慮をお願いします。

観察日 : 2024年 3月12日(火)、13日(水)、15日(金)

場 所 : 大池、水路付近

生きもの: キンクロハジロ、ハシビロガモ、オオタカ、カンムリカイツブリ、ナマズ

記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

 

 

雨の日の観察(3月12日)

 ポツ、ポツポツ。8時過ぎに新横浜公園に到着すると、車のフロントガラスに雨粒が落ちてきました。ほどなくして本降り。思っていたより早くしっかりした雨になりました。用事を済ませた後、せっかくなので大池の様子を見ていくことにしました。

水面にはキンクロハジロやハシビロガモ、コガモといったお馴染みの冬鳥のカモメンバー。あと一ヶ月もすると繁殖地へ旅立っていることでしょう。今シーズンもそろそろ見納めです。

越流堤下流側の水位計の上には、オオタカがとまっていました。体の上面や頭部に褐色味が多いように見えるので、若鳥でしょうか。雌雄の判別は、両者特徴はありますが、似通った色合いも見られるようなので、羽色だけでは難しいようです。雨の中、オオタカに出会ったのは初めてだったかもしれません。20分程の観察でしたが、収穫ありでした。

恋の季節(3月13日)

 カンムリカイツブリ。先月中旬は、冬羽で落ち着いた色合いでしたが、一か月ぶりに観察すると2羽になっており、1羽はほぼ夏羽(繁殖期に見られる羽)。もう1羽は、換羽中で、顔に赤褐色と黒っぽい模様が出始めていました。2羽が一緒にいて、これだけ模様の差があると、派手なのが雄、地味なのが雌だろう思ってしまいますが、雌雄同色で見分けは難しいようです。そろそろ繁殖地へ旅立つ時期。1羽の換羽がどれくらいすすむまで観察できるでしょうか。

お相手探し?(3月15日)

 大きく波立つ水路の水面。コイかな?と思って見ると、平たい頭に長いひげ。ナマズでした。50㎝ほどはありそうです。観察していると、10mほどさかのぼり、Uターンして池の方へ下っていきました。ナマズの繁殖期は5~6月。浅い水域にやってきて産卵するため、交尾相手を探していたのかもしれません。過去にナマズの幼魚が確認されているので、今年も無事に繁殖してほしいですね。

観察日 : 2024年 2月16日(金)

場 所 : 大池、水路付近

生きもの: コガモ、トモエガモ、ミコアイサ、オオバン、モズ

記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

 

 

 大池や岸辺で草を食べているのをよく見かけるオオバン。2羽が岸辺を歩き、スイセンの前でストップ。とても絵になるなと思い、撮影しました。組み合わせが変わると、いつも見る鳥も新鮮に思えますね。そういえば、今まで雄雌を気にしたことがなかったですが、この時期に2羽いるということはペアなのかもしれませんね。

近くの水辺では、多数のコガモとハシビロガモが羽を休めていました。排水門の方向に歩きながら、密生するオギやアシの隙間から大池の様子を探っていると、カモらしき鳥が1羽。コガモかなと思い双眼鏡で見ると、トモエガモの雄でした。頭部の黒、緑、白の模様が特徴的です。1月中旬に観察したときは、島の水辺でコガモの群れと一緒でした。

 越流堤前に来ると、ミコアイサの雄を発見。白黒模様が遠目でもよく目立ちます。今シーズンは、しばらく雌1羽でしたが、2月上旬に雄が飛来して一安心でした。

野球場そばの水路の柵にモズの雄。すぐに近くのクスノキへ飛んでしまったのですが、とまった場所を見ると、まるでブランコをしているよう。蔓にとまっているのかと思ったら、クスノキの枝でした。何がおきてこういうU字状の枝ぶりになるのか、不思議ですね。

観察日 : 2024年 1月17日(水)、30日(火)

場 所 : 大池、投てき場付近、

生きもの: ダイサギ、チョウゲンボウ、モズ

カワラヒワ、カイツブリ、カンムリカイツブリ

記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

 

仲よし?(1月17日)

 鳥山川での観察を終えて、昼過ぎに新横浜公園へ。大池の水辺には、コガモやハシビロガモ、コサギ、ダイサギなど。越流堤の河川カメラの上には、チョウゲンボウ。風がほとんどなく、太陽の光を浴びてとても暖かそうです。

