観察日: 2019年 3月13日(水)
場 所: 大池、水路
動 物 : アオサギ
植 物 : ヤナギ、スギナ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
3月に入って雨の日が続くようになり、植物にとっては待ちに待った恵みになりました。公園内の水辺に生えるヤナギが芽吹き、枯れたアシやオギの色に対比してとてもきれいに見えました。萌黄色、色合いも言葉も素敵ですね。
ヤナギの芽吹きがとてもきれい
歩く足もとの周りには、オオイヌノフグリやホトケノザ、ヒメオドリコソウ、セイヨウタンポポ、ナズナなど花が咲き、一ヶ月前に比べるとずいぶん花の種類や数が多くなってきました。大池の方は、たくさんいたコガモやハシビロガモ、オカヨシガモの数はだいぶ減ってきましたが、オオバンはいまだ健在。50羽近く見られました。
よく見かけるアオサギですが、今月はちょっと違います。春バージョンでオシャレになっています!嘴の根本あたりをよく見ると赤みがかっていますね。繁殖時期をむかえるため、婚姻色になっています。写真では隠れていますが、脚も赤っぽくなるので、ぜひ嘴と脚を観察してみてください。
今月のアオサギは色っぽい
12月のアオサギ
水路沿いを見るとツクシがたくさん出始めてきていました。枯草と同じような色合いなので注意深く見ないと見逃してしまいますね。見慣れてくると、ここにも!ここにも!とたくさん見つかります。ツクシは、シダ植物のトクサ科というグループに入り、本名は「スギナ」です。ツクシと呼ばれているは胞子茎で、増えるために胞子を出す役割があり(種子植物でいう種子)、葉緑素をもっていないため枯草のような色をしています。手前に写っている緑色のものが栄養茎(矢印赤)です。スギナは2つの顔をもっているんですね。
スタジアムが背景に写るように這いつくばって撮っていたので、園路を走るランナーや犬の散歩の人たちから、「あの人何をやっているんだろう。」という視線を感じました。
スギナと日産スタジアム
横浜の桜の開花は、3月22日あたりになりそうですね。新横浜公園の桜は、並木になっていたり、密集していたりはしませんが、点在している感じが個人的にはとても好きで、のんびりとお花見でき、隠れた穴場だと思っています。ぜひお花見に来てくださいね。
観察日 : 2019年 3月1日(金)
場 所 : 第2運動広場周辺、メドウガーデン周辺
生きもの: キジバト
植 物 : オオイヌノフグリ、ホトケノザ、ナズナ
記事作成: 横山大将(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
徐々に暖かくなり、生きものたちも春に向けて活発になってきました。とはいえ、朝晩は気温がグッと下がることもあるので、まだまだ体調管理に気を付けないといけませんね。
今回は春を目前に、花を咲かせている植物を中心にご紹介していきたいと思います。メドウガーデン付近から観察を始めたのですが、ガーデンの横、草地になっている部分が見事な天然の花畑になっていたので思わず写真を撮ってしまいました。
青色の花弁が特徴的なオオイヌノフグリ
紫色の花弁が目を引くホトケノザ
白い小さな花をたくさんつけるナズナ
オオイヌノフグリやホトケノザ、ナズナはいわゆる「雑草」と言われがちですが、一面に咲いているととても美しく、「雑草」と呼ぶにはもったいないような気持ちになります。気温が上がれば、シジミチョウやシロチョウの仲間が蜜を吸いにやってくる蜜源にもなり、小さな生きものたちの命を支える「縁の下の力持ち」なのです。しかし今回は残念ながら、午前中に雨がぱらついていて、気温があまり上がらなかったので数日前に見かけたチョウたちはどこかに隠れてしまい、見つけることはできませんでした・・・。
足元の小さな春を見つけつつ、公園内を移動していくと、エサをさがして地面をつついているキジバトがいました。
エサを探すキジバト
何度かブログでもご紹介している普通種ですが、よくよく見てみるときれいな色をしているので、見かけるとついつい写真を撮ってしまいます。あまり共感していただけないのですが、個人的にはごく普通に見られる鳥類の中で5本の指に入るくらいに好きな鳥です。渋い体色に丸っこい体形、エサを探して地面を必死につつく姿が何とも愛らしいです。
風に吹かれてなんとなく凛々しく見えるキジバト
たまに、凛々しい表情を見せてくれるところもなかなかポイントが高いと思います。そんなことを考えながら写真を撮っていると、こちらに気が付いたのか、怪訝そうな顔をして飛び去っていきました。
春はもうすぐそこまでやってきています。暖かくなったら、ぜひ新横浜公園でのフィールドワークをお楽しみください!
