芝生観察日記の第七十話です。
平成27年12月17日(木)
10日に開幕した「FIFAクラブワールドカップジャパン2015」も昨夜、大阪の長居スタジアムで準決勝戦1試合目(M5)、南米代表リバープレート対開催国枠として参加しているサンフレッチェ広島の白熱した試合が開催されました。残念ながら広島は惜敗し、20日に日産スタジアム(今大会の標記は横浜国際総合競技場です。以下/日産スタジアム)で行なわれる3位決定戦に回ることとなりました。
さて、大阪で試合が行なわれている同じ時間帯、ここ横浜では今日の準決勝戦2試合目(M6)で対決するアジア代表の広州恒大と欧州代表FCバルセロナの公式練習が行われました。
公式練習は各チーム原則1時間と決められています。しかし、短時間で狭い範囲での練習を繰り返すため芝生の傷む度合いは試合以上です。
傷んだ箇所は、決戦に備えて夜明けとともに、管理スタッフがフィールドの隅々まで念入りに補修作業を実施します。
芝生管理スタッフには毎回スタッフジャンパーが支給されます。今回は黒。シンプルで評判が良いみたいです。
スタジアム内は、今日の一戦に向けて早朝から着々と準備が進んでいます。
FIFAの公式大会はフィールドの仕様に関して細かく指示が出されます。我々に一番関係してくることは芝生の刈高です。これは地域、芝種、季節などによって限定はできないため、25㎜~30㎜の間で設定するようにと幅を持って定められています。
日産スタジアムでは、今回25㎜で刈高を統一しました。今日の試合に向けて、フィールド整備に与えられた時間は凡そ5時間程度です。霜や露の状況によって大きく作業時間に影響するため、この時季の管理作業は難しいものがあります。そのため管理スタッフの増員の他、試合に影響する芝生の刈込みも通常は芝刈り機2台で刈るところを、4台で刈って時間の短縮を図ります。
芝刈り機4台が並走して刈る光景は壮観です。滅多に見る光景ではないので我々も新鮮な気分であると共に、いつもと違う緊張感を持って決戦の舞台を整備中です。
20日の決勝戦に進出するのは果たして広州か、バルセロナか、お楽しみに。
芝生観察日記の第六十九話です。
平成27年12月10日(木)
8ヶ月ぶりの更新となりました。
慌しく、そして粛々と今年のJリーグは幕を閉じ、残念ながら我らがF・マリノスは総合7位という結果に終わりました。揃って年末に横浜アリーナで開催されるJリーグアウォーズでW受賞という夢は今年も叶いませんでした。
もっとも今年のJリーグアウォーズは、どうやら東京で開催されるそうです。横浜尽くしの年末は来年の楽しみとして持ち越しましょう。
さて、日産スタジアムでは今日から3年ぶりに日本で開催される「FIFAクラブワールドカップジャパン2015」が開幕します。
今朝の最低気温は2.8℃。綺麗な陽光がスタジアムに差し込みましたが、予想通りの冷え込みとなり、昨夜の公式練習後に設置した保温用のシートが効果を発揮しました。大事な試合の前に霜にあたってしまうと暖地型の芝生の退色が進んでしまいフィールドの緑度が低下するので大変ですが、毎日シートの設置、撤去を繰り返します。
この大会期間中は、いつも夜が遅く、朝が早いため芝生管理スタッフには苦労を掛けますが、世界が注目する大会なので気が抜けません。スタッフの皆さんには感謝です。
会場の準備も着々と進んでいます。FIFAのバナーを見るといつもとは違った緊張感に包まれます。FIFAの大会では、GC(ゼネラルコーディネーター)という役職の人が試合会場の全てをマネージメントします。Jリーグなどではマッチコミッショナーと呼ばれるポジションです。
GCは、試合会場全ての決定権を担います。そのため、チェックも細かく、広くにわたります。
上の写真は、ゴールの高さをメジャーで実測している状況です。なかなかJリーグでは見ない光景です。また、もう一枚の写真は、ゴールの立て直しチェックの状況です。
FIFAの大会では、必ず試合で使用しているゴールの他に、例えば試合中にゴールが倒れたり、ネットが切れるといったアクシデントが起きた場合に、直ぐにゴールを立て直して試合を再開させられるように準備しています。そして、実際に何分でゴールを交換できるのかというシュミレーションチェックを受けている状況です。今回は15分21秒で完了し、GCから「Verygood」の評価をいただきました。これもJリーグでは考えられないことですが、世界一を決める大会ですから何が起きるか判りません。実際に2005年の本大会においてサポーターが乱入してゴールネットを吊るサブポールが曲がってしまい、試合中にゴールを交換するという事態を経験しています。リアルに体験しているので戸惑うことなく対応できました。
