〜新横浜公園ナチュラルガーデン ブログ〜 2022年4月
ここは、第3駐車場にある細長いボーダーガーデン
宿根草をメインに植栽しており、2020年秋に誕生しました。
4月に入り、きれいな新芽がぐんぐん伸びてきています。
紫色の花が鮮やかなサルビア ネモローサ'カラドンナ'
フワフワした白い毛が可愛らしいラムズイヤー
ピンクの絨毯のような花は、クリーピングタイム(タイム ロンギカリウス)
キャットミント(ネペタ'シックスヒルズジャイアント')の花も咲き始めました。
丸い葉の形がユニークなリグラリア ミッドナイトレディ
宿根草の間では、チューリップが彩りを添えています。
色んな植物のハーモニーが楽しいボーダーガーデン
新横浜公園にお越しの際には、ぜひ目を向けてみて下さい。
これから毎月、新横浜公園ナチュラルガーデンの様子をお届けします。
どうぞお楽しみに!
記事作成:貝瀬洋子(studio nazuna)
写真撮影:2022年4月20日
ナチュラルガーデンとは。。。
新横浜公園メドウガーデンをデザインしていただいたポール・スミザーさんの著書「Natural Garden Walk」を一部引用すると「風土や環境条件に合う植物や材料を使うことを基本に、人にも自然生態系にもやさしい、持続可能な庭」としています。
新横浜公園ナチュラルガーデンとは。。。
上記のナチュラルガーデンを基本にして、遊水地という特殊な環境に適した宿根草を主とした植物で彩っている花壇です。
2022年4月現在は、第3駐車場付近のボーダーガーデンとロータリーガーデンがありますが、今後他の花壇でもナチュラルガーデン化を検討中です。
また、ナチュラルガーデンの特設ページも近日中に開設予定です。
観察日 : 2022年 4月19日(火)
場 所 : 大池付近、水路付近
植 物 : ニョイスミレ、ヤナギの種子(柳絮・りゅうじょ)
動 物 : ハシビロガモ、コガモ、オオバン、ツバメ、アブラムシ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
4月に入り、20℃を超える日が多くなってきました。大池では、越冬していたハシビロガモやコガモ、オオバンなどの数が徐々に少なくなり、繁殖のために渡来したツバメが見られるようになりました。最寄りの小机駅では、ツバメの巣がいくつか出来始めています。
観察しながら池沿いを歩いていると、行く先の地面に多数の白い花を発見。この時期、ヘビイチゴの黄色い花はよく見ますが、白い花は何だったろうと近づくと、スミレの仲間でした。ニョイスミレのようです。こんなにたくさん咲いていた場所があったとは今まで全く気づきませんでした。こういう突然の出会いが楽しいですね。
ハシビロガモのペア 今シーズンもこれで見納めか
ニョイスミレの群落
白い花びらに紫色の筋が美しい
ニョイスミレ(如意菫)の花を堪能して、少し進むと柵のそばにギシギシが生えていました。茎はすすがついたように真っ黒。正体は、アブラムシでした。アブラムシは昆虫で、セミやカメムシと同じように、針状の口を植物に差し込んで栄養をとります。種によって、寄生する植物がほぼ決まっており、ギシギシには、ギシギシアブラムシやマメクロアブラムシがつくようです。(外見で見分けるのは困難なよう) びっしりつくほどの数を見るとギョッとしますが、アブラムシ自体は弱い生きもの。テントウムシやハチ等の昆虫やクモといった天敵が多く存在し、風雨の影響も受けやすいようです。これを増殖力で補っているアブラムシの生き残るための戦略ですね。観察していると翅(はね)があるアブラムシを見かけることがあります。同種でも翅を持つものと持たないものがいます。寄生する植物の状態が悪くなると、有翅型(ゆうしがた)が現れて移動するようです。無翅型(むしがた)は、雌のみ。単為生殖で増殖に特化しているのです。卵胎生のため、赤ちゃんを産み増えていきます。
ギシギシ 緑色の茎が真っ黒に
正体はアブラムシ
(ギシギシには、ギシギシアブラムシやマメクロアブラムシなどがつくようです)