観察日 : 2019年 2月20日(水)
場 所 : 大池、園内水路、テニスコートそば
生きもの: オオバン、アオサギ、キタテハ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
気温や天気の変化が大きい毎日。春が近づいている証拠ですね。この日は春を思わせるポカポカ陽気となりました。暖かくなるのはとても嬉しいのですが、花粉も飛ぶというわけで、少し警戒して観察に臨みました。
大池に出ると、ちょうど上陸を始めたオオバンの群れと遭遇。私のことなど気にもしない様子で、どんどん近づいてきます。足元まで餌をもらいに来るんじゃないかと思いましたが、3m程のところでそれより近づくことはなく、安全な距離感を保ったまま採食を始めました。これまでの観察で、上陸して餌をとっていても、ナノハナは丸坊主にされず残っていたので、アブラナ科の植物は口に合わないのだろうと思っていましたが、、、 食べてるじゃないですか!(ナノハナを植えた造園屋さん、オオバンになりかわって謝ります)ナノハナに群がって食べるようなことはなかったため、大好物というほどではないのかもしれません。食べられずに残っていたのではなく、食べられても必死に生長した姿だったのですね。
観察していると胸にヒシの実をぶらぶらさせているオオバンが4、5羽いました。水中に潜ったときに付いたのでしょうか。ヒシの種子についている棘は、ギザギザになっており刺さってもすぐに抜けません。なるほど、こうやって種子を運搬させているんですね。
オオバン 上陸部隊
ナノハナを食べていました。
潜って付いた?ヒシの実
大池の観察を終えて、水路の様子を見ながら歩いていると、写真の姿で微動だにしないアオサギを発見!獲物を狙っているようですが、なかなか動きません。数分経ったとき、頭部は全く動かさず、体だけがグーッとゆっくり前に寄っていき静止。バシャッと嘴が水中に突き刺さりました。捉えた獲物はドジョウ。お見事です!食べ終わると、まさに抜き足差し足忍び足。獲物を求めて静かに歩き始めました。
辛抱強く獲物を狙うアオサギ
日中は予想以上に気温が上がり、暖かさに誘われて出てきたキタテハを5匹ほど見ることができました。成虫で越冬することができるため、冬でも暖かい日などに見かけることがあります。写真上のキタテハは、翅が欠けている状態でしたが、翅を太陽の方に向けて、体を温めているんでしょうね。
気づけば、心配していた花粉症で辛い状況になることはなく終了。観察に集中できたおかげかもしれません。自然好きで花粉症の方は、春は本当に辛い時期です。無理せず体調第一で観察を楽しみましょう!
キタテハ
キタテハ
観察日 : 2019年 2月13日(水)
場 所 : 越流堤周辺、園内水路、修景池
生きもの: ノスリ、カワラヒワ、タシギ、カワセミ
記事作成: 横山大将(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
先日は関東でも雪がちらつき、朝夕の冷え込みが一層厳しくなってきました。末端冷え性の私には少々辛い時期です(かといって暑いのもダメですが・・・)。本日も寒く、大池でカモ類の観察をされていた方々もバッチリ防寒着を着用されていました。
今回はカモ類を中心にご紹介していくことになるかと思っていたのですが、後半にカモ以外の色々な鳥類が見られたので、そちらをご紹介していきたいと思います。
公園入り直後、まずは大池に向かい何か変わり種はいないかと水面を見渡してみました。しばらくじーっと見ていましたが、特に何も見当たらず。残念に思いつつ、腰を伸ばして遠くの方を見てみると、何かいるではありませんか!
ノスリ
少し前にも1度ご紹介した「ノスリ」が前回と同じ水位計の上にとまっていました。こちらに気がつくと、あっという間に飛び去っていきました。ノスリはネズミやモグラといった農作物に被害を出すような生きものを捕食することから、農地の守り神とも呼ばれてきたようです。地味であまり注目されない猛禽類ですが、我々の生活と密接な関わりを持ってきた鳥なのです。にもかかわらず、鷹狩に向かないからという理由で「クソトビ」と呼ばれていたというのは何ともやるせない気持ちになりました。
ノスリが飛び去った後、大池沿いにもう少し鶴見川の上流側に移動してみました。すると越流堤の前に1本の木があるのですが、枝の上で群れている小鳥を発見しました。スズメでしょうか?