そして、今朝は12月の試合としては初めて早朝散水を行いました。この時季の散水は凍結する恐れがあったりするので我々の判断では行うことはありません。ここでも、GCの権威が威力を発揮します。昨夜の公式練習前にミーティングを行い、FIFAのマニュアルでは、試合当日の散水時間を6時間前、3時間前、2時間前、1時間前、30分前の5回と決められているというのですが、これは日本の気候や試合当日の慌しいスケジュール感では現実的ではありません。交渉の結果、早朝と試合1時間前で決着しました。
これまでFIFAの大会で4人のGCと仕事をしてきましたが、今回のTomは手強そうです。大会は20日まで続きます。来週にはバルセロナFCも登場します。緊張感と共に刺激的な10日間が始まります。試合後の結果は追って報告します。
新横浜公園中央広場の花壇は年2回植え替えを行っています。春からこの秋まで鮮やかな花を咲かせていたポーチュラカは役目を終え、今度は秋から来年の春までの花の出番となりました。11月6日穏やかな秋の陽差しの中で、今回初めて麻生養護学校の生徒さん18名がチューリップとパンジー・ビオラを植え付けてくれました。
生徒さんと先生が5グループに分かれ、全部で10箇所の花壇の植え付けをしました。
1つの花壇につきチューリップ30球、パンジー・ビオラ50株を丁寧に植え付けてくれました。
パンジー・ビオラは、まだ小さな花で、チューリップはまだ芽も出ていませんが、それぞれが育って中央広場を綺麗な花で彩ってくれる日が楽しみです。特にチューリップはここ数年新横浜公園に植えていなかったため、春が楽しみです。
花の植え付けが終わった後は、散水、バラ園の雑草抜き、落ち葉の清掃作業も行いました。
チューリップの花が咲く4月頃、また、パンジー・ビオラの成長していく様子を見に来てください。麻生養護学校の皆さんありがとうございました。
新横浜公園フォトギャラリー11月度更新ブログです。
新横浜公園は、紅葉が進み秋真っ盛りです。そんな新横浜公園で撮影した写真をご紹介します。
1枚目の写真は、「ナンキンハゼの実」です。
9月28日に撮影したこの写真の通り、ナンキンハゼは緑色の実をつけます。秋に熟すと殻が割れ、白い中身が見えるようになります。この白い実は蝋の原料にもなっていました。11月下旬の今は、この白い実になっており、真っ赤に紅葉した葉も落ちてしまいました。
2枚目の写真は「アキノノゲシとテントウムシ」です。
淡い黄色い花をつけるアキノノゲシ(秋の野芥子)は11月まで花を咲かせる植物です。11月になると花咲く野草が少なくなるので、よく目立ちます。そこにテントウムシ(ナナホシテントウ)が飛んできた瞬間を撮影しました。
今回のフォトギャラリーは、この2枚の他にも、全部で8枚の写真を更新しています。フォトギャラリーリストを見て、是非新横浜公園にお越しください。
11月8日(日)に「舟からの自然観察会」が開催されました。このイベントは、新横浜公園市民活動支援事業として活動している「鶴見川舟運復活プロジェクト」と「新横浜町内会」の2団体が主催のコラボイベントです。
この日はあいにくの雨で当初予定していた「舟からの自然観察会」はいったん中止し、その分バタフライガーデンでの花植えと新横浜公園内の自然観察会の時間を長くしました。
今回バタフライガーデンに植えたのはノースポールとスイートアリッサムです。参加者は軍手を付けて、一つひとつの苗を丁寧に植えました。植え替えた直後は花の根が乾燥しやすいため、花にとっては嬉しい雨になりました。
花を植えている途中で雨が弱まってきたため、急遽舟からの観察会を行うことにしました。今年で8年目となるこのイベントは、元々は物資の運輸に舟が使われていた鶴見川の伝統文化を継承することが一つの目的です。当時の舟を復元した「舟運丸」「たちばな」に乗って普段は入れない場所から、普段は見られない景色を見る貴重な体験となりました。
乗舟の順番待ちをしている間も新横浜公園で見られる鳥や植物の解説がありました。「冬鳥・夏鳥・旅鳥とは?」、「きりたんぽのような植物は何?」普段街中では見られない動植物の紹介を大人も興味深々で聞いていました。
今回は雨のため参加人数が少なかったですが、来年は多くの人に参加してほしいと思います。また、今回植えた花が成長する姿を見に新横浜公園に来てください。