大池を離れ、園路を歩いていると、柵の下に白いものが積もっていました。冬、ガマの穂綿で雪が積もったように見えることはたまにありますが、今は春。気づけば、空中を綿毛が飛んでいます。柳絮(りゅうじょ)です。
公園内の水辺には多くのヤナギが生えており、春に開花。その後、果実が熟すと割れて、綿毛に包まれた種子が出現。これが柳絮(りゅうじょ)と呼ばれます。雪のように舞う様子は風情があります。一方、中国では、大量の柳絮が飛散するため、吸い込むことによってアレルギー反応を引き起こす(柳絮自体は無害だが、汚染物質が付着することが要因とも)ことが問題となっており、日中の外出制限が呼びかけられたりしているようです。
今はみなさんマスクをして園内を利用されているので問題ないと思いますが、たくさん飛んでいるときは吸い込まないよう注意しつつ、今の時期だけの光景を楽しみましょう。
雪が降ったように見えますね。
柳絮 ヤナギの小さな種子が綿毛に包まれています。
果実が割れて出てきた柳絮
観察日 : 2022年 3月17日(木)
場 所 : 大池付近、水路付近
植 物 : シダレヤナギ、オオイヌノフグリ、つくし(スギナ)、カントウタンポポ
動 物 : オオバン、キタテハ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
季節は春へ加速。数日ぶりに来てみると、水辺のヤナギなどが芽吹き始め、枯草色だった公園に緑が増えていました。春が近づき、生きものが一気に動き出してきたような雰囲気です。
シダレヤナギの芽吹き
足もとのオオイヌノフグリの花は、数える程度だったのが、数えきれないほどに。見事に咲き誇っていました。オオバンは、青いお花畑の中で食事中。冬のときには見られない光景ですね。食べているのはイネ科が中心で、オオイヌノフグリは口にしていないようでした。
写真を撮っていると、ひらひらとオレンジ色の蝶がやってきました。キタテハです。越冬個体でしょうか。無事に冬をのりきり、お疲れさま。翅を開き、オオイヌノフグリとともに太陽の暖かい光を体で受けていました。
びっしりと咲き誇るオオイヌノフグリ
いつもの採食場所がお花畑に様変わり
日の光を受けるキタテハとオオイヌノフグリ
水路沿いを歩いていると、春を感じさせてくれる植物を見つけました。つくしです。もっと出ているところがないか、足もとに注目して歩いていると、近くで発見。まるで林のように生えていました。つくしは、スギナの胞子茎(ほうしけい)と呼ばれる部分。ワラビやゼンマイと同じシダ植物の仲間です。茎の先の部分は、胞子嚢穂(ほうしのうすい)と言い、ここから胞子を出して増えていきます。一足遅れて生えてくる緑色のものが栄養茎(えいようけい)。胞子茎と栄養茎は、地下茎(ちかけい)でつながっています。そばにはカントウタンポポも咲き始めており、春を存分に感じさせてくれた観察になりました。
つくし(スギナの胞子茎)がたくさん出ていました
胞子嚢穂 ここから胞子を出します
スギナの栄養茎
カントウタンポポ
芝生観察日記の第百二十五話です。
令和四年3月17日(木)
日産スタジアムでは、3月6日(日)にJ1リーグ、横浜F・マリノスvs清水エスパルス戦が開催されて以降、4月2日(土)のFC東京戦に向けて粛々とトランジション作業を開始しています。
今週に入り、連日20℃を超える4月下旬並みの暖かさが続いているため例年よりやや遅れて夏芝ティフトンの萌芽を確認できました。
今年の冬は、通常と言うか、普通の冬というか、冷え込みが厳しくなったため夏芝が確実に休眠することができました。
近年は、暖冬が続いた影響で夏芝が完全に休眠せず冬越しする年もあり、春先に体力を消耗してトランジションに影響する年がありました。しかし、今年はしっかり休眠できたので体力を温存しているのではないかと期待しています。
現在は、1月に行われたラグビーリーグワンやJ1リーグの開幕に向けて冬芝のライグラスを過保護に育てた反動で過密な状態になっています。そのためティフトンが顔を出す隙間が殆どありません。
そこで、トランジションの第一弾として今年初のエアレーションをコアリングで行いました。まだ、寒の戻りがあると思われるので今回は細めの7㍉タインを使用しました。昨年張替えたばかりの芝生ということで根の張りが不十分であり、コアの抜け具合も期待したほどではありませんでした。