カワラヒワ
いえいえ、カメラ越しに見てみると全く色合いが違いました。「カワラヒワ」でした。漢字では「河原鶸」と書き、"河原"で見られる"鶸(ひ弱な鳥)"というところから名前がついたそうです。黄色と緑のきれいな羽に思わず見とれてしまいました。その後、大池から離れ、園内の水路を見に行ってみました。すると、2号水路の草が茂る岸辺に、なんとなく違和感を覚えました。何かがこちらを見ています。
タシギ
地面と上手く同化して、こちらを見ていたのは「タシギ」というシギの仲間です。毎年、秋から春にかけて新横浜公園の水路周辺で見かけます。こちらが近づくと、しゃがれた声で「ジェッ!」と鳴きながら水路の奥の方に飛んでいってしまいました。
だいぶ写真も撮れたので、そろそろ切り上げようと思い歩いていると、修景池の畔で青緑色の何かが目の端に入りました。皆さんご存知、もはや説明不要の「カワセミ」が獲物を狙ってか、池の岸にある岩の上から水面を覗き込んでいました。
カワセミ
カメラを構えようとしたその時。池に飛び込み、小魚を捕らえたようでした。残念ながら、その瞬間を写真に収めることはできませんでした。動く相手を撮るのは難しいなぁと、つくづく思い知らされました。
まだまだ寒い日が続きます。体調にはくれぐれもお気をつけて、冬鳥が見たくても寒さの厳しい日は無理をせず、フィールドワークをお楽しみください!
観察日 : 2019年 1月29日(火)
場 所 : 大池
植 物 : ヒメガマ
生きもの: イカルチドリ、ミコアイサ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
前日に続く強風。北風に変わったため、この日は一段と気温が下がりました。思い出せば12月の観察もかなり冷たい風が吹いた日でしたので、そういう日に当たってしまうのかもしれません。
投てき練習場の近くを歩いていると、目の前の地面は雪が降ったかのような光景。近づいてみると、正体はガマの綿毛の種子でした。ガマの仲間は、水辺を代表する植物の1つで、国内では3種ありますが、鶴見川や新横浜公園に多いのはヒメガマという種類です。夏場はソーセージのような穂が、冬になるとたくさんの綿毛の種子が飛び出します。
雪が降ったかのようですね
正体は、ヒメガマの綿毛の種子でした
広い草地広場を眺めると、7羽ほどのハクセキレイの集まりと離れて、同じような白黒の鳥がぽつんと1羽。ハクセキレイではなさそうだなと、双眼鏡で確かめると、、
その鳥はイカルチドリでした。水辺で見ることが多いですが、草地広場にいるとは思いませんでした。歩いては止まって嘴で地面をつつき、餌をとっていました。水辺よりも餌がたくさんとれるのでしょうか、穴場のレストランを見つけちゃったようですね。観察中、近くから子どものワーワーという叫び声が聞こえた途端、イカルチドリは、すぐさま地面に伏せ、「なんだ?!なんだ?!」と伺っている様子。少しして叫び声が消えるとまたお食事を再開しました。
イカルチドリ(チドリ科)
越流堤前までやってきました。依然風は強く、水面は大きく波が立っています。寒くて手がかじかんできました。水辺のガマやアシの草陰には、カワウとアオサギ、コサギ、ハシビロガモがお休み中。岸近くの水面には、コガモやオカヨシガモ、そしてミコアイサも見られました。
アイサ(秋沙)といいますが、潜水タイプのカモの仲間で、日本では5種確認されています。中でもミコアイサは小型で、雄は白黒模様で眼の周りが黒いことからパンダガモとも呼ばれています。ここでは、一昨年、昨年も確認していましたが、白黒の雄生殖羽を見るのは初めてでした。1月中旬あたりはまだ羽が生え変わっている段階でしたが、ほぼ生殖羽に変わったような感じです。雌と、もう1羽のミコアイサは雄かなと思っていますが、今後、色合いが変化していくのかどうか楽しみなところですね。
少しずつ春が近づいてきて、生きものの動きも盛んになっていきます。これからもマナーを守って自然観察を楽しんでください。
ミコアイサ(手前)とコガモ(後ろ3羽)
ピントのあう写真がなかなか撮れず惨敗です。