歩きながら大池を見渡すと、鶴見川右岸の堤防の距離杭の上に小さな鳥が1羽。すぐそばの木杭にも小さな鳥が1羽とまっていました。双眼鏡で確認するとモズでした。そろそろ繁殖期に入るため、ペアだろうと思ったのですが、どちらも過眼線が黒くオスのよう。オス同士が隣り合って喧嘩もせず、黙ってとまっていることもあるのだなと、珍しいものを見た気持ちで落ち着きました。

帰り道で亀の甲橋を通過中、モズがいた堤防を見てみると、杭と杭は舗装路の両側にあり、離れていました。なるほど、モズはこの4mほどの距離で、お互いの縄張りを主張していたのかもしれません。

カイツブリの呼吸?(1月30日)

大池でカンムリカイツブリを観察していると、奥にカイツブリが出現。ツーショットは撮ったことがないと思い、急いでカメラを手にシャッターを切りましたが、カンムリカイツブリはぐんぐん前進。あっという間に離れてしまい、結局、カイツブリがそっぽを向いている写真しか撮れていませんでした。

だめだったかと、再び水面を見ると、カイツブリが2羽に増えていました。間もなく、すぐそばの水面がボコボコっと盛り上がり、もう1羽が浮上。3羽になりました。冬は群れをつくるようなので、3兄弟ではないと思いますがつい言いたくなりますね。3羽はモグラたたきのように、頻繁に潜水と浮上の繰り返し。餌の捕獲は確認できませんでしたが、浮上すると体がむくむくっと大きくなり、体をシュッとしぼめて水中に入るという、呼吸が体に表れているような様子が観察できました。浮上するといつもおしりがこちらに向くかわいいカイツブリでした。

観察日 : 2024年 1月5日(金)、12日(金)

場 所 : 投てき場付近、大池、水路

生きもの: クイナ、ハシビロガモ、コガモ、ホシハジロ、マガモ、カルガモ

記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

 

幸先の良いスタート(1月5日)

 先月はタシギをじっくり観察することができたため、今回の目標はクイナです。双眼鏡で水辺を入念に探していると、草かげで動く鳥が1羽。開始5分ほどの出来事に思わず「おっ!」と声が出てしまいました。クイナです。湿地環境を好み、ここでは秋から春にかけて観察することができます。とても警戒心が強いため、観察中に散歩する人が通ると、危険を察知してすぐに走って藪の中に逃げ込んでいました。その速さは、双眼鏡のレンズから一瞬で消えるほど。危険が去ると、様子を伺いながら藪からゆっくり出てきて水辺で餌を探し。嘴で泥をつついたり、アシの葉鞘を剥がすような行動も見られました。カイガラムシなどの虫を食べているのかもしれません。木の幹に隠れながら、ずっとカメラを向けているのもどうだろうと思い始め、15分程観察して終了しました。

野球場や運動広場の北側を流れる水路は、生きものの生息・繁殖に配慮した多自然型管理を行っています。秋は、越冬で飛来する野鳥のために、あえて草を刈ったり、残したりしています。クイナの行動を観察して、水辺からすぐに避難できるよう藪を残しておくのは大切だなと改めて感じました。

 

水路の多自然型管理

https://www.nissan-stadium.jp/csr/eco13.p

冷え込んだ朝(1月12日)

うっすらと白くなった草地広場。0℃近くまで冷え込んだようで、広く霜がおりていました。冷たい空気と朝日を浴びて光る霜。気分がすっきりします。修景池は、一面に薄く氷が張っていました。池の結氷を見ると、数年前に大池で観察した氷の上を滑って歩くオオバンを思い出し、気持ちがほころびます。大池の方は、氷は張っておらず、水面にカルガモや水辺の草の根元にハシビロガモ、コガモが見えました。

越流堤の方に向かうと、水面に赤茶色と白っぽい模様の鳥が7羽。鶴見川の下流でもよく見かける冬鳥のホシハジロでした。そしてカルガモと一緒に泳ぐマガモの姿も。マガモは、顔の緑に茶色も入ったため、最初はあれ?と思いましたが、換羽が遅れているだけなのかもしれません。

1月4日にオナガガモを10羽ほど確認し、久しぶりの飛来に写真を撮ろうと電源をつけた途端にバッテリー切れ。前の仕事で使いすぎてしまった様です。そして、予備のバッテリーはなし。こういう時に限ってですね。皆さんはそんな失敗がないようお気をつけください。

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