今回のコアリングは、トランジションが最大の目的ではありますが、同時に酸素の供給と透水性の向上による根の活性促進も期待できます。
また、今週から刈高を12㍉に下げて、より地際のティフトンに光が当たるようにしています。
週間の天気予報を見る限り、一雨ごとに暖かさが増していく気配を感じます。お天気と芝生の様子を見ながら今後は、バーチカルカットやサッチングなど本格的なトランジション作業を計画的に進めていきます。
芝生観察日記の第百二十四話です。
令和四年2月21日(月)
2月19日(土)、J1リーグの開幕戦となる横浜F・マリノスvsセレッソ大阪戦が開催されました。
天候は、曇り。時折小雨がぱらつき、気温も10℃を割る底冷えする中での試合は、マリノスが前半1点ビハインドで迎えた後半に2点を取返し、一時は逆転しましたが、後半45分に再びセレッソ大阪が得点して、結果は残念ながら2対2の引き分けとなりました。
それにしても、今年の冬は本当に寒いですね。各地で大雪となり、ここ横浜でも毎週のように降雪予報が出て、既に積雪も2回確認されています。
この寒さは人間だけでなく、芝生にも影響が出ています。
先週行われたスーパーカップの朝もそうでしたが、氷点下の朝が珍しくないこの冬は、基本的に作業をする時や雪予報が出た時以外は、保温のためシートを掛けています。
この日の朝も、開門前までシートを掛けていました。
近年は、温暖化の影響により暖冬傾向でしたが、今年は冬らしい冬となっており、日産スタジアムのある新横浜公園の池が凍り、各所で霜柱が立っています。
ここ最近の冬は、暖冬により夏芝(暖地型)ティフトン419に限らず、公園のノシバやコウライシバも完全に休眠せず、地際では緑の茎や葉が見られますが、今年は冷え込みが厳しく、完全に休眠しています。ただ、夏芝にとっては完全に休眠した方が、養分の消費が少なく、春の目出しがスムーズになるはずなので楽しみです。
それでは、冬芝(寒地型)はどうなのかというと冬芝も寒さが好きなわけではありません。夏芝のように休眠して葉が茶色く退色するわけではありませんが、氷点下となるような環境では緑色こそ維持しますが、養分吸収は停止し、生育は殆どしません。そのため、スーパーカップ後の1週間で芝刈りはわずか2回と少なく、芝生を刈ると言うよりゼブラ模様の刈り目をつけたり、清掃目的で飛び散った芝カスを回収する意味合いが大きいです。
現在、日産スタジアムのピッチを緑で覆っているのは冬芝ですが、上記のとおり生育していないので先週のスーパーカップで傷ついた部分も全く回復していません。
この先、冬芝が動き出すのは3月上旬ころ、夏芝は遅れて4月中下旬ころです。それまでは、傷口を手当てし、誤魔化しながら試合を消化していきます。春はもう直ぐそこまで来ています。
上の写真はセレッソ戦後の状況です。左側がホーム側(北西)ゴール前、右側がアウェイ側(南東)のゴール前の状況です。
昨年12月4日のJリーグ最終戦後、先週のスーパーカップまで約2カ月間で1回イベントで使った以外は、ほぼシートを掛けて養生していましたが、冬季の利用は回復しないので傷んだままです。
特に、アウェイ側はつい最近まで1日に2時間程度しか陽が当たらない場所なので、芝生の生育がホーム側と比べて劣るため、ストレス耐性が弱く、傷み易く、回復し辛い場所です。
写真を見比べてみると、ホーム側が緑色を維持しているのに対して、アウェイ側は白っぽくなっています。実際現場で見ると、その違いは歴然です。
ゴール前以外は、この試合で目立ったダメージは残りませんでした。先週のスーパーカップ時の表面硬度が、83ポイントと若干硬さを感じたので、19日の試合前にバーチドレンを掛けた結果、試合当日の表面硬度は78ポイントまで改善され、選手からも好評だったようです。
しかし、この時季は芝生自体がまだ動いていないので、我々的には物足りなさを感じています。
次戦は、明後日23日の川崎フロンターレ戦です。
誤魔化しながら、凌いで春を待ちます。